可愛いですよね。らんらん。
最近蘭子がとても楽しそうにしている。何でも、アイドルとしてのデビューが決まったそうだ。僕がその報告を受けた時もすごく嬉しそうにしていたから、さぞかし楽しいだろう。明確な目標があり、それが自分の成し遂げたいものであるならなおさらだ。
しかし……妹のデビューとは兄として喜ばしいことではある。ではあるのだが、いくらか早すぎやしないか?僕が蘭子からアイドルになることを聞いたのはつい最近のことのような気がするのだ。僕がアイドルの世界に疎いだけなのかもしれないがやはり早く感じてしまう。まあ、デビューするというのは事実なので理由や期間などは気にすることはないだろう。それにあの妹だ、デビュー出来て当然だ。
なぜ僕がこれ程までに自信を持っているかというと蘭子は身内目線から見ても美少女であるからだ。どのような容姿をしているかは皆さんも知っているだろう。あの容姿でデビューできないはずが無い。スタイルも年齢にそぐわない凶器を持っている。また、声も素晴らしだろう。
ただその中で唯一不安を感じてしまうのはあの病気だろう。病気と言っても体調などに変化が出るもではなく、なんというか……こう…精神の病というか避けて通れないというか。まあ、歯に着せぬ言い方をするとすれば…
ピンポーン!!
む?まだ話の…
ピンポーン!!ピンポーン!!ピピピンポーン!!
ああ……このチャイムの鳴らし方は……
「ふえええええん!!!!おにいちゃーん!!!」ガバチョ
「お、おおどうしたんだい?蘭子」
「ううううぅぅ……」
(あらら…これはなんかあったな?)
ここでご登場の我が妹だ。服装からして事務所帰りだろう。事務所帰りでうちに来るのもそう珍しくはないが、この様子では何かしらあったようだ。それも蘭子にとってはあまり喜ばしくない何かが。
とりあえず話を聞くにもまずは…
「とりあえず落ち着きなさい?」
「う、うん……」
そして蘭子を落ち着かせること数分
「落ち着いた?」
「うん、だいじょぶ…」
ようやく落ち着いたようだ。まさか落ち着かせるのにずっと頭と背中をなで続けることになるとは……ちなみに今も頭をなでている。
「とりあえず話聞くからなでるの止めていい?」
「ダメッ」
「いやでもね?蘭子も話ずらくなるし、僕の腕が……」
「いやっ」
「あ、はい…」
ははは…妹のお願いには勝てなかったよ。
「それで?一体どうしたんだい?」
「うん…実は……」
そう言ってぽつりぽつりと話し始めた蘭子。
話を聞く限りでは今日はデビューする時のコンセプトについてプロデューサーから説明があったらしいんだが、そのコンセプトというかデビュー内容がホラーによってしまっているらしい。日頃の言動からダークなものにしようとしたらしく、その結果蘭子の苦手なホラーになってしまったらしい。その場で拒否はしなかったのか?と聞いたところ自分のために時間を使って考えてくれたのに拒否をするのは申し訳なくて……とのことだ。優しい。結局最後までホラーが苦手である事を伝えられないままミーティングが終わってしまったのこと。そして耐えきれなくなり家に飛び込んできたというわけだ。
この間僕は頭を撫で続けている。
「なるほどね〜まあ、蘭子の普段の言動でそう取られちゃうのも仕方ないかな〜」
「う、うぅぅ……で、でもわたしはホラーが、その」
「苦手なんだよね〜」
「うん」
「明日にでもホラーが苦手なこと話してみたら?」
「うっ、いやそのでも」
「ふむ……」
実のところ蘭子は普段の会話があまり得意ではない。そこが蘭子にとっての足枷となっているのだろう。
「あっ!!」
「ん?」
「そ、それなら明日おにいちゃんもついてきて」
「え?」
「おにいちゃんが隣にいてくれたら話せると思う……」
ふーむ…それも一つの手ではあるけれど……あるけれど
「それはできないなー」
「……グスッ」
「え!?あ、泣かないで!?ちゃんとした理由があるんだって!!」
「……どんな?」
「バイト」
「あっ……」
まあ、バイトもあるがそれ以上に僕がついていくことは蘭子のためにならないからでもあるんだけど。それ言うと今度こそ大泣きするので言わない。
「じゃ、じゃあどうしたら……」
「う〜ん……蘭子の得意な絵で伝えるって言うのは?」
「絵で?」
「うん、話すのがダメかなって思うならほかの手段を使うんだよ。幸い蘭子は絵がうまいから伝えられると思うな。」
「で、でもなんて言って絵を見せたら……」
「それは……」
「それは?」
「ガンバ!」
「ふええええ……」
いい手だと思うんだけどな
「わたしにできるかな……」
いつもの蘭子は自信ありげなんだけど僕の前だとこんなになってしまう。僕のことを信頼し頼りにしてくれている証拠のようなんだけど、この状態の蘭子を元気づけるには''あの方法''しかない。でもしたくない。でもやらなくてはいけないようだ。
「スウー……ハァー」
「おにいちゃん?」
「情けないぞ、血を分けた我が同胞よ!!」
「おお!!」キラキラ
うっ蘭子の輝く目が痛い!し、しかしこれも蘭子の、妹のためだ!
「我ら闇の統べるもの弱き姿を見せてはいけないという心得を忘れたか!今の同胞は見るに耐えん!いいか同胞よ。汝は決して弱きものではない!この我と同じ血を、そして血による盟約によって結ばれているのだ!!さあ!立ち上がるのだ!闇より洗練を受けこの地に舞い降りた堕天使よ!今こそ仮初の姿を捨て、真なる姿を知らしめるのだ!!」
「おお〜」パチパチ
…………しにたい。
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!しにたい!穴があったら埋まりたい!!!!!
「おにいちゃん!」
「蘭子ちゃん?ちょっとねおにいちゃん自分の人生の終わり方について考えているからちょっと」
「わたし頑張ってみるね!」
「……ん、頑張れ」
死にたいけど、蘭子が元気になったならいいかな。
「だ、だからさおにいちゃん?その〜頑張れたら……えっと」
「?」
「ご、ご褒美ちょうだい?」
「ん、考えとくよ。」
この間僕は頭を撫で続けている。
それから後日時間はかかったけどちゃんと伝えられたと蘭子からの連絡を受け、またあのような発言をすることになったのは別の話。
それと言い忘れていたけど蘭子は中二病ってやつです。
やっぱり最近妹は楽しそうです。
おわり!
「えへへ〜」カチッ
『情けないぞ、血を分けた我が同胞よ!!我ら闇の統べるもの弱き姿を見せてはいけないというか心得を忘れたか!今の同胞は見るに耐えん!いいか同胞よ。汝は決して弱きものではない!この我と同じ血を、そして血による盟約によって結ばれているのだ!!さあ!立ち上がるのだ!闇より洗練を受けこの地に舞い降りた堕天使よ!今こそ仮初の姿を捨て、真なる姿を知らしめるのだ!!』
「やっぱりおにいちゃんはかっこいいな〜わたしももっと頑張らなきゃ!」
蘭子が今までに発した中二病発言をしっかりとレコーダーによって保存していること、そして中二病の原因が自分にあることを繚は知らない……
おわり?
らんらんの頭を顔が真っ赤になるまで撫でたい。