日も沈み、暗い夜の世界を淡く月が照らす時間になった。家に帰る為駅に向かう人々や、夕飯の食材を買いに行く人、こんな時間にカードショップへ駆ける人、閉店の準備を始める人など、それぞれが思い思いの行動をしている。
その頃、俺は何をしているのかいうと
「あー、彼女、パン食うかな…。まぁ、女の子なら甘いもの好きなはず」
メロンパンでいいか。あとは、…ヌードルでも買うか。どの味にしようか…、おっ、キラートマト味があるなどと呟きながら今夜限りの同居人の為に買い出しに出かけていた。
会計を済ませて店を出る。すっかり暗くなった空を見上げて、どうしてこんなことになったんだと思い返す。
泊めてくれと頼んできた彼女に困惑したが、どういう事だ、意味が分かっているのかと状況を説明してもらった。
彼女いわく、一文無しで家出してきたそうだ。それで、取りあえず野宿は避けたいと思ったがここで通じる通貨を持ち合わせていなかった彼女は手元にあったカード3枚を条件に、すぐ近くにいた男に交渉を持ちかけた。…この男というのは恐らくダイノウジの事だろう。それがどう勘違いされたのか賭けデュエルだと思われたらしく、デュエルに敗北した彼女はカード3枚を取り上げられて途方にくれた。頭が真っ白になった彼女はそしてあちこちを彷徨っているうちに俺に声をかけられ、そして今に至るという。
思わずため息が出る話しだ。どうして家出なんかしたとか、カードをむやみに賭けるんじゃないなど、色々言いたい事はたくさんあったが、日が沈めば寒くなる…下半身とか寒そうな格好をしているし、ので取りあえず家に上がってから今後の事を考えようと問題を一旦預けて彼女を案内した。
しかし、家出か。家庭の問題に首を突っ込むのは愚かだが、一度乗り掛かった船だ。それに彼女を放置したらそのままのたれ死にそうで思わず手を借したくなる。昔の俺と重ねているのかもしれないな…。
階段を上り、自分の部屋まで着く。鍵を取り出し、ドアの鍵を開けて中に彼女を上らせる
あまりいい家ではないが…と言うと、彼女は泊めてくれるのだから文句は言えない。むしろすごく感謝していると返された。
部屋にかけられた時計を見るともうすでに8時を回っていた。
しまった…もうそんな時間か。夕飯の事をすっかり忘れていた…。
食べ物の事を考えたせいか、急に腹が減ってきた。今日はずっと歩いていたからそれなりに疲れている。今から調理するのは俺のやる気の関係で無理だ。
と考えていると1つの事を思い出した……待てよ。彼女、一文無しだって言っていたよな。
そう思ったのつかの間、すぐに腹の虫の声が耳に入った。
そして今に至る。
家へ近くのコンビニに行くの面倒くさかったが、彼女にお使いを頼むのも不安なので仕方がない。
彼女を家に残して来たが流石に盗人ではないと、今までの様子を見てきて確信しているがそれでももしもの時の為に彼女の3枚のカードを預からせてもらった。
そう言えばこの3枚のカード、と懐からカードを取り出し、眺めながら考える。しかし、魔導剣士のカードは本当に彼女に似ているな…。って、そう言えば名前も聞いていない上に、ゲスト登録だったのも気になる。それに完全に放浪者……だと思うが、身元がハッキリとしていないのもあやしい。
戻ったら色々と聞いてみるか…。ああ…問題は山積みだ。
「本当に申し訳ない…。食まで出させて用意させてもらって…」
彼女にメロンパンを渡すと、申し訳なさそうな顔をした彼女がそう言ってきた。
「気にするな。俺が好きでやってる事だ」
嫌な事だったらとっくに突っ撥ねてる。というか調理した料理を出さなくて申し訳ないのはこっちの方だ。
絶対、この恩は返すからなっ!と彼女が言うが、それよりも早く腹ごしらえをしたいので台所のヤカンでお湯を沸かす。その間にビニール袋からキラートマト味のトマトを取り出す。
「食べないのか?」
メロンパンの袋を見つめている彼女に対してそう尋ねる。
袋を見つめていた彼女は声をかけられて慌てたように、
「あ、いや、えと…。あ!や、家主よりさきに食べる訳にはいかないだろう!?」
と、答えた。ああ、それもそうか。
だが、彼女は俺よりもずっと空腹のはずだ。ここに来て一文無しという事は拾い食いでもしない限り何も口にしていないという事になる。
「いや、遠慮するな。ほとんど何も口にしていないんだろ?」
そう言って彼女に食べるよう促すのだが、彼女が気まずそうな表情をして黙りこんでしまった。
一時の間を開けて彼女の手がおずおずとパンに伸びる。
が、袋を掴むとこちらを向いて
「…あ、すまない、これはどのようにして開けるのだ…?」
箱入り娘かっ!?
