城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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今日は1話だけの投稿になります。
少し長いです。

タイトル通り今日から3日間学園祭の話になります。


第31話【学園祭 1日目】

「いらっしゃい!いらっしゃいーー!!」

 

「あ!ここのお店行ってみよー!」

 

「これ美味しいー!」

 

今日は我が校の学園祭。

 

年に1度、この季節に金土日の3日間かけて行われる本校の学園祭は国内一の学園祭と言われる程、大きなイベントして賑うらしい。

 

「つか、夏祭り以上の盛り上がりじゃね!?」

 

平日なのにこの盛り上がり!?土日やばいやつじゃん!国負けんなよ!と廊下の窓から外を眺めて一人はしゃいでいる頃、

 

「翔珍しくテンション高いなーどうした?」

「無理もないよ。翔君こういうの初めてだから…」

「そうか、ずっと旅してたからね」

「…うん」

「でしたら思いきり楽しんで貰えるように私たちも頑張らなきゃですね!」

「うん!そうだね!」

 

いつもの4人でそんな会話がなされていた。

 

 

ーーーーーーー

 

翔達のクラスの模擬店はカフェだ。

 

普段からカフェ巡りをしている翔プロデュースのもと、仕込まれた接客技術と、葵や調理部、製菓志望の子らと完成させらたスイーツが売りだ。

 

そしてなにより、

 

 

「いらっしゃいませお客様。本日は当店をご利用いただき、ありがとうございます」ニコッ

 

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」ニコッ

 

「大変お待たせいたしました」ニコッ

 

「ありがとうございました。またのお越しを心よりお待ちしております」ニコッ

 

 

翔の洗練された接客マナーと営業スマイルは女性客から絶大の人気を誇っていた。

 

普段から多くの人の相手をしている王族である翔だからこそ出来ることでもあるだろう。

 

それは、

 

「あの笑顔は反則だろ/////」

「テンションがあがってノリノリな分余計な/////」

「あんな楽しそうな翔君久しぶりかも/////」

「はうあ/////」

 

いつも一緒にいる仲の良い4人ですら顔を赤め見惚れる程の威力だった。

 

「お客様、よろしければお茶のおかわりなどはいかがでしょうか?」ニコッ

「は、はい!お願いします!/////」

 

「まあ、あの笑顔のおかげで儲かってるし良いか」

「「「…うん、まあ」」」

 

もちろんおかわり制度などなく、新たに料金が上乗せされる。

 

翔は商売上手だった。

 

ーーーーーーー

 

「いやーよく働いたー!」

「お疲れ様!翔君大活躍だったね!」

「そうか?ならよかったけど、お客さん達みんなおかわりいっぱいしてくれて良い人達ばかりだったなー!」

「(やっぱり無自覚なんだな…)」

 

そして今日の自分のシフトも終わり一段落ついたので葵と学園祭をまわっている。

 

「さーてどこからまわろうかなー!葵どっか行きたいとこある?」

 

配布されている会場マップを見る。

 

「今日は翔君の行きたいところまわろ!」

「え?いいの?遠慮すんなよ?」

「ううん、大丈夫!」

「そうか?ならさっそくなんだけどーー!

 

マップを見たときから一番最初に行きたいと思っていた。

 

「よ!修!それに花ちゃんも!」

「花ちゃんこんにちは!」

「あ!翔さん、葵さん!こんにちは!」

「兄さん、姉さん。来てくれたんですか」

 

修達のクラスのクレープ屋だ。

 

「そりゃお前、花ちゃんのクレープが食べれるんだぞ?来るに決まってるだろ!」

「そうだね!花ちゃんのクレープ美味しいもん!」

「え!?兄さんと姉さんいつのまに食べたんです!?」

「翔さんと葵さんはたまにうちのバイト先に来てくれるんだよ!その時に!」

 

そう、花ちゃんのバイト先は最早俺と葵の行き着けとなっていて、あこの店のクレープが何より美味い。

 

そして、他の店員では俺達に緊張して裏で何枚も失敗していると花ちゃんに聞いて以来、花ちゃんが俺達の専属みたいになっている。

 

花ちゃんも大分俺達に馴れてくれたし嬉しいなー。

 

