「かなちゃんもう少しゆっくり歩いてよー」
俺はいま、奏と茜と共に登校している
編入試験も無事合格し、今日からみんなと同じ高校へ通うことになる
その為、今日は色々な手続きがあるらしく俺はみんなより早く家を出ようとしていたところ、ちょうど奏と茜も用事で早く登校しなくちゃいけないらしく一緒に行くことにした
「…にしても…茜、少しくっつきすぎじゃないか?」
茜は奏に後ろから抱きつきながら歩いていた
極度の人見知りなのはわかるけど、逆に目立ってるぞ
「だ、だって、離したらかなちゃん絶対走って逃げるもん」
「逃げないわよ、人前で全力疾走なんてはしたない事するわけないでしょ?」
笑顔で吐き捨てる奏
…こいつ、絶対逃げる気だわ
「そ、そう?絶対?絶対だからね」
そう言って腕を緩める茜…がその瞬間
「「あ」」
奏さん全力疾走
それを必死で追いかける茜
なにやってんだあいつらは…
別に急ぎではないが、一応心配なので俺も早歩きで2人を追いかける
するとしばらくして突然、路地裏から茜が道路に向かって飛び出した
「っ!?」
茜が向かった先には子猫が
しかし、大型トラックが向かってきていた
おい!あの速度、洒落になんねぇぞ!このままじゃぶつかる!
咄嗟に駆け出す
その時だった、トラックが茜にぶつかる直前で奏が間に入り、巨大な黒い壁を生成しトラックを止めた
なんだあれ!?トラックの衝撃を完全に止めただと!?
いや、そんなことより2人は!?
…どうやら無事のようだな
「…よかった…2人とも大丈夫かーーな!?」
その気が緩んで思わず足を止めた一瞬だった
「…え?」
奏の生成した壁が歪みだした
咄嗟過ぎて生成が不安定だったのか!?
いや、理由なんか今はどうでもいい
「ーーっそが!」
間に合えぇぇえ!!
ーーーーーーー
間一髪の所で生成が間に合った
それは強力な衝撃吸収材
よかった、なんとか間に合った…
「体は普通の女の子なんだから無茶しないで!」
私は思わず茜を抱き締めた
こんな子でも大切な妹、もしもの事があってはならない
しかし、茜の無事を確認してほっと安心しきっていた時だった
「…え?」
生成した壁が歪み始めた
そんな!生成は間に合ったはず!!
咄嗟の出来事過ぎて不安定だったの!?
そう考えるのに時間は感じなかった
これも一種の走馬灯?
時の流れが長く感じた
歪んだ壁は次第に崩れ、すでに原型を留めれずにいた
咄嗟に茜を勢いよく突き飛ばす
いまの私に出来る精一杯の行動だった
ーーあ、ぶつかる
迫り来る痛みを覚悟して強く目を閉じる
……あ…れ?
しかし、一向に痛みは襲ってこない
恐る恐る目を開けると
「…ふぅ、なんとか間に合った!」
「…ふぇ?…お兄、ちゃん…?」
「おう、無事か奏」
そこには息を切らしながらも笑顔を向ける兄の顔があった
「…ここは、天国?」
「あほ、滅多な事言うんじゃねぇ」
そう言ってお兄ちゃんは私にデコピンをした
「かなちゃん!翔ちゃん!二人とも大丈夫!?」
「あぁ、なんとか無事だ、茜も怪我とかしてないか?」
「うん!かなちゃんが守ってくれたから!」
下から茜が声をかけてくる
よかった、茜は無事なようね
…え?下から…?
「ーーっ/////!?」
そこで初めていまの状況に気づく
お兄ちゃんは建物に突き刺した剣を片手で掴みぶら下がりながら、もう片方の手で私を抱き抱えていた
一気に顔に熱がこもるのが自分でもわかった
「茜、降りるから少し離れてな」
「わ、わかった!」
「え?…ひゃあ/////!!」
お兄ちゃんは剣を握る手を離し私をお姫様抱っこで抱えて地面に着地し、私をおろす
ーーーーーーー
ふぅ、なんとか間に合ってよかった
俺は走りながら呼び寄せた剣を投げ、剣が奏の横を通過する瞬間にワープし、そのまま飛んで建物に刺さり止まった剣に、奏をかっさらいながら連続でワープしたのだ
上手くいってよかった…
初めてしたってのは…うん、黙っておこう…また後が怖い
奏も茜も無事
これで一件落着…じゃねぇよ!
「おい!危ねぇだろ!!…て、お、王家の長男!?それに次女と三女も!」
問題のトラックの運転手が降りてきて怒鳴る
危ない?どの口が?…あんた何キロで走ってたよ?あ?
それに俺らが王家じゃなけりゃ問題なかったのかよ?
「急に飛び出してご迷惑をおかけしました、申し訳ないです」
さすがに思ったことを口に出すほど俺は弱くない
それに王家の評判や父さんの面子にも関わるからな…ここは穏便に済ませておこう
ただ、
「しかし、そちらも明らか法廷速度を超えていたとように思えました。もし家の可愛い妹達になにかあった場合、俺は決して黙ってはいないので、今後お気をつけください?」
笑顔で言い放つが、あえて伝わるように殺気も込める
「は、はい!ももも、申し訳ありませんでした!」
俺の殺気に怯んだ運転手は急いでトラックに乗り去っていく
これでよし…じゃなかった
まだ肝心の問題が残ってた
さっき俺が剣で刺した建物だ
あーあ、綺麗に穴空いてるわ…
それから建物の管理人さんに謝罪をし、城に修復のお願いの電話をしといた
ついでに、奏が生成した壁の残骸の回収も
ほんとに申し訳ない
ちなみに、先程呼び出した剣は2代目国王、賢王の剣
俺が一番最初に手にした歴代王の遺品なのだが
これはまた別の話
そして俺達はようやく学校へ到着した
「ありがとね、かなちゃん!翔ちゃん!助けてくれて」
「なに、兄ちゃんだからな…それに茜を助けたのは奏だ…立派だったよ奏」
茜に返事をしつつ奏の頭を撫でる
「わ、私も姉として当然の事をしたまでです/////!」
「ありがとうかなちゃん!」
そう言って奏に抱きつく茜
「こら、離しなさい/////!…それと、お兄ちゃん、助けてくれてありがとう、それに、その、相手の運転手に怒ってくれたのも嬉しかった////」
「うん!翔ちゃんすっごくカッコよかったよ!」
「言ったろ?兄ちゃんだからな、お前達を守るのが使命なんだよ!」
そう言って2人の頭を撫でる
「…私もいつか支えれるように…(ボソッ」
「ん?なんか言った?」
「な、なんでもない!/////」
そう言って先を歩く奏
「あ、そうだ、お金使わせちゃってごめんね!いくらしたの?私払うから」
「いいわよ、そんぐらい。どうせあんた貯金なんて全然ないでしょ?」
ふと、茜が言い出す
「は、払うって!バ、バイトして貯める!ねぇ、いくらしたの?」
「…4000万」
「…よ、よん、せん…?」
茜の思考が停止した
茜には絶対に無理な金額だわ
「ぜ、絶対返すから!」
「だからいいってば…」
「茜…お前には無理だ、甘えとけ」
そう言って、俺は2人とは別れ職員室へ向かう
ちなみに、奏は株が趣味で貯金はたしか、国家資産並みだったか?…いや、もう考えるのはやめよう…