そしてその時、ヤカンからピューと、音がした。
「で、何処から来たんだ?」
お互いにひと通り食べ終えた後……彼女はメロンパンが気に入ったようだったが、で、さっそく質問に移る。
「…私を家に返そうというのか」
いや、質問に答えてくれ。名も知らぬ少女よ。
「ああ、一晩だけのつもりだったが、一文無しで他にアテが無いんだろ?しばらくの間は泊めてやれる。だが、あまり長く居座られるとこちらが困る。だから、そのうちに帰ってもらうとは考えている。多分、君の両親も心配しているだろうからな。それに、素性も分からない者を泊める訳にもいかない」
テーブルを一つ挟んだ向こう側の彼女に向かって真剣な顔をする。
時計の秒針が進む音が響く。
「…分かった。話す」
しばらくして彼女はそう言った。
そしてそのまま続ける。
「私の家はラメイソンの郊外にある所で、そこから3日かけてここまでやって来た。パパとママは出張で家にいない間に、その、こっそりと…」
…ラメイソンなんて所は聞いた事が無いな。まぁ、何処か田舎の所なのだろうと推測する。と、いうか3日かけてって…。随分と遠い所から来たのだろう。…果たしてメロンパン1個だけで満足できたのだろうか?
「…ちなみに、父と母はどんな仕事を?」
なんとなく、つい気になったから聞いてみた。あまり家庭の事情に突っ込むのは良く無いが、仕事を聞くぐらいなら大丈夫だろうと思ったからだ。
だが、それに対して彼女が言った事は、
「最近だと、パパがHERO協会、エルフの剣士さんの所に出張すると…。ママは、ラメイソン勤務でたまにエンデュミオンに行ったりもするが…って、どうかしたのか?」
そんなに口を開けて。何かおかしい事でもあったのか?と彼女が言うが、俺の頭は次々と彼女に口から出てくる単語に頭を悩ませていた。
HERO?エルフの剣士?それにエンデュミオンって…。全部、全部、、
遊戯王のカードじゃないか。
適当な場所の名前や企業の名前だったらこんなに悩むことはなかった。だが、今彼女が言ったものは全て遊戯王に存在するものだ。それが余計に俺を混乱させている。彼女が持っていた3枚のカードのうちの1枚である沈黙の魔導剣士のカード、あれは彼女に酷似している。それも何か関係があるのだろうか…。
また、疑問が増えた。
「…いや、意外な仕事をしていて驚いていた。ところで、あの沈黙の魔導剣士のカード、すごく君に似ているな」
何か関係があるのは十中八九間違いない。彼女が知っているのかはともかく、少しずつ聞いていこう。
そうすると彼女から見たのかと、聞かれた。それは当然、見覚えのないカードを発見したらテキストを確認するだろうと思いながら、ああ、と相づちを打つ。
「……どう思ったか聞いてもいいか?あのカードを見て」
彼女が質問してきた。…やはり何か関係があるのだろうか。それとも何か思い入れのあるカードか、果たして…。
あのカードは正直言って使い辛い。だが、それをそのまま彼女に伝えていいのだろうか…。
いや、下手に遠慮してあのカードに対しての価値を勘違いされるとデュエリストとして困る。彼女は初心者なのだから尚更だ。今後はあのデッキ…、多分ガイドさんから貰ったデッキをそのまま使っているのだろう、そのデッキを改造するときに障害になる様な事はなるべく取り除いておきたい。
「…正直に言うとあのカードは使い勝手がいいとは言えない。あのカードで出来る事は大抵他のカードを使った方が効率がいい事が多いからな」
そう言うと、彼女がそうか、と呟いた。そして表情も暗くなった。彼女の気持ちが沈むのも理解出来ない訳がない。自分の好きなカードが使えないもの呼ばわりされるのは気分が良くない事は重々承知している。
「やっぱり、何処に行っても私は…使えない、出来損ないなのか…」
暗いままの表情で彼女が言った。
確かに一般的には使われないだろう。あのカードを見て、俺も直ぐに別のカードを使った方がいいと思ったほどだ。
だが、それは違う。
「…いいか。よく聞け」
立ち上がって、彼女に向かって言う。彼女は顔を上げて、顔が暗いままだが…、いきなり立ち上がった俺を少し潤った目で見つめてきた。
…な、泣きそうになるほど悲しかったのか。
「どんなカードにも、生まれてきた以上使い道がある。だから、あの魔導剣士のカードにも使い道がある。あのカードにしか出来ない事があるはずだ。…ここに来る前にも言ったことだが、そんな簡単に諦めるな。あのカードが本当に好きなら、もっとカードに対する想いをぶつけて形にすればいい。信じれば、カードは必ず応えてくれる」
まぁ、全部先輩の言葉だけどな、と最後に付け足す。
「…だが、実際あのカードは使えないものなのだろう?そこまでして使う価値が…」
彼女が相変わらずの暗い表情で言う。
