遅くなりましたが更新ですよー
今回も過去の話になります。
では、どうぞー。
私達が出会って一年がたってから二ヶ月がたったある日。
私は雷にあるお願い事をしていた。
「え!?私の背中に乗って海の上を走りたいの!?」
「うん!雷!お願い!」
雷は驚きと困惑の半々といった様子である。
「頼られるのは嬉しいけど…でも、何で私に?」
「え、えー…と…電とお母さんにもお願いしたんだけど…。」
「怒られた?」
「…………うん。」
既に二人にはお願いしたが電には『ダメなのです!メッなのです!』と怒られ、お母さんは始めは諭すようだったがしつこくお願いしていると『…樹ちゃん?しつこいですよ?』と床に正座をさされて一時間程お説教されたのだ。
そして唯一残った希望が雷である。
雷はしっかり者だがお願いされると弱いので最後にしたのだ。
「んー…いーちゃんのお願いは聞いてあげたいけど二人がダメならダメね。」
「そこをなんとか!お願いだよぉ…。」
「うぐっ…うー。で、でも、ダメ!」
そう言って立ち去る雷。
しかし、それだけで諦める私ではないのだ。
そう…私は意外と頑固者だからね!!
秘書艦の時も。
「雷ー。お願い!」
食事の時も。
「ね?ね?雷お願いだよー。」
寝る時も。
「雷…ダメ…?」
と何度もお願いをしていた私に雷は揺らいでいたが。
「いーちゃん!雷ちゃんを困らせたらダメなのです!」
「樹ちゃん…ちょっとお部屋でお話しましょうか。」
「いやあぁぁぁぁ!!」
ついに雷にお願いしていたのが二人にバレてしまったのだ。
お母さんに引き摺られて部屋に連れ込まれた私は正座で二人によるお説教二時間とおしりペンペンを三十回されてから解放された。
「うぅ…まだ、お尻がひりひりするよぉ。」
「自業自得ね。」
「あ、雷。」
「ほら。歩ける?」
「うん。えへへ…ありがとう。」
部屋から解放された私を待っていたのか雷が私に寄り添ってくれる。
そのまま私の部屋まで付き添ってくれた。
「ねぇ。いーちゃんは何でそんなに海を走りたいの?」
「ん?理由を言わないとダメ?」
「無理には聞かないわ。ただ、気になったの。」
「いいよ。ちゃんと話すよ。」
部屋のベッドに座らせてもらい。
雷も隣に腰掛ける。
「えっとね…私は艦娘じゃないから何時も指示を出すだけでしょ?まあ、それが私の出来る事だけどね。」
「そうね。司令官だものね。」
「それ自体には不満はないの。ただね…。」
「ただ…なに?」
「此処を襲撃されない限り、私では無くて雷や電…お母さん達艦娘が砲撃を浴びて傷付いて…時には命を無くしてる。私はね…それが嫌なの…。そんなこと言っても私には力がないから出ても足手まといにしかならないけど…それでも皆が見てる風景を目に焼き付けたいの。少しでも貴女達の隣に立ちたい。だから、一度でいいから皆が見てる風景を見たいの。」
「なるほど、ね。」
「あはは…自己満足でしかないんだけどね。」
「本当にそうね。でも…その気持ちは嬉しいわ。」
雷は立ち上がり私の前に立つ。
そして私の頭を撫でて決意したように頷く。
「いいわ。私がいーちゃんのお願い聞いてあげる。」
「本当に!?」
「ええ。でも、二人には内緒よ?」
「うん!ありがとう雷!」
私達は他の皆にはバレないように計画を進めた。
実行はお母さんと電が遠征に行かないといけない三日後だった。
――――――――――
時刻は消灯から一時間たったフタサンマルマル。
雷を秘書艦にしており、執務室に集まる。
「いよいよだね。」
「そうね。準備はいい?」
「もちろん!」
音をたてないように執務室を出て足音を殺して廊下を歩く。
消灯したら原則部屋から出てはいけないため廊下には誰もいない。
一応見回り番はいるがルートなどは頭に入っている。
「じゃあ、行くわよ。」
「うん。」
小声で話して工厰に向かう。
一番の問題点は出撃の際に大掛かりな装置が作動するのだが、抜かりはない。
消灯ギリギリに明石に雷の擬装の整備を頼み保管場所から取り出しており、整備は明日に回して貰ったのだ。
見回りルートを避けながら迂回を数回繰り返し工厰に辿り着く。
「私の擬装は…あった!」
「!?雷!隠れて!」
「きゃっ!?」
雷に抱き付くように工厰の物陰に隠れる。
「あれ?誰か居ると思ったんだけどなー。」
「姉さん。どうかしたの?」
「ああ…多分気のせいみたいだ。」
