ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか   作:TouA(とーあ)

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どうも“万事屋父ちゃん”改め“TouA”です。

なんで偽っていたのかを話すには私事が絡むので割愛の方向で。


ただ、混乱させてすみませんでしたァァァ!!


謝ったのでもういいですよね?ということでこれからも『ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか』を宜しくお願いします。


では略称、『ダン(ザム)』12話行っきまァァァァァァァす!




レッツ パァァリィィィィ!!

 

《黄昏の館 庭園》

 

 

 「よし集めてきたな。」

 

 「銀ちゃん何するの?」

 

 「ねぇねぇ何するの?銀さん」

 

 「まぁ見てな」

 

 

 茜色の夕陽が周囲の風情をかき立てる。

 銀時、アイズ、ティオナの三人は【ロキ・ファミリア】のホームである『黄昏の館』の庭園にいた。

 三人の前には大量の落ち葉、どこか折れている細い木の棒。そして山積みになっている()()()()()がある。

 

 

 「デメテル(知り合い)から予想以上に沢山貰ってなァ・・・せっかくだから俺の出身でやってた事を久し振りにしてみようってな。」

 

 「だから何するのさ!」

 

 「()()()だよ焼き芋。ほら、手伝え」

 

 

 ちなみに落ち葉はティオナ、木の棒はアイズが取ってきた。

 アイズはサツマイモを銀紙で包み、その上から鉄の串を一本ずつ刺していく。

 ティオナは形から、というだけの理由で1から火起こしさせられていた。つまり木と木をすり合わせて火を起こすのである。

 銀時は木の棒と落ち葉を絶妙なバランスで組み合わせていく。アイズらはその手際の良さに目を丸くした。

 

 

 「あっ!煙出てきたよ銀さん!!」

 

 「そこの木屑を乗せりゃあいい。それで火ィつく筈だ」

 

 「あ、煙消えちゃった・・・テヘヘ。」

 

 「誰が山盛りのせろつったよ!この絶壁がっ!」

 

 「だ、誰が絶壁だっ!成長してるもん!数年も経てばティオネみたいにナイスボディになるもん!・・・はぁ、これ意外とキツイのに~!」

 

 

 泣き声を出しながらティオナはもう一度作業を始める。

 アイズは黙々とサツマイモを銀紙で包んで鉄の串を刺していた。その目は真剣そのもの。視線だけでサツマイモを射殺せるレベルだ。

 

 しばらくして二人の下準備が終わると、銀時はパパッと組み合わせものに火を移しサツマイモをふかしていく。アイズとティオナはその光景をまじまじと見ていた。

 

 

 「あ!私、何が飲み物取ってくるよ!」

 

 「いちご牛乳」

 

 「私も」

 

 「自然とパシられた!?でも行ってきま〜す!」

 

 

 ホームへと姿を消したティオナを見送った後、アイズはおもむろに口を開いた。

 

 

 「銀ちゃん、ベル(あの子)に剣を教えてるの?」

 

 「あぁ」

 

 「どんな事してるの?」

 

 「あ~毎日手だけで畑を耕したり、数少ない“いちごぎゅーにゃー”のもとに毎朝いちご牛乳を届けさせたり。勿論、自身のLv.相応にあった重りをつけてやらせてる」

 

 「ねぇ銀ちゃん、剣を教えてないよ?」

 

 「問題ねェよ。週二程度でダンジョンでナイフ二刀の使い方を教えてらァ。ベルが元々持っていたナイフと俺が買ってあげたナイフ。まぁ才能こそ光るものはねェものの、努力と気合いでカバーしてるぜアイツ」

 

 「強く・・・なってるんだね。銀ちゃんがそこまで言うなんて」

 

 「さぁなァ・・・ただ俺ァ『不幸な天才より、幸せな凡人を増やす努力』をしてるだけだ」

 

 「そう・・・なんだ。私も会ってみたいなぁ。また膝枕して・・・うぅん。きちんと話したい」

 

 

 弟子を語る銀時は自然と頬が緩んでいた。銀時に自覚はなかったが。

 アイズは最後の一言だけ違和感を覚えた。まるで銀時の言葉でないように思えたからである。だがそれよりも傷つけてしまったであろう少年と今一度話したいという気持ちが大きかった。