…彼女はどうやら負の考えに囚われるとなかなか抜け出せない類のようだ。前に進む事を無意識のうちに怖がっているのだろう。
だったら、背中を押してやる。
「言ったはずだ、カードは信じれば応えてくれる。お前はいいのか?きっとあのカードはこのままだと使えないものの烙印を押されたままだぞ」
俯いている彼女がピクッと反応した。
手応えありか。ならばもう一息
「違うだろう。あのカードはそんな使えないものの烙印を押されて眠ったままでいいわけがない、そうだろう?見返してやりたいとは思わないのか?出来損ないと見下す奴らに一泡吹かせてやりたいと思わないのか?……このまま黙っていたままでいいのか?」
最後に彼女にそう語りかける。
しばらくの間、沈黙が2人を包んだ。
そして俯いていた彼女が顔を勢いよく上げた。
「違う!私は、私はっ、出来損ないだと、忌み子だと行ってくる奴らを見返す為にここに来たのだっ!現実を突きつけられて泣き寝入りする為じゃないっ!」
先程までの暗い表情から一変、何か覚悟を決めた顔をした彼女が威勢よく言う。
そうだ、その意気だ。
「お陰で目が覚めた。ありがとう、…えっと、」
そう言えばお互い、名前をまだ言っていなかったな。
「ああ、俺はユウイチと言う」
言葉に詰まった彼女の内を察して答える。ユウイチ、ユウイチか、と彼女が言うと
「私は…フォウって呼んでくれ、ユウイチ」
フォウか…。
「ああ、よろしくな。フォウ」
これが、これから俺と彼女との少し奇妙な生活の始まりを告げるものだったとは、考えもしなかった。
沈黙の魔導剣士ーサイレント・パラディン
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻 500/守1500
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「サイレント・ソードマン LV3」または
「サイレント・マジシャン LV4」1体を手札に加える。
(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、
自分フィールドのモンスター1体のみを対象とする魔法カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にする。
(3):フィールドのこのカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、
自分の墓地の光属性の「LV」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。
彼女、フォウが寝ている傍らで、…三日間も飲まず食わずで休まず歩いてきたそうなので無理矢理寝かしつけた、俺はパソコンを開いてこのカードについて調べていた。
なんでもこのカード、20周年を記念したパックで出たカードなのだそうだ。サイレントモンスターのリメイクも収録されていたらしく、このカードはそれらをサポートするように設計されたらしいのだが…
「これは……酷いな…」
ネットには有名なモンスターがリメイクされる事もあってこのカードに期待していた人もかなり多くいたようだ。
だが、期待を裏切り出てきたのはこの噛み合わず、ちぐはぐなカード。
具体的にどのような点がダメなのか、ブログを巡ってみると…
いわく、種族が合わない。
いわく、サーチをしたいカードはそれじゃない。あと、召喚権を使ってまでする行動じゃない。
いわく、魔法無効がピンポイントすぎて使い辛い。
いわく、サルベージしたいのが違う。
など、色々あった。ブログ以外にも、専門的にカードの評価しているサイトでもボロクソに言われていてダメだった。
……、いや、待て。何かあるはずだ。何かこのカードにしか出来ない事が…。
フォウに協力すると言った手前、全力でサポートするつもりだ。考えろ、考えろ俺。
何か、何か、あるはずだ…。
サーチ出来るサイレントマジシャン、ソードマンは、ダメだ。単純に手札コストとして使うならエアーマンがいる。
E・HERO エアーマン
効果モンスター(制限カード)
星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカード以外の自分フィールドの
「HERO」モンスターの数まで、
フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。
●デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。
魔法効果を無効にして展開出来るモンスターで検索……。該当なしか。
サルベージ出来るモンスターは…ハネクリボーLv9、10?
