ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか 作:TouA(とーあ)
昨日、一昨日で評価付き過ぎでしょう?どして?嬉しいけど。狂喜乱舞してるけど。書き溜めしてたこの話も投稿するけど。在庫セールス並みだけど。
言いたいことは後書きにて。ではどうぞ。
「うぇっぷ・・・気持ち悪」
「銀さん、吐かないで下さいっスよ?」
「ふんッ。だらしねェ・・・」
銀時、二日酔い中。
銀時、ラウル、ベート、ロキの四人は東のメインストリートに来ていた。理由は
「銀時、ホームで休んでてえぇよ?二日酔いの辛さは嫌という程知っとるし」
「お、俺ァ、一度結んだ約束は反故にしねェよ。ウプ・・・」
(その割には前回の遠征で男の約束を簡単に破棄してたっスけど!?状況によってコロコロ変わり過ぎでしょアンタ!?)
「吐くんじゃねぇぞ腐れ天パ。匂いが移る」
主神であるロキが先頭を歩き、ベート、ラウル、少し離れて銀時が続く。
フラフラした足取りに加え、明らかに体調が優れていない銀時をロキとラウルは気遣うが、ベートは素知らぬ顔でどんどん進む。
「俺、水貰って来るッス。そこで待っていてください!」
「ウプ・・・助かる・・・・・・」
「ラウル頼んだで〜」
一行は足を止め、一時の休息に入った。
ラウルは銀時の為に近くの店へ水を貰いに行き、ロキは苦笑を浮かべつつも介抱する。だがベートだけ静かに苛立ちを募らせていた。
「チッ。そんな体たらくだから
「・・・なんでベートがそれを知っとるんや?」
「ハッ。あの日、腐れ天パがホームに帰ってきた時に匂ったんだよ。
「なるほど・・・な」
ロキは目を閉じ、ベートの言葉を噛み締める。
銀時はいつも以上に死んだ双眸をベートに向ける。だがその双眸は先程までとは違い、何かの感情が渦巻いているのが見て取れた。
「この際だから言ってやる!テメェは
「ベート・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
ベートの感情を顕にした叱咤は銀時の心の奥底に深く刺さった。
銀時はフッと笑うと、隣で支えてくれていたロキに目配せした。ロキは少し顔をほころばせてベートに向き直り口を開いた。
「なんやなんやぁ?ベートは銀時のことを心配しとるんか?可愛いやっちゃなぁ!」
「バッ、いやちがッ────」
「わざわざ
「だからちがッ────」
「わかっとるわかっとる。ベートはアイズたんが大好きなだけや。そしてアイズたんが憧憬を抱いてる銀時に嫉妬してるだけやんなぁ。可愛いなぁホンマに」
「おい!聞けよ!」
ウガァ!と赤くなって叫ぶベートに、ヒッヒッヒッ、とロキは邪笑する。
ひょうきんな主神の前では、斜に構えるベートの態度も台無しだった。
「もうッほんまベートはツンデレなんやから」
「やめてくれよロキ。男のツンデレなんて気持ち悪くて見れやしね────オロロロロロ!!」
銀時が地面に吐瀉物をぶちまけるのと同時に、ベートは後方に飛んだ。ロキは左方に飛んでギリギリ回避する。
「テメェ!ちょっと毛に付いちまったじゃねェか!どうしてくれんだゴルァ!」
「も、問題ねェよ。これはもんじゃ焼だから。お前の毛にはもんじゃの生地が付いただけだから」
「大丈夫やベート!銀時の言う通りこれはもんじゃ────オロロロロロロ!!」
「どこが大丈夫なんだよ!!テメェも貰いもんじゃしてるじゃねェかァ!!汚ェッ!臭ッ!!鼻が曲がる!!」
「何この
水を貰いに行っていたラウルが水を片手に戻ってくると、途轍もない
ラウルは両腕を組んで彼らを叱る様に声を荒らげた。