 

 

 「銀さ〜ん!持ってきたよ!」

 

 「楽しそうなことしてるね、銀時」

 

 「団長ぉ一緒に食べましょうね!」

 

 「あわわわわ・・・いいんですか?こんなことして・・・」

 

 「たまには悪くないだろう」

 

 「銀時〜ウチも参加でよろしゅうな!」

 

 

 ティオナが飲み物を持ってくると、それに続く様にフィン、ティオネ、レフィーヤ、リヴェリア、ロキも参加の意を示した。各々既に飲み物を持って来ており、否定的な者でも楽しみにしていることがうかがえた。

 

 

 「ぞろぞろ来やがって・・・はぁ、もうちょい待ってろ」

 

 

 各々は落ち葉を囲むように丸太の上に座った。

 銀時が嘆息するも他の面々が気にすることは全くなかった。そのことに少しだけ凹んだ銀時であった。

 

 

 「ほれ、焼けたぞ」

 

 「あっ私手伝います!」

 

 

 銀時が取り出し、この中で最年少であるレフィーヤが周囲にサツマイモを配っていく。

 全員にサツマイモがまわると、フィンが銀時に向かって口を開いた。

 

 

 「銀時、音頭を頼む」

 

 「えぇやだよめんどくせェ」

 

 「しないと後が怖いよ?」

 

 「・・・・・・・・・不承不承ながルァァァァア、わたくしサカタ銀時がァァ音頭をとらせていただきまァァァすゥゥァァァァア!」

 

 「うるさい。巻き舌やめろ。癇にさわる」

 

 「・・・・・・・・・うす」

 

 「リヴェリアは銀時に対しては辛辣だなぁ。早く素直になればいいのに・・・ウソウソ、ウソだから振り上げた拳下ろしてくれないかな?」

 

 

 心を抉る言葉に更に凹む銀時。静かにキレるリヴェリア。少々焦るフィン。いつもの光景に自然と笑みが零れる他多数。

 

 

 「じゃあいつもどおりウチがやろか!アイズたん【Lv.6】到達おめでとうプチパァリィや!カンパーイ!」

 

 「「「カンパーイ!」」」

 

 

 ホクホクのサツマイモを一斉に食べ始める。

 パカッと二つに割って食べる者や、綺麗に皮を剥きながら食べる者、皮ごと食べる者など食べ方は多種多様だ。

 だが皆が口を揃えて言うことは『美味』であること。そして銀時のちょっとした特技に驚いたことだ。

 

 

 「ん〜美味しい!銀さんおかわり!」

 

 「わ、私もいいですか?」

 

 「銀ちゃん、もう一つ」

 

 「はいよ。ちょいと待ってな」

 

 

 腐るほどあるサツマイモを銀時は再びふかしはじめる。

 立ち上る煙はいつの間にか狼煙のようになっていた。黄昏の館の周囲がざわめき始めるが中庭にいる面々は気付いた様子はない。

 

 

 「何してんスかみなさん!!」

 

 「「「ん?」」」

 

 

 談笑している空気に割り込んできたのはラウルだった。全員がラウルに視線を向ける。

 

 

「ちょっとしたボヤ騒ぎみたいになってるッスよ!早く消さないと!」

 

「気にすんなよらっつぁん。小せェのはテメェの息子だけにしとけ」

 

「余計なお世話っす!!」

 

「・・・・・・・・・フッ」

 

「どこみて笑ってんだ!股間か!俺の股間っすか!」

 

「まぁまぁ、もう直ぐ出来るみたいだからさ。それまで待っておいてよ、ラウル」

 

「団長がそう言うなら・・・」

 

 

 介入したラウルの言い分はもっともであった。だがサツマイモの味を知った面々は止める気配がない。

 

 出来上がったサツマイモをその場で食べるのではなく、各自持ち帰って自室で食べることになった。残された男性陣は片付けを任された。

 

 

 「なんで俺まで片付け任されるんスか!」

 

 「団長の僕まで片付けをやらせるとはね。リヴェリアは相変わらず怖いよ」

 

 「つべこべ言わずにさっさとやっちまおうぜ。日ィ暮れたし」

 

 

