やっぱあのキャラは無理して作ってるんじゃないかなーと思っての今回。
あとバトルシーン…と呼べるかはわからないけどそれっぽいのに挑戦してみました
夕暮れ。森の中。
いつもは静かなはずのこの場所では今、多数の銃声が鳴り響いている。
「チッ…」
空になったマガジンを捨て、舌打ちを漏らす。
マガジンはあと1つ。敵は3名。こちらは1人。
…非常にまずい。
不意に銃声が聞こえた。 だが俺には当たらず少し遠くの木に着弾する。
今ので場所はわかった。俺は落ち着いて敵がいるであろう場所に数発撃ち込む。
その場所から聞こえる断末魔にも似た叫び。これで後は2名。
その直後。右前方の茂みから1人が飛び出す。
『奴』が発砲する前に撃ち込み命中させる。
だが『奴』が飛び出してきた茂みから銃声。
その凶弾が俺の右胸を撃ち抜いた。俺は叫ぶ。
「畜生!負けだ!」
「よっしゃあ!」
茂みから撃ってきた杏が立ち上がり、ガッツポーズをする。
「会長!やりましたね!」
最後に命中させた 『奴』…柚子も同じくガッツポーズしている。
「あぁ…やっぱりなぁ…」
「まぁ早々に1対3にしちゃった私達が悪いよねぇ…」
そして俺のチームメイトであり、試合開始直後に撃破されたホシノとナカジマが申し訳なさそうに歩いてくる。
「にひひーイクサ君?約束はなんだったっけー?」
「あぁ…38(t)を全面金色ね…おーけーおーけー…」
さて、俺らが何をやっていたか。事の発端は今朝の生徒会室での会話。
「イクサぁーちょっと戦車道のルールについてなんだけどさ」
「なんだ?」
「戦車のカラーってある程度決められてるの?」
「いや。全く決まりはない。あらゆる色、模様、文字なんかも迷彩として認められている。」
「へぇー!じゃあさじゃあさ!」
「嫌な予感しかしないんだが?」
「うちのチームの38(t)を全面金色にしてよ!」
「マジで?」
「ただの金色じゃないかんねー!金箔みたいに、光が反射するようなピッカピカにしてね!」
「できるかそんなもん」
「えー無理なの?」
「無理とは言わないが、ピッカピカなんて何時間掛かると思ってやがる」
「やってよぉー」
「駄々っ子か。てかなんで金色だ?」
「この写真見てみー?」
「あ?…なんだこれ!?これ三突か?なんで真っ赤にして旗ぶっ差してるんだ!こっちのM3リーはピンク一色だし!八九式はマシ…じゃねぇな『バレー部復活』って書いてやがる!」
「でしょー!だったらウチらも…」
「やらねぇよ!」
「なんでよ!?」
その後も言い争いは続き、結局杏がサバゲーで勝ったら金色にするという事になった。
要するににあれだ。他のチームがトンデモカラーにしたから自分達も派手にしたいってだけだろう。
……なんでサバゲーかって?俺が聞きたい。感情的になって全然覚えてない。
「ごめんな二人とも…余計な手間を掛ける…」
「気にしないで。戦車のカラーリングってなかなかできる事じゃないし!」
「そうそう!それにサバゲーなんて初めだったけどすごく楽しかったよ!」
ホシノとナカジマの優しさが身に染みる。
「んじゃ早速取り掛かりますか!」
「あぁ。頼んだ。」
自動車部の二人が校舎に戻った後、ある事を思い出す。
「…あれ?そういえば桃どこいった?」
「イクサが撃ったんじゃないのん?」
「…ちょっと行ってくる」
杏のチームはいつもの生徒会三役。
もちろんBB弾で試合をしていたが、もしかしたら打ち所が悪くて動けなくなってるかも…
内心焦りながら桃を撃破した場所に向かう。
そして、そこにいたのはうずくまっている桃。悪い予感が当たったか?
