死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件   作:くいあらためよ

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キリシマ・ハルナ戦2

「さぁーて401は何処かな?」

 

「…………タナトニウム反応、侵触弾接近。」

 

「おっ、あっちから来てくれたか…………え?」

 

「………!バカな。」

 

キリシマ達の行く先を阻んだのは、戦艦ミカサであった。

 

 

「やっぱり気付かれたか。もう少しうまくやらないと。」

 

「おいおいマジかよ……ミカサ!敵ミサイル多数接近!」

 

「なっ!…百発!?フルファイヤー!」

 

二隻の戦艦から繰り出されるミサイルの嵐は、凄まじい破壊力を持っていた。

それに対応するため、私はありったけの火力で応戦する。

 

「流石は金剛型ね……火力が桁違いだわ。」

 

「それでも、こちら側の被害はほとんど無いぞ!」

 

「その代わり私が沈むかもしれないけれど。」

 

本能的に私と彼女らの実力差に気づいていた。

このまま戦っても時間を稼ぐどころかすぐに殺られるだろう。

なので一つ、変わった戦い方をすることにした。

 

「山口、艦内に入ってて。」

 

「え?」

 

「いいから、早く!」

 

そう言うと私は無理矢理山口を艦内に入れた。

 

「さぁーてと、退避させたし。いっちょやりますか。全速前進!」

 

二隻の戦艦に向かって、私は突撃を敢行した。

 

 

「な…!あいつは狂ったのか!?」

 

「こんな行動、予想外。」

 

ミカサのとった行動に驚きを隠せないキリシマに、ハルナも反応する。

 

「それでも、私達の火力は圧倒的。集中砲火だな。」

 

「……従おう。」

 

ミカサに対し、進路を塞ぐ形で二隻とも旋回し始めた。

 

「さて、どれまで持つかな!」

 

二連装砲計四基が一斉にレーザーを放った。

 

 

「ひっかかったな!」

 

私は、相手が思い通りに動いてくれたことに感喜の声を上げた。

 

「大きく横っ腹を見せるなんて、ただの的……キャアァァ!」

 

一斉にレーザーが着弾し始める。

 

「な、なんて威力なの。しかし、後もう少し。」

 

クラインフィールドで受け止めているとはいえ、流石に限界がある。

少し、速力を上げた。

 

「もうちょい、もうちょい…きた!」

 

照準が定まった。

 

「超重力砲、発射準備開始!!」

 

私はハルナを固定した。

 

 

「な!しまった!!」

 

「なんて……こと」

 

重力砲に固定されてしまったハルナは逃げようともがくが、決して逃げることはできなかったな。

 

「ハルナ!ちくしょう……これでも食らえ!!」

 

キリシマはハルナを助けようと、一斉にミサイルを放つ。

 

しかし、全て防がれてしまった。

 

「な!こうなったら……」

 

キリシマも超重力砲を放つべく、体勢を整えた。

 

しかし間に合わず、ハルナへ重力砲が放たれた。

 

 

「これでも食らえ!!」

 

超重力砲をハルナに向けて放ったミカサだか、ここで思いもよらない事が発生した。

 

「よし!命中した……え?」

 

大きく艦が揺さぶられた。

ミカサの船体にミサイルが着弾したのだ。

キリシマが放ったミサイルの中に、何発かハルナが放った物も含まれており、その中の一発が重力砲によって処理能力の低下していたミカサに気付かれずそのまま船体の中央に命中したのだ。

 

「嘘……マズイ!」

 

意識がそちらの方にいってしまったため、重力砲を維持することが出来なくなってしまったのだ。

 

そして、この期を逃がさないとばかりにキリシマがありったけのミサイルを放ってきた。

すぐにはフィールドを張ることが出来ず、自力で迎撃することを余儀なくされた。

飛んでくる侵食弾を優先的に破壊しているため即轟沈はしないが、その他の弾頭は撃ち漏らしが多く徐々に被弾していった。

 

「そんな……完全にミスったわ。」

 

船体が右に少し傾いた。

どうやら、穴が開いて水が侵入してきたらしい。

 

必要の無い部分からナノマテリアルを抽出し、必要な箇所に回しているが、到底間に合わなくなってきた。

 

「………ッ!まだまだぁ!」

 

側面の副砲や主砲で撃ちまくるがほとんどがフィールドに防がれてしまった。

 

 

「………危なかった。」

 

ミカサの放った重力砲を、短時間ながら直撃を食らったハルナのクラインフィールドはほとんど崩壊していた。

 

「キリシマ、少しだけ頼む。」  

 

攻撃を任せたハルナは、フィールドの再構築を始めた。

 

「任せてな。あんなに艦、すぐに沈めてやるさ!」

 

更にキリシマはミサイルを放っていく。

 

「ハハハ!これで終わりだぁ!」

 

超重力砲の発射準備が終了し、砲口をミカサに向ける。 

 

すると、何処からか侵食魚雷が放たれた。  

 

「なっ!?」

 

それに気付いたキリシマは、発射を中断しフィールドを展開した。

 

「誰だ!」

 

ディスプレイを開いて確認すると、そこには401の姿があった。

 

 

ミカサの奮闘により、401は早く千早群像らと合流することが出来た。

 

「目標、片方は少し手負いのようだな。」

 

「すごいですね……一人で耐えきるなんて。」

 

「しかもこちら側にはほとんど被害がないらしい。」

 

「イオナ、ミカサと通信開いてくれ。」

 

「了解。」

 

『あら…遅かったわね。』

 

モニターにミカサの姿が映し出された。

 

「そちらも大変そうじゃないか、ミカサ」

 

モニター越しでもわかるぐらい、艦は損傷していた。

 

『ひとまず、後は頼むわ。少し、疲れた。』

 

そう言うと、ミカサは通信を切ってしまった。

 

「よし、それでは我々はあの霧の戦艦二隻とも沈めるぞ!」

 

「な!本当かよ!」

 

「いけるな?イオナ」

 

「うん、頑張る。」

 

「……まぁ、いつものことか。」

 

「仕方無いですね。艦長、命令を。」

 

「わかった。機関全速!いくぞ!」

 

401は速力をあげ、キリシマ達に近付いていった。


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