ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか   作:TouA(とーあ)

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取り敢えず前回と前々回のまとめ。

銀時、ベル、リリ、10時半会合。《前々回》

夕方再集合、のち、着付けのあとにお見合い。フィン参加《前回》

銀時気絶。フィンふられる。ベル、復活。《前回》

翌朝、銀時は・・・《今回》

ではどうぞ!

すみません、今回短いです!




SとM

 

 「ん・・・・・・んぁあぁムニャムニャ・・・なっ何じゃこりゃぁぁぁ!!」

 

 

 銀時起床。

 だがいつもの自室の布団ではなく、見覚えのない部屋のど真ん中で椅子に座らされ、手足を太い縄で縛られていた。

 

 

 「あら、銀さん起きたの?」

 

 「ティ、ティオネ!これァどういうこった!」

 

 

 銀時の向かい側の椅子に腰掛けていたのはティオネだった。

 ティオネは読んでいた本を閉じ、机の上に置くと銀時の方に向き直り、口を開いた。

 

 

 「どういうことも何も、話を聞きたいだけよ」

 

 「話聞くだけなら縛る必要ありますか!?」

 

 「あるわよ。バカじゃないの?」

 

 「バカはお前だッ!!」

 

 

 逃げ出そうと力を入れる銀時だったが一向に縄がほどける気配はない。

 

 

 「なんだこの縄!?全く(ほど)けねぇじゃねぇか!!」

 

 「あぁ【万能者(ペルセウス)】特製だから簡単には(ほど)けないわよ?刃物には極端に弱いけど力には強いから」

 

 「どんな需要があるんだよ!」

 

 「私が団長にキツく縛ってもらう為に決まってるじゃない。バカなの?」

 

 「だからバカはお前だァァァァ!!」

 

 

 銀時が怒鳴るがティオネは素知らぬ顔だ。

 銀時は息を整えるとティオネに疑問をぶつけた。

 

 

 「それで何が聞きたいんだよ」

 

 「団長がお見合いしたって話。アイズから聞いたんだけどホント?」

 

 「あ、あぁ・・・」

 

 「ふ〜〜〜〜ん」

 

 

 大量の汗を流し、露骨に目を逸らす銀時にティオネはジリジリにじり寄る。

 

 

 「で、どこのメス豚よ。その女」

 

 「・・・へ?」

 

 「どこのメス豚だって言ってんのよ!!」

 

 「テ、ティオネさん?」

 

 「どうせ団長に汚い言葉で罵られて発情する様な醜いメス豚でしょ!?亀(ピー)縛りされてろうそく責めされて濡れる様な淫乱痴女でしょ!?そんな女に団長を渡してやるものですか!」

 

 「それ全部お前ェェェェエ!!誰か助けてくれェェェ!!」

 

 

 銀時の慟哭は誰にも届くことはなかった。ティオネは有りもしない事実に憤慨しその思いを銀時にぶつける。

 

 

 「それでどこのファミリアよ」

 

 「・・・知らねぇな」

 

 「さっさと吐いた方が身の為だと思うけど?」

 

 「ホントに知らねぇんだよ!サポーターしてるって事だけだ!後はなんも知らねぇ!!」

 

 「たったそれだけしか知らないのに銀さんはその女と団長を引き合わせたの?もしかしてムチでぶたれたいの?それともぶちたいの?それともぶたれといてぶたれてやってると思いたいの?もしくはぶっといてぶたされていると思────」

 

 「落ち着けェェェ!!ティオネ様、そのムチ下ろしてェェェ!」

 

 「おいどうした!?」

 

 「「あ・・・」」

 

 「────すまない、邪魔したね」

 

 

 悲鳴を聞いて飛び込んできたのは、話の中心人物であるフィンだった。

 今現在、その一室では椅子に縛られて身動きが取れない銀時に向かって自前のムチを嬉々として向けているティオネの姿がある。

 フィンは一瞬だけ目を見開くと、一言謝罪しスッと退室した。

 

 

 「ちょっと団長に変な誤解されちゃったじゃない!どうしてくれんのよ銀さん!!」

 

