ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか 作:TouA(とーあ)
えー昨日は急に“銀八先生”で申し訳ない。
映画が想像以上に完成度高くて、爆笑して、書かなくては!と一念発起した次第でした。隣の女子高生が猿かっつうぐらい口開けてキーキー声で爆笑してましたから。
皆さんはこの三連休で見に行くのかな?感想欄で面白かったとか感想聞きたいけど、ネタバレは無しの方向でオネガイシャス。私はいいですけど他の方が・・・ね。
ではどうぞ!!
《ダンジョン18階層》
「師匠、宜しく御願いします!」
「あぁ来い────っとその前に」
18階層の森林奥の拓けた場所。
ベルと銀時以外の人の気配は全くなく、二人の呼吸と声が森に吸い込まれていく。
二人は全身に包帯が巻かれてある。決して軽くはない傷なのだが、どうしてか二人にそれを慮ることはないようだった。
「白衣と眼鏡外させて」
「まだ着てた!?」
「そりゃ着てらァ。急に違う世界線になる訳ねぇだろ。フィンもリヴェリアもアイズもベートもレフィーヤも学生服着てたろ」
「確かにね!?何で着てんだと思いましたよ!正直言って制服はヴァレンシュタインさんと黄色掛かった茶髪のエルフの人がギリギリのラインですよ!」
「そうだよなァ・・・リヴェリアは制服着てはしゃいでるBBAにしか見えねぇし、フィンは逆にピッカピカの中坊一年にしか見えねぇし・・・ベートはなんか、少しノリノリで気持ち悪かったし」
「ホントだよ!僕もああいう都市最強のファミリアを見たくありませんでしたよ!!」
敢えて
「そういや【Lv.2】になったんだったか?」
「あ、はい!スキルも発現して・・・」
「ほーん、まぁそれを含めて見せて貰おうか」
銀時が木刀をゆっくり抜刀するのと同じくして、ベルも短刀を二本抜刀し腰を落として構える。
「そうだなぁ────ベル」
「は、はい」
「オレに一発だけでも喰らわせられたら、遊園地に連れて行ってやる」
「遊園地って何!?」
なぜか急に髪の毛を上へ上へと押さえつけ始めた銀時。
ベルは聞いたことのない単語に疑問を隠しきれない。よって声を荒らげるのも無理はなかった。
「なんなの?遊園地嫌いなの?」
「だから遊園地ってなんですか!?あとなんで髪を上にツンツンにして“富士額”っていうか“M字ハゲ”にしてるんですか!」
「イメチェンに決まってるだろバカヤロー」
「急にイメチェンされる方の身にもなって下さい!心臓に悪い!」
「心臓に悪い、だと?────心臓病か!未来から俺の息子が薬を持ってくるかも知れないな・・・」
「違うわ!持ってくるわけないでしょうが!!」
「落ち着けカカ〇ット」
「アンタが落ち着けェェェェエエ!!」
鍛錬をつけてもらう前から肩で息するベル。
銀時はその髪型のまま木刀を構えている。シュールと呼ぶ他ない。
「大体なぁ人のイメチェンに言及するんじゃねぇよ。人には人なりの考えがあんの。人には人の大事にしたいオサレポイントがあんの。わかる?」
「は、はぁ・・・僕は師匠の宇宙人の様な感じより、頭にターバン巻いて横長の肩パットついたマントを着ている宇宙人の方が好きです」
「はーん、ベルは
「ねぇ今、何にルビ振りました!?ねぇ!?」
ベルは声を荒ら(ry。
「うし、やるか」
「ここまでが長かったですね!ホント!」
「体、温まったろ?」
「温まりましたよ!全身から湯気が出そうなレベルでね!」
「ギ〇
「アンタほんと1回黙れ!!」
ベルは目の前の男に向かって地を蹴り距離を詰める。強引にその口を封じる為だ。
「速くなったな」
「っ・・・・・・!」
手数は圧倒的。型に嵌まらぬ無数の斬撃。故に予想は出来ない筈なのだが銀時は鼻をほじりながらいとも簡単に全ての斬撃をいなす。
(僕は中層でリリやヴェルフを護れなかった・・・だから僕は壊さなきゃならない。過去の自分を!己の限界を!)
