ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか   作:TouA(とーあ)

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最近ネタばかりで内容が薄い、と感想で言われました。

うわぁぁぁぁぁん!僕はねぇ!良かれ良かれと思ってやったんですよ!面白いって言ってくれるからそっち方面にシフトしたんですよ!読者の皆さんにはわからないでしょうね!でもね!僕の何がわかるっていうんですか!作者の何がわかるっていうんですか!僕はこの作品をか"え"た"い"っ!!

すみません、猛省してます。書いていて僕も感じてたことでしたが、やはり読者の皆さんも思っていたようです。
僕が書きたいように書きます。それが一番だと思いますから。


では最終話、どうぞ。




その刀、木刀につき

 

 

「お、アスフィ。木刀の回収ありがとう」

 

「…アレで良かったんですか?」

 

「良かった!良かったよ…彼は俺の想像を遥かに越えた。やはり彼は英傑の器足り得る人間(ヒューマン)だ」

 

「そう、ですか……」

 

「アスフィには分からないかな?この高揚と興奮が」

 

「分かりません。マダオが発情している様に見えるだけです」

 

「本当はどう思ってるんだい?」

 

「─────ッ」

 

「俺に嘘をつけるとでも?話してみなよ。咎めたりしないからさ」

 

「………また()()()()()()()()()()()?」

 

「んん?アスフィは“彼”のことを知らない筈だけど」

 

「調べる方法など幾らでもあります。まぁ大変でしたけどね。ヘルメス様の思考は出来るだけ把握しておかないと後で私に皺寄せがきますから」

 

「ハッハッハッ優秀だねアスフィは。そうだよ、俺は性懲りもなく繰り返すのさ」

 

「………」

 

「俺は求めているのさ。誰よりも強く在り、誰もが羨望を抱き、戦場に立つだけで空気を変える、そんな英傑をね」

 

「ですが……!」

 

「【白夜叉(おに)】だけでは駄目なんだ。足りない、足りないんだよ!俺が求め、彼等が求め、“彼”の悲願を達成させる英傑は彼()()では駄目なんだ!強いだけでは駄目なんだよ!足りないんだ!」

 

「だからといって…」

 

「だから俺は“彼”の“武士道”を受け継いだ男から“強さ”と“武士道”を受け継いでいる少年に賭けたのさ!神会(デナトゥス)で彼の二つ名を【小鬼(オルガ)】と提案したのも俺だ!そして……それは正解だった!俺の目に狂いはなかった!」

 

「………」

 

「ようやく…ようやく一歩進んだぞ!お前の悲願は俺が成し遂げる……お前の最初で最後の悲願(ねがい)だからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「師匠ぉ〜〜〜」

 

「んぁ?」

 

「こんなグータラしてていいんですかぁ〜」

 

「いいんだよ〜偶にゃあこういう日があっていいんだ」

 

 

 都市の北西にある市壁の上部。

 目が死んだ魚の様な男と目が紅に爛々と輝いている少年は隣に並んで寝転がっていた。二人のすぐ傍にはいちご牛乳が置かれてある。

 

 

「よく動き、よく学び、よく遊び、よく食べて、よく休む。人生を面白おかしく張り切って過ごす。これが銀時流よ」

 

「それ、銀時流じゃなくて亀(ピー)流です師匠」

 

 

 冷静なツッコミを入れるベルだが銀時が気にした様子はない。

 久方振りに戻って来たいつもの日常を二人は贅沢に使っていた。夕方前の柔らかな日の光が眠気を誘う。

 

 

「朝、シルさんが言ってましたけど今日宴なんですか?」

 

「…一緒に来るか?ベルなら歓迎されるだろうさ」

 

「えっえええ遠慮しときます!【ロキ・ファミリア】の皆さんには悪いことしちゃいましたし。の、覗きとかゴニョゴニョ………」

 

「本音は?」

 

「ベートさんが怖いからですはい」

 

 

 正直なベルに思わず銀時は苦笑する。

 18階層の時、ベートは団員の解毒の為に先に地上へ戻っていたのである。だからベルとベートは鉢合うことはなかったのだ。

 

 

「ベル、そうはいうけどよぉアイツだっていいとこはあるんだよ」

 

「は、はぁ…」

 

