4話目です。あの名台詞がやっと出てきます。
前からですが基本生徒会サイドからテレビシリーズをなぞってるだけなので説明が大分省かれているところもあります。ので、ノリと勢いに任せて付いてきて下さい。
「あのっ!私っ!……戦車道、やります!」
「「えぇーっ!?」」
その一部始終を、俺は生徒会室の前で聞いていた。
あまりにも予想外すぎる結末。
時間は今朝に戻る。
「やっぱり西住ちゃんは戦車道を選択しなかったよ。……後は、頼むね。」
杏が俺にそう言った。生徒会室にはいつもの4人。だがいつもの軽さは微塵もなく、完全に覚悟を決めた顔だった。
「イクサは私たちのことを徹底的に悪者にしろ。『同じく生徒会に巻き込まれた被害者』としてな。」
「うん。私たちの事は気にしないで。これぐらいの事なら覚悟の上だから。」
桃と柚子にそう言われる。だが、
「それは無理。」
と強く否定した。こればっかりは命令されたって出来ない。
二人が納得のいかないような顔をしていたので俺は続けた。
「お前らの良いとこをたくさん知っちまったからな。あの日だって、休日だってのに柚子は学園艦を丁寧に案内してくれた。しかも覚えやすくな。俺、案内されたの一回だけだったのに、柚子の事思い出してもう歩けるようになっちまった。桃も鍋以外の料理を作ったって言ってたじゃん?あの揚げ物は旨かった。しょっちゅう食いたいもん。」
女性は誉められる事に弱いって、戦車道の雑誌に載ってた。
「それに、俺は皆の事を大切な人だと思っている。なんでもやるつもりだが、だからっつってお前らの事を貶めるなんてできない。」
反論を封じるためとはいえ、誉めたことも含めて俺の本心だ。
「「「……」」」
だが、3人とも黙ってしまった。
いや、俺の狙い通りだけど、なんだこの妙な雰囲気は?
柚子は俺の足元を見ながら指を弄ってるし、
桃は口を固く閉ざしてうつむいてるし、
それに二人とも心なしか顔が赤いような?
そして杏といえばなんか面白く無さそうに、ホシイモを食ってるし…
「……『柚子の事思い出して』とか『しょっちゅう食いたい』とか『大切な人』とか……」
「杏?」
「な~んでもないですぅ~」
杏が何か呟いてたが聞こえなかった。それにしてもなにこの不機嫌っぷり。
「どっちにしても!」
杏が仕切り直す。2人ともはっとして杏の方を向く。
「『説得』は今日の昼だ。イクサは西住ちゃんに見つからないように生徒会室の前で待機。そして出てきたところで接触って形で。……じゃあ解散!」
なんだ今日の杏は?やたらびしっとしてるというかなんというか…
まぁ良い。今から西住にかける言葉を考えないとな。
「イクサ!」
柚子と桃が生徒会室から出た後、俺も出ようとすると杏に呼び止められた。
「廃校の事はアタシ達だけの秘密だから。」
「……分かってるよ。」
他の子達に重責を背負わせたくない。そんな気持ちあってのことだろう。
わざわざそんなことを言うのは杏なりに緊張しているからか。
「大丈夫だ。なんとかなる。俺を信じろ。……まあ、なんの保証もない言葉だがな。だが杏の背負ってるものは一緒に背負ってやる。そこは信じてくれ。」
こんな言葉で緊張を解せるとは思えないが。気休めでもいい。ただ真っ直ぐ、杏を見据えてそう返した。
「……」
返事は無かった。杏はただ目を伏せてホシイモを食ってるだけだ。
だが顔が赤い気がする。
「もはや才能だよねぇ……」
「何だって?」
「ホームルーム始まるよって言ったの!」
「わ、分かってるよ」
やはり今日の『説得』の事を考えて気が張ってるのか?
