ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか 作:TouA(とーあ)
もう直ぐクリスマスですね。ここで昨晩の友人との会話を載せてもらいます。
友人「もう直ぐクリスマスだなぁ…ダン侍でクリスマスの話書くの?」
TouA「いやその予定は無いよ。読者の皆さんが希望するなら書くけど」
友人「ほーん…彼女とも別れたのに何して過ごすのさ?イヴは日曜だろ?」
TouA「……まぁ予定はあるから」
友人「予定?……お前まさか!?」
TouA「そのまさかだと思うよ?」
友人「この裏切りもんがァァァァァァァァ!(二度目)」
ってことで始めまーす(白目)
「どうしてこうなったんですかっ!!」
「まぁまぁ落ち着け、リリスケ」
僕がアポロン様並びに【アポロン・ファミリア】に啖呵を切った翌日。
古びた教会…僕とヘスティア様の
「これが落ち着けますかっ!戦力差は圧倒的なんですよ!今、ヘスティア様がルールを決めに行ってますけど正直こっちが有利になるようになる可能性は低いんです!!」
リリが声を荒らげながら現状を話す。まぁそれもそうだろう。娯楽を何よりも求める神様達にとって【
「リリ、ヴェルフ」
「何ですかベル様っ!!」
「何だベル」
リリは半分キレ気味だけどヴェルフと同様に真っ直ぐな目でこっちを見つめてくる。リリの怒りは僕や神様を想っての事なのは判っていた。だからこそ僕は────。
「────僕に力を貸してくれないか?」
僕はで二人にそう告げた。
リリとヴェルフは少しの時間だけ驚いた顔をした。それから直ぐにヴェルフは快活に笑い、リリは不満そうに笑顔を浮かべた。
「愚問だなベル。俺は
「ベル様は本当にズルいです……力を貸してくれないか、ですって?リリの力でいいのなら全部貸しますよ!それにリリはいつまでもベル様の隣に居るって決めてますから!!」
「うん、ありがとう」
リリの言葉に少しだけ違和感を感じながら、というより他意を感じながらも僕は断言してくれた二人に心の底から感謝を述べた。
僕を入れた三人の結束を固めているとヘスティア様が帰宅した。その顔は浮かばれない。
「皆聞いてくれ。【
僕は人差し指を神様の唇に当て、神様を最後まで喋らせなかった。
なぜなら、僕達にとってそれ以上の言葉は無粋でしかなく、加えて僕達が欲しいのは神様の謝罪じゃない。
それが伝わったのか神様は唇に当てられた僕の手を両手で優しく握る。そして慈愛の光が灯る瞳で僕達を一人一人見つめ、力強く頷いた。
「そう、だね…やるしか、やるしかないんだ…!!二人共、ベル君に力を貸してくれ!」
「「はい!」」
「ありがとう!」
それからは二人は“
「サポーター君にはボクが付いていく」
「へ、ヘスティア様っ!?」
「ソーマは…というより【ソーマ・ファミリア】は一筋縄ではいかない。だからボクが直々に赴いた方が何かと速い。それは君も判っているだろう?」
「そ、それもそうですが……」
「ヴェルフ君はヘファイストスに。ベル君は【
「わ、分かりました」
話が一応まとまると、僕達は行動を起こした。
神様とリリは【ソーマ・ファミリア】の
「ベル」
「ヴェルフ?」
「俺はもう…意地と仲間を秤にかけるのは止める」
「?」
「いや気にするな……【
「…うん!」
× × × × × ×
ヴェルフと別れたあと、僕は師匠を訪ねていた。この時間帯、大抵師匠は馴染み深い酒場にいる事が多い。案の定、師匠はそこにいた。
「師匠」
「おっベル、呑むか?」
「呑みません」
僕は毅然とした態度できっぱり断る。相変わらずだけど酒はまだ回っていないようだからここに来たばかりなのだろう。僕にとってこの状況はとても都合が良い。
「今から師事してください、お願いします」
頭を下げる。何もせず刻一刻と時間を浪費することを僕は許されていない。
師匠は何も言わない。ただ視線が僕の後頭部を射抜いている事はわかる。死んだ魚の眼であっても僕の本質はしっかりと見抜かれているのだと思う。