「もう皆さんしっかりして下さいッス!僕たちはオラリオの上位ファミリアなんスよ!!それに、
「仮にも、ってなんやラウル!ちょいと話を聞かせて────オロロロロロロ!」
「うおッ!?・・・最悪だ!最悪ッスよ!とりあえずこの水を飲むッ────オロロロロロロ!」
結局、貰いもんじゃの波に耐えきったベートが新たに水を取りに行った。その時に貰った水で、付いたゲロをきちんと洗い流したのは言うまでもない。
《東・メインストリート 下水道》
「大変な目に遭ったッス・・・・・・」
「そう言うなラウル。これも経験だ。大人になる為の・・・な」
「良い風に纏めるのやめましょう?全然、カッコ良くないッスよ銀さん」
一行は
古びた小屋の中にあった螺旋階段を降りると、耳朶に届いてくる水流の音と暗闇が蔓延る下水路が見えた。
一行は携帯用の魔石灯を取り出し、明かりを灯した。薄暗い闇を温かな光が照らす。
暫く、当てずっぽうに下水路を調べ回ると、一行の前にこれまで目にしたことのない鉄の門扉が現れた。
年月を感じさせる古い両開きの門は、重量感溢れる錠前が取り付けられており、左右の扉を固く閉ざしていた。
「旧式の地下水路みたいやなぁ・・・なんか臭うなぁ」
そのロキの意見は三人にとっても納得がいった。
ベートがその錠前を軽く力を入れて引きちぎると、ゆっくりとその門扉は開いた。
門扉前の短い階段の先は、通路と水路の区別なく浸水していた。闇夜の下の河川の様に黒く揺らめく水面に、開けたベートと三人は口元を歪めた。
「水浸しじゃねえか・・・」
「誰かおんぶしてぇや!靴濡らしたくない!」
「だとよラウル」
「俺ッスか!?」
「何の為にお前を連れてきたんだと思ってる?ロキが我が儘いい出した時の犠牲になってもらう為に決まってるだろうが」
「つべこべ言わずにさっさと背負いやがれ。進むぞ」
「アンタら覚えとけよこんちくしょう!!」
ロキをラウルが背負い、ベートと銀時を先頭に奥へと進み始めた。
水の高さは各々の脛あたりにまで及んでいる。加えてダンジョンの様に迷宮のようになっていた。
「わんこ、匂いはどうだ?」
「いや、微かに人の匂いが有るが・・・水のせいで薄れちまってるから、上手く嗅ぎ分けられねぇ・・・」
旧式の地下水路に人の残り香があることをベートが見抜くが、詳しい情報は得られないようだ。
川の上流を遡るように水の流れを辿っていく中、やがて大きな『穴』が現れた。
石材をボロボロに崩れさせ、大きく壊れた水路の壁面。水はここから流れ出て、さまよう様に旧式の地下水路に巡っているようだった。
「当たりみたいだな」
「あァ。くっせぇ匂いがプンプンするぜ」
「え?まだゲロ臭う?」
「そっちじゃねぇよ!確かに少し臭いけども!」
ロキを背負ったラウルを後退させ、銀時とベートはその大きな『穴』をずんずん進む。薄暗い地下水路を恐れることなく迷うことなく進み、現れた階段を上る。
「広ェとこ出たな」
「貯水槽だろうよ。ほら、いたぜ」
一本道だった水路がひらけると、高さ10メドル以上あるであろう長方形の空間が現れた。大きな等間隔を空けて並んでいる無数の石柱は頭上の天井を支えている。
ずるずる・・・と何かを引きずる様な音が響き渡ると、闇を掻き分け、黄緑色の体皮があらわになる。
長大な体躯をくねらせ、絡み合ったような格好で出現する複数の食人花のモンスター。
一行の気配を感知したのか、広間の奥から大蛇の様に這いより、一度ぶるりと蠕動したかと思うと、粘液を引きながら先端部分を開花させた。
毒々しい極彩色の花弁を広げ、牙の並ぶ醜悪な口を晒し、モンスターは体を持ち上げ、頭上高くから銀時たちを見下ろした。