 「バッキャロー!あらぬ誤解を受けたのは俺だ!!テメェはもともとドMだからいいだろうが!!」

 

 「うっさい!私は団長の前ではきちんと清純で可憐な女の子を演じてたの!!」

 

 「どこが清純だ!辞書で調べて赤線引いてこい!そんなDT殺しの服を着た清純なキャラがいるわけねぇだろうが!!」

 

 「ど、どこ見てんのよバカ!天パ!マダオ!」

 

 「今更、清純派みたいなキャラ立てしてんじゃねぇ!!清純派キャラってのはなぁ!!恥ずかしがり屋で、あがり症で時には地元の方言がポロッと出るが、心遣い(ホスピタリティ)満載の郷土料理を作れるぐらいピュアッピュアッの優しい子なんだよ!!テメェみたいなドMがなれる訳ねぇだろうが!!」

 

 「ぐぬぬぬぬぬ・・・・・・」

 

 

 もはや何を口論していたのか忘れかけている二人は違う方向にヒートアップする。とは言っても論点はティオネについての事なのだが────その時。

 

 

 「だいじょ〜ぶだよティオ太くん。それならこれ────(ダミ声)」

 

 「ティオナ?どうしたのそんな声出して・・・」

 

 「ティオナ!オイ助け────」

 

 

 突然入室してきたティオナは外から、人が三人ぐらい入れそうなバケツを部屋に持ち込んだ。

 

 

 「生コンクリィトォ〜〜〜(ダミ声)」

 

 「何するつもりだァァァァァァァ!!」

 

 「ホネカワ銀夫と銀アンとデキスギ銀(とし)をこれに入れて海に沈めれば、全てが闇に葬られミナモト・フィンかちゃんの心は君のものになるっていう作戦さ!!(ダミ声)」

 

 「それ全部俺ェェェェ!!誰だ!心が綺麗なティオナにドSの所業(こ ん な こ と)()()()()()奴はァァァァァ!!」

 

 「いいわねその作戦!乗ったわ!」

 

 

 パァッと笑顔を咲かせるティオネとは反対に銀時は自身の行く末と後輩の純情さを汚した者に悲しみと怒りを覚えた。

 

 結局、銀時はティオネにフィンの個人情報を売る事によって難を逃れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《豊穣の女主人》

 

 

 「じゃあ行ってきます!」

 

 「はい、お気を付けて!」

 

 

 《豊穣の女主人》の店員であるシル・フローヴァは毎朝、冒険者であるベル・クラネルに昼食を持たせるのである。

 毎朝の習慣になりつつあるこの出来事は独り身の男の冒険者からしてみれば憧れそのものだろう。

 

 一仕事終えたような顔をしつつもどこか幸せ気なシルは《豊穣の女主人》の店員からいじられることもしばしばだ。

 だがそんなシルなのだが最近、妙に浮かない顔をしていることを店員たちは心配していた。

 

 

 「シル」

 

 「リュー・・・どうしたの?」

 

 「それはこちらのセリフです。悩み事でもあるのですか?」

 

 「えっと・・・クラネルさんのことでちょっとね」

 

 

 恩人の悩みに親身になるリューはシルに優しく問いかけた。

 シルは大層な事じゃないんだけど、と前置きしてリューに打ち明けた。

 

 

 「一週間ぐらい前なんだけど、クラネルさんに私が『何か食べたい物はありますか?』って聞いたの」

 

 「へぇやりますねシル」

 

 「もぅリュー茶化さないで。それでね、その時にクラネルさんは最初は遠慮してたんだけど最後に────」

 

 

 

────じゃ、じゃあ“いちご牛乳”に合う料理をお願い出来ますか?