「アポロンに喧嘩をふっかけたって俺ァ聞いた。仮にベル自身が【
師匠が僕に問うたことはこの【
「────
顔を上げ、僕は師匠を真っ直ぐ見据えてそう答えた。
師匠は僕の答えを受けて、ニィっと笑い、僕の頭に手を乗せた。それから力任せに僕の頭をグシャグシャに撫でた。痛い。
「よし、行くか」
「は、はい!」
× × × × × ×
「さぁてと、今回の【
「まぁ…そうですね。可能なら、ですけど」
いつもの城壁。日はもう沈みかけている。
僕を刃を交えたヒュアンキントスさんは【Lv.3】。それを含めて【アポロン・ファミリア】は僕と同じ【Lv.2】の冒険者が多い。考え無しに特攻するだけじゃ勝てないのは頭の良くない僕でも分かる。
「オイオイ
「せ、制約ですか?」
「おうよ。【
「え!?」
その制約は僕にとってかなり痛手だ。【破壊衝動】は【Lv.2】の僕にとって【Lv.3】のヒュアンキントスさんの唯一の対抗手段といっても過言では無かった。師匠に師事したのもこのスキルを更に使いこなす事を前提としていたんだけど…。
「ベル、お前は【英雄】に憧憬を抱いて
「は、はい」
突拍子に師匠がそんなことを口にしたから吃ってしまった。
そう僕は絵本の物語に出てくる【英雄】に憧憬を抱いている。今となっては師匠とアイズさんに追い付きたい、隣に並びたいと強く想っている。
「【破壊衝動】は相手を破壊するっつう一撃必殺みたいなもんだろ?格上の奴にそのスキル使って勝利してよ、周りがどう思うよ?」
「えっと…『
「分かってんじゃねェか。それに、何かに
「はい…!」
そうだ。僕が目指しているのは途方も無い遥か高みだ。
何かに縋って相手に勝とうなんて怠惰もいいところ。僕は僕の今まで培った技術と力で勝つ。それだけだ。
「だから今から鍛えるのは“技術”と“心”だ」
「“技術”は分かりますが…“心”ですか?」
「あぁ“心”だ。戦場の先陣を駆けるとき、目の前に在るのは無数の敵だけだ。味方の背なんざ一つも見えやしねェ…お
「だから“折れない”為の“心”ですか?」
艱難辛苦に遭ったとき、不撓不屈の精神を肝要出来るのは己だけ。如何なる時も敵だけを見据える姿勢は想像するよりよっぽどしんどいものだと師匠は言う。
「そういうこと。いいかベル?俺達、神の“眷属”は
「そう、ですね…」
「だけどな…“心”ってもんは負けた時に経験値が入る様になってんだよ。心魂尽き果てて、膝が折れ、蒼天を仰ぎ見た時、目の前で見えるのァ
師匠の言葉に言葉が詰まる。実感のこもった言葉は僕の考えが甘かったのだと気付かせた。
その“英雄”としての役割を僕が出来るかは分からない。僕は皆に支えられてここまで来たんだ。誰かを指標になるなんて、誰かの“
「……うっし、やるか」
「は、はい!」
× × × × × ×
半日経ったその日の夜。
ふらふらした足取りで
「おかえりベ────だ、大丈夫かい!?」
僕に慌てて駆け寄ってくれたのはヘスティア様だ。このまま意識を手放したいけれど何となく格好悪いので意地で耐える。
リリが運んで来てくれた水を飲んで辺りを見渡すと、神様、リリ、ヴェルフ、そして【タケミカヅチ・ファミリア】の
「ベル殿、私も一緒に戦わせて下さい!貴方には返しきれない恩がある!」
「恩なんてそんな……でも、宜しくお願いします。
「はい!」
「ヴェルフ、リリ」
「改めて宜しく頼むぜ、団長」
「や、やめてよ、ヴェルフ」
「改めて不束者ですが宜しくお願いします、ベル様」
「う、うん」
「サポ〜タ〜くぅ〜〜ん?」
いつものように神様とリリがじゃれあっている中、僕はヴェルフから『牛若丸弐式』が出来上がった、と報告を受けた。【Lv.2】になり『上級
三人が【
「一つだけ懸念があります」
そう口にしたのは
「私もアポロン様主催の『神の宴』に参加していました。ですからベル殿の啖呵も喧嘩を買った様子も目にしています」
「それがどうかしたんですか?」
リリが問う。僕もあの場に懸念があるようには思えない。既に双方の合意を為した上で【
