~駒王学園 会議室~
駒王学園の会議室で真剣な表情で時を待っている四大魔王。その後ろではリアスとその眷族、ソーナとその眷族、そして本日、悪魔を代表して戦うライザーとその眷族達がいた。
「チッ………何時までこの俺を待たせるんだ?!」
ライザーは待たされている事に腹を立てている様だ。
「ライザー君、落ち着きたまえ。約束の時間までは未だ時間が在る」
サーゼクスがイラついているライザーに声を掛けて、宥めている。他の魔王達も時計を見て、時間を確認している。現在時刻、23:40。
龍牙王達との約束の時刻は午前0時、定刻までは未だ余裕があるのだが………魔王達は今回の件が如何に大切な事か理解している為、余裕を持って1時間前から此処で待っている。しかしライザーは既に我慢の限界の様である。
どうした物かと考えていると、以前にも感じた重圧が身を襲った。
「「「「ッ!」」」」
この場に居る全員がその重圧により身を強張らせた。そして魔王でさえも冷や汗を掻き、唾を飲んだ。
会議室の扉が開き、龍牙王の眷族である陽牙達が入って来ると部屋の中を見廻した。安全の確認が終わると、扉の前に並んだ。
「「我等が主よ」」
「「部屋には問題はない様です」」
彼等がそう言うと、龍牙王と巫女服と装飾品を身に付けたアーシアが部屋に入って来た。その後ろに夜叉、桔梗、黒歌、神無、一誠が入って来る。
「フン………」
「こっこの度は私共の「下らぬ話など要らぬ………準備が出来ているならさっさと始めるぞ。我等は暇ではない」はっ……はい」
龍牙王はサーゼクスの言葉を遮ると席に着く。
「で………ではルールの確認をします」
グレイフィアはそう言うと、今回のレーティングゲームの説明をした。
1.両チームのキング(今回の場合は代表としてアーシアがキングの役となる)がリタイアしたチームの負け。
2.回復アイテムは3つまで。
3.キングにはリザインの権利がある。
4.一定以上のダメージを負った場合は直ぐに退場となる。
5.アーシアチームが勝利の場合、悪魔側は無条件で龍牙王の要求を全て飲む。
6.ライザーチームが勝利した場合、先のライザーの無礼は不問とする事。
と至って簡単な物だ。
「お前達、そのルールで問題ないな?」
龍牙王はそのルールを聞き、アーシアや夜叉達に確認した。
「あぁ、分かり易くていい」
「問題ありません」
「だ、そうだ…………それで試合の場は?」
「此方で準備しました、別の空間にある駒王学園と同じ建造物のステージです」
龍牙王の問いに答えるアジュカ。
「では此方も試合の場を確認させて貰う。万が一に前もって罠でも仕掛けられていては困るからな」
「………分かりました。一応、此方側も確認させて頂きます」
「よかろう。陽牙、陰牙、確認せよ」
「「御意」」
陽牙と陰牙はグレイフィアと共に試合の場の確認に向かった。
「では此方の条件の確認をしておくか。
我の要求は貴様等の
それを聞いて魔王達は苦虫を噛み潰した様な表情になる。
「なっ、一介の土地神がそんな事を要求するのか!?何様のつもりだ!!!」
それを聞いて、声を上げたライザー。要求が大き過ぎると言いたいのだろう。未だ彼は龍牙王の正体を知らないからそう言うのだろうが………龍牙王からすれば当然だ。
龍牙王はそれを無視しているが、それが余計に腹が立ったのか、ライザーが彼に向かい近付いていく。
「この愚か者が!」
―バキッ―
ライザーを止め、殴り飛ばした悪魔がいた。それはライザーの父親である、フェニックス卿だった。
「息子が御無礼を働き、真に申し訳ありません!」
フェニックス卿は龍牙王の方を向くと、直ぐに土下座した。
「貴様は?」
「私はグリア・フェニックス。この愚息の父親でございます………知らぬ事とは言え、偉大なる龍神である貴方様に無礼を働き、御詫びのしようがございません!」
「ほぅ、悪魔のくせに分を弁えているな。まぁいい………表を上げよ」
「ちっ父上!なぜだ!?」
「黙れ!お前も頭を下げろ!」
そう言って、押さえつける様にしてライザーにも頭を下げさせた。
「なんで、上級悪魔の俺が!極東の神如きに頭を下げなきゃならんのだ!」
「このっ」
「構わんぞ、フェニックス…………その愚か者に説明してやろう」
龍牙王はそう言うと、着物の袖の下から巻物を取り出した。
「これは高天原からの書状だ」
巻物の紐を解くと、机の上に広げた。四大魔王、リアス、ソーナ、ライザー達がその巻物を見る。
【此度の案件に限り、彼の者に日本神話の全権を委ねる。
天照大御神、月夜見尊、建速須佐之男命】
日本神話の最高権力者である三貴士が今回の交渉に限り、龍牙王に全権を預けると言う書状だ。
つまり、現段階で彼は日本神話の代表となっている。
「今日は話し合いに来た訳ではない…………そこの小僧が舐めきっている人間と妖怪の力を示しに来たんだ。まぁ、舐めきっているのは、小僧だけとは限らんがな」
そう言ってライザーから視線を外し、魔王達、そしてリアス達へと視線を向ける。
「「戻りました」」
そのタイミングで陽牙と陰牙が戻ってきた。
「現在の時点でステージの方には特に怪しい術式、罠等はありません」
「そうか。お前達、準備はいいか?」
アーシアや夜叉達に聞いた。彼等は大丈夫だと返事を返す。
「それでは此方に」
グレイフィアがそう言うと、魔法陣が展開する。
「転送の魔法陣です。それぞれの拠点へと送ります。
試合開始は転送10分後となります」
グレイフィアの案内により、夜叉達とライザーとその眷族達がそれぞれの魔法陣に入る。
「お前達、気を張る必要はない。何時も通りにすればいい」
龍牙王はこれから戦いの場へと向かう夜叉達にそう言った。
「それでは転送します」
グレイフィアがそう言うと、彼等は別の空間にあるステージへと向かい転送された。
「主よ、夜叉達は大丈夫でしょうか?」
陽牙達は先程まで、夜叉達がいた場所を見つめていた。
彼等にとって、歴代の守護者達は誕生から死までを見守ってきた我が子も同然の者達。
夜叉達はその血を継ぐ者であり、龍王神社の
当の龍牙王は落ち着いた様子で、椅子に座り投影されているステージの光景を見ていた。
「お前達は、我が愛しの子等があの様な輩に負けるとでも思っているのか?」
「そうは言いませんが……相手は悪魔とは言え、不死鳥の名を持つ者。不完全とは言え、不死です」
ライザー・フェニックスは不死の力を持つ者達だ。普通に戦っては人間である夜叉達に勝ち目はない。
「不死だろうと、戦い方はあるさ」
龍牙王はそう言い、黙ってしまった。
陽牙達は主がそう言っているので、黙って投影されている光景へと目を向けた。