自動車部とこんなテンションで過ごしてぇなー…っていう欲望。
「Zzz……」
ゴォォォォォォ……
「スヤァ……」
……ドゴーーン!
「!?!?」
整備明けの惰眠を貪っている所に襲いかかる轟音。
「何々っ!」
「えっエンジンが爆発したっ!?」
一緒の部屋で雑魚寝していた自動車部の面々も跳ね起きる。
轟音は窓の外、駐車場のほうから聞こえてきた。
俺がカーテンを開ける。
そこには……
「10式……?」
自衛隊に配備されている最新鋭の主力戦車。
なんでそんな代物がここに、と思ったが。
「あぁ……昨日言ってた戦車道の教官って自衛隊の人なのか。」
と、自己解決。
すると、ホシノが隣に来て驚いた声を上げる。
「あっ?あれ学園長のフェラーリじゃない?!」
ホシノが指差す方を見るとペシャンコになってる赤い高級車だった物が。
「……」
俺は無言でカーテンを閉めた。
「見なかったことにしよう。」
「……そうだね。」
実際俺らは何も関係無いしな。
「あっ!いっ今何時!?授業遅れる!」
「落ち着け。今日は休みでいい。さっき杏が来て授業を1日免除するって言ってたからな。」
「あっそうなの?じゃあ寝よう……」
ツチヤが慌てるが、少し前に杏に言われたことを伝えると、糸が切れたように再び横になる。スズキとナカジマも同様に倒れ、寝息をたて始める。
その後、一緒に窓際に立ってたホシノが思い出したように聞いてくる。
「そういえばさっき会長とケンカしてなかった?」
「…いや、気のせいじゃないか?」
「…ふぅん?」
適当にごまかしたが、ホシノが言ったことは合ってる。
数時間前…
「おはよー。イクサ起き…」
「んあ…杏か…」
「……」
「?…なんで背中の上に…痛え!まて腕がもげる!」
「とりあえず話は風紀委員と一緒に聞くから。」
「関節!関節がっ!どこでこんな技術をお前!」
「ほら騒ぐと皆が起きちゃうよ?」
「じゃあ止めてくれよ!?」
…なんてことがあった。
整備が終わった後、疲れのあまりその場に全員で寝てしまっただけで、やましい事は何もないと腕を極められてる中必死の思いで弁明したが… あの小柄な体のどこにあんな力が…
「…まあいいけど…あと、噂で聞いたんだけどさ…」
「ん?なんだ?」
「イクサと会長って…付き合ってるの?」
「はいっ?」
心臓が跳ねる。ホシノはいきなりどうして何故そんな爆弾発言を?
「いや、そんなことはないぞ?」
内心慌ててそう言ってしまう。っていうか告白しあって、キ……まぁあんな事までしておいて付き合ってないってのもおかしいが、素直に付き合ってるって言うのも問題があるような…
「ふぅん?」
無関心のような、興味があるような微妙な返事をされる 。
「まぁいいや。ふぁーぁ……もう一眠りしよ…」
とあくびをしながら元いたソファーの上で横になってしまう。
…やっぱ女の子ってまだわかんねぇや。
…俺もまだ寝足りない。もう一度その場で横になって意識を飛ばす。
……ひそひそ……
「…ホシノホシノっ」
「…ナカジマ?」
「…まだチャンスありそうじゃない?」
「…うん…でも多分イクサは会長と…」
「…ふーん…でも私は応援してるよ!」
「…ふふっ…早く寝なよ。」
「…はいはーい…ふふっ」
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起きた時には昼を回っていた。
体を起こすとツチヤが一人で弁当を食べていた。
「ングッ?……遅いお目覚めだねー。まあ私も今起きたんだけどさ。」
「…皆は?」
「ちょっと前に起きて昨日ほったらかしにした道具なんかを片付けてるよ。ほら、イクサの弁当もあるぜー」
「あぁ…ありがとう。」
そしてツチヤと弁当を食べ始める。