「確かに【
嫌ぁな沈黙がこの場を支配する。耐え切れなかったのかリリがゴホンと咳払いして口を開いた。
「とにかく気を付けましょう。狙われるのはベル様だけとは限りません。既にもうギルドで【
リリの言葉に頷く。
リリと
× × × × × ×
「はぁ…ベル」
「言わなくていいよヴェルフ。僕も同じ気持ちだから」
ヴェルフの鍛冶場で『牛若丸弐式』を受け取ってから暫く歩いたある場所で。
僕達を後から
「フラグ回収早くないか?」
「そうだね…」
ぞろぞろと進路方向の奥に現れる冒険者。全員が漆黒のコートを着用し、フードで顔を隠している。背後の人らと合わせれば二十人近い。それぞれが個々の得物を、槍、太刀、短刀、大剣…数えるのも億劫だ。
僕とヴェルフは静かに抜刀する。僕は『牛若丸弐式』だけを抜刀し、片方は魔法を撃つようにしている。体が十全じゃない以上、魔法を頼るしかない。
「────ッ!」
列を為して一斉に敵が襲い掛かってくる。
正面から迫った剣撃をナイフで切り払う。すかさず迫る槍を弾き、続く攻撃をギリギリのところで回避する。間断なく攻めかかってくる相手の冒険者の統率に惚れ惚れしつつも確実に反撃を加えていく。
「【ファイアボルト】!」
乱れたところにすかさず魔法を撃ち込み、着実に戦力を削いでいく。人数が人数な上に統率が取れているからヴェルフを気にかける余裕が無い。
「【燃えつきろ、外法の
ヴェルフの超短文詠唱魔法。
「前見ろベルッ!」
どっと疲労が押し寄せる。ヴェルフの言葉が僕に警告を叩くが視界が点滅する。死力を振り絞り、声にならない声を吐き出しながら立ち上がる。
「────ッ!」
振り下ろさせれる凶刃を
「ベルッ!」
突然視界が真っ黒に染まる。
ヴェルフが僕に覆い被さっていると気付くには暫くかかった。そして覆い被さっていたヴェルフが徐々に僕に体重を預け始めることに恐怖を覚えた。
───────。
「ヴェ、ヴェルフ……?」
ヴェルフの背には矢が数本刺さっていた。
絞り出した声は震えていた。ヴェルフは僕にむかって無理矢理笑顔を作り、僕の胸に拳を当てた。
「いいか…ベル……お前にしか出来ない仕事がある様に…俺には『団長を護る』っていう仕事があんだよ…」
騒ぎを聞きつけたのか雑踏が五月蝿い。一人を仕留めたら良かったのか周りにはもう冒険者の姿は無かった。
僕は慌ててポーションを探す。ヴェルフは血を流しながらもそれでも言葉を続けた。
「俺が…【
絵本の一節を想い出す。
“英雄”とはただそこに立つだけで、味方の気配だけでなく敵の気配ごと戦場を変える者だ、と。
“英雄”とならきっと奇蹟を引き起こせる。どんな絶望の状況下でもそんな“幻想”抱かせてしまう罪な生き物なのだ、と。
故にその光に惹かれどれだけの仲間が散ろうとも、どれだけの敵が散ろうとも構いはしない。振り向きもせず、ただ前を向き、“英雄”は走るのだ、と。だからこそ人は────。
────何があろうともその背中を追いかけ、前へ進む事が出来るのだ、と。
師匠だけじゃない。ヴェルフもその役目を僕がやれ、という。
僕の何が皆を惹き付けるのか分からない。僕は“英雄”に憧れたただ一人の弱い人間だというのに。支えてくれなきゃ立ち上がる事も出来ない矮小な人間だというのに。
「だからよぉ、ベル……止まるんじゃねぇぞ」
それでもヴェルフは止まるな、と。前を向いて進み続けろ、と。そう言うのだ。それが“
《ベル・クラネル》 【Lv.2】
二つ名《小鬼》
【 力 】 :SS 1088
【耐久】:SS 1029
【器用】:SSS 1388
【敏捷】:SSS 1348
【魔力】:A 883
【幸運】:I
────【
きぼうのはな〜つないだ絆を〜〜
ヴェルフは死んでません。ちゃんと生きてます。
次回予告の内容が半分くらいしか入ってませんがそれはまた次回に。
今回はベルの“心”の成長のきっかけです。まだまだ高○になるには器が足りてませんから。
ではまた次回!感想、評価お待ちしてます!!