テイルズオブノワール ー君を見届けるRPGー   作:ピコラス

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第9話 隠し剣

…………ディアナの迷宮塔・マルスの間…………

 

テトラたちは揃って、広間の中央にドンと置かれた「巨大なワイングラス」に目をやった。

それは透明というワケではなく、鋼色。

侵入者に気付いたか、それは魔力の火をつけた……

「テトラ、ヘタに近づくなよ…落とされる。」

「オ、オウヨ…!」

 

ゆらゆらと燃える火炎の光にあたり、テトラたちの背後に影が生まれた。

一人一影。

…………五つの影・シャドウが妖煙を掻き分ける…………

「ッちょっと、何…わたしたちのニセモノだ……!?」

「ニセモノじゃ本物には勝てんだろ?」

狼少年ヴェルディは勢いよく飛び上がり、自分のシャドウにケリを浴びせる!

続けざまに三度繰り出された蹴撃は見事、すべて相殺。

「コイツはまた、メンドクサそうな…!」

「我々の動きを完全にマネることができるようだ。……奥義:タイガーランページ!!」

レジンキッドが両拳でシャドウを滅多打ちにするが、やはり鏡のように同じ動きで跳ね返す!

シャドウから離れようにも影は途切れず。

対魔士ナラシノの前髪を数本、シャドウの剣が斬り落とす…ナラシノは焦り笑顔。

「僕たちが何をしたっていうんだ…!!」

 

「!炎を消せばイイんじゃ……碑零幻、穿て!!」

魔氷が炸裂! 魔女ニーキスの攻撃で燭台は凍てつく!!

が、炎は平然と燃え続けている…

魔女のシャドウが反撃…炎を纏った剣閃、紅蓮剣!!

ニーキスはギリギリで回避。

「ッな、…こいつカタチだけじゃない、ワタシがまだ見せてない技までマネてきた…

そんなのって……!!」

もしカメレオンを召喚されたら、幻術空間に閉じ込められでもしたら、

……絶対オワル……

ニーキスが悲しい結末を想像すると間もなく、ニュルリと黒いカメレオンが出現。

「ゲッ!!! ワタシのニセモノ、早まるなよ……??!」

青ざめて唾を飲む…

 

一方、一味の首領(ドン)・テトラ…のシャドウは魔筆ノクティルカの毛をゾワゾワと

広間中に伸ばし、黒毛がいよいよテトラたちを襲おうとしていた…

「ス、スワレル!! 血ィ、吸われちゃう……!!!」

…………漆黒と火炎が揺らめき、走馬灯が浮かび始めた…………

そんな時に、妙なことを言ったのはナラシノ。

「『オサケ』なんて、皆サン持ってたりしないですよね……」

 

…………オサケ…………

…………お酒……………………??

唖然とするテトラたち。しかしニーキスだけは違った。

「酒…それなら持ってるぞ。ナルホド今が最期の時。存分に味わえ…!」

「イヤイヤ!! そういうんじゃないって…」

一体何処に忍ばせていたのか。

投げられた小さな酒瓶を手に受け取るとナラシノは一口、酒を飲む。

飲んだのは、ほんの少量に見えたが…

今更に抜刀。

再度酒を口にすると、今度はそれを刀身に吹きかけた!

「……久し振りの人斬り……まァ影の猿真似だが、やはり心躍る。

…………死の叫び、流血はマネ出来るかな?…………」

 

ふらりと転びそうな足取り……

先ずテトラの影を一太刀。

次に少年の首根っこを一太刀。

振り返り、人形レジンを一太刀。

 

「……おお、人形は血を飛ばさない……良く出来てる。

っははは!! 面白くないなあ?」

テトラとヴェルディ、レジンは目の前で自分を斬り殺され、絶句……!

魔女の術攻撃を容易く受け流すと、男の刀はしなやかに魔女の体を斬り落とした。

「ヒエッ…………ワタシのカラダ真っ二ツ…………!!」

殺人剣の耽美な閃きをシャドウの刀が止める。

二本の刀は何回か火花を散らして広間に戦慄を奏でた。

「…爪竜連牙斬!!」

強力な斬撃が四度激突!

しかしどちらの刃も相手の命には届かず……

「うゥむ、畜生!! 水月の如し、これは敵わん。悔しいが…

終わらせよう。火をおこす!!

……奥義ッ、…破邪烈焔刃!!!……」

紅の爆炎が沸き上がり、灼熱の剣が影を焼く!!

影は烈火に包まれると、目映い光の狭間に消えた…

 

「うぎゃ~…ッ…………」(テトラのうめき声)

多少離れた所にいたテトラたちも爆風に飛ばされかけた。

刀は最後、燭台にキレイな斬れ目を作り鞘に納まった。

バラバラと燭台は散らばり、上階へと進む為のトビラが開放。

「オヤ? これは…」

ナラシノは塔攻略のキー、小さなツボ(?)を発見。

……『火焔の器』を手に入れた……

→ナラシノすごい!!

→ナラシノおっかないな…

 

どうやら男は「酔い」が覚めてきたようだ。

優しい笑顔で酒瓶を持ち主に返した。

「……秘技・泥酔剣……少しは役に立てたかな、ヨカッ…タ……」

「あっ!? 一気にまた弱々しく……!?!」

千鳥足が治まって姿勢良くなったと思えば、すぐさま崩れる剣士。

ニーキスは渋々剣士を膝の上に休ませた。ラッキー野郎。

「酒、全然減ってないんだが、なんなんだコイツ…」

「悪酔いが無ければ割と最強なんじゃ……」

ヴェルディは対魔剣士の脅威に畏怖の念を抱いた。

 

しばらくの休息の後、テトラたちは塔の最上階を目指して再び歩き始めた。

きっと待っているはず……古代悠久あまねし月光……闇に柔く照る精霊ルナ!

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