「18階層で休息(レスト)取ってた時も解毒薬取りに地上へパシらされたり…まぁ扱い易いんだよアイツ」

 

「えぇ………」

 

「“く”るしい時、“そ”んな時、頼りになる“ベート”。略して────」

 

「“クソベート”じゃないですか」

 

 

 銀時に振り回される者として少しだけベートに親近感が湧いたベル。だからといって苦手意識が消えるわけではなかったが。

 

 

「師匠」

 

「ふわぁ…んだよ」

 

「師匠の木刀と同じ物をこの前見たんです」

 

「ん?」

 

「黒のゴライアスと()りあった時のことです。突然上から木刀が降ってきたんですよ」

 

 

 馬鹿みたいな話だかベルはしょうもない嘘はつかない。銀時はそれを知っていた。半分流しつつも耳を傾ける。

 

 

「それで最後の一撃はその木刀で放ったんです。触れれば触れるほど師匠の木刀とそっくりなんです。まぁ木刀は使われた形跡が全くなかったんですけどね」

 

「……その木刀はどうしたよ」

 

「わかりません。目が覚めたらその時にはありませんでした」

 

「見間違いだ見間違い。大体なぁこれァ全てが桜の木で出来ている山にある千年桜の枝で作ってんだ。そう簡単に似たもんがホイホイあってたまるかよ」

 

「そう、なんですね。やっぱり見間違いかもしれません」

 

「お(ピー)ぎと(ピー)コとク(ピー)ス松村が同じ(ツラ)に見えるのと一緒一緒。気にすんなよ」

 

「それはさすがに無理があります師匠。同じ(ツラ)じゃなくて同じ(カマ)です師匠」

 

 

 暫く心地よい沈黙が続く。

 ベルも暖かな光に眠気を誘われ、意識が飛び掛ける。だが聞いておきたいことが出来たのでゆっくり口を開いた。

 

 

「見たことあるんですか?その…山全てが桜っていう」

 

「ねェ」

 

「…ないんです、か」

 

「あぁ。見に行く予定はあったが結局見に行くことはなかったな」

 

「じゃあ見に行きましょう!」

 

「……そう、だな。いつかな」

 

「はい!いつか!約束ですよ!!」

 

 

 隣を見ずともベルが満面の笑みを浮かべているのが銀時には分かった。二人はそのまま眠りについた。穏やかでありながらとても幸せそうな顔で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなぁ〜おつかれさん!!かんぱぁぁぁぁい!!」

 

 『かんぱーい!!』

 

 

 ロキの音頭で盛大な酒宴が始まる。

 場所はあらかじめ予約しておいた“豊穣の女主人”。爽やかな果実酒や鶏の香草焼き、その他の様々な食欲をそそる料理が次々と運ばれてくる。それに負けることなく団員達は料理にかぶりついた。

 

 

「どうぞサカタさん」

 

「お、おう………」

 

 

 銀時の隣にはリューが座っていた。

 店主であるミアからの許可をもらい銀時の酌を務める事になったよだ。これは遠征に出発する前の約束に原因がある。

 

 

(ま、悪くねェな……グヘヘヘへ)

 

 

 周囲から視線が飛んでくるもののこの状況は男としての理想そのもの。アホ面になるのも仕方ないと言える。

 

 

「師匠も師匠なら弟子も弟子だと思いました」

 

「ん?」

 

「クラネルさんのことです。彼は貴方によく似ている」

 

 

 感慨深げにリューはそう呟いた。

 銀時はふっと頬を釣り上げると、弟子だからな、と一言だけ呟いた。

 

 

「どうしたのアイズ?」

 

「いや…別に」

 

「あ、銀さんのとこ行きたいの?私に任せて!」

 

 

 独特の雰囲気を作り上げていた銀時とリューにティオナが割り込む様に話し掛ける。アイズもちょこちょこと後からついていく。

 

 

「ねぇねぇ銀さん!アイズもお酒注ぎたいんだって!」

 

「お?頼むわ」

 

 

 ぎこちないがアイズも銀時にお酒を注いであげている。

 美少女二人を侍らせている銀時だが少し離れたところから射抜くレベルの視線が飛んで来ていることに対しては無視を決め込んでいた。

 

 

「体大丈夫?」

 

「お、おう。ケツの穴以外は問題ねぇよ」

 

「良かったぁ」

 

 

 少しだけ銀時の声が上擦ったのはアイズが銀時に密着しながら酒を注いでいるからである。勿論、計画的ではなくてただの天然だが。

 

 

(アイズの胸がヒットアウェイ!!俺のお猪口にお酒がワークアウェイ!!俺の気持ちはフライアウェェェェェイ!!)