いや、だったら相手に破壊されるまで待つ必要があるこのカードよりすぐに使える死者転生を入れた方がいい…。
必死に何か策がないか、探して、探して…。
ダメなのか…?
散々考え、調べて、試行錯誤したが、何もいい考えが思い浮かばなかった。自分が言った大抵は他のカードを使った方が良いという言葉のとおりだった。
そろそろ疲れてきた…。仕方がない、と作業を打ち切る。
こんだけ考えて何も思いつかないとは…。なるほど、これほどまでに言われるだけはあるんだな。
ああ、ダメだ。元々疲れているし、もう寝よう。
と、席を立つ。
本来なら自分が寝ていたであろうベッドは彼女が使っているので自分は適当にそこら辺で寝る事にする。まぁ、上着をかけておけばいいか…。と、上着をタンスから引っ張り出し、ソファーの上に寝転がる。
時計をチラリと見るとすでに0時を過ぎていた。結構集中していたんだなぁ…。
目を閉じる。すると色々と考え始めるもので…
今日は本当に目まぐるしい1日だった、休日で絡む人もいない状態で、意味もなくカードショップへ向かう途中で男が女の子からカードを奪っていたように見えたからデュエルしたものの…、そう言えばあのダイノウジって奴は凄いデュエリストだったな。幻影騎士団の罠がことごとく通用しないのだから、流石に元プロだという事はあるな。……ん、待てよ。幻影騎士団の種族は戦士族で、闇属性。そして主力はレベル3…。
そこまで考えてはっ、と思いつく。急に頭が冴えてきた。
ガバッと起き上がり、上着を払い、すぐに自分のデュエルディスクのデッキを取り出す。そしてそのデッキを片手にカードをしまい込んでいるファイルを取り出す。そしてパラパラとめくり、1枚のカードにたどり着く。
やはり…、使える!そうだ、あの魔導剣士にだって、あのカードにしか出来ない事があるっ!
使えないカードなんてない。見ていろ、フォウ。それを俺が証明してやるっ!
「ユウイチ、顔色が悪いが…。大丈夫か?」
特に目の下のクマが酷いが…と、彼女に言われた。
…昨日はあの後、色々とカード相性のいいカードを探していて結局寝付いたのは3時頃だった。
ああ、眠いな…。
だが、昨日とは違い朝食はしっかり出したい。と、思うのだが眠気によって台所に立とうと思っても集中出来ない…。
しまったな、カードを弄るのは朝に回してさっさと寝ていればよかった…。
「な、本当に大丈夫か…?ふらふらしているし…」
彼女からまた声をかけられる。眠たい目を無理矢理こじ開け、パンを取り出す。
彼女に、大丈夫だと答えてパンを焼く。彼女にパンを軽く調理したものでいいかと問いかける。
ああ、大丈夫だが…、火の番ぐらいならできるぞ、変わろうかと聞いてくる。
気を使わせてしまったか、ダメだダメだ。もっとしっかりしなければ…。
今日も休日で本当に良かったと思った瞬間だった。
朝食を軽く済ませ、次に俺は彼女の服装について気になった。よく見るとあちこち汚れて黒ずんでいるように見える。
不快だろうと思って、着替えを用意して着替えてもらった。…一応、着替えは見ていないと言っておこう。
男ものですまないが、しばらく我慢してくれと言うと、ここまで世話をしてもらって我が儘が言えるはずがないだろう、と言われた。それもそうか。
着替えた後は、昨日と同じくショップへ向かうとする、もちろん彼女を連れてだ。
当然、目的は昨日考えた事を彼女に見せるためだ。
昨日弄った自分のデッキを持ちデュエルスペースに行く…前に、ちょっと足りないカード、魔導剣士を含めて数枚購入する。
さて、待たせたな…。
フォウ、と声をかける。ん、どうしたユウイチ?と、ゲージに入っているカードを眺めていた彼女がこちらを向く。
「昨日言った、使えないカードがないことを証明してやる」
「そうか、みせてくれるのか」
そう言ってくる彼女に対して、ああ、と返す。
さて…、適当に対戦相手を探してデュエルを申し込もうか…って、なんだアレ?
「我とデュエルしろぉぉぉぉぉぉぉ!」
と、叫ぶ人が1人。なんだアイツ。デュエルしたいのか?