「二人ともー。先に行っちゃうよー?」
声からして川内型三姉妹だろう。
川内が夜型なため妹二人を引き連れて見回り番をよく勤めるのだ。
しかし、三姉妹は工厰から離れていく。
私達はホッと息を吐いて誰も居ないか細心の注意を払いながら工厰を出た。
「さて、準備はいいかしら?」
「うん。じゃあ、失礼するね?」
私達は鎮守府から少し離れた所の砂浜に赴き、雷は擬装を装着して海の上に立ち私が雷の背におぶさる。
「行くわよ!」
「樹!抜錨します!」
「ノリノリね。」
「一回言ってみたかったんだ!」
雷が走り出して夜の潮風が私の顔を撫でて気持ちいい。
そして、段々速度が早くなって涼しい潮風に反して雷の高い体温が心地よくて少し強く抱き締めてしまう。
「ん?どうしたの?」
「んーん。何でもないよ。」
「そう。いーちゃん。上見てみて。」
「え?わー♪」
雷の声に空を見上げると灯りがない夜の海の上には満点の星空が広がり通常では見えないくらいの小さな星も見えて幻想的だった。
「綺麗…。」
「すごいでしょ?」
「うん…ずっと見てたくなる位綺麗。」
「この景色は私達艦娘の小さな特権見たいなものね。」
それから私達は何を言うわけでも無く、夜の海を走りながら星空見上げて互いのぬくもりを感じながら時間を忘れてそうしていた。
そして、夜の空が日が差し始めて夜明けがくる。
「そろそろ夜明けね。」
「そうだね。」
「帰ろっか。」
「うん。」
雷が旋回をして鎮守府に向かう。
ドォンッ!
「え?」
バシャァァン!
「キャアア!」
私達の直ぐ右に水柱が上がり、吹き飛ばされて海に落ちる。
「いーちゃん!!」
ドオォン!
ガァン!
「ぐうぅ!」
樹に気を取られた雷は砲撃の直撃を受けて中破してしまう。
「ぷはぁ!い、雷ぃ!!」
「はぁ、はぁ…いーちゃん…。」
海上に浮かんだ私の目に入ったのはボロボロになった雷だった。
雷はなにも言わずに近くにあった浮かんでた木を私近くに投げて私から離れるように走り出す。
「雷!雷ィィ!!!」
ドオォン!
遠くに見える深海悽艦から赤い煌めきが光る。
私の少し離れた所に水柱が上がり、まだ完全に明るくなってない空を赤く照らして一際大きい爆発音と水柱が上がる。
私は声もあげれなかった。
しっかりと見たわけでは無いが雷は沈んでしまったのだろうと理解してしまう。
しかし、理解は出来ても納得なんて出来るはずもない。
ましてや自分の我が儘でこんな目にあい、私が居たせいで逃げれずに囮になったのだから納得なんて出来ない。
それから私は泣きも叫びもせずに雷に渡された木にしがみつき海を漂っていた。
そして、四日間そのままで四日目の夕方に電が率いる捜索隊に発見された。
――――――――――
「ん………ここは…私の、部屋?」
私が目を覚まして体を起こして辺りを見渡して私室だと分かり、ベッドから降りる。
窓から見えるに時刻は夜みたいだ。
「雷…。」
窓から空を見える様に設置したソファーに座って星空を見ながら私が殺してしまったと言っても違わない彼女の名前を口にする。
思い浮かぶのは彼女の明るい笑顔ばかりでその一つ一つが鮮明でそれに比例するように私の視界は滲んでぶれる。
そして、私の視界をぶれされていた涙は目から離れて頬を伝って顎から滴り服に落ちる。
誰かが着替えさせてくれた寝間着に落ちた涙は染みになり、一つ二つと何ヶ所も出来る。
ガチャ。
不意に私室の扉が開く。
そっちに目を向けてはいないが誰かわかった。
「……電…。」
「いーちゃん…。」
入って来たのは電だった。
電は中には入らず扉の前で立ち尽くしている。
「ここ…来て。」
「…はいなのです。」
私がソファーの隣を手で叩いて電を招く。
電は中に入って扉を閉めて私の隣に腰かける。
少しだけ間が空いた空間があるのが寂しくて悲しい。
二人とも何も喋らずに時間だけが過ぎていく。
―続く。
読んでいただきありがとうございました!
今回の話で雷が轟沈させてすみませんでした…。
今回の話はこの小説を書き始める前から考えてましたので、やっと書けて嬉しいです。
さて、前回に書きました理由なんですが。
雷とレ級のコラがありましてそちらをネタに書きたいなーって思いまして。
ぶっちゃけますと、それが書きたくてそこから逆算してストーリーを考えた所も多々ありますね(笑)
感想などあると嬉しいです!
では、また次回お会いしましょー♪