城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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第4話【ヒーロー】

偶然出会った幼なじみの卯月と別れしばらくして、ようやく帰路につこうとしていた時だった

 

「ひったくり!お願い誰か捕まえて!!」

 

道路を挟んで向こう側から女性の声が上がる

 

このご時世、この王都にまだそんなことする間抜けがいるとは仕方ないな追うか

 

「ーーぎは勝ーつ!!」

 

そのひったくり犯が道路をこえちょうどこちら側に渡ってきたので追おうとすると、犯人を追うように赤毛の女の子が物凄い勢いで駆け抜けていった

 

「あれってもしかしてーー」

 

とりあえず追ってみるか

 

そうしてひったくり犯と少女の後を追う

 

 

追いついた頃には先程の赤毛の少女が地面を蹴り上げ犯人の頭上を飛び越える

近くの電柱を蹴り反転し一気に犯人目掛けてライダーキックをかまそうとしていた

 

やっぱり

 

あんな人間場馴れした動きを出来るのは王族の特殊能力を使ったときぐらいだろう

 

にしても

 

「…大きくなったな茜」

 

そう、少女は俺の妹、三女の茜だった

 

いまに茜が犯人を捕まえて、そしたら警察やメディアも来るだろう

 

帰ってきて早々面倒事に巻き込まれるのはごめんだし、どうせ後から家で会えると思い引き換えそうとすると犯人が上着の内側からナイフを取り出すのが見えた

 

やばい!

あのままだと直撃コースだぞ

 

茜も顔を赤くしてスカートを押さえて反応が遅れている

 

こんな時にそんなの気にしてる場合かよ!

 

 

ーーーーーーー

 

少し時はさかのぼり

 

「お姉ちゃん凄いね、どこでも人気者で」

「そうかな?」

 

葵と茜は下校中、今日の学校での出来事を話しながら歩いていた

 

そして交差点の信号待ちをしていると

 

「ごごご、ごめんなさいぃぃ!後ろに目がついてなくて!」

 

後ろから走ってきた男と茜がぶつかり

 

極度の人見知りの茜は必死に謝りながらも葵の後ろに隠れる

 

(後ろに目がついてなくて当然なんだけどなぁ)

 

涙目で怯える妹を見て将来が不安になる姉であった

 

 

しかし、男はそんな茜にも目もくれず舌打ちをしながらまた走り出す

 

「ひったくり!お願い誰か捕まえて!」

 

そしてすぐに後ろから声が上がり先程の男がひったくり犯であることを知ったとたん怯えていたはずが目の色を変え

 

「ちょっと行ってくるね!」

「あ、うん。茜、気を付けてね?」

 

「正義は、勝ーつ!!」

 

クラウチングスタートで犯人を物凄いスピードで追いかける茜

 

(人見知りだけど正義感の強い真面目な良い子なんだよね茜は…ん?あれってもしかしてーー)

 

 

ーーーーーーー

 

「待ちなさーい!!」

「げ、王家の三女!」

 

私、櫻田 茜はひったくり犯を追いかけている

 

「だから、待ちなさいってーー」

 

地面を蹴り上げ犯人の頭上を飛び越える

 

 

王族である私の特殊能力は自分と自分の触れているものの重力を自在に操れること

 

だから自分にかかる重力を弱くすることで普段より早く走ったりこんな風に身軽に動くことが出来る

 

「ーー言ってるでしょー!!」

 

そしてそのまま近くの電柱を蹴り反転して犯人目掛けてライダーキック!

 

あ、ちょっと待って!

これじゃあパパ、パンツが!!

 

咄嗟に足を閉じスカートを押さえる

 

その一瞬油断した時だった

 

え?嘘!?

 

犯人の手元には光るナイフが

 

やばい、当たる!

 

迫り来る痛みを覚悟し目を閉じた一瞬だった

 

「っな!痛ぇ!」

 

犯人の悲鳴が聞こえ目を開けると

 

犯人の手にはどこから飛んできたのかわからないけど別のナイフが当たっていた

 

見た目は確実に鋭いナイフなのになぜか犯人の手に刺さらずまるで鈍器のような物が当たったかのように犯人は痛がり痛みに耐えきれず持っていたナイフを落とした

 

と、同時に足を閉じていた私の両膝が犯人の顔面に直撃

 

あ、やり過ぎた

 

ーーーーーーー

 

それから暫くして

 

警察やメディア、野次馬が集まってき人だかりが出来ていた

 

「茜様、犯人逮捕の経緯をーー」

「犯人になにか仰りたいことはーー」

 

王族の一人が犯人を捕まえたと言う事だけあり、かなりの大事となっていた

 

「み、見ないでぇー」

「そんなに嫌?」

 

恥ずかしさのあまり制服の上着を頭から羽織り犯人を捕まえた側の茜が犯人のようになっている

 

「はぁ…ん?」

 

さらにそんな妹の将来が心配になった葵がふと人混みの方に目をやると、人混みの奥にこちらに背を向けながら手を振り歩いていく一人の藍色の髪の青年を見つけた

 

 

「ナイフが消えた?」

「うん、なんだか結晶が砕けたみたいに幻想的にシャン!って」

 

あの後、ようやく解放された茜と葵は帰宅中、先程の謎のナイフの話をしていた

 

そう、犯人の手に直撃したナイフは、犯人のナイフを落とすと同時にまるで役目を終えたかのように消滅したのだ

 

「あれってなんだったのかな?幻?気のせい?」

 

(やっぱりそっか…ふふ、相変わらずだなぁ…昔も今も、私達のヒーローなんだね、翔君は)

 

「ねぇ、聞いてる?」

「え、あぁうん聞いてるよ!きっと家に帰れば何かわかんるかもしれないよ」

「え?お姉ちゃん何か知ってるの?」

「たぶんだけどね。さ、そんなことより早く帰ろっか!」

「ちょ、お姉ちゃん待ってよー!!」

 




次回の更新は明日のこの時間までを予定しています!

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