狗の長兄が行くD×D   作:始まりの0

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第44巻 巫女の力

 ~レーティングゲーム 特別空間 校舎~

 

「それでは組み分けは事前の作戦通りに………夜叉さん、桔梗さん、一誠さんは校舎裏。黒歌さん、白音ちゃんは体育館周辺をお願いします」

 

 現在ゲーム開始5分前、アーシア達は本校舎が陣地となっている。ライザー達の陣地はオカ研の部室のある旧校舎となっている。

 

 そして、各人の配置をアーシアが説明した。

 

「それでは各人、時間まで宜しくお願いします」

 

 

「おう!」

 

 

「分かりました」

 

 

「OKにゃ」

 

 

「分かりました」

 

 

「分かりました!」

 

 アーシアを残し、それぞれ支持された場所に向かった。

 

「御武運を…………私も準備を始めましょう」

 

 アーシアは彼等を見送ると、何かの準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 ~夜叉、桔梗、一誠side~

 

「と言う訳だ。一誠は、死なない様に気を付けろ」

 

 

「分かってる」

 

 夜叉が緊張している一誠にそう言った。

 

「無理をする必要はない。私達は、私達のするべき事をすればいいんだ」

 

 巫女モードに入っている桔梗がそう言う。

 

「日暮さん………何時もと違う」

 

 

「アレは夜の仕事モードだ。あぁ、なったら敵に容赦ないからな。因みに昼の仕事モードの場合は分け隔てなく優しい」

 

 

「へっへぇ……!?」

 

 

「「?!」」

 

 3人の足元に魔法陣が浮かび上がり、凄まじい爆発が起きた。

 

「フフフフフ!たかが、極東の島国の神に属する人間の分際でライザー様に刃向うからこういうことになるんです」

 

 彼等の上空に1人の女性が浮いていた。ライザーの女王(クイーン)ユーベルーナだ、彼女は【爆弾女王(ボムクイーン)】と呼ばれる実力者である。

 

「ユーベルーナ、もう終わりまして?」

 

 

「はい、レイヴェル様」

 

 彼女は自分に声を掛けた少女の元へ降りた。

 

 彼女の名はレイヴェル・フェニックス、名前から分かる様にライザーの妹であり彼の僧侶として此処に居る。彼女の後方には【騎士】カーラマイン、シーリス、【戦車】イザベラ、【僧侶】美南風が控えている。

 

「ミラ達は体育館の方でしたわね?」

 

 

「はい。彼女達の方も直ぐにおw『たかが、極東の島国の神?』なに!?」

 

 レイヴェル達は先程、ユーベルーナが爆破を起こした場所を見た。未だにそこには煙で覆われているが、その中から光が漏れ始めていた。

 

「それはあの方の事ですか?」

 

 

「なっ!?アレを喰らって無傷とは」

 

 

「あの方をたかがと言いましたか?」

 

 

「だから何だと言うのだ!?日本の神等、悪魔からすれば雑魚に等しい!」

 

 ユーベルーナはそう言い張った。そして、それは桔梗や夜叉の逆鱗に触れた。

 

 前世より知る龍牙王、その力だけでなく、優しさを知る桔梗。忘れているとは言え、兄の強さと優しさを知る夜叉。その彼を「たかが」と言われたのだ、黙っていれる筈がない。

 

 桔梗と夜叉の足元に罅が入る。

 

「『我等を古より見守りし、偉大なる龍神に願い奉る。我等を迫りくる悪しき闇を祓い給え、清め給え』」

 

 レイヴェル達の足元に巨大な龍の紋様が浮かぶ。桔梗は破砕弓を両手で天に掲げた。

 

『『『我等は龍神と共に生き、歩む者』』』

 

 桔梗の周囲に無数の光球が出現し、人の形へと変わる。そして、その姿がはっきりとしていく。年老いた者、男も、女も、幼い子供までいる。

 

「なっなんですのアレは!?」

 

 現れた人達は何も言う事無く、桔梗の傍で祈る様に手を合わせている。

 

『今此処に魔を祓いし龍神の雷を此処に』

 

 巫女とはその身に神を降ろし、その言葉を人々に伝え、時にその力で奇跡を起こす者。

 

 この術はかつて、この地を護る1人の守護者が編み出した物だ。人の一生は龍牙王()からすれば瞬き程の時しかない、またその加護無しには生きていけない。だからこそ血を次代へと繋ぎ、護られるだけではなく、共に戦う事を彼女は選んだ。

 

 龍牙王()の力を借りると同時に、歴代の守護者達の力を借り、魔を祓う術。

 

「【裁龍の雷】」

 

 天より眩い光が、レイヴェル達に降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっすげぇ」

 

 

「桔梗、無事か?」

 

 先程、光が落ちた場所には巨大なクレーターが出来ており、その端にはレイヴェルと満身創痍のユーベルーナが転がっていた。

 

「あぁ、だが霊力の殆どを使ってしまった」

 

 

 ―らっライザー様の【騎士】2名【戦車】1名【僧侶】1名、戦闘不能により退場―

 

 アナウンスが流れ、先程までいた6名の内、4名が退場した事を伝えた。

 

「がっ………にっ人間が何故、これほどの力を?!」

 

 ユーベルーナは『フェニックスの涙』を使い回復しながら、桔梗を睨む。

 

「我等が繋いできたのは血だけではない。その力、想い、愛を、私達人間は繋いできた。

 

 お前達が相手をするのは、私達だけではない。私や夜叉を含めた、あの方を慕い、共に歩んで来た駒王の地の守護者全てだ」




 と言う訳で早々に4人退場しました。

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