Fate/Magicalwars   作:ディルーン

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幕間の物語 3【クラムベリー&子ギル】

子ギル「マスター、たった今、転送機能が解禁されました。」

クラムベリー「そうですか。…ふうん、意外といけますねこれ。」

子ギル「あれ、マスターが食べてるのって麻婆豆腐じゃ…」

クラムベリー「ほどよい辛みは代謝を上げるから身体に良いそうですよ。貴方も食べますか?」

子ギル(どうしよう…なんかデジャブを感じる…そのうちマスターが魔法少女達の不幸を肴に酒を飲み出さないか心配だ…)


第5話 春の夜の夢の如く…

アルトリアは団地を突っ走る。その途中でサーヴァントの気配を察知し、足を止めた。そこは三条家の前であった。屋根の上で言い争っているねむりんとロビンフッドが見える。

 

「だから、本当か…どうかはわかんねえが間違いであるって確証もないんだ!万が一のこともあるだろう。とにかく誰かのを奪ってでも最下位は回避するんだ。そうすればあんたの命は…」

 

「駄目だよ。そんな嘘か本当かわからない噂に惑わされて人の物を盗っちゃ。これはスノーホワイトに返そう?ね?」

 

ねむりんは優しく言ってはいるが必死にロビンフッドを説得しようとしている。その時だった。

 

「ここにいたか、盗賊!マジカルフォンを渡しなさい。さもなくば貴様を斬り捨ててでも取り返す!」

 

アルトリアが家の前で剣を構えて叫ぶ。今にも斬りかかって来そうな雰囲気にロビンフッドは焦りの色を見せる。

 

(まずい…追いつかれた。でも、待てよ…マスターを誤魔化してあのセイバーを始末すればいけるかもしれない。幸い、マスターが追いついてないからうまく煙に巻けば転送できるはずだ…!)

 

「ねえ、アーチャー。あのサーヴァントは?」

 

キョトンとするねむりんの問いにロビンフッドはセイバーを睨みつけながら答える。

 

「あいつは俺を殺そうとしてきたサーヴァントだ。きっとあいつも、例の噂に踊らされて気が狂ったんだろ。マスター、ますば移動しようぜ。俺はあいつと戦わなきゃならない。じゃなきゃ、俺達が殺される…!」

 

何とかその場を誤魔化そうと嘘を吐くロビンフッド。

 

「そうなの?じゃあ、逃げなきゃ…!」

 

あろうことかその嘘を鵜呑みにしてしまったねむりんはロビンフッドに掴まる。

 

 

「しっかり掴まっててくれよ、マスター!いくぜ!」

 

ロビンフッドは屋根の上から跳躍し、その場を離れる。

 

「逃げるのか!どこまで卑怯者なのだ!」

 

アルトリアも怒りを露わにして追いかけた。

 

 

 

 

 

 

やがて、ロビンフッドはねむりんを抱き抱えて団地の外れの空き地までやってきた。

 

「よし、ここまで来れば大丈夫だろう。マスター、話の続きだが…」

 

「見つけたぞ!もう逃さないぞ、アーチャー!」

 

「げっ!?もう来たのか。早すぎるだろ!」

 

アルトリアはどうやらすぐに追いついたようだ。ついにアルトリアとロビンフッドは正面から対峙する。

 

「マスター、やはりあいつだけは倒さなきゃいけないみたいだ。宝具の解放を許可してくれ。…もう時間がない。」

 

最後だけねむりんに聞こえないように呟いた。ねむりんは一瞬戸惑うが腹をくくって応える。

 

「わかったよ。どんな理由があっても友達を黙って見捨てるのは駄目だよね。アーチャー、ねむりんの魔力を回してあげる…!」

 

「ありがとよ!…我が墓地はこの矢のさきに…森の恵よ、圧政者への毒となれ…祈りの弓!」

 

「なっ!?宝具だと?」

 

宝具とは人間の幻想を骨子に作り上げたサーヴァントの最終武装。奥の手であり、サーヴァントが生前に築き上げた伝説の象徴であり、必殺技であると言えよう。アルトリアは突然の宝具の発動に驚くが剣を構えてロビンフッドに斬りかかろうとする。しかし、急にアルトリアは自らの身体の不調を即座に感じた。

 

(これは…毒…!アーチャーの結界か…!)

