狗の長兄が行くD×D   作:始まりの0

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今回、若干、主人公の言葉に棘があります。

11月28日、指摘があったので少し修正しました。


第31巻 四大魔王との会談

 ~駒王学園 旧校舎 会談室~

 

 駒王学園にある旧校舎……その一室に設けられた会談席。

 

 その席に座るサーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン、アジュカ・ベルゼブブ、ファルビウム・アスモデウス。

 

 その後ろには魔王達の眷族達とサーゼクスの妹であるリアス・グレモリー、その眷族、姫島朱乃、木場祐斗。セラフォルーの妹であるソーナ・シトリーと眷族達がいた。

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 この場にいる誰もが言葉を発しなかった。いや発せなかった……この場に来る【裁龍神】、彼の龍神の一言で悪魔の存亡が掛かっている。裁龍神は世界中の神々と繋がっている、彼の龍神が悪魔を滅ぼすと言えば世界中の神々がその為に動くだろう。それを理解しているからこそ、この場にいる全員の気が張り詰めている。

 

 

 ―ギィ―

 

 扉が開く音と共に、龍牙王の側近である陽牙達が入って来た。彼等は部屋の中を隈なく見回すと入口の前に並んだ。そして、腰に差す刀を引き抜くと自分の胸の前に構える。

 

 

「この地を永く渡り守護せし」

 

 

「慈悲深く、貴き龍神」

 

 

「我等が主・龍王様」

 

 

「御入来である」

 

 彼等がそう言うと、扉から巫女姿のアーシアと桔梗、歴代の巫女であり夜叉達の曾祖母の陽菜、母の奏、戦闘時の格好の夜叉、神無、神楽、黒歌、白音、そして何故か、一誠までいる。………最後に入って来たのはこの地の神・龍牙王が入って来た。

 

 

「我がこの地の神…龍王……いや見た顔がいる故に隠しても仕方あるまい……我が名は龍牙王である」

 

 龍牙王がそう言った瞬間に、魔王達が立ちあがる。そして直ぐに理解した、彼の龍神は例え四大魔王が力を合わせたとしても勝つ事は不可能だと。

 

 

「私の名はサーゼクス・ルシファーと申します、以後お見知りおきを」

 

 と魔王達が挨拶していくが、龍牙王は全く表情を変えない。

 

 

「御託はいい………我は貴様とこうして場を同じくする事自体、正直我慢しがたいので早く終わらせたい」

 

 龍牙王はそう言うと、用意された席に座る。流石の魔王達のこの態度はどうかと思ったが、相手は栽龍神……機嫌を損ねれば自分達が終わってしまうと。

 

 

「率直に言う、悪魔共……この地から去れ。貴様等はこの地に害悪を齎す」

 

 

「わっ我等にはその様な気はございません!どうか話し合いを……」

 

 

「話し合い?少なくとも我が知る悪魔は話し合いではなく略奪に来たがな……例えば悪魔の駒(イーヴァル・ピース)とか言う物を使って、家の夜叉や桔梗を手にしようとして輩とかな」

 

 

「「「「ッ!!!」」」」

 

 悪魔の駒(イーヴァル・ピース)を作った事により始まった悪魔達による他の種族の狩り………魔王達もこれを知っていた。彼等もこれを止めるべく動いた。現在は表面化では止まっているが裏では止まっていない。

 

 

「それに悪魔など、己が欲の為に他者の命などどうでもいいと考える存在だろう」

 

 

「なんですって!!!黙っていれば好き勝手言って………悪魔の事を何も知らないくせに何を偉そうに」

 

 

「大体なんなのですか!?貴方に悪魔の何が分かると言うのです!!!」

 

 黙っていたリアスとソーナも龍牙王の言葉に怒りを感じそう言い放つ。彼女達は力の差が分かっていないのだ。そして感情に流される事も若さ故だろう。

 

