城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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第38話【新年会と写真】

「翔様、お会いできて光栄です!」

「翔様、今度せびとも我が国へお越しに…」

「翔様!私と結婚してください!」

 

「あ、あははは…」

 

さきほどのゲームの後、俺達兄弟は毎年他国を招いて行われる国同士の新年会のパーティーへと来ていた。

 

もちろんみんなドレスコードも完璧、正装済みだ。

 

うん!みんな可愛いし、カッコいいぞ!

 

 

6年ぶりの長男の参加とだけあり、先程から色々な国の人達に囲まれている。

 

興味関心やご機嫌取りとそれぞれ目的は違うんだろうけど…最後の人は聞かなかったことにしよう。

 

この人達の目的はどうあれ関係ない。

 

正直に言おう、俺は海外が苦手だ!

 

理由は簡単、英語が出来ない。

 

それとなく意思の疎通は出来るが、何を言っているのかわからない、ごめんなさいだ。

 

このパーティーに来る人達はこちらの国の言語に合わせてくれてるからまだありがたいけど。

 

俺が他国に行ってみろ、路頭に迷って死ぬぞ。

 

 

「…はぁ、しんど…」

「お疲れ様ですお兄様」

 

やっとの事で解放され、近くにいた奏のそばへ逃げ込む。

 

「お兄様、海外苦手でしたもんね!」

「…そんなにはっきり言ってくれるなよ」

 

けど、いまはそんな奏の皮肉すら愛しく思うね。

 

他国から解放され、本来に戻った事を実感させてくれる。

 

「それにしても、多くの女性に囲まれて、随分とモテモテでしたね!」

「…どこがだよ?たとえそうでも別に嬉しくーーえっと…奏ちゃん?」

 

奏の言葉に振り向くと、

 

「なに怒ってんの?」

 

黒い悪魔がそこにいた。

 

「え?なんのことですか?」

「え?いや…その…」

「結婚してとも言われていましたね!」

 

訂正、魔王でした。

 

「いや、だから俺海外苦手だから結婚するわけないじゃん」

「…そうですよね!わかってましたよ!ちょっとからかっただけじゃないですかー!もうお兄様ったら本気にされたんですか?」

 

そう言って先程までの黒い笑みなど嘘のように、ぱぁっと明るい笑顔を見せる奏。

 

あれ?魔王は?どこ行った?

 

「魔王?なんのことですお兄様?」

「!?」

 

いや、ここには女神しかいないな、うん。

 

「これ以上邪魔者が増えて、ややこしくされたらたまったもんじゃないわ(ブツブツ」

「え?なんの話?」

「いいえ!こちらの話ですのでお気になさらず!」

「そ…そうか」 

 

 

「なぁ奏、あの人誰?」

 

そう言って、葵と話す男を指差す。

 

「お兄様、こんな公共の場で人を指差すのはやめてください…。あーあの方は南方より来られてる貴族の方ですね。」

「ふーん、なんか葵凄い困ってる感じしない?なに話てんだろ?」

「もう少しで40半ばになると言うのに奥さんもめとらず、お姉様が中学に上がった年から毎年あーして求婚の申し込みを…て、お、お兄様!?」

「…ふーん」

 

…殺す!

 

「んだ?あのくそじじい!俺の可愛い妹に何言い寄ってくれてんの?は?中学から?ロリコンか?あぁん!?」

「お、お兄ちゃん!本音がだだもれなんだけど!?殺意むき出しなんだけど!?」

「安心しろ奏、俺はいたって冷静だ。お前こそ慌てすぎて外出モードが解けてるぞ。…さて、どうしてくれようか?まずはあのムカつく髭でも引きちぎるかーー!!」

「お兄ちゃん!?だめ!落ち着いて!やめてぇぇえ!!」

 

 

その日、他の兄弟達は、

 

1人の男にただならぬ殺気を放つ長男と、

 

その長男に泣きながら抱きついて引き留めるも、力及ばずずるずると引きずられる次女

 

を見た…ような気もしたがきっと気のせいだと思うことにした…。

 

 

殺気を当てられた人物は全身から冷や汗が止まらずその場から逃げ出し、その年から2度とそのパーティーに参加することはなかった…。

 

その男と会話していた葵がどうしたのかと振り返ると、何事もなかったかのように清々しい笑顔で手を振る兄と、泣きながら安堵するいつも冷静なはずの妹がいて、余計困惑したらしい。

 

 

そして、

 

櫻田家の番犬が帰還した。

あの家族、特に姉妹に取り入ろうものなら間違いなく消される、という噂が流れたそうな…。

 

 

しかし、いつの時代、どの場所にも勇者は存在する。

 

 

「お、お兄様…一応聞いておきますけど、あれはいいんでふか?」

 

泣き止み落ち着いた奏が不安そうに指を差す。

 

「おいおい、奏ちゃーん。さっき俺に人を指差すなと怒ったのは君だぜ?さっきから取り乱したりして奏らしくもないぞ?どうした今日は不調かい?」

「お兄様のせいじゃないですか!!/////」

 

怒る奏に、冗談、ごめんとあやまりながら指を差された方に目をやる。

 

あー…

 

「あいつは大丈夫だ」

 

 

先程の葵の一件を見ておきながらも茜に取り入る少年。

 

人々が彼の事を勇者と称えたのは余談だが、

 

 

その少年とは西洋王家の第二王子のアルヴィンだ。

 

歳はひとつ下で修と奏と同い年。

 

 

あいつが昔から茜に気があることは知っているけど、

 

「別に俺が出る必要はないしな」

 

そう言ってもう一度目をやると、修と喧嘩をしていた。

 

茜の場合は、茜ファンクラブNo.2でもある程に茜を溺愛している修がまず黙ってるはずないしな。

 

「…なるほど。翔お兄様はお姉さま、修お兄様は茜。2人して妹が大好きなことで!…どいつもこいつもシスコン共め(ボソッ」

 

不満ありげにそういう奏。

 

「何言ってんだ!俺は奏が男に言い寄られていても同じ態度を取るぞ!」

「お、お兄様!/////」

「まあ、岬や光、まだまだな話だけど栞の場合でも絶対許さないけどな!」

「…ですよねー。わかってましたよ、ええ」

 

どこか遠い目をする奏。

 

人が真剣に話してるのに、こいつ聞いてるのか?

