城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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第47話【イフの悩み】

ーーイフは悩んでいた

 

「(なんでだ!)」

 

仲間達が次々と眷属になっていくことに…

 

「(…おっさんはまだわかる…最初からいたからな…。けどなんでよりによって一番後に入ったバハが一番最初なんだよ!)」

 

翔に武器へのワープのレクチャーを受けているバハとラムを遠目で見ながらイラついていた。

 

「なあメイド、お前は悔しくないのか?」

「なにがです?」

 

横で翔達の休憩のお茶を用意している満姫。

 

「だって眷属ってのはそれぞれの武器や個性の相性で選ばれるんだろ?」

「そうみたいですね」

「つまり戦わないお前はあいつの眷属にはなれねえってことだろ?」

「…確かにそうですね。けど、別に眷属じゃなくても翔様を支えることは出来ます!翔様が私を必要とされるなら私はどこまでもついていきサポートするつもりですよ!立場なんて関係なく、私の出来る範囲で翔様のお力になりたい。ただそれだけです!」

 

そう言って満姫はイフにお茶を渡す。 

 

「…へえー、意思が固いことで…」

 

それを受け取り、飲みながらもう一度3人の方を見る。

 

「(…やっぱりムカつくな)」

 

そして、ふとテーブルの上に置かれた資料が目に入る。

 

「…これは?」

「それは明日向かう飛王様の情報ですよ。翔様のご命令で調べてまとためた物です」

「ふーん」

 

パラパラっと資料を覗く。

 

「(ーー!?これだ!)」

 

ーーーーーーー

 

翌日

 

「翔!なにしてんだ!ほら急ぐぞ!」

 

この丘の上の建物にあると言われる飛王の墓を目指す俺達。

 

「なに?なんか今日のイフ、テンション高くね?」

「キモいですね。…切り捨てましょうか?」

「…やめなさい」

 

1人先行するイフを見ながら、腰の剣を抜こうとするバハを止める。

 

「おい遊びに来た訳じゃないんだ!浮かれるな間抜け!」

「うっせえよ!いいから黙ってついてこい!」

「「「!?」」」

 

普段なら絶対に乗るはずのバハの挑発にすら乗らず足を止めないイフ。

 

「…やはりキモいので切ーー「…だからやめなさい」」

「では変わりに私がこの槍でーー「…ほんとやめなさい」」

 

…2人とも…。

 

確かにやりにくい気持ちはわかるけどさ…。

 

 

そんな話をしているとだんだんと雲行きが怪しくなってきた。

 

「翔様。なんだか雲行きも怪しいので、確かに急いだ方が良いかもしれませんね…。もうすぐ飛王様の建物ですので…」

「そうだね曽和さん。なんか雷も鳴り始めたし、雨降られたらめんどくさいからね…」

 

少し急ぎ目的地へと向かい、到着する頃には、昼間だと言うのに、雷雲で辺りは真っ暗になっていた。

 

「ここか!」

「では、私とラムが先行して中の安全の確認を、翔様と満姫はその後に、イフお前は後ろを守れ」

「うん、よろしく頼むわ」

「はいよ、さっさと行けよ」

 

そう言って順に入っていき。

 

満姫が入ったところでーー

 

(ゴロゴロッ

 

!?

 

まずい!

 

「ーーイフ、危ない!」

「えーー」

 

慌ててイフを建物内に吹き飛ばす。

 

「「「ーー!?」」」

 

瞬間、その場所に雷が落ちた。

    

それを皮切りに次々と不規則に雷が落ち始める。

 

どんどんと雷に追い払われてしまい、建物から大分離れてしまった。

 

「ーー飛王の電気を自在に操る能力、雷電操作(エレクトロン)…」

 

試練はもう始まってるってことか!

 

ーーーーーーー

 

「翔!」

「イフ動くな!」

 

飛びだそうとする俺を止めるおっさん。

 

「なんで止めんだおっさん!」

「闇雲に突っ込んでもかえって主の足手まといになるだけだ」

「そうだぞイフ。お前じゃ足手まといだ」

「バハ!てめえまでか!?」

「翔様は五感が優れておられる。それは俺達常人が理解出来ないほどだ。ただ降ってくるだけのあんなもの翔様に当たるはずもない。ずっと鍛練をご一緒させて頂いて見てきた、それだけ信じれる」

「だからっ黙って見てろってのか!」

「俺やラムならまだしも眷属でもないお前が行くだけ邪魔だと言ってるんだ」

「…眷属、眷属って…んなもん知るかよ!」

 

そう叫び、上着の下に隠した両脇のホルスターから2丁拳銃を抜き駆け出す。

 

しかし、

 

「ーーぐっ!?ちぃ!」

 

雷が直撃し、ギリギリ銃で受け止めるが衝撃で銃を手放して後ろに弾かれてしまう。

 

「ほら見ろ、死にたくなかったら黙って翔様がこちらに合流するのを待て」

 

んなこと言ったって、翔は俺を庇って…

 

くそ!本当にこれじゃ足手まといじゃねえか!

 

 

そんな時ふと、ずっと黙っているメイドが目に入った。

 

祈るように胸の前で手を組ながらも、決して翔から目を離さない。

 

信じてはいるけど、やっぱり不安なんだ。

 

「…メイド…お前…」

「イフさん。私には力がありません。昨日の質問の答えですけど…正直こういうとき何も出来ないのが悔しいです。私にはこうして無事祈ることしか出来ません」

「…」

「1つお教えしておきますね。今回、この飛王様を訪れると決めたのは翔様です。他にも王様はいらっしゃいますけど、最優先にと調べるよう仰せつかりました。それはイフさん、あなたの為です」

「…え?」

 

…は?俺の為?

 

「あなたの悩み、翔様は感じておられました。この飛王様の武器は弓、本来あなたが得意とする弓なら、必ずイフさんに合うのはずだと…」

「…あいつ…そんなこと…その為に…!?」

「もう一度言います。私には力がありません。…けどあなたにはそれがある。翔様はあなたを信んじています。だから、どうか私達の主の期待に応えてあげてください!」

「ーー!」

 

昨日の言葉を思い出すーー

 

「立場なんて関係なく、私の出来る範囲で翔様のお力になりたい。ただそれだけです!」

 

昨日あの時、こいつは凄いと思った。

 

自分の無力さを理解した上でも、自分が出来ることをしようとしている。

 

自分の無力さを嘆くだけで終わらず、かわりに何が出来るのかを考えて実行するだけの覚悟がある。

 

俺はそう思った。

          

 

なにしんだ、俺…!

 

いつまで地面に這いつくばってやがる!

 

 

こいつにはこいつの役目がある。

    

なら、こいつが出来ないこういう時こそ、俺がかわりにあいつの力にならなくてどうするーー

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