狗の長兄が行くD×D   作:始まりの0

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第22巻 一誠の秘密

 ~龍王神社 神殿~

 

 12年前の話を龍牙王から聞いた夜叉、桔梗、一誠。

 

 龍牙王と一誠の意外な接点に驚いたが、話を進める事にした。

 

 

「それでだ……一誠が狙われた理由についてなのだが……心当たりがある」

 

 

「「「えっ?」」」

 

 龍牙王の言葉に驚く3人。

 

 

「多分、一誠の中の神器(セイグリッド・ギア)が狙いだろう」

 

 

「「神器(セイグリッド・ギア)?」」

 

 夜叉と一誠は慣れぬ言葉を聞き、首を傾げている。

 

 

「一誠は未だしも夜叉には説明した筈なんだが……桔梗は分かっているな?」

 

 龍牙王が桔梗に尋ねると、彼女は頷いた。

 

 

神器(セイグリッド・ギア)とは聖書の神が作った不思議な能力を所持者に与える物……その能力は個々によって異なり、中には神をも殺す神滅具(ロンギヌス)と呼ばれる物もあるとの事です」

 

 

「その通り、一誠にはその中でも神滅具(ロンギヌス)の1つ。赤龍帝ドライグを宿した赤龍帝の篭手(ブースデッド・ギア)が宿っている」

 

 

「「「……えっ?」」」

 

 神器(セイグリッド・ギア)の説明をした桔梗に続き、そう言った龍牙王の言葉に唖然となる3人。

 

 

「まぁ……一誠が弱いので未だ発現はしてないだろうけど、確かにお前の中にいるぞ」

 

 

「赤龍帝ドライグ……白龍皇アルビオンと並ぶ二天龍。確か、かつての天使・悪魔・堕天使の起こした大戦争で暴れていたのを龍牙王様が倒してたとか」

 

 

「あぁ。アイツ等、我の言葉も聞かずに暴れるからプチッとしたぞ」

 

 

「プチッ……ってどんなだよ?」

 

 龍牙王の言葉に、どんな状況か全く予想ができない夜叉達。

 

 

「確か……我が龍に変化して、アルビオンの方は尾で地面に叩き付けて、ドライグの方は抓んで振り回した。全く、身の程知らず共が」

 

 龍牙王は昔の事を思い出しながらそう呟いた。

 

 

「ん?……龍牙王……龍牙王?えぇ!?」

 

 一誠は龍牙王の名前を聞くと、何故か驚いている。

 

 

「どうした?」

 

 

「龍牙王って、あのお伽話にも出て来る龍神様!?でも龍王さまで……えっ?えっ?」

 

 何やら一誠は混乱している。

 

 

「どうしたんだよ?」

 

 

「ちょっと待てよ……えっと目の前に居られる方が龍王さま、この街の神様だよな?」

 

 

「あぁ」

 

 

「龍牙王って言うのは、子供でも知る龍神だよな?」

 

 

「そうです」

 

 

「えっと……龍王さま=龍牙王?」

 

 

「「あぁ(その通りです)」」

 

 一誠の疑問に答えた夜叉と桔梗。

 

 

「うえぇぇぇぇぇぇ!!!!?」

 

 

「何だ、知らなかったのか?」

 

 

「知らないよ!初めて知った!」

 

 どうやら、龍王さま=龍牙王と言う事は知らなかった様だ。

 

 

「だって、皆、龍王さまって言ってるんだぞ!?」

 

 

「そう言えば……街の者達は龍牙王様の御名を知らぬ様ですね」

 

 

「そういや、兄貴って龍王さまとしか呼ばれてないよな。俺だって、神社(此処)に産まれてないと一生知らないと思うぜ、そんなん」

 

 

「そんなんって………何故か、我は龍王さまと呼ばれている。何時からそう呼ばれていたか……まぁ我にとっては親しみを込めてそう呼ばれてるので別に構わん。それに我の名は良くも悪くも色々なものを呼び寄せてしまうからな。

 

 それに我がこの地にいるのを知るのは悪魔以外の各勢力のトップ達くらいのものだ。今回の堕天使共は下っ端連中だろう……トップ達も我の事はできるだけ口外したくないらしいしな」

 

 

「どういう事だ……ですか?」

 

 一誠は何時もの調子で話していたが、直ぐに言葉を正した。

 

 

「そりゃ……この世界最強と言われる真なる赤龍神帝(アポカリプス・ドラゴン)よりも強い存在がいるなんて、言ったら世界は混乱するからな。だから我を知るのは各神話・勢力のトップとそれに近しい者くらいだ。龍牙王の伝説は知っていたとしても、我がこの地を統べるのは……悪魔共は我の事を知らぬ様子だな。フッ……誰の土地に土足で足を踏み入れたのか、教えてやる。ククク………さて、一誠。色々と聞きたい事もあるだろうが、我は動かねばならん。残りは2人に聞くと言い」

 

 龍牙王はそう言うと、立ち上がり神殿から出て行った。

 

 

「それでは今の兵藤君の状況や私達の事について説明しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 ~神社の屋根の上~

 

 

 龍牙王は着物の袖の中からスマホを取り出すと、何処かに電話を掛けた。

 

 

「もしもし、我だが」

 

 

『ぁあ?どちらの我さんですか、コノヤロー、ひっく』

 

 

「酔ってるのか?龍牙王だが」

 

 

『りゅうがおう…………龍牙……龍牙王!?うおっ、いって!』

 

 電話の向こうの主は転んだ様で、何かが割れる音やら聞こえる。

 

 

『お前から電話なんて滅多に来ないから驚いたぜ……それで何の用だよ、厄介事か?』

 

 

「お前の所の下っ端が我の土地の氏子を殺そうとしていたんだが………堕天使は我と戦争するつもりか?」

 

 

『えっ………ちょwちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!俺にそんなつもりはねぇぇぇぇ!!』

 

 

「五月蠅い……今の所、未遂で済んでいるが……万が一犠牲者が出れば我はお前達を攻め滅ぼすが?」

 

 

『待ってくれ!!!俺達はお前に楯突くつもりなんかねぇんだ!』

 

 

「ならば急いで来るんだな。この事が天照達の耳にでも入ると我では止められんぞ……できればお前やシェムハザとは荒事は起こしたくない」

 

 

『わっ分かった!明日には行く!』

 

 電話の相手はそう言うと、電話を切ってしまった。

 

 

「はぁ……黒歌、白音」

 

 龍牙王がそう言うと、彼の後ろに2人が現れた。

 

 

「御用ですか?」

 

 

「済まないが、明日は学校を休み。アザゼルを迎えに行ってくれ」

 

 

「ぇえ~あのスケベ親父を……」

 

 

「そう言うな……アレは酒に酔ってのことだ……頼む」

 

 

「はぁ~ご主人様にそう言われたら仕方ないか……じゃあ行きましょうか、白音」

 

 

「はい」

 

 2人はそう言うと、神社を出て行った。

 

 

「ふぅ………出来れば被害が出ぬ内に終わればいいが……」

 

 龍牙王は夜空を見上げながら呟いた。


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