────ベルの
銀時は直感した。警戒を数段階引き上げる。木刀を握る手に血が巡る。
ベルは右手に漆黒のナイフ、左にヴェルフがミノタウロスの角で作ってくれた紅の短刀を握っている。
「────スタァバァストッストリィイム!!」
夜空を翔ける“星”より速く、己の全ての技を“爆発”させた“嵐”の如き怒涛の連撃を銀時に放つ────だが。
「それは一度見た。侍に二度も同じ手は効かねぇよ」
何百、何千と繰り返された流麗な剣舞は銀時に届き得ない。
紛うことなき全力の十六連撃は先程と変わらず、いとも簡単に交錯すると同時に弾かれた。
「くッ、まだだッ!」
ベルは
その行為は決して意味がある行為ではない。だがそうせずにはいられないのだ。
倦怠感が襲う前に足に全力で血を巡らせる。右回転による二刀の必殺の連撃。
「────回天剣舞・六連!」
右に高速回転し、刹那の一瞬に六連撃。
銀時もそれに合わせる様に六度振るう。六連撃をそれ以上の速さと単純な力で相殺する。
(これがベルのスキルか・・・!チッ、大した威力だなクソッタレ)
明らかに先程までとは威力が段違いであるベルの“必殺技”に銀時は心の中で舌打ちする。賞賛と辟易がその舌打ちには混ざっている。
(ここ・・・だ!繋げ!!)
「────は?」
ベルは銀時に通じないことは分かっていた。だから工夫を凝らせる必殺技を開発した。
それが“回天剣舞”。回転により放たれる“回天剣舞・六連”は威力は凄まじいが一度防がれると大きな隙を生じてしまう。加えてスキルの弊害もある。それを逆手に取った結果────。
「────回天剣舞・六連!!」
相殺された反動に乗じて威力が上がる様な、そのまま回転速度に活かせる様な、奇しくも先程ツッコんだ
完璧に再現された“回天剣舞”は先程までとは段違いに威力が上がっている。剣を振るう速度も同じくだ。スキルの補正が更に掛かる。
「ふんがッ!」
木刀と二刀の短刀が神速で交錯し、弾けると同時に“火花”を散らす。
思わず銀時でさえも気合いの声を漏らすほど、ベルの紫紺と紅緋の剣舞は凄まじかった。まるでこの連撃だけベルのレベルが
「まるで必殺技のバーゲンセールだな」
「・・・・・・ハァハァ」
これでもか、と放った必殺の連撃を全て相殺されたベルは体の倦怠感に耐えきれず膝を付いた。銀時の発言にツッコむ気力さえ残っていない。
「どう・・・でした、か?」
「きたねぇ花火だった」
「ハァハァ・・・辛辣ですね」
「相応の評価だと思うけどな。オメーは必殺技に、いやスキルに頼り過ぎだ。体力持たねぇで長続きしねぇくせにな」
「うっ・・・」
「オメーの戦闘は稚拙だ。経験がねぇのもあるだろうが必殺技を特別視し過ぎな所が特にな。必殺技と二刀流を“点”と“点”で考えるんじゃなく、二つを繋げて“線”にしなくちゃなんねぇ」
「・・・はい」
「お前の戦闘を例えるなら後衛の奴等と一緒だ。一撃一撃に重点を置いている魔法使いとな。お前のスタイルは前衛だろうが。前衛が体力尽かせて最初にバテたら中衛、後衛がしんどいだろ」
「────っ」
「まぁなに、それでもオメーが頑張ってるってのァ解った。遊園地には連れて行ってやるよ」
「あ、ありがとうございます?」
✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕
「やぁ銀さん、おひさ〜!」
「おうヘルメスさん、おひさ」
師匠がくれたポーションで倦怠感が無くなった僕は師匠に付いて行って、ある木のもとへ辿り着いた。
その木のもとには僕達に心配してダンジョンに潜り込んだ神様と同行していた、ある男の神様が居た。
「えっと・・・ベル・クラネル君かな?初めまして、ではないか、うん。ヘルメスだ。よろしく」