 

アルトリアの目線の先は弓を構えるロビンフッドとイチイの大木が見えた。

 

「どうだ、セイバー。お前はさっき公園で俺の矢を受けたよな?だから毒の回りが早いんだ。」

 

「この…卑劣な…!アーチャー!正々堂々戦おうという気はないのか?」

 

アルトリアは剣を振り、ロビンフッドを攻め立てながら問いかける。しかし、毒のせいか剣の精度は定まっておらず、ロビンフッドに簡単にかわされている。

 

「悪いな。俺はどんな手を使ってでもマスターを生き残らせるんだ!例え卑怯者と罵られてもな。」

 

ロビンフッドは再び矢を放ち、アルトリアの剣の軌道をずらす。そして、アルトリアが少しバランスを崩した隙に彼女の顔に弓を向けた。

 

「あばよ、王様。これでとどめだ。」

 

ついにこの戦いに決着がつこうとしていたその時だった。

 

「やめてー!!」

 

絹を裂くような悲痛な叫びが空き地一帯に響く。その声の主はアルトリアを追ってきたスノーホワイトであった。その叫びはアルトリアとロビンフッド、さらには戦いを何とも言えない面持ちで見ていたねむりんの意識を一点に集めた。

 

「やめてよ…ねむりん!何でこんなことしたの…何で2人は戦っているの…!?」

 

しばらく沈黙が続くが一番先に口を開いたのはアルトリアであった。

 

「マスター。アーチャーはマスターのマジカルフォンを奪ったあげく私を殺そうとしました。これはもう完全に我々の敵です。」

 

「待ってよ、アーチャー。この人はスノーホワイトのサーヴァントなの?それとアーチャーの言ってたことと話が違うじゃないの?どういうこと?」

 

アルトリアの台詞にねむりんはロビンフッドに今までの行動の矛盾点を問う。もう言い逃れができなくなったロビンフッドは観念して祈りの弓を洗浄し、項垂れて答える。

 

「わかった。俺の知ってることすべて話してやるよ。実は今日の夕方に…」

 

ロビンフッドはクラムベリーとファヴの会話を盗み聞きしたことを話した。そして、ねむりんが脱落しないように仕組んだ計画もロビンフッドは余すところなく話した。

 

「そんな…脱落したら死んじゃうの?」

 

「あくまであの頭にバラが付いてる魔法少女とファヴとかいう変なマスコットの会話だがな。嘘か本当かはわかんないわけよ。ただ、万が一本当の話だったら…俺はそんな不安感からこの計画を思いついたのさ。」

 

「大丈夫だよ。ねむりんはそんなこと信じてないし、もし本当だったらスノーホワイトが死んじゃうじゃん。そんなの嫌だよ。だから、アーチャー。スノーホワイトにマジカルフォンを返してあげて。」

 

もうこれは完全にお手上げだな。そんな感情を覚えながらロビンフッドはスノーホワイトにマジカルフォンを手渡す。

 

「マスター。アーチャーを始末しなくて良いのですか?」

 

「もういいよ、セイバー。マジカルフォンは無事に戻ってきたし、アーチャーも反省してるみたいだから。」

 

「優しいんですね…まあマスターがそう言うなら致し方ありません。」

 

スノーホワイトとアルトリアはそのまま帰ろうとする。すると、マジカルフォンから音が鳴る。ねむりんのマジカルフォンからも同じ音がしたため、どうやら運営からの通知のようだ。スノーホワイトはそのまま空き地に立ち止まり、マジカルフォンを開く。すると、ファヴが画面上に現れる。

 

「今週の脱落者の発表の時間が来たぽん。詳しいことはチャットルームで話すから皆、集まってほしいぽん。」

 

「あ、チャットルームでお知らせがあるみたいだからそろそろ帰るね〜。バイバイ、スノーホワイト。またチャットルームでね。ねえ、家まで送って、アーチャー。」

 

「はいよ。それじゃ、セイバーのマスターさんよ。さいなら。」

 

ロビンフッドはねむりんを抱き抱え、空き地から姿を消した。残ったのはスノーホワイトとアルトリアであった。

 

「怪我は大丈夫なの、セイバー?」

 

「問題ありません。あのアーチャーが解毒してくださいましたから何とか元に戻れました。」

 

「それなら良かった。じゃあ、帰ろっか。こんな遅くまで外にいたから疲れちゃったな。」

 

