テイルズオブノワール ー君を見届けるRPGー   作:ピコラス

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あらすじ:そして幻魔の抜け殻は動き出した…



第23話 天にも昇る

精霊たちの助けによって、

ポルカの精神は幻魔の体…魔力を奪い続けるキケンな体から解き放たれ、

新しく生成されたヒトの体に乗り移った。

ポルカはヒトの体を手に入れた。

今、目を覚ましたポルカのとなりには幻魔の体が眠っているはずだが。

幻魔の抜け殻はひとりでに動き出した…

 

精神のタガが外れた幻想の物体。

それは元々生物になりきれていなかったのだが、

心が抜き取られたことで完全に生物ではなくなった。

さっきまで人の形をしていたソレは、さっさと形を変えていく。

:聖女ミシュラ

「儀式は、失敗したのですか?」

:太陽神エンテラス

「いや。無事完了したはずじゃが…」

:ポルカ

「では何故動いているんだ…!?」

 

この時点で彼らがもっともらしい原因を推測することはないが、

…ソレは抜け殻に残されたキオクによって動かされていた。

そもそも幻魔ポルカは、少女テオリアが助けを求める

声…その必死の呼び声によって召喚された。

心を失った幻魔体には、もちろんテオリアを守護しようという使命感は無い。

ただ磁石が鉄を引き寄せようとするように、

リンゴが地面に落下していくように、

まるで自然現象かのように、ソレはテオリアに纏わりついていく!!

キオクの呼び声だけをたよりに…

:少女テオリア

「なに、これっ!?……ッ 」

:ポルカ

「テオリアッ……!!!」

 

ひとつの形にまとまりそうにない不定形の幻は

戦地の黒煙のように上方へと形を伸ばしていき、

大樹だかキノコ雲のような姿へと変貌した。

キノコ雲はテオリアを飲み込んだまま上へ上へとモクモク伸びる。

生物でないクセに、やたら生命力を感じさせるキノコ雲は

エストルーズ宮殿の屋根を壊して突き抜けると、

テトラたちを床ごと天空へと持ち上げ始めた!!

:画家テトラ

「なんか床からも湧き出してきたっ!?」

:妖魔ヴェルディ

「凄い勢いだぞッ…これはもう、振り落とされたら死ぬッ。」

:剣士ナラシノ(泥酔状態)

「ここが天空闘技場か。 天にも昇る、…花火の心境だな!!」

:魔女ニーキス

「こいつもう酒飲んでるぞ!?」

 

 

◆◆◆ vs 夢幻の世界樹 ◆◆◆

 

なぜこの幻のキノコ雲は天空を目指しているのか。

それはもしかしたら雨水の頃のキオクのせいかもしれない。

幻魔は雨水とラクガキから生まれたのだから。

だがこれは筆者のただの思いつきの考察。

本当のところは誰にもわからない。

魔界色のユグドラシルは猛然と位置エネルギーを増大、

テトラたちの生存確率は急減していく。

 

〈虚幻の触手〉…伸縮自在の捕食器官がうねうねうねり、彼らを襲う!

:妖魔ヴェルディ

「よくわからんが、ケンカなら受けて立つぞ!!」

【レオデトネーション】 !!

好戦的生物ヴェルディの闘志は、自身のカラダを焼き払ってフェンリルを召喚!

半妖の体内ではヒトと妖魔の心がせめぎ合い、内燃機関を加速させる!!

おおくちから出た咆哮の衝撃波は爆轟となって触手を炭化させた!!

触手は動きを鈍らせた。

:魔女ニーキス

「ひさしぶりに歌ってやる!!」

:魔術師ヘルレイオス

「聴かせてくれ。」

【九羅魔玲蝶閃】 !!

術式呼吸のオクターヴは、空気中の魔力を九の蝶へと変幻させる!