俺も花ちゃんと下の名で呼ぶくらいの仲にはなっている。

 

「なんだ?修、食べたことないの?ぷーくすくす」

「っな!?」

「…翔君…」

 

修をからかう俺を見て、呆れて苦笑いを浮かべる葵。

 

「ほーう、花ぁ、身内から攻める作戦かぁ?」

 

奥からこちらに手を振りながら瞳ちゃんと早乙女さんが出てきたので俺も手を振り返事をしながら、

 

「なるほど、そういうことだったのか!?これはしてやられた!」

「ちょ、瞳ちゃん!?翔さんも!?そんなつもりじゃ!」

 

瞳ちゃんの冗談に乗っかり二人で花ちゃんをからかう。

 

「ははは、冗談だよ!けど花ちゃん、本当に俺の妹になんない?」

「に、兄さん!?/////」

「ええ!?い、いいいい、妹だなんて!?つまり私と櫻田くんが…そんな、私まだ心の準備が…!/////」

 

顔を真っ赤にして慌てる修と花ちゃん。

 

もういいよ、早く付き合えよお前ら。

 

「もう翔君!翔君はクレープが食べたいだけでしょ?」

「ありゃ、ばれた?てか、花ちゃん焦げてるよ…」

「え?ああ!?」

 

そんな会話で盛り上がった後、当初の目的通り花ちゃんのクレープを食べて満足した俺達はその場をあとにした。

 

「そういや、奏いなかったな」

「奏は生徒会役員として校内の見回りとかがあるから忙しいんだよ」

「あーそういや卯月も出張ってたな」

 

そんな会話をしている内に次の目的地へと到着。

 

「よう花蓮!」

「こんにちは花蓮ちゃん!」

「あ!翔さん!葵さんも!こんにちは!来てくれたんですね!」

「おう、売り上げに貢献しに来たよ!」

 

この子は鮎ケ瀬 花蓮(あゆがせ かれん)

 

茜のクラスメイトで、茜の幼馴染み。

 

昔からよく家に遊びに来たりして、俺のことも兄のように慕ってくれている。良い子だ。

 

「ここっておばけ屋敷だよな?」

「はい!そうですよ!」

 

茜達のクラスはおばけ屋敷らしい、のだが…

 

「ひぃぃぃい!ご、ごご、ごめんなさいぃぃ!」

 

中から脅かす側のはずの茜の悲鳴が聞こえてくる。

 

「…おばけ、だよな?」

「…はい、一応…」

 

苦笑いを浮かべる俺達3人。

 

「…ま、まぁ、とりあえず入ってみようよ!」

「あ、ああ、そうだな」

 

 

「ぅ、ぅぅ、ぅ、うらめしやー(ボソッ」

「「…」」

 

…なんだこいつ。

 

「っは!翔ちゃんに葵お姉ちゃん!?…うらめしやぁぁあ!!」

「はいカットぉ!何事もなかったかのようにテイク2入るんじゃねえ!(ピコッ」

「あぅ!?」

 

思わず、ピコピコハンマーを呼び出して、真顔でやり直すおばけの茜の頭を叩いてツッコミをいれる。

 

「なんだ最初の蚊みたいな声は!?あれで脅かしてたつもりか!?んで、何2回目やってんだよ!いけると思ったのか?最早その根性が怖いわ!」

「うぅ、だ、だってー。知らない人も来てるから…」

 

頭を押さえながらそういう茜。

 

どこの世界に挙動不審のおばけがいるんだよ。

 

こんなんで明日明後日大丈夫なのか?

 

「でも茜、いまのじゃさすがに…」

「ほら見ろ茜。あの葵ですら対応に困る有り様だ!」

「す、すみません」

「なんかないの?こう、能力で物浮かせてポルターガイスト、的な」

「む、無理だよ!触れてないと浮かせれないもん!」

「そうか。ならせめて自分だけでも浮いてろ。それだけでも雰囲気は出る」

「な、なるほど」

 

こうして客であるはずの俺による、おばけ講座が始まった。

 

なにしてんだろ、俺。

 

 

「わー思ったより暗いですね奏さん!」

「もう。付き合えるのはこの休憩の間だけですからね?」

「わかってますよー!」

 

