スノーホワイトとラピュセルはまずはいつもの電波塔の上にやってきた。すると、小さな作業員用鉄橋の中心部に青白く光る召喚陣があった。
「あれが召喚システムかな?」
「間違いないね。ファヴが事前に見せてくれた画像と一致してる。」
そう言うとラピュセルはキョロキョロと辺りを見回す。
「どうしたの?」
「どうやらこの電波塔の近くにある召喚陣は1つだけみたいだ。だから、スノーホワイト。この召喚陣は君が使っていいよ。僕は別の場所で探してくるから。」
「ええっ、でも颯ちゃん…これは颯ちゃんが使った方が…」
「颯ちゃんはやめてって…まあ、それよりこれはスノーホワイトが先に見つけたから権利はそちらにあるさ。大丈夫、僕はまだ召喚陣がありそうな場所の当てがあるから先に召喚してて。」
そう言うとラピュセルは電波塔から飛び降りる。1人残されたスノーホワイトはマジカルフォンを召喚陣にかざす。するとマジカルフォンの画面に何回召喚を行うかを問う画面が現れた。
「えっと…じゃあ10回で。えい。」
スノーホワイトは10回連続で召喚を行う。1000個のキャンディーが消費され10人の英霊のアイコンがマジカルフォンの画面に表示される。これが10連召喚の結果だ。この中から1騎を選んで契約することになっている。スノーホワイトは1騎ずつレアリティやステータス、スキルを確認した。そして、スノーホワイトが選んだのは…
(この人にしようかな。☆5だし、どこかラピュセルみたいなキリッとした感じがいいかも。)
スノーホワイトは召喚された英霊の中で一際目立つ金色の枠のアイコンの英霊を選ぶ。決定コマンドをタップするとマジカルフォンが震え、眼前の召喚陣が光り出す。そして、太い光の柱が空へと立ち上り、そこから人影が見える。そして、光の柱が消えるとそこに立っていたのは…
「サーヴァント、セイバー。召喚に応じ参上した。問おう、貴女が私のマスターか?」
銀色の鎧を身に纏い、金色の髪に青い瞳が映える凛々しい騎士のような女性だった。彼、いや彼女はかの有名なブリテンのアーサー王、アルトリア・ペンドラゴンである。
「はわわ、すごい。えっと、私は小雪…じゃなかった。スノーホワイトって言います。よろしくね、セイバー。」
スノーホワイトは突然のアルトリアの登場に面食らうがにこやかに挨拶する。
「では、スノーホワイト。私は貴女の剣となり、勝利を約束しましょう。これからよろしくお願いします。」
「そんなに堅苦しくしなくていいよ。でも、よろしくね。」
「ところで、マスター。この世界では私は何をすればいいのでしょう?」
急に召喚されてアルトリア自身も戸惑っているのだろう。スノーホワイトはマジカルフォンをアルトリアに見せながら説明する。
「私達は一緒に人助けをするの。でね、マジカルキャンディーっていう物を集めるんだよ。」
「すると私は人助けをするために呼ばれたのですか。ふむふむ、話はだいたいわかりました。悪しきを防ぎ、正しきことをするのはいいことですね。しかし、これはサーヴァントの仕事なのでしょうか?」
「まあでも、言葉で説明するよりも実際に見せた方が早いかな。じゃあ、私に着いて来て!」
スノーホワイトは電波塔から飛び降りる。アルトリアも後を追って飛び降りた。スノーホワイトが向かった先は駅前の繁華街の路地裏である。そこにはガラの悪い不良に絡まれた眼鏡をかけた少年がいた。
「てめえよくも俺にぶつかって服を汚してくれたな。おらっ!クリーニング代出せよ!」
「や、やめてください…僕、早く塾に行かないと…」
「そんなもん知るか早く財布を…」
不良がそう言いかけたとき、背後に誰かの気配を感じた。不良が振り向くとそこにはアルトリアの姿があった。
「そこまでです、悪党。早くその少年を解放しなさい。」
「誰だあんた?でも、あんたいい女だな。ちょっとさー、こいつから金ふんだくったら俺と遊ばない?」
ヘラヘラとした不良にイラッとしたのかアルトリアは瞬時に剣を抜き、地面に振るう。すると、アルトリアと不良の間の地面が衝撃波で大きく抉れた。
「さあ、もう一度言います。少年を解放して早く消えなさい。さもなくば次は当てますよ。」
不良はドッと汗をかき、今にも泣き出しそうな顔で逃げ出した。
「た、助けてくれー!殺されるー!」
しばらく沈黙が続くが少年の頭上からスノーホワイトがやってきた。
「大丈夫?でも、悪い人は追い払ったから安心してね。」
「う、うん。ありがとうお姉ちゃん達…」