「…そういえば前から気になってたんだけどさ。ツチヤはいつから皆とため口で話すようになったん?」
「……うーんと、去年ナカジマ達の先輩がまだいたときに自然とって感じかなー…ナカジマ達がその先輩とため口だったから余計にって感じ?」
「まあひとりだけ敬語ってのも逆にやりずらいもんな…てか2年上の先輩にもため口だったのか?」
「そうだよー」
「へぇー…そりゃ生意気にもなるわ」
「えぇー?あたしィーイクサ先輩のこと尊敬してるっすよぉー?」
「なめくさってんなぁ…」
「えへへー」
と、笑いあっているとドアが開かれホシノが入ってきた。
「…二人とも楽しそうだねぇ…」
ホシノがジト目で呟く。
「あんれー?終わらしちゃったの?」
「そうですー!大変でしたー!」
「すまんなホシノ」
「あっ…いやイクサに言ったんじゃなくて…」
「おやー?ずいぶん私との態度に差がありますねぇ?」
「うるっさい!そもそもツチヤが一番下なんだから働けよう!」
「あー!こーゆー時だけ年功序列を持ち出してくる人は将来的に…すごい…あれだぞ!」
「ふっはは!無理して難しい言葉使おうとするなよ!」
「ははっ…多分年功序列の意味違うしな」
「もうー!」
そしてナカジマとスズキが入ってきて騒ぎはさらに続いた。
「なんだよー廊下までうるさいぞー?」
「あーナカジマぁー!ホシノがいじめるよー!」
「おーよしよし怖かったねー…イクサを取られそうになったからって大人げないぞー?」
「んなっ!そんなんじゃないよっ!」
「あっははは…」
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ガチャっ
「ただいまー…」
「おーイクサお帰りー」
「…イクサ。生徒会室はお前の家じゃないぞ」
「硬い事言わないの、桃ちゃん」
「桃ちゃんと呼ぶな!」
「そうだぞ桃の助」
「だから桃ちゃ…んではないがそれもやめろ!」
「ははっごめんな……で?初日からハードだったみたいだな?」
「あー結構派手にやったからねー。大変だったっしょ?」
「まぁ昨日ほどじゃなかったが、整備したその日からあんな状態だからな…」
「イクサ君本当にお疲れ様だね。」
「まぁこれから技術も上がってもっと楽になるさ。それで?今日はどんな事やったんだ?」
「まぁ結果から言ったら西住ちゃんのチームが他のチームを全滅させたね」
「えっなにそれ」
「いくらなんでも端折りすぎです…今日の訓練は5つのチームに別れての模擬戦。その結果、会長の言ったような最後になった。」
「だいたい合ってるじゃーん。…でもすごいよねー1両は自滅だったけど、その他の3両は西住ちゃんが撃破したんだもん」
「へぇ…やっぱりすげぇな…」
「まぁ、それはそれとして。さっきの話はまだ終わってないからね?」
「えっ?」
「とぼけないでよーん。…自動車部の4人と一晩寝たんでしょ?」
「「……」」
「お前言い方を考え…」
「座れイクサ。言い訳はこれからしてもらう」
「会長。そど子さんに連絡しますか?」
「いや、シロかクロかはっきりさせてからでも遅くない。」
「待て。お願いだから話を聞いいででで腕!腕がっ!」
「イクサ君。男だったらケジメをつけなきゃ」
「柚子さんお願いだから関節を極めるのを止めて!」
「ふむ。相変わらずの腕だな。柚子」
「ありがとう桃ちゃん。でも会長には負けるけどね」
「泥んこプロレスリングで鍛えられたからねーあっはっはー!」
「この状態で談笑するんじゃねぇぇぇ!」
この後数時間拷問され続け、自動車部の電話による証言によって俺の潔白は証明された。
ホシノにもフラグを立てていくスタイル。
立て過ぎて回収できないなんて事にはならないようにしたい。