ありきたりな脳髄よ、今宵の月と踊れ   作:フロワ

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忘れられた置き傘は在るべき処に還しましょう。


〜現〜

「私とちょっとお話ししないかしら?」

「お姉さん、誰?」

「あら、お姉さんだなんて嬉しいわ〜。

 もうこっちに現れて2000年は経ってるのに〜。

 あら、うふふ、余計なこと言っちゃった。」

 あちきに話しかけてきたのは、綺麗な女の人だった

金髪に紫の瞳をしをしていて、格好は巫女装束、日傘を持っている。

2000年って言ったよね今?

ことは人じゃないてことなのかな?

「人間じゃないの?」

「当たり前よ、2000年は生きてるんだから〜。

 そんな人間いないでしょう?」

「じゃああんたは何?」

「何でしょう〜。

 あいにくこっちでの名前はまだもらってないの。」

「こっちってどっちよ。」

「こっちはこっちよ。

 まぁ適当に呼んでくれていいわ〜。」

 うふふと(むらさき)は笑う。

「じゃあ(むらさき)でいいわよね。」

「むらさきぃ?うふふ、面白い。

 あなた勘がいいのね。

 気に入ったわ。」

「どういうこと?」

「どういうことでしょう。」

 うふふふふ、と紫は笑う。

 

 微妙に話が通じていない気がする。

あちきの日本語が現代的すぎるのかな?

早苗と話すようになってから現代語は上手く話せるようになったけど、あちきよりだーいぶ長生きらしい(むらさき)とは使う言葉がやっぱり違うのかな。

「あなたが言ってることも言いたいことも私はしっかりわかってるわよぉ。

 そんな人を時代遅れみたいに扱わないでよ〜。」

「心が読めるの?さとり妖怪?」

「あんな地下に住むような根暗と一緒にしないでほしいわ、ぷんぷん。

 永く生きてたらちょっとくらいは簡単にできるわよ。

 まだ九十九で若いあなたとは人生経験が違うわ〜。」

 人生って……。

(むらさき)はまるで自分が人間かのように振る舞う。

人間に憧れてるのかな?

だとするととんでもなくダサいぜい。

まぁ人間にあこがれる妖怪は多いっていうからな。

あちきは付喪でも『神』だからねぇ。

やっぱり、格が違うってやつぅ?

 

「さっき話してた人間とはお友達なの?」

 いけない、鼻の下が伸びてた。

「ん〜?」

 早苗と話してたところを見てたのか。

素直に友達だと言ってもいいんだけど、こいつはあんまり信用できないなぁ。

隠してたほうがいいかな?

 

……。

 

よし、そうしよう。

「そんなわけないでしょ。

 人間と付喪神が友達だなんてとんでもない恥だわ。

 あれはあちきのいわば手下よ、手下。」

「別に人間と友達でも私はいいと思うけどねぇ。

 それにあの人間はちょっと特別。」

「どういうこと?

 あちきのことが視えるから特別?」

「ううん、それもあるけどー。

 それだけじゃないわ。」

 どういうこと?

「勘がいいあなたならすぐわかるわよ。

 でも、わかる前にあっちに行ってもらうわ。」

「……あっちってどっちさ。」

「大丈夫よ、すぐにあの子もあっちに行ってもらうから。」

 そう言うと、(むらさき)は持っていた日傘を横に振った。

「……それ、何?」

 

傘を振った空間が裂け、そこからは無数の目が覗いていた。

 

「痛くはないわ。

 でも暴れたらあなたの体が切れちゃうから暴れないでね。」

「あちきに何する気?」

 嫌だ。怖い。なんだこいつ。怖い怖い。怖い。

「そんなに怖がらないでよぉ。

 でもたしかに、この境界のビジュアルはよくないわよねぇ。

 だからほら、端をリボンで留めているのよ。

 可愛いでしょう?」

「あ、ああ、あちきに何する気?」

「何もしないわよ。

 あなたがいるべきところに行ってもらうだけ。」

 そう(むらさき)が言うと、『境界』と呼ばれたものがあちきの体を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

太陽も高くなり始めた路地裏で、

一人佇む巫女装束の女。

「勘のいい子は好きよ。

「特にあなたみたいに勘はいいけど微妙に外しちゃう子とかだぁいすき。

「この口調疲れるのよね。

「私のあっちでの名前は(むらさき)じゃなくて……

「続きはあっちで直接言ってあげようっと。」

うふふふふ。

女は笑って『境界』を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 




不定期、ヘイ!
不定期、ヘイ!
不定期、ヘイ!
ソレソレソレソレ!

どうも、初めましての人からお久しぶりの人まで初めまして!
最近忙しいフロワです。
いつもありがとうございます。
不定期更新ですので、悪しからず。
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