真姫ちゃんと生き霊くん。尚マスコットにされる模様。 作:しろねぎ
悠太がぬいぐるみに憑依出来る様になった為、真姫は学校に持っていく鞄に小さなウサギのマスコットストラップを付けて、それに悠太を憑依させる事にした。しかし悠太はこれを拒否。悠太曰く『憑依出来る物のサイズは関係無いけど、あんまりにも小さいのはちょっと嫌かなぁ…隙間とかに落ちたら嫌だし…隙間に落ちた時に黒光りするあの害虫に会ったら…』だそうだ。
真姫は悠太の言った事を想像して震えた。悠太の入っている物が小さければ悠太はそのサイズの目線を味わう事になる。つまりは自分よりも巨大な黒光りするあの害虫を目の当たりにする可能性があると言う事だ。だとすれば少し大きめのを選ぶのが吉だろう。
「大きめのストラップって有ったかしら…」
今悠太は真姫の父親と話をしている。ぬいぐるみに憑依していれば悠太本人の声で会話が可能なので是非話がしたいと真姫の父親が提案したのだ。因みに悠太がぬいぐるみに憑依出来る様になった事を伝えた時に『もう何でもアリだな…』と渇いた笑いを真姫の父親が溢していたのは別の話である。
「パパと悠太…大丈夫かしら?パパは悠太に関して凄く責任を感じてるし、悠太は悠太でパパに対して変に気を遣うし。話が平行線になってなければ良いけど」
♪♪♪♪
話しは真姫の予想通りの平行線になっていた。いや、互いに遠慮してまともに会話に発展していないと言った方が適切かもしれない。
「…………」
「…………あの…」
「……なんだい?」
「……しりとりでもします?」
困った時のしりとりだった。
「………リンゴ」
「あっ、やってくれるんですね。……ゴリラ」
「ラッパ」
「パーマ」
「ま………真姫の事をどう思っているんだい?」
ここで真姫の父親が爆弾を投下した。会話が下手過ぎるのである。
「一番大切な人です!」
「好きと言う事か?」
「彼女にしたいです!お父様が許して下さるのならば!」
「バカな事を言うな!」
遠慮が無くなっていく二人の会話ではあるが、端から見れば娘を嫁に貰いに来た男と父親である。片方は熊のぬいぐるみではあるが。
「な……何でですか!?僕が生き霊だからですか!?」
「関係無い……!」
「言って下さいよ本音を!僕はもうお父様に本音を言えますよ!」
「…良く分かってるだろ?君だって…真姫は君を救う為に医者になる決意をしたのだと。…私の跡を継ぐのはそのついでに過ぎないんだ…」
真姫が医者になるのを決意したのは確かに悠太が原因ではあるが、それを今引き合いに出すのはおかしい…そう思った悠太は疑問をぶつけた。
「だから何だって言うんですか?今の僕とのやり取りとは関係無い。医者になるのは別に僕が居なくても決まっていた様な物でしょう?真姫ちゃんは西木野総合病院の跡取り娘なんですし」
悠太の言葉に真姫の父親は首を横に振った。
「……嫉妬したんだ。君にな」
「何でですか?」
「完全な思い込みだとは分かっているが…君が居なかったら真姫は私の跡を継ぐなんて言ってくれていないんじゃ無いかと思ってしまってな。酷い父親だろう?」
初めて見る真姫の父親の弱々しい顔を見て、悠太は今の言葉が嘘では無い事を確信した。
「嘘じゃ無いみたいですね…でもそんなに思い詰める事も無いですよ?たらればの話なんてしてもしょうがないでしょうに」
「人間、一度悪い考えに囚われるとどうにもダメだよ…それに君には恩も…罪もある相手なのに私と来たら…」
「楽にいきましょうよ!僕はお父様の事を恨んでる訳でも無いし、寧ろあの時真姫ちゃんを救えたから後悔は無いくらいです!」
笑って真姫の父親を励ます悠太。熊のぬいぐるみだからあんまり表情が変わらないのでその笑顔が真姫の父親に届くかは微妙ではあるが。
「……すまない…ありがとう…だが真姫との交際はまだ認められん」
こうして真姫の父親と悠太の話し合いは終わった。
あれだけ前回の更新から時間が有ったのに超短い…