ヘルレイオスは召喚魔法でそれらに色と属性を付与。

蝶の閃きは統率された動きで 〈虚幻の触手〉 を破断した!!…

触手の破片は紙ふぶき。

ニーキスはバトルステージのセンターに立つ。

:妖魔ヴェルディ

「いいとこどりだな。」

:魔女ニーキス

「コンビネーション、総合芸術だろう?」

ファンは前列で拍手した。(テトラ&レジンキッド)

 

〈心臓色の翼〉…空を支配する侵略器官は追尾性能の羽を撒く!

:人形サーフェイサー

「さあ先輩、お乗りください。」

:人形レジンキッド

「ムッ!?」

最新型機械人形はトランスフォーム…飛行モードに変形した!

旧型ヴィンテージ・ロボは素直に乗り込み、出撃する!

【ディシデントアグレッサー】 !!

二人のCPU:中央処理装置は同期すると、迎撃パターンを自動計算。

倍どころじゃないタイムパフォーマンスで侵略物体を撃墜する!!

超人的スキル&コントロールでユグドラシル・インヴェイジョンを最速クリアだ。

:太陽神エンテラス

「ワレらでモトを断つぞ。」

:剣士ナラシノ

「御意!!」

【幽玄幽鬼廊】 …

太陽神は空を燃やして炎の道をつくりだす。

焦熱の架け橋は、雲の上に地獄を再現した。

ナラシノは妖剣の刃を火であぶりながら炎の道をひた走る!

走っていくうちに烈火の剣は火力を増し、…

幽玄なる地獄道、その終点にて閻魔の翼を殴り斬る!!

返り血、のような液体を浴びると剣鬼は愉悦の笑みを浮かべた…

 

〈瘴気〉…魔界をうるおし人界をよごす、ガス状感染毒が飛び散る!

:聖女ミシュラ

「浄化して差し上げましょう…光よ照らせッ!!」

【プレギアリペトーテ】 …

退魔のロザリオを掲げると、浄化の光が空一面を輝かせる!!

正義の鐘音が幾重にも重なって、感染毒は影を潜めた。

聖なる心は真なる祈り。

空と宇宙にこだました。

:聖女ミシュラ

「聖なる心、我らに…。」

:精霊ルナ

「…ありました、毒の発生源… 刈り取ります!

全身全霊全魔力を今、月の影から解放しますっ!!」

【霊命剣宵ノ月暈】 …

ルナは精霊力を爆発させると、背後に月虹がひかりだす!!

そしてルナの精霊体は黄金色を纏い出す!!

月の光輪はやがて特大チャクラムとなって、土星の輪のごとく回転…

氷上をすべるように標的に近づくと、

妖精のフラフープは悪魔のキノコに激突!!

チェーンソーのように火花を散らし、斬り飛ばした首に結晶剣でトドメの斬撃。

毒性器官を粉砕した!!…

:精霊ルナ

「私はキノコに縁があるのでしょうか、…?」

 

 

◆◆◆ 夢幻の世界樹・内部 ◆◆◆

 

世界樹の猛攻を凌いだテトラたちは、樹の幹の割れ目からその内部に侵入。

そこには幻魔の抜け殻…〈ポルカの幻影〉 がいた…

:ポルカ

「過去のわたし。 過去の幻影。

…これはわたし自身が倒さねばなるまい。」

しばらくの静寂。

二人のポルカは睨み合った後、同時に攻撃を繰り出す…

「「シャドークロー!!」」

「「ベアナックル!!」」

「「タイガーランページ!!」」

裂爪、殴打、乱れ撃ち。 すべての攻撃は相殺された。

ただの人間になったポルカだが、

精霊たちの加護によってどうにか幻影と渡り合えるようだ。

しかし同じ戦い方で勝ることはできない…

:ポルカ

「能力はまったくの互角。

ただひとつの違いは…わたしには心があるということ。

わたしを描き起こしてくれたテオリア…

そして生きる猶予をくれたテトラたち…

彼らを想う心がわたしにはある。

わたしは過去の幻影を祓ってみせる!!」

二人のポルカは奥義を放つ…

!!!… 【新たなる命】 【幻の命】 …!!!

