もしもデデデがマターにとりつかれていたら?
―――これは、もしものお話。
※アニメとゲームの設定が色々と入り混じってます。
暗い暗い牢獄の中、一人の騎士が…ぽつりと呟いた。
ここは……呆れるほど平和な星、ポップスター。
だが、それも数年前までの事。
現在からおよそ百年前…ダークマターと名乗る者が、大王を乗っ取った。
“星の戦士”の生き残りの騎士も戦ったが、圧倒的な力の前に屈した…。
そして、彼は牢獄行きとなってしまった。
それから五十年ほど経つ間に、様々な事があった。
まず、大王のワドルディ達への扱いが変わった。
乗っ取られる前は一緒にご飯を食べたり、カブーラーの整備をしに現われていた。
だが今は、何処にも来ず、自室を真っ暗にして閉じこもっている。
それに、奴隷の様な扱いをし始めた。
他には…星の雰囲気が変わって行った。
花は枯れ…水は濁り…空は漆黒…。
美しいポップスターの自然が、ドンドンと失われて行った。
ワドルディ達は、大王に少しずつ不信感を募らせていた。
あの騎士よりも弱いのに勝っていたし…態度も変わっていたし…。
そう…“バンダナ”以外は、不信感を確実に持っていた。
それからの五十年間…住人達はずっと願っていた。
“この星が救われますように”
“救われますように”
“大王を倒すモノが、現われますように”
様々な願いが、空に伝わった。
その願いがまるで伝わったかのように…流れ星が一つ、地上に堕ちた。
「…こんなに薄暗い星があったなんて…」
星と共にやって来たピンク色のボディの戦士は、小さく呟いた。
荒廃した土地だった。
住人達は一様に
「元々は綺麗な星だった」
と言った。
暗い眼をしていて…体調は悪そうだ。
それもそうだろう…百年単位で光を浴びていないから。
「ボクに任せてよ!決着を、付けてくるから。」
戦士は静かにそう言った。
住人達は、虚ろに喜んだ。
戦士――名はカービィと言ったか――は、海辺を走っていた。
グレープ・ガーデンと呼ばれるこの海は、綺麗だったのだろう。
今は…濁ってしまっている。
「あれ、敵かな?」
カービィが首をかしげながら見ているのは…黒い球体。
この球体は、カービィが近付くといきなり目が出てきた。
そして、襲いかかって来た!
「コピー・ファイア!」
それに対峙したカービィは、何も無い空間からコピーした!
そしてそのまま敵を焼いた。
近くで隠れていたバンダナのワドルディが、恐る恐る出てきた。
「あ、有難うございます!ボクはワドルディと言います。」
「ううん。良いよ~♪あ、ボクはカービィ!」
ワドルディはカービィの顔をマジマジと見てから…頼んだ。
「お願いです!ボクもデデデ城へ連れてって下さい!」
「え!?で、でも危険だよ!?」
「ボクは……ボクは、大王様を助けたいんです!」
――――ワドルディの話をまとめると、こうだ。
ワドルディは、とある夜に眠れない日があった。
風に当たりにバルコニーへと向かっていた時、たまたま通りかかった部屋から声がしたそうだ。
『…しぶといな……これだけ年月が過ぎても、まだ諦めないのか?』
聞こえた声は、大王の声では無かったが…次に聞こえたのは、とても懐かしい声で。
『当り前ゾイ。ワシの可愛い部下達を…返してもr』
『眠れ―――我が闇の中で』
あの懐かしい声は、途中で途切れた。
「大王様は、まだ生きてるんです!だから…だから!」
「うん…分かった!」
話を聞いたカービィは、笑顔で頷いた。
「でも、危なくなったら逃げてね。」
「了解です!」
そうして二人は、玉座の間へと向かって行った。
「 良 く 来 た な 。 」
明るいお城の玉座で、この星の“大王”がこちらを見ていた。
紅色のガウンを纏っていて…その両目は赤い。
「君がここの大王?」
「クク…現在の、な。」
「だ…大王様を、返して下さい!」
小さく…しかし、張った声で、ワドルディは言った。
「返す…?ああ、お前は…気付いたのか。」
目を細めて、大王は笑った。
「事情はボクにはわからないけど……でも、」
カービィは、顔をあげた。
「この星の闇を払う為!ボクはここに来たんだ!」
ソードを片手に、大王に向かった。
「小賢しい……お前達は、羽虫か?」
数分程経った頃―――カービィは、壁に半分埋まっていた。
ワドルディは……天井に突き刺さった槍から落ちない様に必至だ。
「――――――丁度、この星の闇も足りなかった所だ。」
そう言いながら、大王…D-マターは手に闇を集めた。
「!気を付けて!ボク達を闇におとすつもりだよ!」
良いながら、カービィはトリプルスターを構えた。
カービィの周囲の星が、光を帯びる。
「ひぃ…;」
ワドルディは怯えながらも、槍にしがみついている。
「……これで、終わりだ……!…っ!?」
闇を放とうとしていたD-マターの動きが止まった。
『だから言ったぞ?可愛い部下には…手を出させない!』
城の虚ろな空間に、声が響いた。
それを聞いて、複数のワドルディ達が駆けよって来る。
同時に、天井に刺さっていた槍が抜けた。
「だ、だいおうさ……あいたたたた!」
落ちながらも、必死に名前を呼んでいた。
『そこの……ピンクの!ワシが押さえてる間に……止めをさせ!』
“声”…本物の大王は、言う。
ワドルディ達は戸惑っているが……バンダナの彼だけは違った。
「大王様…やっぱり、生きていたんですね…!!」
とてもとてもうれしそうに、呟いた。
「と、止めって……それじゃあ、キミが…!!」
カービィは戸惑う。
だが、時間はなかった。
『早く……やれ!!』
「く……うあああああああああっ!」
カービィは絶叫しながら、D-マターに向かって星弾を放った。
「っぐ……おおおおおおおおおおおお!!」
D-マターは憑依を止めて逃走しようとしたが……
『この星をこんなにした罪…償ってもらうゾイ!』
大王が、逃がす筈が無かった。
そして、星弾は命中し………
「グゥアァァアアアアァァァォォオォォォォオォ!!」
悲鳴がとどろき、空の闇が晴れていった。
「太陽だ…」
「あの旅人が、やってくれたんだ!」
「やった…やったぁぁぁ!!!」
カービィが最初に出会った住人達は、皆一様に喜んだ。
数百年ぶりの、太陽の光に。
そして再び所は玉座…。
「大王様ぁぁ…」
バンダナが、悲しそうに呟いた。
「大丈夫!今すぐ治療すれば…間に合うよ!」
カービィが慌てたように言い、急いで運んで行った。
バンダナ達も一緒について行った。
――――――これは、もしもの物語。
本来では語られることのない、物語…。
――数週間後、大王様は何とか目を覚ました。
少しだけ不自由が残ってしまっているが…カービィがポップスターにたびたび立ち寄ると約束した。
メタナイトは自分の弱さを再確認し、ギャラクティックナイトとの修行に明け暮れているそうだ。
――カービィが現われてから、平和になったそうです。
めでたしめでたし