 ラウル、フィン、銀時の三人はせっせと片付けを始めた。しかし一つ問題が起きる。

 

 

 「おいラウル、水汲んでこいよ。熱くて仕方ねェ」

 

 「いやッスよ。大体、銀さんがこの騒動を起こしたんじゃないッスか」

 

 「僕が行くのも筋違いだね。やはり、君が行くのが正しいよ銀時」

 

 「めんどくせェなァおい。あ、そうだ!いっそのこと小便でよくね?」

 

 「いいわけねェだろうがァァァァ!!中庭で用を足せる訳無いでしょうが!!」

 

 「じゃあ、う〇こで」

 

 「これが本当のヤケクソだね・・・ってなんねェよ!!いい加減にしろよ!もっとマシな案出して下さいッス!」

 

 

 結局、三人が一人一人バケツを持って消火にあたった。一番疲労の色が濃かったのはラウルであることは言うまでもない。

 ラウルは出たゴミをまとめるとホーム内へと戻って行った。残った二人はホームの柱に腰掛けて空を見上げ、口を開いた。

 

 

 「銀時」

 

 「あん?」

 

 「君は最近、帰りが遅いそうじゃないか。それに娼婦館にも度々通っていたり、神ヘルメスと仲良くしてるそうじゃないか。何か変なことに首を突っ込んでいないだろうね?」

 

 「お前が心配する様なこたァしてねェよ。女囲って酒呑んだっくれてるだけだ。それに俺の心配をするよりテメェの心配した方がいいんじゃねェの?いい歳してんだから」

 

 「ハハハ、耳が痛いよ。どうしてか縁が全く無くてね。いや、ただ苦手なだけ・・・かな?」

 

 「オラリオ1のモテ男が何言ってやがる。だが・・・()()()()()っつう崇高な目標を持ってらっしゃる小人族(パルゥム)が他にいるかね?」

 

 「どう・・・だろう。だけどそれが僕の悲願だからね。やり遂げない訳にはいかない」

 

 「もっと肩の力抜けよ。楽に生きようぜ楽に」

 

 「そうだね。銀時の様に生きられたらどれだけ幸せなのだろう。でも僕は【ロキ・ファミリア】の団長でこの身を一族再興の為だけに捧げると決めている。その為の地位で力で、その為の【勇者(ブレイバー)】だ」

 

 「そうかい。なら何も言わねェよ」

 

 

 二人はロキが置いて行った酒瓶を傾け、右手に焼き芋、左手に先ほど水を汲みに言っていた時に持ってきたお猪口を持ち、語る。

 

 

 「フィン」

 

 「何だい?」

 

 「()()()()()()()()()

 

 「何が・・・と聞くのは野暮だね。わかったよ。僕は一族再興の為なら鬼にでもなろう。決して道半ばで曲げたりはしないと誓う」

 

 「・・・よし。まぁ今度いい小人族(パルゥム)がいたら紹介するわ」

 

 「本当かい?銀時は人知れず顔が広いからね。期待しておくよ」

 

 

 その会話を最後に他愛のない話に変わっていった。

 しばらく二人が談笑していると、酒を持ったガレスが混ざりに来た。古参の三人は星を眺めながら、次回の一大遠征に向けて思い馳せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AM10:00《中央広場(セントラルパーク)

 

 

 「ベル様、今日は何層まで行かれるので?」

 

 「んー師匠の采配次第かな。久しぶりだから少しだけ緊張してる」

 

 

 ベルはダンジョンに続くセントラルパークで師匠である銀時を待っていた。いつもと違うのは隣にはサポーターと呼ばれる少女がいること。

 

 

 「ベル様の師匠様はどのような方なのですか?」

 

 「ん〜上手く言えないなぁ。謎が多いんだよね。でも一言で言えば“恰好いい”かな」

 

 「へぇ〜ベル様が言うならホントにそうなのでしょうね。リリも気になります」

 

 

 銀時に師事されてからはやくも1ヶ月弱。

 毎日欠かさず手だけで畑を耕し、いちご牛乳を配達し、時折蜂の巣の駆除をした。銀時と会うときは週2日ぐらいであり、1日はダンジョン、もう1日は刃を交えている。

 ベルは重りをつけた状態だが、ようやく元のスタイルに戻れる程成長していた。その成長に一番驚いていたのは師である銀時だ。

 