 その言葉を聞いた龍牙王の眷族達が動こうとする。現に悪魔の所為で滅んだ種族は多い、日本の妖怪達……黒歌と白音もその被害者だ。だが龍牙王は動こうとした眷族達を制する。

 

 

「フン…………力の差も分からぬ餓鬼が。

 

 まぁいい………確かに理由も分からずにそう言われるのは腹が立つだろうからな」

 

 そして龍牙王は語り始めた。

 

 

 

 

 

 

『かつてこの地で起こった悪魔による災害……アイリのこと、日本全体で起きている妖怪の被害……その被害者が黒歌や白音だという事、近代になって力ある能力者であるこの地の巫女を狙ってきたこと……その悪魔達は皆、龍牙王や眷族達により倒されたことを語った』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でっではこの地で行方を晦ませる者達が多かったのは」

 

 

「勿論、我等が手によるもの……この地で生きる人間や動物に害成す者達を排除するのは土地神である我の役目だ。例え相手が神族だろうと、邪神だろうと例外なく我は戦う」

 

 それを聞いた魔王達やリアス達は驚いている。

 

 

「何故か分からぬ顔をしているな……まぁお前に言って理解できるかは分からんが……話してやろう。

 

 人間は神や高等な魔から見れば愚かで浅はかな生き物だ……時が経つごとに神への感謝を忘れる。だが神にとってはその様な事はどうでもいいのだ。友神の言葉を借りるなら…!例え不要とされ祀られなくなっても、忘れ去られても……一度、愛されれば、愛してしまえば………忘れる事はできぬ。

 

 忘れられぬからこそ、その時の事を想い狂う……神は時に荒神と言う厄災を振りまく存在になるのはその為だ。

 

 我にとってこの地に生きる人間は己の子供も同じ。子供が理不尽に傷付けられるのを黙ってみている親は居らぬ」

 

 

「……確かにそうだ。私にも1人の息子がいます。息子が同じ目に合えばきっと私も我慢なりません」

 

 サーゼクスがそう言った。今の龍牙王は土地神()として人間(子供)の事を話していた。サーゼクス・ルシファーも同じ親の身である故に龍牙王の心境を察する事ができた。

 

 

「フン………さてと。話を戻すとしよう、我はそう言った経緯があった故にお前達を信用できぬし、信用するつもりもない。

 

 そして我が巫女・桔梗から可笑しな話も聞いている」

 

 そうそれは桔梗がリアス・グレモリーから聞いた「この地の神の許可を得て自分達は活動している」というものだ。

 

 

「我はその様な許可を出した覚えがない……よもや貴様等は我の先程の言葉を聞いて許可を出すかどうかなど分かりきっているだろう」

 

 

「たっ確かに……だが何故だ、私は我等がこの地でくる際に使いをだし、此方と話し合いをさせた筈です。その時にそちらと誓約を交わしました」

 

 

「……何時の話だ、それは」

 

 

「確か20年程前です……此処に誓約書があります」

 

 そしてサーゼクスが出したのが1枚の紙だった。龍牙王はそれを手に取ると、内容を見た。悪魔がこの地で活動する事についてだ。内容は、この地で活動するにあたって、土地に迷惑を掛けぬ様な事など様々な条約が書かれていた。

 

 そこに「龍王」と言うサインが書かれている。

 

 

「我の字ではないな……それに我が署名の際には己自身の名を書く。【龍王】と言う名は我のこの地での呼び名で在って本来の名ではない。それにこの紙に残っている匂い……何処かで………はて何処っだたか?」

 

 

「悪魔が勝手に書いたものなのでは?」

 

 陽牙がそう言った。悪魔が自作自演をしたと考えた様だ。

 

 

「そっそれはありえない……と言いたい所なのですが………あえて正直言わせて貰うと、その可能性もあるかも知れません」

 

