Fate/Magicalwars   作:ディルーン

4 / 9
幕間の物語 2【リップル&クーフーリン】

リップル「ん?何で今月止めらるはずの電気が付くんだろ?それに水道代もガス代も払い済みになってたし…」

兄貴「ただいまっと。お、ちゃんと電気が付くじゃねえか。」

リップル「ランサー…まさかあんた光熱費払ったのって…」

兄貴「ああ。俺が払っといた。何、俺が稼いできたバイト代から出したんだ。別に悪いことは何もしてねえよ。」

リップル「何であんたがバイトを…いや、それよりも何で払ったのよ。」

兄貴「まあまあ、そんな怖い顔すんなよ。マスターを守るのもサーヴァントの役目、なら生活を守ったっていいじゃねえか。それに俺はここに住ませてもらってんだ。これからは生活費は折半といこうぜ。」

リップル「ランサーはいつもは霊体化してるから別に…ん?霊体化?あんたまさか私の私生活ずっと見てんじゃ…?」

兄貴「あ?何だよ、別にお前の着替えや風呂なんか覗いても俺には何の得にも…」

リップル(無言の回し蹴り)

兄貴「痛ってえ!?何すんだコラ!」


第4話 騎士王VS狩人

そして、ついにこの日がやってきた。そう、脱落者が発表される日である。その日、ロビンフッドは最後の悪あがきなのかいつもより活動範囲を広げて人助けをしていた。ロビンフッドは夕方まで動き回っていたため、一服しようと廃ビルの屋上にいた。

 

「もう間に合わないかねぇ。まあ、マスターはもう魔法少女辞めるとか言ってるし、大丈夫かな…」

 

懐からタバコを取り出し壁にもたれかかる。その時だった。カツンカツンと靴の音が聞こえた。こんな廃ビルの屋上に人が来るのだろうか。とりあえず、ロビンフッドは身を隠すために外套を被ってタンクの裏に隠れる。ロビンフッドの外套は『顔のない王』と言いこの外套で保護したものを透明化する宝具なのである。

 

「ファヴ、ちょっといいですか?」

 

足音の主はエルフのように尖った耳を持ち、薔薇の花を頭に付けた魔法少女、森の音楽家クラムベリーだった。さらに彼女の傍らには金髪の少年の姿もあった。クラムベリーはどうやらマジカルフォンでファヴと会話しているようだ。

 

「どうしたぽん?」

 

「1つ確認したいことがあるのですが、魔法少女の資格を剥奪されるとどうなるのでしょう?」

 

「魔法少女の資格がなくなったら死んじゃうんだぽん。」

 

すると、今度は金髪の少年が問いかける。

 

「それは『魔法少女』として死ぬっていう比喩的な意味なんですか?」

 

「違うぽん。生物としての息の根が止まるということだぽん。魔法少女の資格がなくなるってことは生き物の本質を失うことだぽん。つまり、魔法少女になっていた人間も一緒に死ぬってことだぽん。」

 

(な、なんだって…!?)

 

タンクの裏で息を潜めていたロビンフッドは驚愕した。何と魔法少女として脱落することは生命としての死を迎えることに直結するという話を聞いたからである。

 

「それにこうしないとこの土地の魔力の消費が止まらないぽん。貴重な資源の浪費を抑えるにはこうするしかないんだぽん」

 

その会話をふうんと言った状態で聞いているクラムベリーとは裏腹に身を隠して聞き耳を立てているロビンフッドはドッと汗を流していた。

 

(何でだよ…人命が掛かってるなら早く言えよ…!まずいな…このままじゃマスターが死ぬ…!)

 

今現在、キャンディー総数が最下位のねむりんが脱落し、死んでしまうという最悪の光景が頭を過ぎる。だが、パニックになる前にもう少し情報を集めるために再び、2人と1匹の会話に耳を傾ける。

 

「それとクラムベリーだけに先に教えておくぽん。今日の夜10時からバージョンアップを行うぽん。具体的にはマジカルキャンディーの転送機能をマジカルフォンに追加するぽん。要するに魔法少女同士でキャンディーをやり取りできるようにするぽん。」

 

「またずいぶん微妙なタイミングでバージョンアップするのですね。」

 

(キャンディーの転送機能…?そうか!これを利用すればマスターを助けられるかもしれない…!)

