最近、葵の様子がおかしい…。
話しかけても、どこかよそよそしいし、まともに目も合わせてもらえない。
なぜだ…。
そしてとうとう事件は起きた。
「よし、んじゃ帰るか、あお、い…?」
放課後、葵は逃げるように教室から出ていった。
「…あれ?もしかして、いま俺、逃げられた?」
まさかなー、ははは。
「いや、そのまさかだよ」
「静流!?…人の心を読むなよ…」
「そんな気がしただけよ。…それより、恐らくだけど原因はこないだの劇じゃないの?」
劇の最後の葵とのキスがよみがえる。
「え、いやでも、あれは事故って事で済んだはずじゃ…」
「あんたは良くても葵は女の子だよ。それに初めてだったんじゃないの?」
静流にそう言われ一気に血の気が引いた。
普段から菜々に鈍感だの無神経だの笑われている俺だけど、その事の重大さぐらいはわかる。
「そもそもちゃんと謝ったの?」
「…あ」
「…追う!早く!ダッシュ!」
「はいぃ!…あ、静流ありがとな!」
静流に怒られ急いで葵の後を追う。
ーーーーーーー
「…はぁ。みなまで言わないとわからないなんて…」
「あははー、ほんっと翔はアホだなー」
「菜々緒、まあたしかにそうだね、少なくとも2人の女の子に苦労はさせてるね」
「2人だけで済んでればいいんだけどねー」
「…いつまでもこの調子なら、一回死ねば良い」
「あははははは」
ーーーーーーー
「にしても葵の奴どこ行った!?」
いつもの通学路で帰ってないのか、一向に葵は見つからない。
「…こうなったら」
携帯電話を取りだしある人物に電話を掛ける。
「ーーもしもし曽和さん?うん俺。ちょっと急ぎて調べて欲しいことがあるんだけどーー」
『ーー翔様。次の交差点を右折です』
「りょう、かいっと!」
城の監視カメラの映像を見る曽和さんから電話越しに指示を貰い、住宅街の屋根の上を能力で飛び回る。
素直に道を走るより、こっちの方が断然早いからな。
『それにしても、翔様?またなぜ葵様を追いかけてるんです?』
「…色々ありまして…」
『…はぁ。どうせまた無神経な事したか言ったんでしょう?』
「な、なぜそれを!?」
『何年ご一緒させて頂いてると思ってるんですか?詳しくはまた今度お伺いします…その先、4本目の道に葵様がおられます』
「…はは、お手柔らかに頼むよ。ありがと!」
『それではーー』
そこまで話し、電話を仕舞い葵を見つける。
「見つけたっ!」
「!?」
「苦労したぞ葵!…ってなんて格好してんだよ?」
道を歩く葵の前に降り立つと、葵はグラサンにマスクとなんとも怪しい格好をしていた。
まあ今は葵の格好の事はどうでもいい。
そんなことよりもだ、
「…あの、さ…こないだの学園祭の劇の事なんだけど…ごめん!事故とは言え葵には本当に悪いことしたと思ってる!」
全力で頭を下げて謝る。
他の人の通行人もいたけど構うもんか!
周りの目なんかより葵との仲のが大事だ!
「そ…そ、それはーー/////」
「?」
「それはもう気にしてないからーー!/////」
「え?そうなの?ーーって!?葵!?」
そう言って頭を下げる俺の横を走って通りすぎていく葵。
だからなんで逃げるんだよ!
けど、そうか…あの事で怒ってたんじゃないのか。
よかったー…
なら、
「だったら、なんで逃げるんだよ!?」
俺も走って葵追いかける。
「おい!」
しかし、一向に葵に止まる気配はない。
それからしばらく走り続けたが、疲れたのか葵が立ち止まり、俺も走るのをやめて近づこうとすると、
「ーーないで!」
「え?」
「だから来ないで!今日はもうほっといて!!ーーあ!?」
葵が叫び、なにやら慌てて口をふさいだ。
顔は隠れているけど、青ざめている感じもする。
そして問題はその後、
「「「はい、葵様」」」
周りにいた他の通行人達がそう言い去っていった。
「!?」
これってもしかして…
「葵…ってまたかよ!」
また走り出す葵。
いまの葵を見といて、ほっとけだって?ふざけんな!
「嫌だ!」
「!?」
そう言って葵の前にワープし、葵を捕まえる。
「ーー!?え、なんで!?翔君?」
「なんでって何がだよ」
「かかってないの…!?」
「かかるって何が?…あー葵の能力のことか?」
葵の本当の能力、
その名の通り、相手を服従させる能力。
さっき葵の言葉を聞いた通行人達が、従いその場を去ったもそれが原因だ。
「…なんで!?