 

 

 どんどんお酒のペースが上がっていく銀時。

 ストップを掛けるべきところなのだがリューとアイズの酌はちょっとした張り合いに発展しており、交互に止まることなく注いでいる。

 

 

「私にもさせてさせて!」

 

 

 ティオナがリューとアイズの張り合いが楽しそうに見えたのかそう言った。アイズは断ることも出来ないのでしぶしぶ変わる。

 

 

「エヘへ〜どうぞ!」

 

(…………寂しいな)

 

 

 天真爛漫な笑顔を振り撒いているティオナだが銀時の心情は胸の感触が無くなったことによる悲哀に包まれた。それを敏感に察知したのかティオナは頬を膨らませて銀時に詰め寄る。

 

 

「む〜今銀さん何か失礼なこと考えた!!」

 

「いんやヒンドゥー教とニュージーランドのこと考えただけだ。いやホント」

 

「……略して?」

 

貧乳大地(ヒンニューランド)

 

「ひどいっ!!!」

 

「ごぶふぁっ!!」

 

 

 腰の入った拳が銀時の頬に突き刺さり店の外へ吹き飛ばす。

 何事かと視線を集めたが吹き飛ばされたのが銀時だと知り、ファミリアの団員は『なんだいつものことか』と食事へと戻った。

 

 

「痛っってぇぇぇなぁぁぁぁ!!」

 

「バーカバーカ!銀さんのバーカッ!!この腐れ天パ!足臭!死んだ魚の眼!うわぁぁぁぁぁん!!」

 

「ゴラァ銀さん!妹泣かせてんじゃねぇぇぇぇ!」

 

「あっ!マヨネーズが落ちたじゃねぇかバカゾネス!!」

 

「んだとこのバカウルフ!!表出ろゴラァ!!」

 

「二人とも落ち着いて、ね?お願いだから団長の僕を困らせないでくゴフッッッ!!!」

 

「銀ちゃん、ヒック。みんな……ケンカ駄目だよ?ヒックヒック」

 

「誰じゃいアイズに酒を飲ませた奴は!ケンカを止める為にフィンの頭を(はた)いたぞ!!」

 

「……上等だテメェらァァァ!!ドSのフィンちゃんの力見せてやらァァァァァ!!」

 

「フィンに変なスイッチが入ってもうた!!ガレス!リヴェリア!はよ止めてェェェェ!!」

 

「どうせ私なんか形だけの【王妖精(ハイエルフ)】ですよ……グスン」

 

「リヴェリアの泣き上戸ォォォ!!ひっさびさに見たで!!レアやけどそんな場合やない!!ヘルプぅぅぅぅ」

 

「もう無理だZ。全員粛清対象だZ」

 

 

 全員、店主のミアにボコボコにされたとだけ記しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頭いてえ……なんだここ」

 

 

 銀時がガバッと体を起こすと知らない天井だった。

 周りを見渡せばその部屋は一面のピンク。どう考えてもあの部屋である。

 

 

「なんで俺裸……へ?嘘でしょ?K点超えた?超えちゃった?」

 

 

 身に起こった事実を把握し始めた銀時は顔を真っ青に染める。

 キングサイズのベッドの右寄りで寝ていた銀時は左側を向く。するともぞもぞと何かが布団の中で動いていた。

 

 

「かぁぁぁぁぁぁ……………」

 

 

 間違いなくK点を超えた銀時は白目を剥いて倒れ込む。だがこの状況で意識を失う訳にもいかず、もぞもぞさせている存在を確かめるべく布団を手に掛けた。

 

 

「お願いしますお願いしますお願いします。知り合いじゃありませんように」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「K点どころか大気圏ぶち抜いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リヴェリアが産まれたままの姿で寝ていた。

 

 

 

 

 





これからも銀時の戦いは続いていく!

最後までお付き合い頂き有難うございました!

TouAの次回作にご期待ください!!

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