眼鏡の少年はアルトリアには怯えていたがスノーホワイトの優しい言葉を受けて足早に去っていった。
「もー、ダメじゃない。怖がらせちゃ。」
「でも、こういうのが人助けではないのですか?」
「セイバーはちょっとやり過ぎなんじゃないかな。でも、マジカルキャンディーは増えたから助かったよ。ありがとう、セイバー。」
笑顔で感謝を伝えるスノーホワイトをアルトリアは頭を下げて目を伏せる。
「礼には及びません。私は貴女のサーヴァントですから。」
「でも、もうちょっと優しい方法で人助けはしなきゃいけないよ。これから私が教えてあげるね!」
「はい、よろしくお願いします。」
こうしてスノーホワイトとセイバー、アルトリア・ペンドラゴンの契約は完了した。この人とならうまくやっていけそうかなとスノーホワイトは内心、安堵するのであった。
その頃、トップスピードも召喚システムを探していた。トップスピードは公園に降り立つ。公園の片隅に青白く光る召喚陣が見えた。
「本当はリップルと一緒に来たかったけど、召喚システムは1回しか使えないから別行動になっちまったな。まあいいか。じゃあ、早速召喚といきますかね。」
トップスピードも10回召喚することにした。1000個のキャンディーが消費され10騎の英霊が召喚された。
「ほうほう、この中から1人選ぶのか…じゃあ、この髭面のおっさんでいいかな。☆5でステータスもかなり良いしな。こいつで決定!」
トップスピードは金色の枠のアイコンをタップした。すると、召喚陣が光り輝き光の柱が空に立ち上る。それが晴れると現れたのは赤いマントを羽織った筋骨隆々の大男だった。
「おおう!よくぞ余を引き当てることができたな。問おう!貴様が余のマスターか?」
「あはは、あんたテンション高いね。ああ、そうだよ。俺があんたのマスターだ!」
最初の登場には面食らったものの、トップスピードはすぐにいつもの調子を取り戻し、挨拶した。彼女が召喚したのはおよそマケドニアで世界と呼ばれた国々をほぼ全て制圧したとされる、別名アレキサンダー、征服王イスカンダルであった。
「ところで先ほどから気になっていたのだが、貴様は奇抜な格好をしておるな。特になぜ箒を持っておるのだ?」
「ん?これは俺の乗り物だよ。これで空を飛ぶんだ。」
すると、イスカンダルは突然笑い出した。
「ガハハ!そんなか細い箒で空を飛べるわけなかろう。我がマスターはよほど冗談が好きなのだな!」
それにムッとしたのかトップスピードは箒に跨って大胆にもイスカンダルにこう言い放った。
「なんだと!じゃあ、見てろよ…ほいっ、これでどうだ!」
トップスピードは箒で宙に浮くとイスカンダルの頭の上をグルグルと何回も旋回した。イスカンダルは一瞬驚くものの、またガハハと笑い手を叩く。
「なんと!これは面白いものを見せてもらった。箒で空を飛ぶなど童話の中だけの世界のことかと思いきや、実在していたとはな。よし、余を沸かせた褒美にいいものを見せてやろう。いでよ、『神威の車輪』!
イスカンダルがそう叫び、剣を抜く。すると次の瞬間に空が裂け、その裂け目から巨大な馬車のような物がイスカンダルの下へ豪快に舞い降りた。
「す、すげえ!これがあんたの乗り物?」
トップスピードは興奮しイスカンダルに思わず箒に乗りながら詰め寄る。
「いかにも。空を飛べるのが貴様だけと思うなよ?これで余も飛ぶことができるのだ!」
イスカンダルは神威の車輪に乗り込むとトップスピードと同じ高さまで浮遊する。やがて、トップスピードは箒、イスカンダルは神威の車輪に乗り、空中で会話する。
「あっはっは!あんたの最高だよ。空も飛べるなんて俺と相性ばっちりじゃん。で、あんたの名前はなんて言うの?」
「我が名は征服王『イスカンダル』!かつては世界の全てを我が物にしたものだ。して、貴様はなんと言うのだ?」
イスカンダルといえば世界史の教科書でお馴染みのアレキサンダー大王の別名である。しかし、そんなことは記憶にないorそもそも勉強したことないと言わんばかりに真名を告げられても臆することなくトップスピードは自己紹介する。
「俺はトップスピード!スピードなら誰にも負けない…まさにトップなんだぜ!」
「ほほう、なかなかの自信であるな。どれ、余の馬と速さ比べでもしてみるか!」
「望むところだ!じゃあ、挨拶代わりの競争と行こう!」
トップスピードとイスカンダルはそれぞれの乗り物を走らせた。その後、空飛ぶ箒に乗った魔女と空飛ぶ馬車をN市上空で目撃したというニュースがネットにアップされたがまたそれは別の話。
