城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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もう50話ですね

ありがとうございました!


第50話【祖王の眷属】

「あ、ラムさん!おはよう!さっそく手合わせをーー」

「おはようございます翔様。やれやれ、またですか?いい加減、目が合う度に戦いを挑んでくるのはやめてください。私のポケットにファンタジーはありませんよ?」

 

あの日以来、目に輝きを取り戻しまた鍛練に励み出したかと思ったら、毎日毎日こりずに戦いを挑んでくるようになった主。

 

若いってなんて無邪気で単純なんだろうな…。

 

それと、親しみを込めてラムさんと呼ばれるようになった。

 

 

「吉良村って呼びにくいよね、吉良なの?村なの?」

「は、はあ…」

「だから間とってラムさんだね!」

 

とのことだ…。

 

吉良さんと呼ばれることは何度かあったが、まさか本当に真ん中を取られるとは…。

 

ネーミングセンスはともかく、新鮮だったし、なにより主が受け入れてくれたのは嬉しかった。

 

 

「じゃあせめて槍教えてよ!」

「えー、嫌ですよめんどくさい。それに翔様が槍を扱えるようになったら私の存在が霞むではないですか」

「なんでだよ!ラムさんのケチ!なんで戦闘中はあんなギラギラしてるのに普段はそんな適当なんだよ!」

「メリハリがあると言ってください」

「あーあ、いいのかなあ?こないだの軍の慰労会でお酒に酔って浮気未遂してたの彼女さんにチクっちゃうよ?」

「な!?そ、それだけはやめてください!そもそも未遂です!ギリセーフです!」

「…ムラムラさん(ボソッ」

「ごめんなさい、許してください!」

 

…と、こんな冗談を言い合える仲にまではなっていた。

 

ちなみに、この翌年に彼女と結婚し、いまの家庭を築いた。

 

彼女も私と同じくこの城にメイドとして召し仕えられている。

 

 

それから主が11歳になり、ある事件をきっかけに能力に目覚めた。

 

「ご無事ですか翔様!」

「うん、ラムさん。…なんとかね…」

「あまり、無茶をなさらないでください…私も城内でしか一緒にいれないので…」

「うん、ごめん。…けど、改めて思い知らされたよ…自分の無力さを…」

 

そう言って俯く主。

 

「…俺さ、強い自信はあったんだよ…俺1人でも家族を守れるだけの強さはあるはずだって…」

「…」

「けど、いざそうなったら違った…その分野に長けた集団には1人じゃ勝てなかった…今回能力がなかったら確実にーー」

 

ーー死んでいただろう。

 

「…翔様。貴方がご家族を守りたい気持ちはわかりますが、貴方が倒れては元も子もない。かえって家族を追い込んでしまいます」

「…うん。けど、俺は守りたいんだ…」

「はい。わかっております。だからこういう時の為に、私がお側にお仕えしているのです」

「…え?」

「翔様1人では限界があります。それは今回わかったはず…。だから、1人で無理なら私にも一緒に背負わせてください。必ず私は貴方のお力になってみせます!」

「!?」

「翔様がご家族を守る為に力を振るうなら、私は貴方をお守りする為にこの槍を振るいましょう!あ、でもその代わり、私の背中は貴方に任せますよ。私も家庭があるゆえ、まだ死にたくはありませんので!」

 

そう言って笑う。

 

「貴方には私が、仲間がついています!もう1人で背負う必要はありませんよ」

「…ラムさん。俺は…頼ってもいいのかな?」

「ええ!もちろん!」

 

そう言って槍を目の前において、膝まづき、

 

「これより先、何時如何なる状況でも我が槍は貴方様と共にーー」

「ーー!?…わかった、ありがとうラムさん。改めて、これからよろしく頼むよ!」

「はっ!承知致しました、我が主よ!」

 

ーーーーーーー

 

そして祖王様と交わした会話

 

主をそのまま大きくして白髪にしたような青年。

 

「ーー王の剣の能力者ってのは、代々短命なんだよ」

「「「!?」」」

 

突然何を!?

