~龍王神社 神殿~
「と言う訳だ。お前達も忙しいかも知れんが、1つ頼むぞ」
龍牙王は神無に対してそう言った。神無は黙ったまま、鏡を龍牙王に向けている。
『大丈夫だ、此方は何時でも受け入れ可能だ。貴方に比べれば此方はそれほど忙しくはない』
神無ではない声が神殿内に響く。良く見れば、神無の持っている鏡に1人の男が映し出されていた。
「ならば良かった。我も一度、そちらに行くからな」
『あぁ、子供達も喜ぶ』
「そう言えば……娘も大きくなったんじゃないか?そろそろ、男でも連れてくる年頃だろう?」
『あっあの子ははそんな事はしない!』
「ククク………そうか。まぁいずれは通る道だ、覚悟しておけ。結構キツイぞ」
『貴方には子は居なかった筈だが?』
「我からすると姪っ子になる……赤ん坊の頃から見てるから我が子も同然でな。あの子が男を連れてきた時は凄く大変だったな………(まぁ我以上に犬夜叉がだが)」
『そっそうか………ではまた満月の時に』
鏡の中の男がそう言うと消え、普通の鏡に戻った。
「ご苦労だったな神無」
龍牙王の言葉に頷いて返事を返す。
「門………開く?」
「あぁ。そう言えば………一応、連絡しておくか」
龍牙王はそう言うと、袖の下からスマートフォンを取り出すと何処かに電話を掛ける。
「よぉ、久しぶりだなドM………耳元で騒ぐな。お前等に見本として貸した服に鞭が入っていて、桔梗に変な目で見られたんだぞ………こっちだって忙しいのにわざわざ電話かけてやってんだぞ。5日後に蓬莱郷に行く、その時にお前の娘にも誘いをかけるつもりだ…………それよりもアイツの事を伝えてないのか………なに、言われた言葉がショックで言えなかった?駄目父が………泣くな、気持ち悪い。伝えたからな、来るも来ないもお前次第だ」
彼はそう言い終えると、通話を切った。
「あの子?」
「一応な。悪魔になったとは言え、あの子は向こうで産まれた子だ。それに……」
「分かった………誘っておく」
「頼む…………いや、久しく我も登校するとしよう」
「?」
「一先ずは状況も落ち着いたしな………あそこの状況も確認しておかないとな」
「………ならっ今日はお酒ダメ」
「えっ?」
「高校生はお酒ダメ」
「未だ一口も飲んでない………ちょw神無?!待って、それ年代物で高いんだってば!花にやっちゃだめぇ!」
「御神酒だから御利益ある………元気になる」
「Noooooooo!!」
氏子から奉納された高級な年代物の酒………龍牙王の神気に当てられ神酒となった。それが今、花の肥料となってしまった。
~翌日 龍王神社前~
昨日の酒の件で落ち込んでいる龍牙王(人間Ver)。
「なぁ、神無。兄貴、どうしたんだ?」
「気にしない………偶には休みも必要」
「最近は飲み過ぎだから良い薬だろう」
「「「?」」」
神無と桔梗の言葉に疑問を持つ、夜叉、白音、黒歌。
「ほらっ行くぞ、兄貴」
「………あぁ」
こうして龍牙王は天龍 龍牙として久しぶりに登校する事になった。