「あ、はい。宜しく御願いします」
ヘルメス様は柔和な笑顔で僕に微笑んだ。女の子に見せたらイチコロだろう。
確かに僕とヘルメス様は初対面ではない。何故なら僕がヴェルフと初めて出逢い、着物をもらった時、街道を歩いていた僕に
「あ、あのヘルメス様、煙管はっ」
「いいよいいよ。君が持っておくんだ。神の好意は受け取っておくもんだぜ?」
「は、はぁ・・・」
それなら貰っておこうかな。あの着物に煙管はよく似合ってると思うし。多分。それにヘルメス様の好意を無碍にすると怖いと思う。そんな気がする。
「よし、行くか遊園地」
「あの師匠?遊園地ってこの階層にあるんですか?」
「おうよ、その為にはまず木に登らなきゃな」
よじよじと大の大人が木に登り、それに続いて僕も登る。かなりシュールな絵が広がっていると思う。
枝分かれしている空中回廊みたいな木の枝を師匠、ヘルメス様、僕の順で進んでいく。時折木から木へと飛び、木々の屋根を進んでいく。
────ドドドドドドドドド!
うん、滝の音ですね。なんとなくこの人達がやりたい事が分かってきた。分かった時点で僕は師匠色にかなり染まってきているんだと思った。
「ベル君、“遊園地”と書いて“パラダイス”と読む」
「ベル、“覗き”と書いて“ロマン”と読む」
「「グヘヘヘヘヘ」」
マダオだこの人達。救えない、救われない。絶対染まりきってたまるか!共犯者として神様やリリにしょっぴかれる前に逃げなければ!
「おいおい、逃げる気か?男の浪漫が目の前にあるってのに」
「うぐ・・・」
「ベル君は女の子に興味ないのかい?まさかアッチ系・・・」
「違いますよ!」
見たいけど!物凄く見たいけど!僕の中にある罪悪感が膨れ上がるのが想像出来るんですよ。それに押し潰される僕も想像出来るんですよ・・・。
「男の浪漫が目の前にあるのに、それに手を伸ばさない・・・俺ァそんな男に育てた覚えはないぞ、ベル」
「僕は犯罪者になる為に弟子になったつもりは無いんですけどね!」
「ベル君、声量を落とすんだ。第一級冒険者にバレる」
あっと思い僕は手を口に当てた。
いやこれバレた方がいいんじゃ・・・いや良くないな。僕まで変な汚名をかぶってしまう。
「銀さん、ベル君、これを」
「さすが、用意いいなヘルメスさん」
「双眼鏡・・・」
もう手遅れだ。腹を括ろう。僕は犯罪者だ。だからこそ得るべきものは得て自首しよう。
「師匠、進みましょう」
「ふっ、
「失敬な。僕には玉もチンも有りますよ。ただ少し男気が足りなかった、それだけです」
「素晴らしい師弟関係だ・・・思わず目頭が熱くなったよ。さぁ進もうか」
僕達は進む。
僕達が足を止めた場所は水辺から離れた場所ではなく、女性達の水浴びが出来る場所を上から見れる場所だった。そこそこ高いため、肉眼で見てもボヤけてしまう。まぁ双眼鏡あるからその心配は杞憂なんだけど。
「よし。ベル、ここからは呼吸は最低限に。おっ勃っても己の全神経を使って抑えろ。エロい視線に女は敏感だからな。いいな?」
「銀さんの言う通り。あくまで僕達は“男の浪漫”の為に覗くのであってエロさを求める為に覗くんじゃないからね。そしてこの記憶は地上まで持ち帰るんだ。ベル君、いいね?」
「はい・・・・・・!」
「「「双眼鏡、装着!」」」
まるで何かの呪文の様に僕達は双眼鏡を装着した。
僕はピントをうまく合わせようとするが、なぜか合わない。二人は使い慣れているからか直ぐにピントを合わせていた。
「あ、あれ?」
「うっひょ〜ティオネは相変わらず大きいなオイ」
「アスフィも成長したなぁ〜形整ってるし」
僕がてんやわんやしてる間にマダオの二人は覗きに勤しんでいる。早く、早くしなければ!