 

ロビンフッドは何か閃いたのかそのまま、廃ビルからサッと移動する。

 

「どうかしましたか、マスター?」

 

金髪の少年は突然後ろを振り返ったクラムベリーを不思議そうに見上げる。

 

「いいえ。何でもありません。まあ、誰かいたとしても取るに足りないことでしょうね。」

 

クラムベリーの目線の先には先程までロビンフッドが顔のない王を使って隠れていたタンクがあった。

 

「それより、私達はもう少し皆の様子を見ていましょうか。頼りにしてますよ、小さな英雄王。」

 

「その名前で呼ばれるのはちょっと…」

 

金髪の少年…彼は英雄王ギルガメッシュの幼年期、子ギルであった。クラムベリーはどうやら子ギルのマスターのようだ。

 

「ところでよくこんな大掛かりなシステムを作ることができましたね、ファヴ。」

 

「自分でもこうなるなんてびっくりぽん。まさか魔法の国の『聖杯』はここまで万能とは思いもよらなかったぽん。」

 

「そうですか。でも…面白くなりそうですね。」

 

クラムベリーは少しファヴにほくそ笑む。そんな2人の会話をじっと聞いている子ギル。彼の心境は果たして。

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ロビンフッドはねむりんに無断で外に出る。時刻は夜の9時50分であった。アーチャーは三条家の家の近くの公園の樹の上で身を潜めていた。

 

(あと10分でバージョンアップ…つまり転送機能の解禁だ。とりあえずここを通った魔法少女がいたらそいつからマジカルフォンを盗んでマスターのマジカルフォンにそいつのキャンディーを転送する…マスターを今から助けるにはこれしか方法がない…!)

 

やがてロビンフッドが潜む公園に2人の人影が見えた。1人はスノーホワイト、そしてもう1人はアルトリアであった。ロビンフッドは顔のない王を使用し、身を隠す。

 

「マスター、本日はここまでにしますか?」

 

「そうだね。助けてくれてありがとうセイバー。おかげでいつもよりたくさん人助けできたかも。」

 

「礼には及びません。私は貴女の剣ですから。正しく使うのであれば私も嬉しいです。」

 

すると、スノーホワイトのマジカルフォンにメールが入る。どうやら運営からのお知らせのようだ。スノーホワイトがマジカルフォンの画面を見ようとすると…

 

「危ないっ!」

 

アルトリアが突如、剣を抜き何かを弾き飛ばした。よく見るとそれは矢であった。

 

「え!?何、なにが起こったの?」

 

あまりに突然の出来事にパニックに陥るスノーホワイト。しかし、間髪入れずに次の矢がアルトリアに向かって飛ぶ。不意を突かれたアルトリアは再び剣を振るうがタイミングが遅れてしまい、矢が肩に刺さる。

 

「なっ!?しまった…肩に矢を受けた。マスター、下がってください!これは間違いなくサーヴァントの攻撃です!」

 

一方、ロビンフッドは樹の上から次々と矢をアルトリアに向けて放つ。

 

(見たところあの英雄様は王族だな。はっ、いけ好かねぇな。とりあえず、気をこっちに引きつけといて…本命は…あの白い魔法少女のマジカルフォンだ…!)

 

ロビンフッドはアルトリアにひとしきり矢を撃ち終わると樹から降りる。そして、素早くスノーホワイトの背後に回り、スノーホワイトを突き飛ばした。

 

「きゃあ!?だ、誰?」

 

しかし、ロビンフッドは持ち前の逃げ足の速さで再び、樹の上に姿を隠す。

 

「大丈夫ですかマスター!」

 

アルトリアがフラつきながらもスノーホワイトの手を引く。

 

「うん…あれ?私のマジカルフォンがない!?」

 

何とスノーホワイトのポケットからマジカルフォンがなくなっていた。もちろん犯人は…

 