店で騒いでいるため回りの人が避けているように見える…。デュエルしたいのだろうが、あれでは逆効果だぞ…。
しかし、誰も相手をしてくれない為か、ずっと騒いでいるままだ。おいおい、このままだと店追い出されるぞ。
仕方ない…。
「おい、うるさいぞ」
「うるさいデスね。静かにしてくれませんか?」
そう少年に声をかけると、誰か、というか聞き覚えのあると声が重なった。
声のする方を見ると案の定、ガイドさんがいた。
意外な人がいたと思っていると、顔に出ていたのか、ガイドさんに失礼デスね、私も一概にデュエリストなのデスからショップぐらいきますよ、と言われた。顔に出ていたか、すまないと返すと、ガイドさんは俺の後ろにいるフォウに気づいたのか…ニヤニヤしながら、
「あれー、もしかして昨日探していたガールフレンドじゃないデスかー?見つかってよかったデスねー」
と言ってきた。…またからかっているのだろう、だからフォウ、慌てたようにち、違う!と言うな。俺たちは昨日会ったばかりだぞそんなすぐに親密な関係に発展する訳ないだろ、って顔真っ赤じゃねぇか余計にガイドさんにからかわれるだろ!
すると、ゾクゾクと背筋に走るようなものを感じて、俺とガイドさんとフォウのやりとりを見ていたまわりの人々から射殺すような視線が幾つか向けられていることに気づいた…。違うって、だから…。
誤解を解こうと口を開きかけた時、
「我とデュエルするのは、お前か?それとも、お前か?」
と先ほどの少年が問いかけてきた。少年は俺とガイドさんを指して、デュエルしたいようだ。多分そうだろう。
しかし、まさに誤解を解こうとした時に口を出されてイラッときてる。ガイドさんは俺の表情を見て察したのか、スススと身を引いてフォウの隣に立った。
「ああ、良いだろう。…そんなにデュエルがしたいのなら俺が相手になってやる」
そう言ってデュエルディスク展開して立つ。
「ふん、余興程度には丁度いい。精々足掻くといいだろう」
ディスクを構えながら少年もそう返す。ああ?余興だ?そんな口をきく少年に対して、
「…足掻くことになるのは果たしてどっちかな」
と、返す。少年は少しむすっとしながら、カードを5枚引く。
それを見てこちらも5枚のカードを引く。
準備は整った。さぁ…
「「デュエル!」」
ユウイチLP4000手札5枚
ズァークLP4000手札5枚
お互いに声をかけてデュエルが始まる。
少年が騒いだせいで、周囲の注目を集めながらのデュエルだ。フォウの事を含め、より一層負けていられないな。
あの少年の名前はズァークというのか。珍しい名前だな。
って、先行はまた俺か。ツイてるな。
「行くぞ、俺のターン!ド「ちょっと待ったぁぁぁぁあぁぁ!」
と、カードを引こうとしたらいきなり少年から静止の叫び声をかけられた。なんだ?びっくりしたぞ…
「先行は1ターン目、ドローは出来ないぞ!」
……はぁ?
…って、なるほどそういうことか。彼も俺と同じ人種なのか。
と、勝手に解釈し少年に説明する。
「はぁ…、何を言っているんだ…。先行はまだドローできるぞ。今はまだマスタールール2だからな」
と、説明する。が、少年はそれを聞いてもまだ分からないような表情をしていた。
仕方ない、あまり言いたくは無かったが…
「分からないか?ペンデュラムモンスターが全部ペンデュラム効果を消されてただのモンスターになっていないか?」
と、付け加えていう。それを聞いた少年、ズァークは何っ!?と言い、自分の手札を確認して驚いた表情のままこっちを見てきた。
……やはりペンデュラムモンスターだったのがいたのか。なんだ?イグナイトか?
「いいか、理解できなくても無理矢理理解しろ。ここはまだマスタールール3じゃない。ターンを進めるぞ。いいか?」
いつまでも固まっている少年に対してそう言う。俺も初めは驚いたから無理も無いが。
そんなにショックだったのだろうか。
とりあえず、手札を見る。……なんだ、早速お披露目できるのか。
「俺は、沈黙の魔導剣士ーサイレント・パラディンを召喚!」
俺は手札の魔導剣士のカードを摘み、ディスクに置いた。
見せてやるよ、フォウ。こいつにしか出来ないことをな!
はぁ、全くユウイチは短気デスねー。
で、あなた、あの沈黙夫婦の娘デスよね?
あー、はいはい、その反応で分かったデスよー。
あ、次回の投稿はかなり間が空くそうデスよ皆さん。