 

 「しかしそのお師匠様は遅いですね。約束の時間は過ぎてますが」

 

 「あ〜師匠は朝に弱いから。もしかしたらまだ寝てるかも」

 

 

 たはは、と力弱く笑うベルをサポーターの少女は怪訝な顔で見つめる。そしてある思いが胸中を渦巻いた。

 

 

(もしかしてベル様はその師匠様に騙されてます?ヘスティア様にも頼まれたんです。リリがしっかりしないと。)

 

 

 サポーターの少女、もといリリルカ・アーデは密かに決意を固めた。自身を助けてくれた意中の相手の師匠を見極めてやると。

 

 

 「あっ!師匠!おはようございます!」

 

 「あまりでけェ声出すんじゃねェ。二日酔いに響く」

 

 「す、すみません!気をつけます!」

 

(あれ・・・この声、どこかで聞いた声だなぁ。)

 

 

 フードをかぶっているリリは銀時の顔が上手く見えなかった。それは以前の同業者と鉢合わせしない為に仕方のない処置ではあるのだが。

 

 

 「あ、師匠。この前に紹介してたサポーターの────」

 

 「リリルカ・アーデと言います。ベル様には・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 「どうしたのリリ!?」

 

 

 銀時を見るや否や絶叫したリリにベルは驚きを隠しきれない。

 対する銀時は鼻をほじりながら、あることを思っていた。

 

 

 「あの時の意地汚い大人!リリから金品巻き上げようとした酷い大人なんです!ベル様!」

 

 「あー思い出した。テメェあの時は犬族(シアンスロープ)だったな。それが本当の姿・・・ってか先に手ェ出したのそっちだろうが!!」

 

 「えぇ。僕はどっちに付けば・・・」

 

 「【白夜叉】とは名ばかりのダメダメな男のくせに!『マダオ』のくせによく言いますよ!少女にお金をカツアゲして、あまつさえケーキを奢らせて、まだ過去を掘り返すんですか!まだリリを脅すんですか!」

 

 「あぁ上等だゴルァ!俺の弟子に相応しいかどうか見極めてやらァ!!・・・・・・・・・ん?」

 

 

────あれ?コイツ、小人族(パルゥム)じゃね?

 

 

 銀時はニタァと笑った。その笑みはリリだけでなくベルでさえも二の腕をさするほどだった。何がよからぬ事を考えていることは明白だった。

 

 

 「テメェら今日は一旦帰って昼過ぎにもう一度ここに集合しろ」

 

 「な、何を・・・」

 

 「えぇっ!?急にどうしたんですか師匠ッ!?」

 

 「体の隅々まで洗ってこい。服は用意してやる」

 

 「だ、だからなんなんですか!急に冷静になって!」

 

 「いや何、どっちが悪ィか公平に判断して貰おうと思ってな。ベル、テメェにもチャンスくれてやるよ」

 

 「へ?なんで僕?ちょっ師匠!」

 

 

 それだけ言うと銀時は踵を返してホームへと戻って行った。ベルとリリはポカンとしたままその場で立ち尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お見合い作戦開始じゃァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、終わりました。いかがでしたか?

今回はある意味大事な回です。どこの文が、とは言いませんが。


毎度恒例謝辞。

『shibaren』さん、『神天地無用』さん、『匿名希望傍観者』さん、『あなべべさんじゅうなな』さん、最高評価ありがとうございます!!

『39373』さん、『ゆのこう』さん、高評価ありがとうございました!!


更新が遅くなります。今回は急ピッチで仕上げたのであしからず。


四月は新刊がたくさん出るので楽しみです。漫画もラノベも推理小説もなんもかんも。アニメもですね。


そうですね、銀魂のイベントに参加したいんです。でも機会がなくて。一度友人に誘われたんですが部活があったりとか・・・ね。行った人いいなぁって思ったり。


今後とも、この作品『ダン(ザム)』とTouAをよろしくお願いします。


@TouA_ss

Twitterです。更新情報や進捗状況をお知らせします。あとは原作についてつぶやいたり。


ではまた次回!感想評価お待ちしております!

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