杏ちゃん目線での「ガルパン」を妄想してたらこんなことになってました。
生暖かい目で見てやってください
大洗女子学園内。
俺は「生徒会室」と書かれたドアをノックし、少し声を張って、
「失礼します。」
と告げると、
「どーぞー」
と、聞き覚えのある声。
少し緊張を解き、ドアを開ける。
「おっはー」
部屋に入り、そんな気の抜けた挨拶と同時に見えたのは、理事長とか政治家とかいう肩書きの人間が使うようなデカイテーブル。
その向こうに、俺ことイクサをこの学校によんだ張本人、角谷杏がこれまた座り心地の良さそうな椅子にニコニコしながらながらふんぞり返っていた。
そしてそのテーブルの上には杏の好物であるホシイモと、『生徒会長 角谷 杏』と書かれた名札が置いてある。
「…マジに生徒会長なんだな」
その名札を見てついそんな言葉が漏れる。
この前「事情」を聞いた時に知ってはいたが、実際に文字にして見ると感慨深いものがある。
すると杏の笑顔が歯が見えるようなニコニコ顔から慈しむような微笑みに変わった。
そして俺が見ていた名札を撫でながら言う。
「この学園が好きだからこそだよ」
優しく、それでいて確かな強さを秘めた言葉。
それに対して、
「…そうか」
なんてつまらない言葉しか返せなかった。
そして杏は声と顔をいつもの調子に戻して、俺に質問してきた。
「それにしても、こんな時期に転校なんてよく両親を説得できたねぇ?陸の高校で、しかも実家暮らしだったんでしょ?」
「あぁ…あの学校にも戦車道はあったが男子校なだけあって規模は小さかったんだ。自分でわざわざ戦車道の盛んな学校に行って試合と整備をさせてもらってたぐらいだからな。そんな事情を知ってたから、『戦車道を復活させるにあたって戦車に精通している俺がスカウトされた。』って言ったら二つ返事で許可してくれたよ。」
俺の両親は戦車に深く携わっている。
そんな二人に「戦車道」で「スカウト」されたって伝えた時の喜びようといったらな。
「はっは~それはさぞかし喜ばれたろうねぇ」
「赤飯炊こうかってレベルだったぜ」
そんな話の直後、後ろのドアが開かれ、
「「おはようございます、会長」」
という重なった挨拶が聞こえてきた。
俺が振り替えるとそこには二人の女の子が。
「おっはよう!」
と杏が挨拶を返す。
「イクサ、この二人が我が生徒会のメンバーだ。」
もう一度振り返り杏の方を向くと、後ろから二人が回り込んできてテーブルの前に並び、俺と3人が向かい合う形になった。
どうやら杏はこの二人には俺のことを伝えてるらしい。
「はじめまして。私は生徒会副会長、小山柚子です。」
まず向かって左、優しそうでおっとりとした印象を受ける子に自己紹介をされた。副会長とあってか初対面の、しかも男である俺に対してもこの落ち着きよう、ただ者ではないのだろう。
「同じく生徒会広報、河嶋桃だ。よろしく頼む。」
そして向かって左、珍しい片眼鏡をかけた、柚子とは対照的に真面目でしっかりとした印象を受ける子が自己紹介をした。広報という肩書きではあるが生徒会では広報を越えた役割を担っているという。
「あ…あぁ俺は『イクサ!』…えっ」
そんな二人に圧倒されつつ俺も自己紹介しようとしたら、杏に遮られた。
「いやそれはあだ名だろ」
「いやいいんじゃない?他の学校じゃソウルネームが本名みたいなところもあるし」
「いやだからって」
「よろしくね、イクサ君」
「イクサ、期待しているからな」
「……」
さすが生徒会。チームワークバッチリだなオイ
なにも言い返せなくなった俺を尻目に杏が、
「で。イクサの役職どうする?」
「「「えっ?」」」
なんて軽く言いやがった。思わず3人でハモって聞き返したぞ。
「いやだからイクサの生徒会での役職でしょ」
「か、会長?イクサ君を生徒会に入れるんですか?」
「男女抜きにしても、今日転校してきた奴を入れるのは…」
この二人は俺のことは知ってても俺が生徒会に入ることは初耳らしい。
そりゃそうだ俺だって初耳だからな。
「杏よ、さすがにそれは」
「…これはこの学園のためでもあるしイクサのためでもあるんだ」
「…っ」
今までの軽い雰囲気はまるでなくなり、顔から笑顔が消えた杏に、思わず息を飲む。そしてこう続けた。
「これからこの学園は戦車道に重きを置いていくことになる。だが今現在この学校で戦車の整備、戦車道の教官役が出来るのはイクサただ一人だ。そしてイクサにやってもらうことは山積み。戦車道履修者の勧誘、戦車道の訓練監督、いざ試合となったときには戦術指南、相手のデータ収集、ヘタしたら直接試合に出てもらうことにもなる。そもそも戦車がないからその捜索、自動車部への整備指導……切りがない。もちろんそのすべての負担をイクサ一人が背負うのは無理だ。ならその負担を誰が分散させるかってなったら…もうわかるでしょ?」
3人とも何も言い返せなかった。
そうだ、こいつは真面目に何かをやらせると誰にも追随を許さなかった。
360度すべてを見渡し、最適な答えを導き、それを実行できる。
「…私はこの学校が大好きなんだ。」
そして、一途だ。
「この学校で悔し涙は流したくない。笑って卒業したいんだよ。」
心に決めたことは決して諦めず、常に目的に向かって前進し続ける。
恐らく廃校になる前日、いや、その一秒前まで答えを探し続けるだろう。
「戦車道全国大会で優勝。途方もない目標だが、それぐらいの実績がないとあの大人達は納得しない。生半可な努力じゃ決して達成出来ない…だけど、この4人でなら必ず成し遂げられると信じてるよ。」
決意の眼差しを俺たちに向ける杏。柚子と桃にはもう迷いはないようだ。
「…わかった。」
ならば俺も杏の進もうとしている道を信じる。
「入ろう。生徒会」
実に普通な、つまらない言い方だが、俺なりの覚悟をきめた確かな答えだった。
それを聞いた杏はまたいつもの調子に戻り最初の議題を出した。
「そんじゃイクサの役職名は…」
そしてその日、生徒会による戦車道復活宣言と同時に、俺は「大洗女子学園生徒会戦車道特別教官イクサ」として全校生徒の前で自己紹介することとなった。
感想等よろしければお書きください
さらにアドバイス、明らかにおかしな設定、読みにくい所なども遠慮する必要ないです
ネット創作物を投稿することが初めてなので、注意点もむしろ教えてくださると嬉しいです
時系列についてはガバガバかもしれないので気にしないでいただけると幸いです