「あつーい。」
「言うな光、よけい暑い…。」
夏休みに入ったものの特にする事もなく、俺は光とリビングのソファーでアイスを食べながら暑さと戦っていた。
輝と栞は目の前でアニメを見ている。
岬は中学校の部活の助っ人、遥はその付き添い。
奏は生徒会の仕事で学校へ。
葵は部屋で茜に勉強を教えて宿題の手伝い。
修は学校のみんなで遊び…青春だなぁ…。
と、ふと流れたCMを見て、
「これだ!」
光が立ち上がった。
「ってことで葵、言ってくるわー。」
「うん、お願いね翔君!光、輝、栞、ちゃんとお兄ちゃんの言うこと聞いてね!」
「「「はーい!」」」
「プールだー!」
こうして俺、光、輝、栞の4人は最近新しく出来た大型プールの施設に来ていた。
「おい光、走るな転ぶぞー。輝、栞、俺から離れるなよ?」
「「はい兄様(さま)!!」」
にしても広いなー。
国が直々に資金出して作ったらしいこの施設。
巨大スライダー、流れるプール、波出るプール、南国を思わせる砂浜や木々、ずらりと並ぶ売店
そして何が凄いかって、
完全室内の温水プールな為、季節・天候関係なし。
…素晴らしいな。
国も粋なもの作りやがる。
父さんと楠さんもずいぶんと思いきったものだ。
「ねえねえしょうちゃん!これ乗ろうよ!」
そういってメインもメイン、巨大スライダーを指差す光。
「お、これ保護者同伴なら小さい子も大丈夫みたいだな」
前回の遊園地みたく栞が乗れないことはなさそうだ。
「栞乗って見るか?」
「うん!」
列に並び俺達の番がまわってくる。
二人ずつ乗れると言うことで光・輝、俺・栞で乗ることになった。
「ひゃっほーう!」
「うわぁぁーあ!!!」
スライダーの奥から輝の悲鳴が響いてくる…。
輝、怖がりだからなー。
「それじゃ栞いくぞ?」
「…う、うん。」
栞を前にして俺達も滑る体制にはいる。
先ほどの輝の悲鳴や初めての体験ということもあり少し不安そうな栞、大丈夫かな?
「ふぅ…思ったより長くて楽しかったなー。栞どうだった?怖くなかったか?」
「うん!すっごく楽しかった!」
「そうか!よかったな!」
そういって目を輝かせる栞。
どうやら要らない心配だったらしい。
「栞、怖くなかった?」
「うん平気だよ!輝お兄ちゃん!」
「え!?そ、そうか…そうだな…!たしかにあんまり怖くなかったからな!」
「…ふーん、ならもっかい乗る輝ー?」
「い、いえ!ぼ、僕はいいです、光姉様!」
強がって頑張って栞にお兄ちゃんとしての威厳をアピールする輝とそれをわかっていてからかう光。
…やめたげてお姉様。
それからしばらく、何種類かのプールを回った俺達は休憩がてら売店でかき氷を買い食べている。
「栞、ゆっくり食べなよ。」
「うん。」
「…ほら輝。言わんこっちゃない頭痛くなったんだろ?」
「ぼ、僕は平気です兄様!」
「しょうちゃんの何味?一口ちょうだい!」
「ただのみぞれだけどーー「あーん!」…はいよ。」
光の口にスプーンを運ぶ。
奏と岬がいたら、また甘いと怒られそうだな。
「んー!美味しいね!」
「そうか?それは良かった!」
けど、昔の名残かこの笑顔には弱いんだよなー…。
「あ、翔様だ!」
「下のご兄弟も連れてらっしゃるわ!」
「可愛いー!」
「ほんと仲良しだね!」
「私もあんなお兄ちゃん欲しかったー!」
「あの細いくてもしっかりとついたたくましい筋肉、割れた腹筋(ブフッ」
「おい!鼻血吹いて倒れたぞ!係りの人呼べ!」
などと周りが騒がしくなる。
あの人形のゲーム以来、なぜかわからないけど俺の人気が上がり、前回の与論調査では2位、1位の葵に迫る勢いらしい。
なにもしてないはずだけど…。
そもそも俺王になる気ないんだけどなー。
それと、最後の人大丈夫…?
それからしばらくプールを堪能した帰りのバスにて
「ん?みんな疲れて寝ちゃったか…」
光が俺の肩に寄りかかってきて気づいたけど、栞も輝もお互いに寄りかかって眠ってしまっている。
みんなはしゃいでたからなー。
けど、楽しそうで良かった…。
それから最寄りのバス停に到着。
起こすのあれだったので、偶然、少し前のバス停で乗り合わせた修に輝を預け、
俺は光を背中におぶり、栞を抱っこして帰路へつく。
「いやー、偶然とはいえ修がいてくれて助かったわ!」
「いえいえ、それにしても兄さんは本当に凄いですね。」
「なにが?」
「この数ヶ月だけで輝と栞も大分兄さんになついてますし、家族のみんなも以前より沢山笑うようになりました。」
「そうなの?みんな良い子なだけだよ…。それより修は今日どうだった?佐藤さんいたんだろ?」
「知ってたんですか!?」
「いや、そんな気がしただけ…。」
「…まぁ、楽しかったですよ!それより兄さんが佐藤と知り合いだったことに驚きでしたよ。」
「それもたまたま。寄ったカフェの店員さんだったってだけだよ…。」
「なるほど…でも佐藤が感謝してましたよ?背中を押してもらったって。」
「まあ、一応な。…だってあの子昔に修が好きだった子だろ?」
「!?ほんと兄さんには隠し事が出来ませんね。」
「お兄ちゃんだからな!修、あの子真っ直ぐな目をした良い子だよ…。周りの意見は気にするな。お前が、お前達がどうありたいのかだけ考えな?何かあったら相談乗るから。」
「ありがとうございます。」
修とそんな会話をしながら家へと向かう。
「けど、また岬に怒られるんじゃないですか?」
「え?」
「光達だけずるい!って…。」
「あー。…かもな…。」
案の定、家に帰ると腕を組んで膨れた岬が待ち構えていて、今度また遊びに連れていくことになったのは割愛ーー