城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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家族との再開の話です
長くなったので2話に分けました


第5話【家族 その1】

「はい、到着っと…」

 

事件後のごたごたに巻き込まれたくなかった俺はすぐ様あの場を後にして、一旦城に戻り“ある事”をしてようやく自宅に帰ってきた

 

 

まあ、あの場には葵もいたし葵には気づかれてるだろうな

 

俺と葵は昔から双子だからだけでは説明しきれない程の信頼関係と意思の疎通が出来ている

 

お互いの感情の変化や気持ち、考えは勿論のこと隠し事が通じない

 

だから俺にとって葵はある意味の天敵なわけであって苦手な存在だ

 

「にしても、えらく懐かしいな…やっと、帰った来れたんだな」

 

玄関の前に立ち家を見上げる

 

「っ!」ドサッ

「ん?」

 

後ろで物が落ちる音がし振り替える

 

そこには母さんとその母さんの後ろに隠れるようにこちらを見る小さな女の子が立っていた

 

買い物帰りだろうか、食材の入った袋を落とした音だった

 

「おかえりなさい、翔」

「うん、ただいま、母さん」

 

最初驚いた顔をして少し涙を浮かべていた母さんは優しく笑って見せた

 

「えーと、その、色々心配かけてごめんなさい」

「まったくよ!最初いきなり旅に出たって聞いたときは心臓が止まるかと思ったわ!だいたいあなたはいつもいつもーー」

 

あ、やべ、地雷踏んだ

 

「そ、そうだ母さん!そ、その子は?その子が末っ子の栞、であってるのかな?」

 

なんとか話題を変えようとずっと母さんの服をつかんで母さんの後ろから俺を観察するように見ている女の子の話を持ち出す

 

「え?あ、そうだわ!そうよ!この子があなたの一番下の妹の栞よ!ほら、栞!この子はね、あなたのお兄ちゃん。怯えなくても平気よ」

「まあまあ、母さん大丈夫だよ」

 

そう言って俺はしゃがんでその子に目線を合わせる

 

「はじめまして、俺は翔。君の一番上のお兄ちゃんなんだ。これから一緒にこの家で住むことになるんだ。これからよろしくね?」

「…わたし、栞。よろしくお願いします」

 

恥ずかしそうに下を向く栞

 

んーこれは時間かけて仲良くなるしかないかなー

 

そう思いながら立ち上がると栞が俺の服の袖を掴んできた

栞はまだ下を向いている

 

「どうした栞?」

「…お兄さま!」

 

そう言って顔を上げて純粋な笑顔を向けてくれる栞

 

て、天使かこの子は!?

 

にしても、昔を思い出すな

 

思い出すのは幼いとき俺にずっと引っ付いてついてきていた妹弟たち

 

栞の笑顔は昔の記憶と重なって見えた

 

「うん、よろしくな栞!」

 

栞の頭を撫でながらそう言い

ほっとしたようにこちらを見ていた母さんと笑い合った

 

「さ、立ち話もなんだから早く家に入りましょ!今日は翔の好物のビーフシチューよ!そのために今買い物してきたんだから!」

「え、なんで俺が帰ってくること…あー遥か」

「そういうこと!」

 

三男の弟、遥は確率を予知できる能力を持っている

 

大方、俺が帰る日を予知したんだろう

 

 

そして、さっき母さんが落とした買い物袋を栞と拾い集め家の中へと運ぶ

 

うん、良い子に育ってるね栞も

 

他の子らもみんな良い子だし、これも両親のおかげだろうな

 

 

「ただいまーっと」

「な!?兄さん帰ってきてたんですか!?」

 

6年ぶりの家を懐かしみながら中には入ると次男の修が一人の男の子とゲームをしていた

 

「おう!久しぶり修!でなくなったなー俺より身長あるんじゃねぇの?」

「そうですかね?兄さんこそ元気そうでなりよりーーあ、そうそう、こいつが四男の輝です。いちお姉さんから話は聞いているんですよね?」

 

そういってずっと目を輝かせながらこちらを見ていた男の子の頭に手を置く修

 

「ま、能力や性格とか一通りはなーーはじめまして、輝、だね?俺は翔。一応この家の長男でお前の兄ちゃんだ!これからよろしくな!」

「はい!僕は輝です!こちらこそよろしくお願いします兄様!」

 

うん!元気で大変よろしい!

 

元気よく自己紹介をする輝をやはり良い子に育ってるな

 

「兄様は旅に出ていたんですよね!」

「まあそんなとこかな、最早長期旅行みたいになってたけどねー」

 

さっきからずっと気になってたけど

 

なんだこの輝の熱い視線は!?

 

ちらっと修の方を見ると、俺の言いたいことがわかったのだろう、どや顔で親指をつきだしてきた

 

こいつ!変なのと吹き込んでないだろうな?

 

「兄様はヒーローなんですよね!」

「ヒーロー?」

 

あー、そういうことか

 

確かに修、そして茜は昔よく俺をヒーローだと慕ってくれていたっけか

 

葵から茜に負けず劣らず輝は正義感と責任感の強い子だと聞いてたし、なるほど、理解した

 

「そうだなーお前達妹弟を守るのが兄ちゃんの仕事だからな。そんな俺をヒーローとするかどうかは輝次第だ。ヒーローってのはなろうとしてなるものじゃなく、誰かにそう思われてはじめてヒーローなんじゃないかと、俺は思うよ」

「な、なるほど!勉強になります兄上!」

「なにも変わってませんね兄さんはーー「なにが?」いえ、こっちの話です」

 

俺と輝の会話を聞いて懐かしそうに笑う修

 

(昔から変わらず、兄さんは俺たちのヒーローのままですよ)

 

「もーさっきから騒がしいなー何かあったのー?」

 

こちらの騒ぎを嗅ぎ付け、見知った金髪の女の子がリビングに入ってきた

 

「ん?光か?」

「え?しょう、ちゃん?」

「おう!ただいま!久しぶり!大きくなったなー、あれから6年だもんな。ちゃんとお姉ちゃんしてるのか?」

 

五女の光、俺が家を出た当初はまだ末っ子だった

 

光が産まれたのをきっかけに俺は国の軍隊の訓練にまぜてもらって武術に足を踏み入れたり、末っ子なだけありけっこう甘やかしたりもしてたっけ?

 

そのたびに奏や岬にずるいと怒られてた記憶があるな、いまじゃ懐かしいだな

 

ていうか…

 

「あの、そんなにじろじろ見ないでくれませんか?」

 

さっきから俺の体をじろじろ見たりつついたりして観察してくる光

 

「だって小さい頃のしょうくんの記憶あんまないんだもん!うん、まあしゅうちゃんよりカッコいいかなーー「おい」合格!6年間も家にいなかったの許してあげる!」

「は、はぁ、ありがとうございます」

 

なに基準でなんの合格をしたのかはわからないけどとりあえず感謝しておく

 

(顔は覚えてないだけで、ずっと一緒にいた記憶はあるんだよねー)

 

「とりあえず、おかえり!しょうちゃん!!」

 

そう言って俺に抱きつく光

 

なんだ、甘えん坊なのは変わらずか

 

家を出るまでずっと俺の服を掴んでどこへ行く時も一緒だったことを思い出す

 

「あぁ、ただいま光」

 

光の頭を撫でる、と同時に

 

「「こらー!離れなさい光!!」」

 

二人の女の子が怒鳴り声と共にリビングに入ってきた

 

今度はなんだーー

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