(学校生活、勇者部活動。。。)
(2年前の勇者たちや夏凜ちゃんがやってきた訓練に比べると)
(今の勇者の生活はのんびりしてるもんだ。。。)
「精霊様のおかげ、か」
2年前の戦いの中、勇者システムはバージョンアップを果たした。
勇者一人につき一体、精霊がつく事となる。
その護りのおかげで勇者は戦いの最中は勿論、日常生活で事故に遭っても死ぬ事はないのだ。
讃州中学の屋上で寝転びながら、春信は物思いにふけっていた。
大赦の勇者として、上層部から勇者部メンバーの監視を命じられていた為だ。
初めは制服まで用意されて、学生として入り込む案が提示されたが
「馬鹿かっ!俺がいくつかわかってんのか!通報されたらどうすんだ!」
という春信の言葉で秘密裏に監視体制をとる事になったのだ。
その為、人目につかないようにする事を条件に、限定的に勇者への変身が許された。
勇者になりさえすれば塀を越えたりそのまま屋上まで跳び上がるなど、造作もないからだ。
はる~は名のみ~のかぜ~の寒さや~♪
(早春賦か。。。)
犬吠埼樹のクラスが今、練習している歌は次回の音楽テスト課題だ。
(夏凜ちゃんも歌、うまかったなぁ。。。)
もし妹が勇者となっていたら、学生として讃州中学に入り込んでいただろう。
そうすれば鷲尾須美たちとも仲良く学生生活を送っていたのだろうか。
「そんな訳ないか、夏凜ちゃん人見知りだし。」
きっと監視のお役目に一所懸命になりすぎて煙たがられるに違いない。
そんな事をぼんやりと考えていたそのとき
はぁりゅ~はな↓あ~↑のみ~↑の~♪
いきなりの音波攻撃に頬杖がずれる。
「なんだこりゃ?」
音波攻撃、そう思えるほど震える声と外れた音階で歌うその声は、監視対象の一人
犬吠埼樹その人だった。
「こっちの妹ちゃんは音痴なのかぁ。。。」
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放課後は樹の歌の練習を兼ねて皆でカラオケ。
どうでもいい情報ではあるが
彼女たちが普通の中学生をしてることになんとなくニヤけてしまう春信であった。
ちなみに春信はというと、ヒトカラを決め込んで隣の部屋を陣取り、
隣の様子が聞こえるよう、音を消して充電しながらゲームをしていた。
「妹ちゃんはここでも音痴、知り合いの前でもこれじゃぁ緊張とかじゃないのかな?」
「結城友奈の精霊、牛鬼は食いしん坊、と」
ゲームをしながら適当な報告文を作っていた。
「犬吠埼風と結城友奈は結構上手かったな。」
呟いていると4曲目が流れる。
隣の部屋では東郷美森が軍歌を歌っていた。
その間、なぜか他の3人は直立不動で敬礼をしている。
が、隣の部屋では
「鷲尾須美の選曲はし・ぶ・い・と、いけね」
ブツブツ言いながら名前を訂正する春信。
彼にとって、いまだに東郷美森は鷲尾須美なのだ。
実際は生来の名前に戻っただけなのだが、春信には違和感があった。
最初に見たときにそう呼ばれていたのだから仕方がない事かもしれない。
ヴーッヴーッ
「!」
いきなり端末が振動し、大赦からの連絡が入る。
(最悪の事態も。。。か)
すると隣で扉が開き、誰かが出て行った。
犬吠埼風である。
彼女は勇者部部長、大赦の息のかかった家柄だ。
おそらく同じ連絡が入ったのだろう。
トイレに入ろうとするところに声をかける。
「見たのか」
ピクンと風の肩がゆれる。
「アンタか」
振り向こうともせず、答える風。
「周期の予測とまったく違うバーテックスの出現。」
「最悪の事態も予想しろってさ…」
いつもの明るい雰囲気はまるでない。
「怖いならやめちまえよ。皆と一緒に。」
「女の子が武器振り回して化け物と戦うなんて、おかしいだろ?」
「俺一人なら悩みもなくやれる。」
「これは私の役目で、私の理由なのよ。」
振り向きながら答える。
その声には確かな力が感じられた。
そのまま部屋に戻ろうとする風の背中に
「その理由に、妹や後輩を巻き込むだけのものがあるってのか!」
春信が言葉をぶつける。
だが彼女は振り返らなかった。