 

「まあ、いずれはその時も来るだろうけどなー。俺は無理強いは絶対許さないけど、お前達がちゃんと選んで信じた相手なら、なんも文句は言うつもりはないよ…」

 

ま、寂しい事にかわりはないけどな…と奏の頭を撫でる。

 

「…お兄ちゃん以上の人なんているわけないもん(ボソッ」

 

どこか納得のいってない感じだなー…。

 

いまはまだ想像もつかないのかな?

 

無理もないか…。

 

 

見当違いも甚だしかったーー

 

 

ちなみに、

 

葵、岬、光がそれぞれ誕生日に翔から貰ったものをしっかりと身に付けていたの余談。

 

 

 

それから新年会のパーティーも終わり

 

 

翌日

 

リビングにて、

 

 

「あ!見てみて!この写真ーー」

 

「ほんとだ良く撮れてる!」

 

「あ、ボルだ!」

 

この1年の間に俺が撮った写真を整理してアルバムに入れるのをみんなに手伝ってもらっていた。

 

毎年年始に、年ごとにアルバムを分けて保管してあるのだ。

 

 

「ぷ、あははは!このかなちゃん最高!ナイスタイミングじゃん!」

「だろだろ?ぶさかわいいだろ?」

 

光と奏がくしゃみをする瞬間をとらえた写真を見て爆笑していると

 

「光?お兄ちゃん?ちょっとあっちでお話しましょう!」

「「…はい」」

 

 

「あははは!兄さん!これはさすがにやばいですよ!」

「ば、やめろ修!せっかくおさまったのに鬼を刺激をするな!」

「そ、そうだよ修ちゃん!はやく隠して!」

 

修が手にしてるのは、昼寝をしている奏の鼻にボールペンをさすというイタズラを光とした時の写真

 

「光?お兄ちゃん?もう1回お話しましょうか!あ、修ちゃんも一緒にね!」

「「「…はい」」」

 

 

とまあ色々あったけど大方片付いた。

 

「いやー助かった!ありがとみんな!」

「ううん!いっぱい思い出も振り返れたしむしろ楽しかったよ!」

 

そう言って笑う茜の頭を撫でて、アルバムを持つ。

 

「あ、1枚落ちたよ!…あれ?ねえ翔ちゃん、この人達誰?」

 

そう茜が拾った写真には俺を含む8人の男女。

 

「どれどれ?…このメイドさんは満姫さんだよね」

「あ、ほんとだ」

 

他のみんなもその写真を覗きこむ。

 

「この人達、昨日お城にいたよ?パーティーの時しょうちゃんと話してた!」

「じゃあお城の人達?」

「良く見てたなー光。そうだよ、そいつらは俺の部下だ」

「部下?」

 

俺の言葉に?を浮かべる茜、岬、光、輝、栞。

 

「なに?あんた達知らなかったの?お兄ちゃん国の軍のNo.2なのよ」

「なんばー、つぅ?」

「まあ、まだだけどな…正式には高校卒業してからだし…」

「実質そんなようなもんじゃない」

「え?え?ちょっとどういうこと?」

 

困惑している5人。

 

「国を守ってる軍隊がいるだろ?それの最高指揮官が楠さん、これはみんな知ってるだろ?」

 

遥の言葉に首を縦に振る5人。

 

「兄さんはその次に偉いって事だよ」

「「「…えぇぇぇえ!?」」」

 

「翔ちゃんってそんなに偉い人だったの?」

「え、まあ…それなりには」

「王女である姉さんも十分偉くはあるんだけどね…」

 

「まあ、これでも一応は1つの隊を任されてる身だからねー…そいつらはその俺の直属の部下だよ」

 

「翔兄がそこまで凄い人だなんて知らなかった!」

「しょうちゃん凄かったんだね!」

「かっこいいです兄様!」

「兄さま、凄い人!」

「そうだろ?もっと誉めてもいいぞ!」

 

 

「そうだな…じっくり話したこともなかったし聞かせてあげるかな!」

「え?なになに!?」

「俺が旅の間の話だよ!」

 

そう言って6冊のアルバムを取り出す。

 

旅をしてた6年間分の写真が入ったアルバムだ。

 

「やったー!」

「へえ、私も興味あるなあ!あ、じゃあお茶淹れるね!」

 

そしてソファに座り、葵が淹れてくれたお茶を受け取り、アルバムを開くーー

 

 

これは俺の6年間の旅の話

 

俺達、王の剣(キングスグレイブ)の話ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 




来週から新章、王の剣編です!

翔の6年間の旅の話なので原作キャラ達がほとんど出てくることがないので原作キャラとの話を期待してくれている方には申し訳ないです!

けど、今後のストーリーに大きく関わってくる者達なので是非読んでいただけると幸いです!

再来週から2年目に入れるよう頑張るのでもうしばらくお待ちください

今後もよろしくお願いします!
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