城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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第48話【飛王の眷属】

「よっ…よっと…こんぐらいなら余裕だな」

 

建物を目指しながら雷をかわしつつそう思った時、

 

「ーー!?」

 

かわしたはずが地面すれすれで軌道を変え、俺目掛けて雷が曲がった。

 

「やばーー」

「「「翔様(主)!」」」

 

誰もが直撃する、そう思った。

 

「「「!?」」」

 

しかし、

 

「ーー俺の主に落ちてんじゃねえよ」

 

雷は直前で軌道を変え、右腕を伸ばしたイフに直撃。

 

そして、雷はそのままイフの右腕に纏わりついた。

 

「ーー!?これって…!?」

 

自分でも困惑しているイフの目の前に転がっていた銃が輝き出し、弓へと変わった。

 

弓!?

 

…そうか!よし!!

 

「…イフ!それを使ってあの雲を射ぬけ!」

「は?射ぬくったって矢が…」

 

俺の言葉に辺りを見渡すイフだが矢は見当たらない。

 

「矢はお前のその右手にある!」

「右手って…!?」

 

そして、雷雲がうなり、もう一度雷が落ちようとする。

 

「ちぃ!こうなりゃ一か八かだーー」

 

急いで弓を拾い上げ建物から飛び出し、雷雲を睨む。

 

しかし、矢はない。

 

「イフなら出来る!俺は信じてる!」

「は!…たく、お前にそこまで言われたら、やるしかねえじゃねえか」

 

そう言って弦を引き、上空へと狙いを定め、

 

「射て!」

「…我が主の御心のままにーー」

 

そして弦を離す。

 

同時に、イフの右腕に纏っていた雷が矢の形へと変わり、雷鳴と共に雷雲を貫いた。

 

貫かれ穴が空いた雲から日差しが差し込み、イフを照らす。

 

次第に雲が晴れていき雷も鳴り止んだ。

 

「…やった、のか?」

 

そして、弓が輝きながら元の2丁拳銃へと戻る。

 

『ま、そういうことだね』

「「「!?」」」

 

建物内からゴーグルをかけた能天気そうな青年が出てきた。

 

「あんたが飛王か?」

『ご名答!俺が眷属に選んだわけだしわかっちゃう?』

 

そう言ってイフの言葉に笑う飛王。

 

『しかし、いきなり眷属器を使いこなすとは、俺が見込んだだけはあるねえお前!』

「眷属器?」

『あれ、聞いてない?…眷属の力ってのは眷属たる者の持つ金属に宿る。それを眷属器って言うんだ。…そして、眷属は自分の主、お前らの場合はそいつの能力が使えるようになるわけだ。つまり武器へのワープな。ここまでは知ってるだろ?』

「…ああ」

『けどお前らは特殊でな、そいつの眷属であると同時に、俺達歴代王達の眷属でもある。だから自分を選んだ王、お前は俺の能力が使えるようになるわけだ!』

 

そういえば慈王もそんなような事言ってたな。

 

『けど、その為には眷属器の本来の力を扱えるようになる必要がある。それが今回の弓だ。お前らの武器を媒体として俺達、王の武器を具現化する。まあ要は貸してやるわけだな』

「なるほど、つまり普段は俺の能力を、そして眷属器を解放する事であなた達の力を使えるようになるわけですね」

『そういうこと!あ、安心しな!眷属の武器は俺達の力でその形へと具現化するだけだから、お前の手持ちから消えることはない』

「なるほど…」

 

『まあ?かといって眷属器は、すぐ扱えるようになるわけでもないし、いくつか条件があるわけだ…』

 

『1つは、その者が普段から肌身離さず身に付けて思い入れのある金属だと言うこと。お前のその銃、祖父の形見だろ?相当大事にしてきたんだな。そしてなにより、その銃で毎日とんでもない練習量積んでたでしょ?』

「なんでそれを!?」

『俺は数多の武器を使ってきた王だからな、そんなもの武器を見ればわかる』

 

ああ、それなら俺も知っている。

 

俺やラムさんやバハも毎日の鍛練や身体強化を怠った日はない。

 

けどイフはそれ以上にみんなが寝た後もずっと銃の練習していた。

 

それこそ、いつ寝てるんだってくらいに。

 

『だから今回はその銃を媒体とさせてもらった。そして2つ目だが、主の為に力を振るいたいという強い意思。今回は王の器のこいつを助けたいって想いからだね…』

 

 

『そして最後に、勿論のごとく、主と従者の互いの信頼関係。今回は王の器のお前、自分の命が危ないってのに従者のそいつを信じて、動かなかったな。慈王の盾で打ち消すことも出来たろうに…』

「あ、やっぱりばれてました?」

「んな!?それは本当ですか翔様!もしイフのバカがダメだったらどうしたおつもりですか!?」

「どうもなにも、死んでたね」

 

そう言って笑う。

 

「まあ、生きてるし、イフも俺の期待通りやってくれた!…そうだろイフ」

「…当たり前だ。お前は俺の主だ。主の命令は絶対だからな」

 

そしてイフと拳を合わせ、

 

「うん!ありがとう!今回はよくやってくれた」

「ありがとうございます!」

 

礼をとるイフを見て笑う。

 

『まあそう言うことだ、こいつが俺とお前の期待通り、眷属として覚悟を見せた…それで俺からは以上だ。部下に慕われ尽くされるのも王の務めだ。よってお前を王の器として認めよう。俺の弓と能力、お前に託す。うまく使えよ!』

 

そして飛王は消えていった。

 

こうして、無事、飛王の試練も突破することが出来たーー

 

 

 




次回は明日の予定です!
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