(よし、マジカルフォンさえ奪えばこっちのものだ。さっさと撤退させてもらう…)

 

しかし、ここでロビンフッドにとって想定外の事態が起こるのであった。

 

 

 

 

 

 

アルトリアとロビンフッドが対峙していた頃、三条家ではねむりんが1人思い悩んでいた。

 

「もうすぐ魔法少女じゃなくなっちゃうのにアーチャーは何してるのかなぁ。お別れなんだから一緒にいてくれてもいいのに。」

 

脱落者発表まであと1時間を切った。ねむりんはすでに自分が脱落することを悟っているようで心の準備は済ませていた。しかし、短い間とはいえ自分のために東奔西走してくれたロビンフッドに感謝と別れを言いたくて待っているのだがなかなか帰って来ない。もやもやとした感情の中、ねむりんはふと手の甲を見た。

 

「そうだ。せっかくだから1画使っちゃおうかな。マスター、ねむりんが令呪を持って命ずるよ。アーチャー、今すぐ帰ってきなさーい!」

 

あろうことかねむりんは令呪を使用し、ロビンフッドを強制的に呼び戻した。そして、公園にいる本人はどうなったかと言うと…

 

 

 

 

 

 

 

「ん?なんだ急に視界がうっ…」

 

スノーホワイトのマジカルフォンを手にしたままロビンフッドは令呪の命令により強制的に三条家の屋根の上まで転移させられてしまったのである。これが彼の身に起きた想定外の出来事であった。

 

「あれ?マスター、突然攻撃が止みました。」

 

「うそ、じゃあ、私のマジカルフォンは…どうしよう…」

 

落胆するスノーホワイトに何と声をかければいいのかアルトリアが言葉に詰まっていると突然、スノーホワイトが顔を上げた。

 

「待って…声が聞こえる。この声…ねむりん!?」

 

 

 

 

 

 

一方、そのころ三条家の屋根の上にはいまいち状況が掴めていないロビンフッドが呆然としていた。すると、ねむりんが屋根の上にやって来た。

 

「あ!やっと戻ってきた〜心配したんだよ、アーチャー。」

 

「おいおい、正気かオタク。何でわざわざ令呪まで使って俺を呼び戻したんだよ。」

 

「だって〜最後くらいアーチャーと…あれ?どうしてスノーホワイトのマジカルフォンをアーチャーが持ってるの?」

 

ロビンフッドは一瞬しまったという表情になるがすぐに気を持ち直してこう言う。

 

「マスター、落ち着いて聞いてほしいだが…」

 

しかし、ねむりんはロビンフッドの話を遮って自分のマジカルフォンを取り出す。

 

「もしかして落ちてたから拾ったの?じゃあ、皆に教えてあげなきゃ。まずはチャットルームにログインして…」

 

「待て!それだけはやめろ!」

 

ロビンフッドは声を荒げてねむりんのマジカルフォンを取り上げた。

 

「ちょっと何するの?返してよ、アーチャー。」

 

間延びしながらも困惑した表情で必死にロビンフッドに摑みかかる。

 

「だから、話を聞いてくれ!これには深いわけが…」

 

そのねむりんの困惑した感情はある人物に届いてしまっていた。

 

 

 

 

 

(どうして?これはスノーホワイトの物なのに何でアーチャーは返さないの?)

 

「聞こえた!これは間違いない。ねむりんの声!」

 

どうやらスノーホワイトの魔法でねむりんがロビンフッドと揉めている状況が心の声として聞こえたようである。

 

「となると我々を襲ったのはそのねむりんという魔法少女のサーヴァントですね。マスター、場所はわかりますか?」

 

「場所は恐らくここから東の住宅地…でも、どうしてねむりんが私のマジカルフォンを…」

 

「詮索は後にしましょうマスター。追いかけます!」

 

アルトリアは目にも止まらぬ速さで公園の東にある住宅地へ向かう。

 

「あっ、待ってセイバー!」

 

スノーホワイトは慌ててアルトリアの後を追いかけるのであった。

 




現在確認された組み合わせ

森の音楽家クラムベリー×子ギル(アーチャー)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。