顔は笑っているが脱落者発表があるためスノーホワイトの心境はとても複雑なものであった。それは脱落者が誰なのか、だいたいの察しが付いているからである。

 

 

 

 

 

そして、いよいよチャットルームで脱落者の発表が行われる時間が来た。普段あまりチャットルームに顔を出さないルーラ達やマジカロイド44もいた。

 

「では、今週の脱落者を発表するぽん。今週最もマジカルキャンディーが少なかったのは…ねむりんだぽん!」

 

「まー、当然だよね。ずっとチャットルームに入り浸ってたし。」

 

「そーだよねー。」

 

最初に発言したのはピーキーエンジェルズだった。

 

「まあまあ、そう言うなよ。ねむりんもサーヴァント召喚してたらしいし、やれるだけやったんじゃないか?」

 

トップスピードがフォローするように続けざまに発言する。

 

「じゃあ、皆ととうとうお別れか。ありがとう〜チャットルームでお話してくれて。」

 

「ねむりん…」

 

不安そうな表情のスノーホワイトに近づき、ねむりんは握手を求めながら話しかける。

 

「大丈夫、私は死ぬなんて噂は信じてないから。まとめサイトで皆の活躍見てるからね〜。」

 

「うん。さようなら、ねむりん。」

 

スノーホワイトは差し出された手を握る。ねむりんも笑顔でスノーホワイトの手を取った。

 

「さあ、アバターを削除するぽん。さようなら、ねむりん。」

 

ファヴがそう言うとねむりんのアバターがチャットルームから消え、スノーホワイト達の画面には【ねむりんが削除されました】という文字が表示された。

 

「え!いくらなんでも突然過ぎるよ!」

 

「マスター、どうしました?そんな大きな声を出して。」

 

スノーホワイトの驚きの声にアルトリアが心配し、声をかけた。

 

 

 

 

 

 

「あーあ、もうこれで魔法少女生活もおしまいか〜」

 

「そうですね、マスター。まあ、マスターは元より辞めるつもりだったんでしょ?後は噂が間違いであることを祈るばかりだな。」

 

「あはは、死ぬなんて嘘に決まってるよ。ねえ、ファヴが魔法少女の力は今日の12時まで有効って言ってたから最後にちょっと変身してくるね〜。」

 

時刻は現在夜11時45分。あと、15分で魔法少女の力を失うねむりんは最後の変身をしようとしていた。

 

「いってら。俺は夢の中には行けないから…」

 

「じゃあ、ねむりんが夢の中にいる間、手を握っててくれる?」

 

「まあ、それくらいならお安い御用ですよ。」

 

「えへへ、今までありがとうね。アーチャー。短い間だったけど、ねむりんの初めてのお友達だったよ。だから、嬉しかったな。」

 

ロビンフッドは何も言わず、フッと破顔し、ねむりんを見つめる。

 

「じゃあ、お休みなさ〜い。」

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女の力で夢の中に入ったねむりんはある少女の夢に入った。そこは中世ヨーロッパのような風景に、馬車に乗った女性が周りの民衆の歓迎を受けている夢。そんな大観衆の中に1人、ぽつんと少女が立っていた。ねむりんはその少女が気になり、思わず話しかけに行った。

 

「何を見てるの?」

 

「お姫様…!」

 

少女は顔に微笑を浮かべながら答えた。

 

「お姫様、好きなの?」

 

「うん。私はお姫様に仕える人になりたい。」

 

「仕えるなんて難しい言葉知ってるんだね〜」

 

ねむりんはおそらくまだ小学生、しかも低学年であろう少女の頭を優しく撫でる。

 

「でもね、仕える人じゃなくて貴女がお姫様になってもいいんだよ?」

 

「私がお姫様に…?」

 

「きっとなれるよ。女の子は誰だってお姫様候補なのさ〜」

 

少女はねむりんの言葉に感銘を受けたかのように驚いた。

 

「そうだ…私がなればいいんだ…」

 

「あ、そろそろ時間だから帰るね。ばいばい〜」

 

ねむりんはもうすぐ魔法少女の力が失われることを悟り、少女に別れを告げて、現実世界へ帰っていった。

 

 

 

 

 

 

『時間だぽん。これで全部さよならだぽん』

 