ぶつかる奥義・ぶつかる命。

それは一進一退を続けるかと思われたが、…

遂に幻は、命のまばゆい輝きに埋もれて消えた……

ポルカは過去の幻影に勝利した!!

 

世界樹の、内部の触手に大切に抱かれた少女テオリアをポルカは救い出す。

すると足元がメキメキと暴れ始め、

テトラたちはまとめて奈落へ落ちてゆく!!…

 

 

◆◆◆ 夢幻の世界樹・下部 ◆◆◆

 

今、ユグドラシルはエストルーズ宮殿からすっかり抜け出して、

大気圏上層に到達して上昇をストップしていた。

下部にぶら下げた大量の根っこ。

その中にテトラたちはいた。

そこは上下サカサマの森林地帯。

根っこがうごめく、夢幻世界樹の最下層。

:画家テトラ

「サムイ!! 魔法のバフ無しじゃ凍死しちゃうよ…!」

:妖魔ヴェルディ

「気をつけろ、 流星に頭をぶつけるかもしれない。」

 

テオリアを奪われたユグドラシルは、

巨人が叫んだような轟音を響かせて根っこを揺らす!!

そして――先ほどルナが潰したキノコ型の毒性器官をふたたび生やし始める!!

今度は数百を超える毒キノコが一斉に、根っこの森で生育していく…

:精霊ルナ

「なんという数ッ…」

:聖女ミシュラ

「この数で瘴気をばら撒かれたら、さすがに防ぎ切れません!!

我々だけでなく、地上の人々、生物すべてが死滅してしまいます!!」

:剣士ナラシノ

「火で焼き払えないのか!?」

言われると同時にエンテラスは火炎をぶつけるが、…

:太陽神エンテラス

「この数は、間に合うじゃろうか…」

テトラたちは必死に攻撃をつづけるが、とても捌き切れる数ではない。

いよいよ毒性器官たちは生育を終えた…

 

:画家テトラ

「そんなっ……

こんな毒キノコなんかに全滅させられちゃうの…!?」

こんな悪夢みたいな…

こんな悪ふざけみたいな…こんなのに!?

常識も、なんかの法則もゼンブ無視した、

こんなメチャクチャなやつに!?

……

 

 

「ん…?」

 

 

 

 

 

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困り果てて天を仰いだテトラは視線の先に天の川をみつけた。

「みつけた……これだッ!!」

…メチャクチャなやつに勝つには、頭で考えたって駄目だ。

考えるのは学者にまかす。

私は魔法画家。

イメージを遠く、宇宙まで飛ばす。

絶望を遥か彼方に追いやる。

悲しみはすべて遠ざける。

それが私の得意技。

それが私のスタイル!!

【ヴィーナスレイアウト】 だッ!!!

 

 

天の川のカラーパレットから、

テトラの筆は無数の命・無数の祈り・無数の魔力を吸い出す。

そして、星々の光を自由に選んで結んでいく。

テトラは銀河の流線でオリジナルの星座を描いた!!

「星座の名前は、なにがいいかな?」

計り知れない魔力を宿したその星座は、

太陽がひまわりをいざなうように世界樹を遥か彼方へといざなっていく。

遠い宇宙…

遥か彼方へ…

世界樹は従順なクラゲとなって、

オーロラ海の中に溶けて消えゆく………

 

テトラは夢幻の世界樹を地球外へと遠ざけた!!!

 

 

◆◆

 

 

テトラたちは世界樹と一緒に飛んでいくわけにはいかないので、

覚悟を決めて飛び降りる。

このスカイダイビングに命綱は、無い。

一生一度の流れ星体験。

良い思い出になるのか?

成層圏で裸眼の天体観測を終えると、

青い惑星が彼らの帰りを虹の笑顔で出迎えた!!…

 

 

 

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