ありきたりな脳髄よ、今宵の月と踊れ   作:フロワ

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常軌を逸した日常への執着。
それしかもう、残ってない。
合理的に、情緒不安定で、
それでも生きて

いる? 


〜動〜

「早苗〜、そろそろ出てきてほしいな〜。」

 『私』の姿を見てから十日。

私が消えてから九日。

あれから一度も、外に出ていない。

学校から電話はかかってきていないらしく、母から学校に電話をかけて言われた言葉は、

 

【お宅の娘さんはうちの学校にはいませんよ。】

 

 お母さんのことだから本当に電話をかける学校を間違えたのかもしれない。

「なんてね。」

笑えない。

 

「ご飯、置いておくから食べてね。」

「わかった。」

「早苗、そこにいても何にもならないよ。」

「知ってる。

 でもここにいれば、日常がそこにある気がするの。」

「早苗のその日常への執着こそが非日常なのよ。」

 わかってるよ。

「あなたがそんなに日常にいたいなら、行動に起こすべきよ。

 そこにいたって、あなたが日常に戻る機会を失うだけだもの。」

 わかってるよ。

「あなたはどうしたいの?」

「学校に行きたい。

 でも、できない。」

「確かにあなたには不思議なものが視えたりして、あなた自身がその『不思議なもの』になってしまったのは事実だわ。

もしそうでも、あなたが本当に『日常』を望むのならば、あなたは行動を起こすべきよ。」

 その通りだ。

でも……。

 

 いや、やめた。

 

 私らしくない。

伊達に年を取っているわけではないのだ。

こういう気持ちが鬱な時こそ合理的に動く、それが東風谷早苗だったはず。

ここに閉じこもっていても何の生産性もない。

「無理やり方向転換!」

 無理やりにでもここで方向転換するのが、私だ。

自分でも何を言っているのかよくわからないし、何がしたいのか、どうしてこんなに鬱な気持ちなのかもわからない。

でも、それが私。

それが『日常』に存在する私の性格だ。

唐突に鬱になって、唐突に躁になる。

『日常』の私はもっと情緒不安定で、合理的だ。

 

「わかったわ、お母さん。」

 そう言って、ドアを開ける。

「私に出来る限りの事をして、私は『こちら側』に戻ってくるわ。」

 幸い、否、不幸にも?

視えない友達は少なくない。

「お母さんも出来る限りの事をして、早苗を『こちら側』に引っ張るからね。」

 お母さんはどうして私の姿が視えるんだろう。

巫女だから?それとも親子だから?

後者のほうが、私の気持ち的には嬉しいなぁ。

「それでこそ私の早苗よ!

 ここぞというときはしっかり頑張れる。

 自慢の娘だわ〜。」

 

 わからないことは多い。

ていうかわからないことしかない。

でも私は『こちら側』に戻る。

そうしたほうがいいと、私は今、合理的な判断をした。

まずは……。

 

ぐぅ〜〜〜

 

「お母さん。」

「うふふ。

 なぁに、早苗?」

「お腹すいた。」

「でしょうね。」

 

 

 




毎度おなじみに初めまして。
不定期更新不定期更新と言いながら、
頑張ってるな〜私。
ここから更新が途切れても悪しからず。
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