おっと、こうしている内に次のグループが来てしまった。

 

会話と声から察するに奏か…ちょうどいいな。

 

そして俺はニヤッと笑い、手本を見せてやると、茜と葵に隠れているような指示して、短刀1本呼び出し足元に置いておく。

 

 

そして、2、3歩進んだところでしゃがんでうずくまる。

 

「あれ?誰かいますよ!」

「本当ですね、あの大丈夫ですか…?ってお兄様!?」

 

奏一行が俺に近づき、先に置いた短刀を越えたところで、

 

「ーー!?」

「き、消えた!?」

 

短刀にワープし、背後へまわり、

 

「…奏、愛してるよ(ボソッ」

 

奏の耳元でそう呟いた。

 

「ーー!?/////」

 

すると奏は声にもならない悲鳴を上げて、力が抜けたようにその場でしゃがみこんだ。

 

「あははは!どうだ、茜、葵!この奏の驚き様は!」

「…はぁ…翔君…」

「しょ、翔ちゃん/////」

 

そう笑いながら2人を呼ぶと、葵は頭を抱えて溜め息をつきながら、茜は顔を赤くしながら出てきた。

 

「なんだよ2人とも、その反応は」

「…本当、そういうとこあるよね…」

 

「ぅお兄ぃ様ぁあ?」

「どうした、かなーーひぃ!?」

 

足元から奏でに呼ばれ振り向くと、奏が黒い笑みを浮かべてこちらを見ていた。

 

やばい、この笑顔はやばい。

 

「いや、ね?奏ちゃん!ほら、茜に脅かし方をレクチャーしていてですね…」

「へー…それで、なんでこんな脅かし方になったんでしょうか?」

「えーとですね、何て言うか、そのーー「まあいいです」え?」

「今日はせっかくのお祭りです。お話は帰ってからじっくりしましょうね?」

「…は、はい…」

 

終わった…俺の人生。

 

さらば、愛しの家族達。

 

その愛しの家族の1人に消されるんだけどね…ふ。

 

「!?翔ちゃんがどこか遠い目をして燃え尽きていく!」

「今回は翔君が悪いからいいのよ茜」

 

あ、葵にまで見放された…。

 

「ふ、ふふふふふ」

「ぶ、不気味な笑いを!?か、帰ってきて!翔ちゃぁぁぁあん!!」

 

さらに真っ白になっていく俺を見て半泣きで俺の体を揺する茜。

 

いま、この状況を見た者はみんな思うだろうな。

 

なんだこれ、と…。

 

その後、騒がしさがいい加減心配になった花蓮が見に来くるまでこの状態が続いた。

 

 

「ん、んん!お、お兄様?/////」

 

咳払いをして手を出してくる奏。

 

「な、なんでしょうか奏…様」

「「「…様って…」」」

 

苦笑いを浮かべる周りはおいておいて、

 

「あの…その…ですね。こ、腰が抜けて…/////」

「「「(なんだこの可愛い生き物は)」」」

 

恥ずかしそうにもじもじしながらそう言う奏に、その場にいた全員がそう思ったのは間違いないだろう。

 

ほら、やっぱり脅かし成功じゃんか!と、思ったけど言わないでおこう…。

 

「あ、ああ、そういうことね。ーーよっと!」

「ひゃあ!?/////」

 

そして奏を抱き上げて、そのままお姫様抱っこで出口を目指す。

 

「お、お兄様、何を!?/////」

「なにってお前、動けないんだろ?」

「そ、そうですけど…/////」

「ならここはお兄ちゃんに甘えて、大人しくしてろ」

「もとはと言えばお兄様のせいですけどね!」

「…返す言葉もございません」

 

「そ、それで…その、さっきの言葉は…/////」

「ん?ああ、愛してるっての?本気だよ?」

「え!?/////」

「俺の大切な家族だ。愛してるに決まってるだろ。俺は家族を愛してるぞ!」

「…ああ、そう」

「あれぇ!?なんで!?急になにその冷めた目は!?奏ちゃん!?なんで怒ってるの!?」

 

そんな俺達を他のみんなは微笑ましく見ていたそうなーー

 

 

 




次回は明日!
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