狗の長兄が行くD×D   作:始まりの0

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第40巻 不死鳥と邂逅す

 ~駒王学園 放課後~

 

「「「「「待てぇー!!!この変態共!!!」」」」」

 

 

「「「待てと言われて待つ奴がいるかぁー!!!」」」

 

 何時もの様に覗きをして女子生徒に追い掛けられている一誠、元浜、松田。一誠に至っては神様直々に心身ともに鍛えられている筈なのに、この変態行為は直らない様だ………これに関して龍牙王(神様)は「一誠のアレは産まれ持っての物………直そうと思って直せる物じゃない。まぁ………直すなら恋人作るか、最終手段として()()()()()かだな」との事だ。

 

「フン!」

 

 

「「「ぐへぇ!?」」」

 

 

「またやってやがるのか、このバカ共」

 

 

「「「げっ!夜叉!」」」

 

 そして毎度、それを止める夜叉。

 

「この風景は変わらないなぁ…………そう思わないか?」

 

 龍牙王の人間態・天龍 龍牙は校舎の入り口の近くに在る、金次郎像の台座に持たれながらそう言った。

 

「そうですね………あの熱意を勉学に向ければ成績も上がるでしょうに」

 

 今、喋ったのは何を隠そう金次郎さんである。

 

「それが出来れば毎度補習なってないだろうな…………そう考えるとこれから先、アイツ等の将来が心配だな………逮捕されるかと言う点で」

 

 

「捕まらなければいいのですが………私もこの沢山の子供達を見て来ましたが、あの子達程、心………欲望に素直な子供達を見た事はありません」

 

 

「我は過去に幾度が見た事はあるが………嫁さんが出来ると大人しくなったぞ。一誠達みたいなタイプは本当に惚れ込んだ女に尽くすタイプだし………まぁその変わり尻に敷かれるけど」

 

 

「貴方と同じタイプという事ですか」

 

 

「おい」

 

 

「尽くすと言うのは間違いではないでしょう?………何時ぞやは月の姫の為に戦争始めたじゃないですか」

 

 

「あったな、そんな事も」

 

 

(確実に尻に敷かれるでしょうけど)

 

 

「それで最近、悪魔に動きは?」

 

 

「特にないと思われます」

 

 

「そうか………監視の目は光らせておいてくれ」

 

 

「分かりました、龍王様」

 

 この金次郎像、彼の有名な金次郎さん本人とか霊とかではない。金次郎像に宿った精霊………正確には像を作る為に切り出した石に着いた精霊だ。この学園の監視役である。勿論、悪魔に存在はバレていない……そう言う様になっている。

 

「さて…………我は行くとする」

 

 龍牙王はそう言うと、金次郎像から離れて、夜叉達の元へ向かった。

 

 

 

 

「「「すいませんでしたぁー!」」」

 

 夜叉の前で正座している三変態。

 

「テメェ等………桔梗の着替え覗きやがったな」

 

 

「いや、それがその………」

 

 

「覗く前にバレたので」

 

 

「全然見てません」

 

 

「覗こうとはしたんだな…………」

 

 夜叉から冷たい視線を向けられ、寒気を覚えた。

 

「まぁいい………此処は被害者の方に任せよう」

 

 

「「「?」」」

 

 

「「「「この覗き魔共!!!」」」」

 

 一誠達は何時の間にか部活の女子生徒達に囲まれていた。剣道部から始まり、空手部、テニス部等々、これまでに覗かれた女子生徒総出の様だ。

 

「偶には痛い目に合うにもいいだろう」

 

 

「「「えっ?!ちょっと!!夜叉さん!助けて!!!」」」

 

 

「無理」

 

 

「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!」」」

 

 総ては自業自得である。

 

 

 

 

 ~30分後~

 

 お仕置きより解放された三変態。松田と元浜は先に帰宅していた。

 

「いっ痛い」

 

 

「自業自得だろうが………」

 

 

「全くだ」

 

 夜叉と龍牙にそう言われて俯く一誠。

 

「そういや、龍牙は何で休んでたんだ?」

 

 

(そう言えば言ってなかったか………龍牙王()天龍 龍牙()が同一人物なのを)

 

 龍牙王はそう言えば一誠に伝えてなかった事を思い出した。顔の紋様や耳、尾、服が違っているが、名前で気付いても良さそうなのだが………一誠は未だ気付いていない。

 

「未だ気付かんのか………鈍いな、お前は」

 

 

「?」

 

 

「俺に王を付けると?」

 

 

「龍牙に王……龍牙……王……龍牙王……えっ?」

 

 そう聞くと、土地の神である龍王の事を思い出した。そして、目の前の龍牙と並べてみた。

 

「あっ………あっーーー!」

 

 どうやら完全に気付いた様だ。

 

「はぁ」

 

 

「って事は…………俺ってこれまで凄く不敬な事をして」

 

 

「まぁ、それに関してはお前の性分だし仕方ないと思ってるぞ。でもいい加減にしとかないと捕まるぞ?」

 

 

「うっ!」

 

 

「と言うか、今でも捕まってないのが不思議なくらいだ。まぁ……それは置いといて、悪魔共から接触は在ったか?」

 

 

「いっいぇ……今のところはないです」

 

 

「ならばいい………ん?」

 

