狗の長兄が行くD×D   作:始まりの0

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第47巻 纏え、赤き鎧

 ~レーティングゲーム特別空間 校舎前~

 

 桔梗の巫女の力で、ユーベルーナとレイヴェル以外は退場した。

 

 そして同じタイミングで、他の場所でライザー眷属達が退場した事がアナウンスで流れた。

 

 その結果に驚いたレイヴェルとユーベルーナ。

 

「ばっ馬鹿な!?あの娘たちが1人も倒さずにやられるなんて!!?」

 

 

「信じられませんわ?!」

 

 どうやら彼女達は驚きが隠せない様だ。

 

「俺達は毎日死線を駆け抜けて来てんだ!このくらいはこなせずにこの地の守護者が務まるかよ!」

 

 夜叉がそう言う。それもその筈、元々神である神無や神楽は別として、夜叉、桔梗、黒歌、白音はこの地を守る為に血を流すのが当然の修行をこなし、1歩間違えば死ぬ様な戦いをしてきた。

 

 対してライザーの眷属達はレーティングゲームはするものの、命を掛けた戦いをした事など皆無と言っていいだろう。

 

「夜叉。私は霊力が少ない、しばらく動けない」

 

 

「分かった………後は俺に任せとけ。いっs「馬鹿な!」」

 

 校舎の方から大声が聞こえ、校舎から炎が噴き出した。

 

「「「?」」」

 

 そして、校舎から飛び出してきたライザー・フェニックス。

 

「馬鹿な!馬鹿な!馬鹿な!あいつ等がこうも簡単にやられるだと!?たかが人間と妖怪如きに!」

 

 

「悪かったな、人間ごときで………なぁ、桔梗。彼奴が王将なのか?」

 

 

「その通りだ。奴を倒しさえすれば我等の勝ちだ」

 

 

「よしっ」

 

 夜叉は腰に差している護龍牙と闘滅牙を引き抜いた。

 

「あの神といい!貴様等といい!何故俺の邪魔をする!」

 

 

「俺達的にはお前等の政治的なことなんてどうでもいいんだよ。問題は俺達の神に対して牙を向けたからだ。

 

 あの人はずっと俺達を……人々を護ってきた。俺達は守られるだけじゃなく、共に生きる事を選んだ。だからあの人の敵は俺達の………この地に生きる者達全ての敵だ」

 

 夜叉はそう言うと、剣先をライザーに向けた。

 

「くっ……このぉ!」

 

 ライザーの額に血管が浮かびあがり、その表情は怒りのものへと変わった。

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 彼がそう叫ぶと、全身から炎が噴き出した。

 

「たかが!人間ごときがぁぁぁぁぁ!!このライザー・フェニックスに敵だと!?たかが人間が!この俺と同じ位置に立っているつもりかぁぁぁぁ!!!」

 

 

「あちぃな………おい、一誠。お前はどうする?」

 

 

「俺は………俺も戦う!俺もあの人に救われた!恩には報いなきゃな!行くぞ!ドライグ!」

 

 《おう、あの鳥野郎のプライドをズタズタにしてやれ!!!》

 

 一誠の左手に赤き龍(ウェルシュ・ドラゴン)の力を宿した赤龍帝の篭手(ブースデッド・ギア)が出現する。

 

 《Welsh Dragon Over Booster!》

 

 一誠の身体は龍を模した赤い鎧に覆われる。

 

「なっ?!ウェルシュ・ドラゴン……赤龍帝だと?!」

 

 

「まさかあの伝説の赤き龍ですって!?」

 

 

「一体何なんですの?!」

 

 ライザー、ユーベルーナ、レイヴェルが一誠の纏う赤龍帝の鎧に驚いた。

 

 伝説に聞く二天龍………封印され、神滅具(ロンギヌス)となった赤龍帝が目の前に………しかもこんな場で現れる等想像もしなかった。

 

「せっ赤龍帝だろうと、何だろうとこの俺が葬ってやる!!!」

 

 こうして夜叉達とライザー達の戦いが開幕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うらぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「うおおぉぉぉぉ!!」

 

 夜叉と一誠が真っ直ぐライザーに向かい突っ込んでいく。ライザーも人間に退く訳にはいかないと言わんばかりに真っ直ぐ突進する。

 

「おおぉぉぉぉぉ!!」

 

 突っ込んでくるライザーを護龍牙と闘滅牙で切り伏せようとする。だがライザーはそれを避けようとしない。

 

(俺には不死の力がある!たかが人間に)

 

 火の鳥、不死鳥と謳われた神獣の力を持つフェニックス家。その血を受け継ぐライザーもまた不死に近い力を持っている。

 

 本当の不死ではないのか?不死ではある………だが彼は不死以前に悪魔なのだ。その枠からは抜ける事は出来ない。

 

「おらぁぁぁぁぁ!」

 

 夜叉はライザーの拳を避けると、闘滅牙でライザーの腕を斬りつけた。

 

「ぐっ!このぉぉぉ!」

 

 

「俺を忘れんなぁぁぁぁ!!!」

 

 《Boost EXPLOSION!》

 