 

「まあお前達眷属にはなんの影響もないし、能力者も絶対短命ってわけでもない。…この能力は時代の指針となる者に宿る、つまりあいつはこの時代で何か大きな偉業を成す人間だ」

「や、やはり翔様は偉大であられたのか!」

 

何か目を輝かせ喜んでいるバハ。

 

しかし、今はそれどころじゃなく…

 

「…それと翔が短命ってのなにが関係すんだ?」

 

イフの言う通り。

 

「その偉業に周りがついてこれなくなるってことだよ。…強大すぎる力は、その者を孤立させる…」

 

それはよく知っている。

 

出会った日の主がそうだった。

 

「俺は周りの限界を察し、眷属に後を託し1人で国に迫る他国の軍隊を壊滅させて力尽きて死んだ。そして俺と同じくこの能力を保持した夜叉王は、ついていけなくなった眷属に裏切られ戦場で孤立し、その時の傷で死んだ。それでも1人で敵軍を撤退させ、その後50年は侵略出来ない状態にまで追い込み、結果としては国を一時の脅威から守った…ほんと立派だよな…俺ならショックで寝返るわ」

 

そう言って笑う祖王様。

 

「まあなんだ、今回、あいつが何を成すかはわかんないけどさ…中途半端な覚悟なら深入りはするな」

「「「ーー!?」」」

 

先ほどまでとは比べ物にならない真剣な顔で闘志を向けてくる。

 

「落ち着け2人とも…」

 

思わず自身の武器に手をかけるバハとイフを止めつつも満姫殿を後ろに隠す。

 

「俺だって少なからず罪の意識は感じてんだよ…王の剣の起源は俺なわけだしさ…出来ることなら最後の憂いは少なくしてやりたい…」

 

そして、自身の逆鉾を呼び寄せ構える祖王様。

 

しかし、

 

「…ご心配には及びませぬ祖王よ。我々は決して主を1人にはしませぬ!」 

 

そう言って私も自身の槍を構える。

 

「へー、あいつが1人で消えたとしても?」

「必ず見つけ出して連れ戻すまで…!」

「誰かがあいつを裏切ったとしても?」

「命に変えても守り通すまで…!石を投げられようと罵声を浴びせられようと、主には生きてもらいます」

「それがあいつを追い詰めるだけだとしても?」

「それでも我々が主のお側にお仕えしていることをわからせるまで…!」

「…そうか…」

 

武器を下ろし戻す祖王様。

 

「…そこまで言うなら見せてみろ、お前達の覚悟を…!あいつに、俺に、お前達の存在意義を示してみろ!」

 

そう言い放つ祖王様から発せられるのは覇気。

 

殺気ほど恐ろしいものではなく、かといって優しいものではなく。

 

相手を威圧し、魅了させる力。

 

これぞまさしく王の器ーー

 

「「「はっ!」」」

 

そんな祖王様に無意識に例をとる我々4人。

 

「よし!んじゃ、頼んだよ?俺もしばらくは傍観させてもらうわ…」

 

そう言って最初の軽い雰囲気に戻る。

 

このお方は…外見だけでなく、雰囲気まで主と似ている。

 

「にしても、お前、槍ってのは良いセンスしてるな!」

 

私を指差して笑う祖王様。

 

「あ、そうそう…夜叉王を裏切ったっていう眷属だけど…まあいいか、この話はまた今度だな…それと今回の話はあいつには内緒な!仲間脅したとか言われて嫌われたくないしー」

 

そう言って笑いながら祖王様は消えていった。

 

ーーーーーーー

 

そして現在

 

もうすぐ14歳になられる主は闘王様と対峙している。

 

出会ってから7年…立派になられた。

 

この歳で時折、あの時の祖王様と同じ王の器を感じるときがある。

 

主よ…貴方はもう私より強い。

 

とりあえずと掲げた目標は越えましたよ。

 

次は何を成すおつもりか…?

 

貴方が目指す先を共に見てみたい…!

 

 

そして主の横に立ち、槍を構え、闘王様に向き合う。

 

「…ラム?」

「闘王様はお強い。主1人では倒すのは無理でしょうね…」

「む…余計なお世話だ」

「…ですから我々が、私がいるのです。1人でダメなら頼れとあの時申したはずですよ」

「ーー!?ラム…」

「それからこれからはそのままラムで結構です。貴方は私の主。どこまでもお供いたします」

「…わかった。手を貸せラム!あの人を倒して先へ進むぞーー」

「はっ!我が主の御心のままにーー」

 

そして主も祖王の逆鉾を呼び寄せ2人で構え駆け出す。

 

 

眷属器、祖王の逆鉾ーー

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