「おい!桃大丈夫か!?」
「ふえぇ?」
桃に声を掛けるが、返ってきたのはいつもの桃からは想像できない情けない声。
「も、桃…?」
「…かった」
「えっ?」
「痛かったぁぁ~!」
「ちょっ!泣くなって!」
ついには泣き出してしまう。なにこの子!本当にいつもクールにしている桃か?!
本気で人違いの可能性を考え始めた頃、柚子と杏が後ろからやってくる。
「あーもー桃ちゃん泣かないのっ」
「うぅ…ひっぐ」
「あはは…河島ってこう見えて結構打たれ弱いんだよねー」
「そう…なのか?二重人格とかじゃなく?」
「そんなわけないじゃーん」
「桃ちゃんどこ撃たれたの?」
「…腕の…」
「あー…ちょっと赤くなってるねー…でもこれぐらいガマンしなきゃ戦車道なんてできないよー?」
「うぅ~…」
この杏と柚子の慣れた様子。…もしかして
「結構普段から泣き虫?」
「泣き虫言うな~!」
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桃が撃たれた所が少し腫れていたので、保健室で湿布を貼ってもらった。
そして今はふたりで廊下を歩いている。
「……」
「……」
会話がない。まあ桃からしたら見られたくない所を見られたのだから気まずくて当然だろう。
「…い…イクサ。」
桃が恐る恐るという感じで俺の名を呼ぶ。
「なんだ?」
「あの…さっきの事は…誰にも…」
桃が泣きそうな声で懇願する。
生徒会の一員としてふさわしいように、口調、性格、あとこの片眼鏡なんかも用意して作り上げてきたのだろう。
なのに、俺に素の一面を見られてしまった。
恐らく、今桃の中にあるのは俺がその事を言いふらしてしまうのではないか、という不安。
もちろん俺にそんな気はさらさら無い。
それに…
「言わねえよ。むしろ嬉しいぐらいだ。」
「えっ…?」
桃の困惑が伝わってくる。
「あんな所を俺に見せてくれたんだ。お前が俺の事を仲間として…なんていうかな…信頼、してくれたってことだろう?」
「…えっと…」
「あぁいや、俺が勝手にそう思っているだけだからな。…まあなんにしてもさっきの事を言いふらすなんてつまらんことはしない。」
「あっ…あぁ…感謝する…」
桃が安心したような笑顔を見せててくれる。
そうだ。俺が一番言いたいのは。
「それだ。」
「えっ」
「そんな固い感じじゃなくてさ、たまには肩の力を抜いて自然な感じでいてくれよ。その方が可愛いぞ?」
可愛いとか女の子には初めて言ったな…だが、それ以外に言葉が見つからなかった。
「……ふっ…ははははは…」
桃が突然笑いだす。
「可愛いなんて…言い慣れてないのが見え見えだぞ?」
「…うるせ。」
「でも…」
そして俺に見せてくれたのは、今までで一番自然で、そして嬉しそうな、桃の笑顔。
「ありがとう。…えへへ。」
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ガチャッ
「戻りました。」
「あっ桃ちゃん。大丈夫?」
「ああ。ちょっと腫れてただけだからな。」
「イクサ君は?」
「自動車部の方に行ったよ。どうせ終わってないだろうから早く手伝ってやらなきゃなって。」
「…ふーん?」
「どうした?」
「なんていうかなー…桃ちゃん、ちょっと柔らかくなった?」
「えっ…そそんな事はないぞ?」
「ふーん?ちょっと可愛くなったと思ったんだけどなー?」
「かわっ!?」
「ん?」
「そんなっ私が可愛いなんてそんなっ…無いじゃないか?!」
「そ、そんなに否定するー?」
「はっ…」
「…まぁ早く帰ろう?会長も帰っちゃったし。」
「う…うん。」
ところであの金色ってどうやってるんだろね?
光を反射どころか自分で発光してた気がするんですが…