雪ノ下さんと喫茶店でお話しした後、僕は帰り支度をし、家に帰ろうとしていた。
もちろん、八幡のところに寄ってからね。
そんな僕を引き止めた人物がいた。
「やあ、戸塚」
「葉山君?」
そう、クラスメイトの葉山隼人だ。
「どうしたの?こんなところで」
「いや、ちょっと気になってね」
「?」
「たしか昼間の雪ノ下さんたちとファミレスで話していたよね?それで雪ノ下さんや結衣たちの様子がおかしかったから気になって君に声をかけたんだ」
ああ、やっぱり聞いていたんだ。
一瞬だったけど葉山君の顔が見えたからもしかしてとは思ってはいたけどやっぱりね。
多分、さっきの雪ノ下さんとの会話も聞いてたね。
少し話が長くなりそうだったので僕は再び席に着く。葉山君は先程雪ノ下さんが座っていたところに着き僕と向かい合わせとなった。
「なるほどね…、僕にどうさせたいのかな?」
「理由はどうあれ、俺は君が原因で雪ノ下さんたちがああなった。だからまずは理由を教えてほしい。なぜこんなことになったのか」
「わかった」
「ありがと…「でも、君に教える理由はないよね?」…なぜだい?」
「葉山君には関係ない話だからね。僕と雪ノ下さんたちの問題だから葉山君が入ってくる必要はないんだ」
「しかし…」
僕は八幡のところに行きたいのにこのままじゃ長引いてしまうのは確定だ。まあ、丁度葉山君にも言いたいことがあったからいいか。
「葉山君はどうして、そこまで理由を聞きたいの?」
「それは…みんな仲良くしたほうがいいだろう?だから…」
「うんうん、それで?そのために葉山君はどう行動してくれるのかな?もし仮に雪ノ下さん達に非があったとしても僕に味方してくれるのかな?僕に非があった場合は雪ノ下さん達の味方?」
「それはもちろん…」
「あと僕と雪ノ下さんたち両方とも非があったらどっちの味方?」
「り、両方の味方…「で話が進むと思う?」…」
「そ、それは…」
葉山君は言葉に詰まった。
それはそうだよね、なぜなら…
「それは選べないよね」
「そ、そうなんだよ!俺にはそんな選択は選べない、だから!」
「だって葉山君、君には
『みんな仲良く』なんて実現することができないんだから…」
「へ…?」
「そもそもね、『みんな仲良く』なんて理想に過ぎない。それは気がついてる?」
「な、なぜだ!きちんと話し合えばできるはずだ!」
やっぱり気がついてないや。
これはもう重傷だね。
「例としてあげるけど、三浦さんと一色さんが仲良くできてないのわかるのね?」
「?いや、あの2人は仲良いだろう?」
あ、ごめんもう重傷以上だった。
これは僕にも予想外だった。たしかに三浦さんと一色さんの場合、利害が一致したときのみ仲良くはできそうだ。
しかし、通常時はそれはない。
それに気づかないなんて…
「…ごめんね、君にはわからなかったね。じゃあ葉山君から見てさ、雪ノ下さんと三浦さんと仲良くできると思うのかな?」
「っ!は、話し合えば必ず…」
「でも千葉村でのこと覚えてるよね?あの様子を見てできると本当に思っているのかな?」
「そ、それは…」
「うん、だから無理なんだよ。そんなことは最初からね。なのに君は『みんな仲良く』と言う」
「……」
「あとクラスでのチェーンメールのこと覚えてる?君が言う『みんな仲良く』ができているはずならあんなことは起こらないはずだよね?」
「……」
お、これらは理解できたみたいだ、よかった。理解できなかったらどうしようと思っていただけによかった。
「それに君にはできるはずがないんだよ」
「な、なんでだ?」
「だって葉山君…、君…
八幡と仲良くできないでしょ?」
「っ!」
葉山君の顔が崩れた。
痛い所を…とか思っていそうだけど僕には関係ないから気にしない…っと。
「だって葉山君と八幡は考え方がまるっきり違う。君の理屈は八幡には通用しない」
「逆に八幡の理屈は君には理解することができない」
「それは何よりも葉山君自身でわかっているはず、だから君にはできない…」
「しかし…『あと1つ…』なんだ…」
「君は『行動』することができない」
「してるじゃないか!だから話し合いを…」
「うんうん、してるね。でもそれだけだ」
「…」
「その結果は一番君が知っていると僕は思うけどな。小学生のときの雪ノ下さんの出来事…でさ」
(なぜそれを戸塚が知っているんだ!?)
「君は正確には『選ぶ』ことができないというのかな?雪ノ下さんが正しかったにも関わらず、加害者側の意見も取り入れて両方に謝罪するように要求した」
「……」
「雪ノ下さんはこう思ったと僕は思うよ。
『信じていたのに…、裏切られた』
ってね」
「っ!」
「だから君にはそれを言う資格もないし、覚悟もまったくない。ましてや本人でさえできないのを心の奥底では知っているのに誤魔化している。そんな人に僕が教えるはずもないよね?」
「……」
「さて、僕はそろそろ帰らせてもらうけど最後に1つだけ質問をするね」
僕は帰り支度をしながらこう質問した。
「雪ノ下さんとその他大勢、どちらか片方だけしか助けられないときに君はどっちを助けるのかな?」
こうして僕は店を出た。
「おふろはいってきたー!」
「おー、けーちゃん気持ちよかったか?」
「うん!」
「…」
「なあ、牛乳ってある?」
「ん…はい」
「さんきゅ」
ゴクゴク…
「ふぅ…」
「はーちゃんなにしてるの?」
「ん?牛乳飲んでるんだ。お風呂のあとの牛乳は美味いぞ」
「けーかも!けーかも!」
「ほい、落とすなよ」
「うん!」
ゴクゴク…
「おいしいー!」
「だろ?」
「はい!さーちゃんものんで!」
「へ!?」
(こ、これってか、か、か、間接…き、き、き、き…///)
(いやけーちゃんも飲んでるからセーフ!?で、でも…///)
「うぅ…///」
(なんか知らんけど可愛い…)
「たーちゃん何買ってきたの?」
「カカオ95%のチョコ」