一方、トップスピードと離れて別行動しているリップルがやってきたのは廃工場である。その中の中央に青白く光る召喚陣があった。
「あ、ここにあった。ちっ、でも後でトップスピードがどうせ、「どんなサーヴァント召喚したか教えろ」とか絡んで来るに決まってるけど。」
いないトップスピードへの悪態を突きつつ、リップルは召喚陣へ向かう。しかし、1つ問題があった。
「そういえば、1000個もキャンディー持ってなかった…」
そう実は召喚陣はたまたま見つけただけであってリップル自身はまだキャンディーは1000個集まってなかった。でも、この召喚陣が誰かに使われてしまえばまた手かがりがないまま、街中を探し回らなくなくてはならない。仕方がないのでリップルはキャンディーを300個使い、3回召喚を行うことにした。
「ふん、どれも微妙。しょうがない。この中じゃ一番レアリティが高いこいつでいいや。」
リップルは銀色の枠の英霊のアイコンをタップする。すると召喚陣から光の柱が立ち上る。そこから現れた人影は青い髪に赤い瞳、さらには青いタイツのような服装の青年であった。
「サーヴァント、ランサー。召喚に応じ参上した。まあ、よろしく頼むぜマスター。」
しかし、リップルは訝しげに突然現れた青タイツの男を睨みつけるだけである。彼女が召喚したのはアイルランドに伝わるケルト神話の英雄、クーフーリンである。
「呼び出したのはあんたかい、お嬢ちゃん。しかし、嬢ちゃんエロい格好してるなー。これじゃあ、風邪引く上に男に襲われ…ぐえっ!?」
クーフーリンが冗談を言い終わらない内にリップルがクーフーリンの顔面に拳を叩きこんだ。
「うるさい。」
「痛てぇな…まあ、気の強い女は嫌いじゃねぇよ。で、俺を召喚してどうしたいんだい嬢ちゃん?」
リップルはチッと舌打ちした後、クーフーリンを睨みつけてこう言う。
「嬢ちゃんじゃない。私はリップルって名前がある。」
「はいはい、すまんな。じゃあ、リップル。もう一度聞くがこれからどうすんだ?」
「まずはマジカルキャンディーを集めに行く。手伝って。」
リップルはクーフーリンから背を向けて工場から出る。続いてクーフーリンも後を追う。
「おい待てよ!マジカルキャンディーってなんなんだー?」
しかし、リップルは何も言わず。そのまま2人は夜の住宅街を飛び回っていた。
その日、いつものように王結寺に集まっていたのはルーラ、スイムスイム、ピーキーエンジェルズの2人、たまであった。
「皆、よく聞きなさい。この寺の敷地内には3つ召喚システムが設置されていた。だから、まず1つは私の物として、もう2つはどう分けるかを決めるわよ。」
すると早速ピーキーエンジェルズの2人、ミナエルとユナエルが異議を唱えた。
「えー、平等にジャンケンとかして決めなーい?」
「だよねー。そもそも召喚システムは早い者勝ちだし。」
「だまらっしゃい!口答えするならミナエルとユナエルは召喚システム使わせないわよ。」
ルーラの一喝でピーキーエンジェルズはしょぼくれる。するとスイムスイムが挙手する。
「私は召喚は後でする。他の皆が使ってもいいよ。」
「え?いいの、スイムちゃん?」
心配そうなたまの言葉にスイムスイムは構わないとも言いたげに首を縦に振る。
「わかったわ。なら、スイムスイムの意思を持って残りの私達でサーヴァントを召喚するわよ。」
結果、ルーラは寺の奥の部屋、ピーキーエンジェルズは釣鐘の前、たまは裏庭の召喚陣へそれぞれ向かった。ミナエルとユナエルは1000個のキャンディーを使用し、10回召喚した。
「見て、☆4のサーヴァントがいるんだけど。」
「あっ、こいつ当たりだよね。お姉ちゃんマジ強運ー。」
呑気な会話を2人でしつつ、ユナエルが金色の枠の英霊のアイコンをタップすると召喚陣が光り、青白い光の柱が立ち上る。その光が晴れると出てきたのは…
「サーヴァント、ライダー。私はアン・ボニー、彼女はメアリー・リードですわ。よろしくお願い致しますわね。」
「驚いた?僕達は2人でサーヴァントなんだ。」
2人が召喚したのは大航海時代の女性の海賊として有名なアン・ボニーとメアリー・リードであった。召喚のスイッチを押したのがユナエルのためか令呪はユナエルの手に刻まれた。
「うひゃー!こいつはびっくり。あたしらみたいに2人セットだよ。」
「なんか運命感じるよねー。」