「あのモンスター、ティオネたちによれば打撃に強いらしいで。あと魔法に反応するんやて」
「【魔力】が0の俺には関係ねェよ。わんこ、お前打撃通らないなら致命傷だろ?」
「ハッ。得物が木刀の奴に心配されちゃ世話ねェな。問題ねェよ」
ベートは右手を腰に回し、燃えるような緋色のナイフを取り出した────『魔剣』である。
抜き身の刀身を右足、白銀のメタルブーツに宛てがう。
魔法効果を吸収する
「景気がいいこって。こんなヤツらに
「別に躊躇いはねェよ。テメェごと消し炭にするつもりだからな。せいぜい気を付けな」
「ほざきやがれ。オメーこそ気ィつけな。ぽっくり死なれると葬式代がかかっちまう」
「ハッ!そっくりそのまま返すぜ!」
二人は一斉に飛び出した。
食人花のモンスターはロキの忠告があったとおり、魔法に、つまり『魔剣』で火炎を付加された
「────しゃらくせェ」
野獣を連想させる獰猛な笑みを浮かべたベートは、自身に殺到する触手を見切り、避け、かいくぐり、一匹に炎を纏った右足で渾身の足刀を叩き込む。
『────────ッ!?』
ベートの必殺の一撃に同胞が炭と化したモンスター達は覆い被さる様に上空から接近する。
ベートは口元に獰猛な笑みを浮かべ、モンスター達の後方を指差した。
「────がら空きだぜ?」
食人花の口腔を背後から木刀が貫き穿つ。
その一撃は食人花のモンスターの核である『魔石』を砕き、一気に灰へと還した。
────奇襲。
銀時が最も得意とする戦法であり、身体の奥底に眠る戦いの“記憶”の断片を再起させる
「ウオォォォォォオッ!!」
地に着くと同時に、全身の筋肉を
全身が唸りを上げ、血液が沸騰し、木刀を握る手に全神経が集中する。
食人花のモンスターのしなる鞭が顔を掠めるが、無視。否、感覚は全て一点のみに集約される。
────刺突。
全神経が集中し、全ての感覚が一点のみに集約された銀時の必殺の刺突が、食人花のモンスターの腹を穿ち、破砕と粉砕をもたらした。
大地を轟かす一撃は止まる事を知らず、他の食人花を巻き込み、後方へと弾き飛ばした。
「────────ベート」
銀時の上空を飛び越え、一匹の狼が疾駆する。
緋炎を帯びる右足が獰猛に煌めき、床に火片の靴跡を残しながら徐々にモンスター達へ肉薄。
緋色の鮮やかな火線が大気を焦がし、一気に跳躍。石柱を左足で蹴りつけ、更に加速。
火矢の如く、燃え盛る右足を食人花の頭部へ突き出す。
────その爆砕の一撃は
「
「アウトォォォォォォォォオ!!!」
ベートの必殺の一撃に呼応する様にラウルの轟々する叫びが貯水槽に響き渡る。
頭部に決まったベートの必殺の一撃は大爆発を引き起こし、食人花の体が爆散する。連鎖する様に次から次へと食人花モンスターの長躯が爆散する。
戦いが終結した薄闇の中で、通常の状態に戻ったベートのメタルブーツと銀時の“洞爺湖”の木刀が『魔石灯』の灯りに反射し、輝きを辺りに散らした。
はい八話終わりました。如何でしたか?今回は銀魂らしさが出せたと勝手ながら思ってます。
原作ではこの調査はロキとベートの二人で行うのですが、銀さんを暴れさせて、ラウルをロキの護衛役として同伴させました。
まぁ・・・ツッコミ役が欲しかっただけなんだけどね!!
毎度恒例になりつつある謝辞。
三月八日、日間ランキング三位に入りました!ありがとうございます!!
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皆さんの評価は私の血となり肉となり力となっています!本当にありがとうございます!!
ではまた次回。感想、評価お待ちしてます!!