アイリはアーシアと1つになったので、これからはアーシアと表記します。時折、アイリとして呼ばれる事もあります。
第28巻 魔王の会合と龍神(笑)
~冥界 魔王領地 ルシファード~
冥界の一部にある悪魔の首都ルシファード。
その領地内にある城で、魔王サーゼクス・ルシファーは他の魔王達と会談を行っていた。
【ルシファー】の名を継ぐサーゼクス。
【レヴィアタン】の名を継ぐセラフォルー。
【ベルゼブブ】の名を継ぐアジュカ。
【アスモデウス】の名を継ぐファルビウム。
これが現在いる魔王達である。中でもファルビウムは「働いたら負け」と言っている怠け者……仕事の殆どを部下に投げ出す魔王なのだが、今回ばかりはそうは言ってられなかった。
ーサーゼクスの妹がいる駒王街……そこで問題か発生。しかもその土地の神はあの【裁龍神】の可能性があるー
その様な事を聞けば、怠け者も動かざるおえないのだ。
なんせ、此処にいる魔王達は全員、先の戦争に参加していたのだ。そこで、赤龍帝と白龍皇を彼の龍神が倒したのを目の当たりした。
先の魔王や神でさえも苦戦した赤龍帝と白龍皇……二天龍を簡単に倒したその力に【超越者】と呼ばれるサーゼクスとアジュカでさえも彼の龍神には恐怖した。
「ねぇ、サーゼクス。リアスちゃんが目撃したのは本当にあの龍神なの?」
「それは分からない。でも、リアスの女王、姫島朱乃が言った風貌とその地の神の姿は酷似している」
「巫女とは言え実際に会ったこともないのに何故それを知ってるんだ?」
「彼女の父親バラキエル、母親姫島朱璃……どちらとも彼の龍神と親交が在ったと噂がある。それに本人も母親からその話を聞いたらしい、信憑性は高いだろう」
「……堕天使と人間のハーフか。
幻想の地・蓬莱郷、人とそうでない人外達が共存していると言われる楽園。それも彼の龍神の伝説の1つだったか」
「それに彼女の母親はあの姫島家の人間だ。実際に会っていたとしても不思議ではない」
「そう言えば、あの娘の母親って」
「ぁあ、異形との子供を産んだとして姫島家に殺された可能性がある」
「可能性?」
「朱乃くんは母親の一件でバラキエルとはほぼ絶縁状態。朱乃くん自身も追撃から逃げる為に母親の亡骸はそのまま社に置いて来てしまったらしい」
「ではバラキエルが弔ったか、姫島の家が回収したんじゃ……いや、待て。まさかあの噂が関係してると?」
「もし、龍神と親交があったなら……天下覇道の三剣を使い蘇えらせたことも考えられる。詳しい事は分からないがね」
一同はそれを聞いて黙ってしまった。
本来、命の蘇生とは禁忌の技。転生悪魔でさえも、悪魔への転生が条件で蘇らせる事は可能なのだが、天下覇道の三剣はその上をいくとは考えたくもなかった。
「だが何故、今まで接触して来なかったんだ?」
「リアスが巫女殿との話し合いをした所、あえて見逃されていたと言われた様だ」
「あえて?」
「真相な分からないが……話し合いの場を設けなければ」
「応じなかった場合は?」
「リアスやソーナくんには悪いが、即時冥界に戻って貰う」
「それがいいわね。仮にその土地の神なあの【裁龍神】で機嫌を損ねたとしたら……」
四大魔王の脳裏に蹂躙される家族、仲間、同胞の姿が浮かぶ。
「それに【裁龍神】は様々な神話体系の神々と関係があるとも聞く。そしたら完全に終わりだ」
実際には神話体系の女神達と関係があるのだが、彼らにそれを知る術はない。
故に魔王達は困惑し、悩む。どうすればいいのか、ヒントすら見えて来ないのだから。
~駒王街 龍王神社~
その頃、裁龍神こと龍牙王は