 ライザーが斬られた事で夜叉に注視した隙をついて、一誠がライザーの顔面を殴り飛ばす。

 

「ぐぼぉぉぉぉ!!」

 

 

「「お兄様(ライザー様)!?」」

 

 

「ぐっ………ぐぅぅぅ」

 

 ライザーの顔を炎が包み込み、一誠に殴られた部分を治癒していく。だが此処で違和感を感じた。

 

「腕の傷が………治りにくいだと?!」

 

 夜叉に斬られた個所の傷……瞬時に治ってもいい筈なのだが、未だに治癒されないでいた。腕の傷は30秒程で漸く完治した。

 

「成程………不死って言うのは強ち間違いではないな。闘滅牙との相性は微妙って所か」

 

 闘滅牙は斬った対象を細胞ごと破壊する力を持つ。ライザーの不死の力は破壊された細胞を一から再生させるのに時間が掛かるが、再生できない事はない。

 

「なら護龍牙で……桔梗!」

 

 夜叉の第六感が桔梗に危険が迫っている事を感知した。

 

「!!!」

 

 彼女の足元に魔方陣が浮かび上がる。それはユーベルーナによる爆発の魔法だ。

 

 今の桔梗は大規模な術を使った影響で霊力が殆どなく防御の術がない。回避するにしても、爆風に巻き込まれるのは言うまでもない。

 

「間に合えぇぇぇぇ!!!」

 

 夜叉は護龍牙を全力で桔梗に向かい投げた。

 

 凄まじい早さで護龍牙は飛ぶ。そして桔梗の足元から爆発が起きた。そしてその数秒後、更に爆発が……連鎖爆発である。

 

 恐らく時間差または衝撃が伝わると爆発するような魔法が桔梗の周囲に展開されたのだろう。十数回爆発が起きた後、漸く爆発は収まった。

 

「ふっフハハハハハハッ!良くやった、ユーベルーナ!」

 

 

「フフフ……やはり人間が我等悪魔に勝とうなど…なっ!?」

 

 先程の桔梗の立っていた場所は爆発により黒煙が立ち上っていた。だが何時まで経っても桔梗が退場したと言う放送はなく、黒煙が薄くなっていくとそこから光が漏れだしていた。

 

 煙が消えると、光に包まれた無傷の桔梗の姿があった。

 

「「「なぁ!?」」」

 

 ライザー達は空いた口が塞がらなかった。先程の一撃、これまで戦ってきた相手を防御の上から倒してきた戦法だ。だと言うのに、桔梗は無傷で平然と立っていた。

 

「どうにか間に合ったぜ」

 

 

「助かったぞ夜叉」

 

 桔梗が無傷だった理由は簡単だ、夜叉が投げた護龍牙の力だ。護龍牙は龍牙王の牙から打たれた刀、邪を祓い浄化する。だがその本質は使い手の思いに応え、誰かを護る事だ。

 

 夜叉は先程、桔梗を護る事だけを考えていた。故に護龍牙はそれに応えて桔梗を護る為に結界を張った。その結界は護龍牙が張っただけ在って強固だ。ユーベルーナの1撃の直撃を受けても全く揺らいでいない。

 

 

 

 

 

 

 ~現実世界 会議室~

 

 旧校舎の会議室に魔法によって映し出された夜叉達のゲームの映像…………それを見て魔王達は唖然としている。

 

 ライザーと彼の眷属達は若い悪魔達の中でも有望な者達だ。これまで行ったゲームは10回、その内8回は勝利を収めている。2回は試合的には負けているが、それは一族の御得意様が相手だったので花を持たせただけの事だ。

 

 だが少なくとも多少力を持った人間や、妖怪が相手に一方的にやられる訳がないと思っていた。

 

「馬鹿な……………こんな一方的な」

 

 

「しかも赤龍帝だと!?」

 

 

「此処まで日本の妖怪は強いの?」

 

 

「信じられない………これは夢だ」

 

 四大魔王も信じられないと言う顔をしている。後ろに居るリアスやその眷属、実況をしていたソーナ達さえも同じ様子だ。

 

「ゲームが始まって30分………そろそろか」

 

 龍牙王は映像を見ながら、そう呟く。未だライザー、レイヴェル、ユーベルーナが残っている。だが既に彼には結果が見えている様だ。

 

「まっ未だ結果は分からないわ!これから巻き返せば」

 

 リアスがそう言う。確かに、ユーベルーナの爆発魔法、ライザーやレイヴェルの不死の能力があれば………だが忘れている未だ表に出ていない人物が1人居る事を。

 

「フン………おっ?」

 

 龍牙王の首元に掛っている彼の龍玉が光り始める。

 

「数千年のブランクを30分で取り戻したか…………流石は我が巫女だ。陽牙、陰牙、神社に戻り祝杯の用意をさせておけ。ククク」

 

 

「龍牙王殿、なにを!?」

 

 徐々に龍牙王の龍玉の光が増していくことに悪魔達が声を上げる。

 

「よかろう………存分に使うがいい」

 

 彼はそう言うと、ニヤッと笑みを浮かべた。そしてその笑みが悪魔達にとっては恐怖の対象でしかなかった。

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