するとアンがにこやかに挨拶する。
「あら、可愛らしい天使さん達ですわね。貴女達が私達のマスターですか?」
「僕達は天使というより悪魔だけどね。」
マスターと自らを皮肉るメアリーとは対照的にアンはミナエルとユナエルの頭を撫でる。
「ちょ、触るとかめっちゃフレンドリー。」
「まあ、悪くはないけど。」
2人は社交的なアンに少し戸惑っているようだ。
ルーラは寺の奥の部屋。かつては宝物などがたくさん置かれていたであろう、壁が棚で仕切られた部屋に入る。
「私のマジカルキャンディーは1030個…もし10回召喚したら下位に落ちるかもしれないわね…」
ルーラは悩んでいた。今の自分が持っているキャンディーで10回召喚はできるがそれを使ってしまうと残りは30個になってしまう。あと5日程で脱落者が決定するためここで使うと自分が脱落に近づくリスクがある。しかし、今の内に召喚しておかないと他の魔法少女に差を付けられてしまう可能性もある。その二者択一を迫られたルーラの答えはこうだった。
「なら、5回召喚にするわ。もしかしたらレアなのが引けるかもしれないわね。」
ルーラはキャンディーを500個消費し、5回召喚した。しかし、出たサーヴァントに金の枠の英霊はいなかった。
「何よこれ…!全然いいのが出ないじゃない。はあ、もうキャンディーは使えないし、どうすんのよ…」
ルーラはレアリティやステータス、スキルを確認する。そして、選んだのはこのサーヴァントだった。
「見た目は気持ち悪いけどステータスは悪くないわね。肉の壁としても使えそう。」
ルーラは銀色の枠の英霊のアイコンをタップする。すると召喚陣から光の柱が立ち上る。光が晴れると出てきたのは…ギョロ目で不健康な肌の色の大男だった。
「問おう!我を呼び、我を求め、キャスターのクラスを依り代に現界せしめた召喚者は何者なるや?」
彼は英仏百年戦争をジャンヌ・ダルクと共に戦い抜いたフランス軍の大元帥、ジル・ド・レェである。ルーラは不気味な雰囲気に一瞬後ずさるがすぐに気丈な態度を戻して言った。
「そうよ。私が貴方のマスター。だから、貴方はこれから私に従うのよ。」
「かしこまりました。聖杯への探求は私の悲願でもあります。我が希望を共に掴み取りましょう。」
ルーラはジルの言っていることに疑問符を浮かべるが切り替えてこう言う。
「聖杯とか何とかは知らないけど、まずは貴方を私の仲間に紹介するわ。着いてらっしゃい。」
「我が同志達にお会いするのですか。では、拝見させていただきましょう。」
ジルはルーラの後ろに着いて行く。その顔は暗がりに溶け込むような怪しげな表情であった。
そして、皆があらかた召喚を終えた深夜、1人の少女が家の庭にいた。
「まさかこんな場所に召喚システムがあるなんてびっくりしちゃった〜」
そこにいたのはねむりんであった。何と運のいいことに召喚システムはねむりんの家である三条家の庭にあった。
「ちょうど100個キャンディーがあるから1回だけやっちゃおうかな。え〜い。」
実はねむりんは少しずつだが母親の家事を代わりにこっそりとやっていた。それが溜まって今夜にちょうど100個キャンディーが集まっていた。ねむりんが召喚を1回行うと青白い光の柱が召喚陣から立ち上る。光が晴れると出てきたのは緑色のマントを着た青年であった。
「サーヴァント、アーチャー。ま、呼ばれたからにはそれなりに働きますよっと。」
ねむりんが召喚したサーヴァントはシャーウッドの森で暴君ジョン王と戦った英雄、ロビンフッドである。しかし、彼の場合はその名を借りているだけに過ぎない狩人なのだが。
「わーい。よろしくね、アーチャー。私はねむりんだよ〜。仲良くしよ。」
「あはは、嬉しそうだねアンタ。んで、俺は何をすればいいわけ?」
「うーんと、夢の中へは一緒に行けないから…私のお部屋に入れてあげるね〜。」
「おいおい、ちょっと引っ張んなって…」
ねむりんはロビンフッドの手を引き、部屋に招き入れる。しかし、彼の存在がこの後激化する戦いの火種になるとはこの時は誰も知る由もなかった。
現在確認された組み合わせ
スノーホワイト×アルトリア・ペンドラゴン(セイバー)
トップスピード×イスカンダル(ライダー)
リップル×クーフーリン(ランサー)
ピーキーエンジェルズ×アン・ボニー&メアリー・リード(ライダー)
ルーラ×ジル・ド・レェ(キャスター)
ねむりん×ロビンフッド(アーチャー)
今後も物語に登場次第追記していきます。