俺は言われるままに生徒会室を出て教室に戻った。
「……ああ言うの天然ジゴロって言うのかなぁ……生徒会に入れたのは失敗……いやアタシの目の届かない所で色々されても……だったらそもそも……」
そして杏は独り、恋敵が増えることを懸念していた。
そして昼、校内放送で西住を生徒会室に呼び出し、『説得』が始まる。
影で西住が生徒会室に入るところを見ていたが、どうやら一人ではない。友人が二人付いてきているらしい。
そしてその3人が生徒会室に入ってからドアの前まで行き、聞き耳を立てる。
『…………。』
『……!…………!』
中から聞こえるのは予想通りの言い争い。
『みほは戦車道やらないから!』
『西住さんの事は諦めてください。』
……俺と同じく転校してきたばかりだと聞いたが、いい友人に恵まれたらしいな。
その後も言い争いは続き、
『……そんなこと言ってるとアンタたち、この学校に居られなくしちゃうよ?』
俺でさえゾクッとするような杏の脅し。
だがそれでも西住の友人は怯まない。
……厳しそうだな。西住の味方が強力過ぎる。
こりゃあ、西住が一人の時に改めて『説得』するしかない。
だとしたら、この後俺が接触しても逆効果、…か?
そう思い、この場を立ち去ろうとしたとき。
『あのっ!私っ!』
西住の声が聞こえ、足を止める。
『戦車道、やります!!』
耳を疑った。
だが、その後に聞こえた、『『えぇーっ!』』という重なった驚き声と生徒会の嬉しそうな声。
聞き間違えではない。
西住が自分の意思で戦車道を選択したのだ。
そして数分後、西住を含めた3人が出てきた。
「みほ、本当に大丈夫なの?」
「わたくし達のことなら、大丈夫でしたのに…」
「ううん、こっちこそごめんね。」
廊下で支えあうその姿は、少し前に知り合ったとは思えない、確かな絆を感じた。
これなら、心配はいらないか。
「すまなかったな。」
俺はそんな3人の後ろから声をかけた。
3人が振り返るとそれぞれが驚いた顔を見せる。
凛として芯が強く、礼節を重んじる、五十鈴華。
人当たりがよく、誰とでも親しくなれる、武部沙織。
そして気弱そうだが、優しく友達思いな西住みほ。
「生徒会戦車道特別教官の…まあこれはあだ名だが…イクサだ。気軽にイクサパイセンとでも呼んでくれ。」
この学園の希望。
新たな仲間。
ここでやっとスタートラインに立ったと言う所か。
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ガチャッ
「お疲れ。」
「おーうイクサ。西住ちゃんはどうだった?」
「あの二人のお陰だな。落ち込んでるとか、怒ってるとかは無かったよ。」
「うん、まぁ、私たちもびっくりだったけどねー。……これでやっとこさ山を1つ越えたってとこかな?」
「あー…後何回登山するんだ…」
「日本列島縦断するより多そうだよねぇ…」
「気が遠くなるな……まあとりあえず、あの3人に自己紹介はして、あと連絡先も交換した。戦車道については後でって感じだな」
「……ふーん……連絡先交換したんだ……」
「えっ?そりゃあお前、これからの事を考えたら自然な流れだろ。」
「まー…いーんだけどねぇ…?」
「なんだよ」
「少しでも変な気を起こしたら風紀委員に突き出すからねー。」
「変な気ってなんだよ!?」
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「はぁぁ~!それにしてもこの学園で男の人と電話番号を交換できるなんて~!」
「沙織さん。それもう4回目ですよ?」
「だってだって~!わざわざ呼び止めて来るなんて、これもう脈ありとしか思えないよ!」
「あはは…」
「まあ確かに誠実そうで、頼りがいのありそうな殿方でしたね。」
「でしょー!ねぇみほはイクサ先輩のことどう思った!?」
「えぇっ?わ、私?……えっと……なんか、お父さんの事を思い出した、かな…?」
「西住さんのお父様……ですか。」
「うん……なんとなく、だけど。」
「おぉー……そう言えば好きな異性のタイプは親に似るってよく言うよね!……もしかしてみほも脈ありって感じかな?!」
「ふぇっ!?」
「沙織さん。みほさんが困ってますよ?」
「えぇー?でも誰を好きになるのかなんて自分でも分からないものだよ?」
「でも他の人から押し付けられるのは違うと思うんです。」
「華は真面目だなー。こういうコイバナだって大事なの!」
「…………」
「……イクサさん…かぁ。」
みぽりんにフラグを立てつつここまで。
会話文だけのパートはいかかでしょうか。
多用していく可能性があるので読みにくかったらごめんなさい。