テイルズオブノワール ー君を見届けるRPGー   作:ピコラス

18 / 29
一応過去編


第15話 ミシュラ

あるとき兵士である父が殉職すると、母はみるみる弱って病に倒れた。

幼いミシュラにとって…というか誰にとっても絶対的な存在であろう母親から、

その美しさが失われていくのは衝撃だった。

母の死を見届けると、ミシュラの心は「強さと美しさ」を求め始めた。

それは結局は生存本能…死を遠ざけたいということなのだろう。

その強い思いは彼女の魔力を爆発的に覚醒させた。

目覚めた力を、初めのうちはただ死を遠ざけ、悲しみをまぎらわすためにふるった。

だが人々の助けになると知ってからは、その魔力をひたすら人々へと捧げた。

ミシュラにとって奉仕することは義務などではなかった。

慈善事業などではなかった。天命だったのだ。

そして彼女は「奇跡の聖女」となった。

 

エストルーズという国は宗教国家だ。

つまり国の中核は教会であり、国のリーダーには教皇がいる。

教皇が太陽神エンテラスのお告げを聞いて、まつりごとを取り仕切っているのだ。

ミシュラは教皇になったわけではない。しかし彼女がエンテラスと対話することや、

騎士団を指揮すること…おおよそすべてを教皇が許してしまった今、

もはやミシュラは国のリーダーだった。

 

「ミシュラ様!!」

「何事です…?」

衛兵に導かれて向かった先には、妖魔がいた。

妖魔…それは魔の血が流れるおぞましき悪鬼…

我が父を殺して奪った憎むべき下獣!

「なぜ城内に妖魔がいるのですか。殺しなさい!」

「我々ではとても敵いません…」

「剣も魔法も効かないんです…!」

 

兵士たちは妖魔を取り囲んで槍をかまえていたが、なすすべなく困り果てていた。

当の妖魔は不思議とおとなしく…おそらく兵士たちが繋ぎ止めようとして

巻きつけたクサリもそのままに、佇んでいた。

まだら模様・四つ脚・人を見下ろす程の巨体…

その脚元には、なんと幼い女の子が倒れていた。

「あ、あの子は…無事なんですか…!?」

「あの娘をひき離そうとすると、トタンにコイツは暴れ出すんです!」

「しかし、とって食おうという様子でもない…一体どういうつもりなのか…」

 

「あの子を守っているつもりなのさ…」

銀色の髪の男は、あたかも我々の仲間かのように、我々と並んで立っていた。

だがその装いは他の兵士たちとはあきらかに異なる。

漆黒の衣装をまとった若者。

「ミシュラ、お前の力でどうにかできないか…?」

「やってみましょう…エンテラス!!」

聖女ミシュラは太陽神エンテラスを召喚した。

舞い降りた光の精霊が両手をかかげると、そこに小さな太陽が生まれ出る。

その強烈な発光体は深い影を作り、影は無数のヘビとなって

妖魔の動きを縛って封じた。

「殺しなさいエンテラス!!」

太陽神は広げていた両手を握りしめる。すると発光体は聖なる槍となって、

勢いよく妖魔のカラダをつらぬいた。

「やったか…!?」

光の槍はたしかにその凶体をつらぬいた。

黒い血液が溢れ、けものはキィキィとうめき声をあげた。

普通の生物ならどう考えても致命の一撃となるはずだが、…次の瞬間。

傷穴は槍を飲み込んで消えた。

 

「行こうポルカ!!ここには…おいしいものなんて無いから!!森に帰るの…!!」

いつ目を覚ましたのか。少女は怪物の背中にしがみついて叫んでいた。

幻魔ポルカは走って城壁を飛び越えると、嵐のように去っていった。

「あの魔物には再生能力があるのか…?」

「少女の言葉は通じているのでしょうか…?」

緊張状態のまま、ヘルレイオスとミシュラは視線を向かい合わせていた。

「太陽神の力すら、アイツは吸収していたぞ…」

「あんなもの放っておくわけにはいきません。

少女のためにも、エストルーズの人々の安寧のためにも。絶対に殺さなくては…」





備考:エストルーズは首都名で、国名は別であった気もするが覚えてないし
思いつかないので国名もエストルーズということにする。
そんなことよりそろそろテイルズ新作ほしい。(2026年2月
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。