「一人、ロバート絶壁スがいるなぁ。あれは【
「お、ポール美乳マン・・・あれはアイズか?」
「ヴァ、ヴァレンシュタインさん!?ぼ、僕にも・・・!」
ピントを合わせた僕は師匠の視線の先を追う。だが拡大されているからか見つからない。
「師匠・・・位置、変わって下さい・・・!」
「あぁいいぞ」
「ありがとうございます・・・!」
僕は慎重に、足音を立てないように師匠と場所を交換する。
師匠と僕が横揃いになった瞬間────。
────バキッ!
体重が一点に掛かった木の枝は根元から不快な音を立てた。まるでそれは僕達の終わりへと誘うレクイエムのようで。
「「「どけェェェ!」」」
僕達三人は両手を使い、自分だけが助かろうと二人を物理的に蹴落とそうと行動に移した。それが最終的に足を引っ張り合う形になったことは言わなくてもわかるね。うん。
────ドボォォォォン!!
仲良く三人で水の中に落ちた。たまたまそこは水深がかなりあったから大事には至らなかったんだけど。
『な、な、な・・・・・・・・・!』
女性の皆さんの動揺した声が聞こえる。僕は水に浸かったからなのか頭が冷えていた。
「「ほわぁぁぁぁあああ!!」」
マダオ二人は一目散に脱兎の如く森の中へと消えて行った────僕を置いて。さすがにそりゃないと思う。
「べ、ベベベベベル君!?君って奴は!」
「べっベル様ッ!?」
神様やリリの声が聞こえる。アマゾネスの女性たちはやるねぇとか見た目によらないねぇとか言ってる。少しは体を隠して羞恥を覚えて欲しいところだ。
「あ────」
ヴァレンシュタインさんの裸体が目に入る。気恥ずかしそうに胸を腕で隠し、秘部を手で隠している。もうそれだけで僕はお腹いっぱいだ。
「え?」
「へ?」
「は?・・・は??」
女性の方々が素っ頓狂な声を上げる。
それもそうだろう。僕の行為はそう見えるだろう。
僕は森の中へ逃げるのではなく、わざと池の中心へと歩いて行ったのだから。
────そして。
僕は池の中心へ辿り着くと、両目を瞑り、右手の拳を天に掲げ、高らかに宣言した。
「────我が生涯に一片の悔いなし!」
『死ねェェェェェェエエエエエエ!!』
僕は安らかに微笑み、全て受け入れた。
すんません。ホントすんません。謝ります。すみませんでしたァァァァ!!
ベル君・・・ベルくぅぅぅぅぅん!!
毎度恒例謝辞。
『キャベジン太郎』さん、『マグ郎』さん、『タヌキ三世』さん、『プジョー』さん、『Mr.ロリペド』さん、『妙義』さん、『いえっさ』さん、『白狐@白虎』さん、『耶義』さん、最高評価ありがとうございます!!
『氷霞』さん、『間呂_アップグレード中_』さん、『ヴェンデッタ』さん、『エックス2』さん、『石川 真』さん、『うにゃりん』さん、『snes9xw』さん、『リュー@暇人』さん、高評価ありがとうございます!!
これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします!!
これの前書きを書いてた頃は、無かった話なんですが、さっきジャンプとYouTubeで銀魂のゲームが出来ることが決定したそうですね!四年ぶりに!
YouTubeで見る限り、スゴロクとか従来の感じじゃなくてアクションゲーっぽいですよね。無双系っぽいというか。BASARAとか戦国無双とかそんな感じだと嬉しい。
土方でレッツパーリィィィできるからね!
ではまた次回!感想と評価お待ちしてます!!