「あっあの……龍牙王さま、この巫女服は私の知る物とはかなり違うのですが」
そう言って龍牙王の前で恥ずかしそうに胸の所や脚を巫女服(?)の袖で隠しているアーシア。大きな櫃の横で座り龍牙王はニヤニヤしながらそれを見ている。
現在アーシアが着ているのは、腋の所や横から見れば胸が見えてしまそうな巫女服だった。袴に至ってはミニスカートと見違える程、短い。
「あっうん、時代と共に巫女服も変わってるんだ(適当)。
一応我が神社の巫女の正装だから(嘘)。他にも色々と種類はあるけど、それが一番(自分の目の保養に)いいと思ってな。
なんならこっちにするか?」
「すっすけすけ!?」
「駄目か、じゃこっち」
「もぅ服じゃないじゃないですか!」
どうにも龍牙王が進めてくるのは、自分の知っている巫女服からかなりかけ離れた物だったので顔を真っ赤にしているアーシア。
「ぇ~似合うのに……(ぱさぁ)ん?」
「何ですかこれ?」
龍牙王の持っていた際どい巫女から落ちたのは鞭だった。
「鞭……だな。何だ、これ?我の物ではないし……そう言えば【撮影】に使うから貸してくれと(土下座で)頼まれた事あったか……やっぱアイツ、ドMか」
「これを使って何をするんでしょう?」
純粋な眼で鞭を見ているアーシアに、【そう言うこと(意味深)】などと言える訳もなかったのでそうそうに鞭を捨てた龍牙王。
「龍牙王さま、社でその様な物を出されると困ります。と言うか、アーシア様、何ですかその格好は?」
とやって来た桔梗と夜叉。
「えっと、これが巫女の正装だと言われたのですが……」
「違います、そんな破廉恥な服は巫女服とは呼べません」
そう言うアーシアに言うと、龍牙王を軽く睨んでいる桔梗。
「桔梗、お前は間違っている!」
そう叫ぶ龍牙王。今までに見たことがないほど、真剣な面持ちだ。
「何が間違っていると?」
ー巫女とは神に仕え、奉仕する者というだけに清廉潔白を尊しとされるケガレなき乙女のこと!そして、その証である巫女服を着る資格があるのは同じ時間同じ場所に生まれ出た女子の中でも、ほんの一握り!まぁ…世代によっては絶無の時もありうる貴重で希少な存在にのみ許された服!
そして何より神に奉仕する為の服装=神様が喜ぶ格好でなくてはならない!愛する巫女が
そうか、桔梗も着たk(ドスッ)何でもないですー
持っていた巫女服(?)が桔梗の矢により地面に突き刺さったのを見て黙ってしまった龍神様。
「全く……もう少し神らしくして欲しいものだ。なぁ夜叉」
「……(あれを桔梗が……悪くない、寧ろ良い。でも野郎共に見せたくねぇし…二人の時に頼んで……いや射られるな)」
なんて事を考えている夜叉。この神社の神主兼守護者だが、彼も健全な男の子なのだ。そう言うことに興味がない訳がない。
「夜叉?」
「ぇ……ぁ~うん、そうだな」
「何か変な事を考えてなかったか?」
「べっ別に……」
「そうか……アーシア様はどう思われますか?」
「えっと……個人的には龍牙王さまがお喜びならいいかと思いますが、流石に人前ではちょっと」
個人的には良いらしい。
「ぁ~お楽しみの所、悪いけどちょっといいか」
そう言って入ってきたのは、人間態の叢雲牙だった。
「叢雲牙か……買い物はどうした?」
どうやら地獄の剣は買い物に行かされていた様だ。
「途中だったんだが……こっちの嬢ちゃんに案内して欲しいと頼まれてな。
色々と事情があるものの、全く知らない訳でもないから連れてきた」
そう言う叢雲牙の後ろから出て来たのは巫女服を着た黒髪の少女だった。
龍牙王の新たな属性:巫女服フェチ