「
能力暴走期間。
俺たち王家の者には定期的に能力が制御できなくなる期間があり、それをブレイクアウトと言う。
「そんなことより、だから!大丈夫なの!?」
「え?…あーそうだな、なんで俺かかってないんだろ?」
「そんな…こんなことって…!?…あ」
「おい葵!?」
そう言ってへたっと力が抜けたようにその場に座り込む葵。
「…大丈夫、緊張が解けて力が抜けちゃっただけ…」
「そ、そうか…」
「…なんで翔君にかからなかったんだろう?」
「んー…さあ?」
「さあって、軽すぎない?こっちは真剣にーー!」
「わかってるよ!うっかりみんなにかけたりしないよう気使ったんだろ?」
「…うん」
「はぁ…。あほ!」
「ぅ!?」
葵に手刀を入れる。
「だからって俺にまで気使って逃げんじゃねえよ!」
「え?」
「俺たちは家族だ。さらにいえば俺はお前の兄ちゃんだぞ?だからいちいち気使う必要なんかない。妹ならもっと甘えてこい!」
「…翔君」
「だいたい逃げるってなんだよ!せめて紙に書くとかして事情ぐらい教えてくれてもよかったろ?」
「…あ」
こいつ…必死だったのはわかるけどさー。
「いいか葵!俺にお前の能力は効かない!だからこれからは何も遠慮するな!妹は素直にお兄ちゃんに甘えてな!」
そう言って葵の頭を撫でる。
「…翔、君/////」
「どうした?なんか顔赤いぞ?」
「な、なんでもない!/////」
慌てて顔をそらす葵。
「?まあいいや。とりあえず帰るぞ」
「う、うんーーあれ?」
「どした?」
「…力が入らない」
そう言って困った顔をする葵。
「こないだの奏といい…今度は葵かよーー」
「ーーなんで私はおんぶなの?」
背中の葵が文句ありげに言ってくる。
「だってさすがに家までの距離お姫様抱っこははずいだろ…」
「…た、たしかに」
「そもそも奏をおんぶしてみろ、あの国宝級のたわわが背中に当たってしまう!」
「…ふーん。つまり、私の胸なら良いってことかな?」
「ちょ、葵ちゃん!?絞まってる絞まってる!!」
おぶさる腕を絞めてくる葵。
「…私の胸がタイプって言ったくせに(ボソッ」
「え?なんて?」
「なんでもない!/////」
なに怒ってんだこいつ?
「とりあえず逃げた理由はわかったけど、最近よそよそしかったのはなんで?」
「え…そ、それは…/////」
「ん?」
「な、なんでもない!(劇の事が気まずくて目も合わせれなかったとか言えるわけない)/////」
「は?なんだよそれ…?」
「(それに翔君はなんも気にしてないみたいだし1人悩んでた私がバカみたい…なんかちょっとムカつく気もするけど、)もういいの!/////」
「…そうかい」
まあ、機嫌直してくれたみたいだし良しとするか。
「いつもありがとう、お兄ちゃん!」
「…?なんだよ急に、照れるな」
「ふふ、なんでもない!」
そう背中で笑い俺の肩をぎゅっと握る葵の手は、少し熱がこもっていた気がしたーー
「ーーなにか言い残すことは?」
家につき、玄関の扉を開けると奏と遭遇。
目の前で腕を組み黒い笑みを浮かべる奏。
騒ぎを聞き付け降りてきた岬に至っては
「劇だけにこりず、おんぶまで!葵姉ばっかりずるい!翔兄のバカ!バーカ!帰れよ!」
と泣きながら部屋に走り去って行く始末。
あとが怖いから、あとからお菓子でも持って機嫌とりに行こ。
「え、いや、奏ちゃん?これには事情がありまして?」
「言い訳無用!」
そう言って俺の制服の襟を掴み俺を引きずっていく奏。
ってあれ?葵!?お前いつの間に降りて!?
てか、立てたのかよ!いつから!?
そう思いながら葵を見ると、
笑顔で舌を出してウィンクをされた。
あいつ…確信犯か!
「…まったく」
「お兄ちゃん?今日という今日はただじゃおかないから!」
「…お手柔らかにお願いします」
今回だけは多目にみてやるかーー
翔と葵のその後でした!
翔に能力が効かない事を知り改めて兄の凄さと大切さを実感した葵。
今後どのように心境が変化していくのかも楽しみにしていてください!
そして、久しぶり曽和さん!
来週から新章に入る予定です!
そこでは曽和さんを含む翔の部下のオリキャラ達が出てきます!
お楽しみに!