 

 

 

 「って言ったの」

 

 「“いちご牛乳”・・・ですか。甘い飲み物がお好きなんですね、クラネルさんは・・・ん?しかしクラネルさんは甘い物が苦手だった筈じゃ────」

 

 「そうなの。だから私は『甘い物がお好きになったんですか?』って聞いたの。そしたら予想外の答えが返って来て・・・」

 

 「予想外ですか。どんな?」

 

 

 

────はい!好きになりました!あ、シルさんは西のメインストリートの路地裏にあるケーキ屋知ってます?あそこの苺のショートケーキ美味しんですよ!他にも・・・

 

 

 

 「まるで女の子みたいな答えだったの!!他にもパフェの美味しい店を教えてもらったりして・・・実際行ってみたら隠れた名店だったらしくて本当に美味しかったの」

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・シル」

 

 「何?リュー、そんな怖い顔して」

 

 「心当たりがあります。その美味しいパフェも一度食べたことがあります。まだ私が【アストレア・ファミリア】で刀を振るっていた時ですが」

 

 「え!?リューがそのお店知ってるなんてちょっと意外だった」

 

 「えぇまぁ。私は()()()に無理矢理連れていかれたのです。『顔が怖いから糖分を取れ』と。『カルシウムが足りないだろうから』と言って山盛りの生クリームが乗ったパフェを食べさせられました。美味であったのが非常に癪だったのを今でも覚えています」

 

 

 リューは過去に思い馳せたのだが顔は険しい。その表情を見てシルはピンときたようだ。

 

 

 「リューがそこまで言う人なんてあの人しか思い浮かばないんだけど。でも確かにその人なら辻褄が合うかもしれない」

 

 「恐らくシルが思い浮かべている人とクラネルさんを毒した男は同一人物でしょう。あのマダオが・・・」

 

 「ね、ねぇリュー?私、別に悪いことじゃないと思うんだけど」

 

 「何を呑気な事を言っているのですかシル!あのクラネルさんが酒を飲んだっくれては女に迫り、ギャンブルに走っては下着一枚で帰ってくる様な男に成り下がってもいいのですか!!」

 

 「そ、それはさすがに嫌だけど・・・」

 

 「全く、シルは危機感が薄いのです。クラネルさんはただでさえ人を惹き付ける力が有るのですから」

 

 

 ぷりぷりシルに向かって注意を促すリューはまるで()()()()()()()かの様に饒舌に語り出す。

 

 

 「いいですか?たとえ敵から命を救ってくれた恩人であったとしても男は男なのです。私から言わしてみれば男なんて────」

 

(リューは気付いているのかな?時々とっても魅力的な笑顔を浮かべていることを。・・・うふふ、本当に楽しそうに話しちゃって。ちょっと妬いちゃいますよ銀時さん)

 

 

 店長であるミアからの怒号が飛んでくるまでリューによる愚痴は止まる事はなかった。

 だが愚痴だと思っているのはリュー本人だけだろう。第三者から見てみればただの()()()当然のものである事は言わずもがな、であった。

 

 

 

 

 

 

 

 





はい終わりました。ようやくこれでヒロインと銀時との関係の話は書けたかな?あ、まだお母さんがいたよ。まだまだ書かなければ。


では毎度恒例謝辞。

『スライム 極』さん、『To、kensin』さん、『チキン革命』さん、『れんれん』さん、『☆リューク★』さん、『RURL』さん、『からに』さん、最高評価ありがとうございます!!

『斬咲 瀧』さん、『花代 ひな』さん、『ノブヲ』さん、『ABCFF』さん、『たなべ5』さん、『冀望のクエン酸 lv.2』さん、高評価ありがとうございます!!


前回は高評価と低評価が入り交じり、評価バーがもう揺れ動く揺れ動く・・・あのネタ、やっぱ不評だったのかなぁとちょっと反省してます。


今回の話でティオネが何枠か分かってくれたかと思います。ですがあくまで好意の感情を向けているのはフィンに対してです。この小説はダンまちであって銀魂ではありませんから。


★あとドSって誰でしょうね(すっとぼけ)



一つだけ報告を。


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=147098&uid=106761


上記のURLにこの作品のアンケートを載せました。
三巻分が終わると番外編を1つ挟むつもりなのでその投票を行っています。皆さんの投票をお待ちしております!


ではまた次回!感想評価をお待ちしています!!

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