 サーゼクスはそう発言した。なんせ、その発言は自分達の首を絞めるのと同じ事だ。龍牙王はそれを聞くと、ピクッと眉を動かした。

 

 

「リアスより此度のことを聞き一度調べ直したのです。この誓約書を貰いに行った悪魔は現在行方不明となっており、詳細が分かりません。他にも色々と怪しい所もありました」

 

 

「だろうな。我の名を騙る眷族達はいないだろうし……それに我はとある事情により20年前はこの地にいなかった。故に我がこの地でそれにサインするのはありえん」

 

 

「「「「………」」」」

 

 

「だがこの問題はどうやら悪魔だけの所為と言う訳ではない様だ。誓約書(これ)に付く()()。どうにもこの匂い、気に喰わん…………何処かで嗅いだ覚えがあるんだが、遠い日の事過ぎて忘れた。スンスン………はて誰だったか?」

 

 龍牙王はサーゼクスの出した誓約書を鼻に近付けている。この誓約書に付いている匂いに覚えがあった………あったのだが、それが誰だったのか忘れている様だ。

 

 

 ―カタッカタッカタッカタッ―

 

 

「鉄砕牙、天生牙……何に反応している?」

 

 龍牙王の腰にある鉄砕牙と天生牙が何かに反応するかの様に震え出した。龍牙王は鉄砕牙と天生牙に触れるとその震えを抑えている。

 

 

「たっ大変です、サーゼクス」

 

 サーゼクスのクイーン、グレイフィアが彼の耳元で何かを呟く。他の魔王達の側近達も彼等に何かを言っている。

 

 

「なに!?」

 

 何やら魔王達が騒ぎ始めている。

 

 

「どうやら、互いにこの様な事をしている場合ではなさそうだ…………叢雲牙でないとしたら、親父の掛けた封印のどれかに異常が在ったと言うべきか………陽牙よ、お前達は神社へ戻れ、鉄砕牙と天生牙のこの反応はただ事ではない。急ぎ、警戒にあたれ」

 

 

「「「「はっ!」」」」

 

 

「すぅ…………【この地を愛し、我と共にある眷族達よ!何かが起ころうとしている!この地を護る為にお前達の力を貸してほしい!暫し警戒を!】」

 

 天井に向かいそう叫んだ。その声は例え何処に居ようと、駒王にいる眷族達に伝わった。そしてそれに応える声も龍牙王を耳に伝わっている。陽牙達はその場から消えた。

 

 

「さて……聞かせて貰うぞ、貴様等に起きている異変を……我の直感が言っている。貴様等の異変はどうやら我が追うべきものだとな」

 

 

「そっそれは……」

 

 魔王達は言う訳にはいかなかった。今回起きた異変は悪魔にとって不利なものだ……他の勢力に漏れればつけ入る隙を与える事になるからだ。

 

 

「この我が聞いてやると言っているんだ……【話せ】」

 

 

「ぐっ……何を」

 

 魔王達は何か逆らえぬ感覚に襲われる。

 

 

「無駄だ……言霊を使った。我の地にいる限り……いや日本にいる限り我に逆らう事はできぬ」

 

 言霊……それは日本における言葉に宿る霊的な力だ。神が使う言霊は強力で、生物だけでなく、無機物にすらも作用する。

 

 特に龍牙王の様に土地神で、自分の地にいる存在なら殆ど逆らえる存在はいない。言霊により、魔王達は話し始めた。




今回、リアス達の言葉に何もしなかったのは龍牙王が土地神として交渉の場にたっていたからです。

話し合いの場で、悪魔が何かを言ったとしてもその場で彼女達を切ったとなると報復の可能性があり、大なり小なり自分の地に被害が出るかもしれないからです。

龍牙王は悪魔を憎んでいますが、私怨で動いてこれまで護ってきたものが傷付く可能性があるなら、我慢することが多いです。

次回、犬夜叉で出てきた敵キャラが強化されて登場します。

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