「くそっ!」
廊下に春信の声が空しく響いた。
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カラオケ帰り
「あー、楽しかったぁ!」
ひときわ大きな声で話す友奈。
東郷、樹も何か話している。
風は一人、後ろを歩いていた。
「理由。。。か」
三好春信の戦う理由は明確だった。
世界を守るためにバーテックスと戦う。
確かにそれもある。
だがそれはむしろ手段でしかなかった。
その理由は。。。
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(今日は仔猫の引き取りか、ホントに色々やってんな、勇者部は。)
4人が二手に分かれて貰い手と引き取り手に挨拶に行っていた。
こういうとき、どちらを監視するか悩むところだが
この前の風の発言が気になっていた春信は犬吠埼姉妹を追いかけた。
「絶対やだぁー!この子をあげるなんて!」
戸を開けた向こうから女の子の声が微かに聴こえる。
どうやらなにか行き違いがあったようだ。
「また面倒な。。。」
そう思っていると風が明るく挨拶して家に入って行く。
外までは聞こえなかったが、どうやら母親を説得していたようだ。
しばらくすると空っぽのダンボールを持ったまま、にこやかに犬吠埼姉妹が出てきた。
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「あの家のお母さん、仔猫の事考え直してくれてよかったね~」
嬉しそうに前を歩く樹に対し、風は俯き加減でトボトボと歩いていた。
「うん…」
「ケンカにもならなかったし、お姉ちゃんのおかげ…」
「ごめんね、樹。」
突然謝る風。
「ごめん。」
「なんで…謝るの?」
「樹を…勇者なんて大変な事に巻き込んじゃったから…」
「?」
「さっきの家の子、お母さんに泣いて反対してたでしょ。」
「それでさ…思ったんだ。」
「樹を勇者部に入れろって大赦に命令されたとき」
「私、やめてって言えばよかった。」
「さっきの子みたいに…」
「泣いてでも…」
「そしたら、もしかしたら…」
「樹は勇者にならないで普通に…」
「何言ってるの、お姉ちゃん!」
「!樹…?」
「お姉ちゃんは、間違ってないよ。」
「でも…」
「それに私、嬉しいんだ」
「護られるだけじゃなくて」
「お姉ちゃんと、皆と一緒に戦える事が。」
「…」
「ありがと」
妹に救われたように晴れやかな顔で礼を言う風。
樹も振り向いて笑顔で言った。
「どういたしまして。」
「樹ったらなんか偉そう。」
冗談交じりの会話が笑い声の中、響いていた。
「姉妹、
仲の良い姉妹の声を聞いていて思わず春信の口からその名がこぼれた。
「夏凜ちゃん。。。」
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音楽テスト当日
また屋上で寝転んで頬杖をつく春信。
だが彼は、樹の歌声に今度は別の意味で驚いていた。
「めちゃくちゃ歌、上手いじゃないか、妹ちゃん。。。」
「え?練習の成果?いや、こんな短期間で?」
「やっぱり緊張のせいだったって事?」
春信は頭をかいていた。
「また、予想が外れたってことかぁ。。。」
そう、彼の予想は大抵外れていた。
これまでの事も
これからの事も
第2回、原作アニメで第4話にあたる部分です。
元々、エンディング後のエピローグでバーテックス襲来!って話なのに、
そこを省いたのでほとんど犬吠埼姉妹の話、原作のままが多すぎです。
戦闘シーンもないので、生徒でない男勇者はほぼストーカーと化していますし。
書いてて好きな話ではありましたが、クレームついたら消すと思います。
(消し方、調べておかないと…)
途中ブツ切りになった春信の戦う理由は、長くなるので他の話数でまとめて上げるつもりです。
っていうか、場面ごとに書きたい様に書いてたらつなげるのが大変になって…
とにかく、考えているラストまでは頑張って書くつもりですのでよろしくお付き合いください。