時刻は深夜12時30分。30分経っても目を開けないねむりん。ロビンフッドはため息をつきながらねむりんの脈を測ってみた。

 

「冷たくなってる…あの話は本当だったみたいだな…」

 

ねむりん、いや、三条合歓は死んでいた。ロビンフッドは膝に手を置き、項垂れて涙を流す。

 

「ちくしょう…俺があの時ヘマしなきゃ、マスターが死ぬことはなかったのに…ごめんな、助けてやれなくて…」

 

ロビンフッドはしばらく息を殺して泣いていたが、顔を上げた。

 

「俺にできることはただ一つ…まずはあの白黒マスコットと頭に薔薇のついた魔法少女を探す…!そして、あいつらを問い詰めてやる…!」

 

ねむりんもとい合歓の部屋の窓からロビンフッドは外に出た。まずは先ほどアルトリアを襲撃した公園に足を踏み入れる。その時だった。

 

「貴方が探しているのは僕のマスターですか?」

 

背後からの声にハッと振り返るとそこには子ギルが立っていた。

 

「お前はあの薔薇の女のサーヴァントか。ちょうどいい。お前のマスターを出せ。話がある。」

 

「偶然ですね。僕も貴方に用があるんですよ、アーチャー。」

 

「何だと…?」

 

子ギルは突然空中に浮かび上がる。ロビンフッドはとっさに弓を構え、臨戦態勢に入る。

 

「僕はマスターから貴方を始末するように命じられました。貴方はこれから厄介な存在になりうるから早めに取り除けと言われたのです。それに、貴方を放っておけばマスターの邪魔になりますから。」

 

「やっぱり、お前のマスターが関わってたか。お前はどうでもいい。早くお前のマスターを呼べ!さもなくば…」

 

ロビンフッドは子ギルに向かって矢を放つが子ギルが後ろに突如現れた金色の空間から取り出した剣で防御されてしまった。

 

「お断りします。それとマスターからなるべく早く片付けろと言われてますから、急がせてもらいます。」

 

子ギルが右手を挙げるとロビンフッドの両端の空間から鎖が伸び、手足を拘束した。

 

「な、何をするんだ…!?」

 

しかし、頑丈な鎖で捕縛されているためロビンフッドは身動きが取れない。

 

「貴方にはマスターがいませんから宝具も使えませんよね。貴方の力は半減しているはずです。でも、このまま嬲り殺すのも可哀想ですからこちらも宝具を使わせていただきます。」

 

子ギルの背後の金色の空間。それこそが子ギルの宝具である宝物庫なのである。

 

「王の財宝…!!」

 

金色の空間からたくさんの刀剣、槍、斧などがロビンフッドに向かって一斉に射出された。

 

「ぐあああっ!?」

 

ロビンフッドはそのまま全身をあらゆる武器で刺され、息絶える。キラキラと光る粒子に包まれて消滅していった。

 

(ねむりん、俺のマスター…最後の最期まで情けないサーヴァントですまねえ…)

 

子ギルはロビンフッドの消滅を確認するとそのまま歩き出す。

 

「さようなら。貴方に恨みはありませんがこれもマスターの命令なので。しかし、魔法の国の聖杯ですか…あとで個人的に調べておかなくちゃいけませんね。」

 

子ギルも子ギルで何か思惑がある様子であるがそれ以上は何も呟かず、クラムベリーのもとへ帰還するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、ねむりんの死後。1人の少女が寂れた空き家にやってきていた。少女はおもむろにマジカルフォンを取り出すと、魔法少女に姿を変える。その少女は何とスイムスイムだった。

 

「私がお姫様に…ルーラになる。でも、ルーラがいたらルーラになれない。だから、ルーラに勝つためのサーヴァントが必要。」

 

空き家の玄関の扉を開けるとそこにはファヴが用意したであろう召喚陣があった。スイムスイムは1000個のマジカルキャンディーをつぎ込み、召喚を行なった。およそ10騎の英霊がマジカルフォンの画面に表示される。スイムスイムは1騎ずつ丁寧にステータスやスキル、レアリティを確認し吟味していった。

 

「この人が1番私に相応しい気がする…この人はアサシンね。」

 

スイムスイムはあるアサシンのサーヴァントを選んだ。果たして一体誰を召喚したのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ねむりん&ロビンフッド(アーチャー)脱落。

残り15人。
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