 

「兄貴………これは」

 

 

「悪魔だな」

 

 

「えっ……それってグレモリー先輩達ですか?」

 

 

「違うな……恐らく、別の個体だな。行くとするか」

 

 

「龍王様!」

 

 胴着姿の桔梗も此方に走って来た。

 

「おっと桔梗も丁度来たし………行ってみるか。一誠、お前も来るか?」

 

 

「えっ、いいんですか?」

 

 帰る様に言われるかと思っていたので、唖然とする一誠。

 

「此処は我が地、お前は我が氏子………故に我はお前を護る。しかし赤龍帝である以上、決して逃れなれぬ運命もある。譲れぬ物の為に、護る者の為に戦う事もある…………男であるなら余計にだ」

 

 彼の身体を包む様に風が巻き起こり、その姿を変化させていく。

 

「ならばそう言う局面で逃げなくていい様にお前を育てよう………お前がそう望むのであれば」

 

 天龍 龍牙の姿から龍牙王の姿へと戻った彼は、一誠にそう告げた。

 

「俺は……」

 

 

「直ぐに決める必要はない。此方側に来るにしても、来ないにしても悩めばよい。悩んで、悩んで、悩み抜いて答えを出すがいい。だが今の自分の現状は細かく知っておいて損はないからな」

 

 

「はっ……はい!」

 

 龍牙王は夜叉、桔梗、一誠を連れて旧校舎へと向かった。

 

 

 

 ~旧校舎 オカ研部室~

 

 この部屋にはリアスとその眷族達、彼等の眼の前にはソファーに腰掛けている金髪の男とその後ろには複数の女性達が立っていた。

 

「こうしてお前と会うのも久しぶりだな、リアス」

 

 リアスの前のソファーに座っている金髪の男はそう言った。

 

「ライザー………どうして此処に来たの?」

 

 

「なんだ、未来の妻に会いに来ちゃ駄目なのか?」

 

 

「貴方に構っている場合じゃないのよ………今は大変な状況なのよ」

 

 

「はぁ、どう言う事だ?」

 

 

「残念だけど言う訳にはいかないわ。魔王様達から箝口令が敷かれてるのよ」

 

 

「へぇ……面白そうじゃないか」

 

 この男はライザー・フェニックス。元72柱のフェニックス家の三男だ。

 

 悪魔の駒(イーヴァル・ピース)を用いて行うレーティング・ゲームでは、10戦中8勝2敗の成績を残している。2敗も御得意先でわざと負けている為に、実質無敗の実力者だ。そして、リアス・グレモリーの婚約者だ。

 

「悪いけど直ぐに帰ってくれるかしら………此処は……この地は貴方が思っているけど安全じゃないのよ。だから帰りなさい」

 

 

「意味が分からん。分かるように言え!」

 

 どうやらライザーも簡単には引き下がらない様だ。しかし、この土地での問題は既に一悪魔だけの問題ではない。この地の神を怒らせた暁には、悪魔と言う種族はそこで終わってしまう。

 

 今はこの情報を他に漏らして混乱を招く訳にはいかない、それに龍牙王より漏らす事を禁じられている、それを破れば大変な事になるのは目に見えていた。

 

 龍牙王は特例として話し合いが終わるまでは限られた悪魔達だけが学園内での滞在は許している。万が一にでも、ライザーが此処にいるのがバレれば、此方に敵意は無くとも土地に侵入したとして、処断されても文句は言えない。それどころか、印象がより悪くなる。故に急いでライザーを帰したかった。

 

「お願いだから早く帰っ」

 

 リアスが帰れと言おうとした時に、彼等の前に魔法陣が現れ、そこからメイドが現れた。

 

「グレイフィア、丁度良かったわ。ライザーを連れて帰って」

 

 

「やはり此方に来られましたか、ライザー・フェニックス様。フェニックス卿から此方に向かったと聞いて急いで来たのです。ライザー様、今すぐにお戻りを」

 

 

「せめて、どう言う事かくらいは説明してくれてもいいんじゃないか?」

 

 

「残念ながらそれはできません、お戻りにならないなら力ずくという事になr《ガチャガチャ……開かないな》………」

 

 

「まっ拙い」

 

 リアスの顔が真っ青になる。

 

 《兄貴、開かないぞ》

 

 

 《多重結界だな………まぁ我の前では無意味だがな。【開け】》

 

 ―ガシャ……ギィー―

 

「「なっ!?」」

 

 閉まっている筈の扉が開いた。

 

「勝手に人様の土地に無断で入って来やがったな、悪魔共………御用改めだ、抵抗するなら斬り捨て御免なんで、宜しく」

 

 龍牙王と夜叉達が完全装備でやって来た。

 

 それを見た、リアスとグレイフィアの顔が真っ青になったのは言うまでもなかった。




・金次郎像

 駒王学園の校庭を見守る様に建てられた金次郎さんの像。駒王の地に在った石から削り出された像で、像には駒王の地の精霊が宿っている。
 
 何故彼が学園に置かれたのかと言うと、駒王学園は上層部の者達は悪魔もしくは悪魔に通じる人間達だが、中には龍牙王の手の者達も混じっているので、彼等の手により設置される事になった。

 因みに彼はかなり昔からこの土地の学校を見守っているらしい。

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