長らくお待たせしました。
月1か2くらいの亀更新ですがこちらの作品も更新していきます。
俺、鑑 純次には年の離れた兄がいる。
兄は昔とある出来事で有名になった。
一部では強烈なファンができたほどだ。
兄の功績を知るものは未だに彼を自分達の陣営に引き込もうと手を尽くしている。
もっとも兄はちっとも興味がないと全て断っていた……。
そんな兄は長い間自宅に籠りゲームや漫画などのいわゆるオタク路線を爆走し、とあるネットゲームでは《神速の赤騎士》『ザ・ファースト』、ネット内の将棋ゲームでは《電竜王》といういくつもの二つ名を得ている。
僕みたいな《凡人》からすると《天才》である兄が引き籠り(NEET)になっているのはもったいなく感じていたし、同時に《なんでもできる兄》もちょっとした事で引き籠る人間だったという事実に《安堵》していた。
兄のあの言葉を聞くまでは。
兄が科学界の誘いを蹴って引き籠ってた理由。
それは…。
『だって俺、科学とか物理に全く興味ないんで』
こんなことを平然と言う兄だがその論文は《ネ●チャー》や《サイ●ンス》に掲載されている。
普通じゃない。
まったくもって『普通』じゃない。
兄いわく『
自宅の警備員って仕事じゃねぇよ!!
と思わず突っ込んだ俺は間違ってないはずだ。
《つい最近まで》というのはあの兄がマトモな職(?)につけたからだ。
そう、よりによって《普通じゃない》東京武偵高の教員として。
昼休みとある高校の屋上。
どこの学校でも鳴るチャイムを聞きながら鑑 純一郎は床に座り込み溜息を吐いていた。
「ふー。
何とか午前中は終了……と」
久々の重労働(純一郎視点)で疲れきっていた。
「どーなるかと思ったけど意外となんとかなるもんだな」
手に弁当箱を持ち午後からの労働計画を考える。
「テキト―に理由つけてこのままずっとゲームしてよっかなー」
手に取った弁当箱の蓋を取るとそこには可愛い可愛い(怖い怖い)妹様がバットを握る絵が描かれていた。
いわゆるキャラ弁というやつだ。
「ぶっー」
その絵を見た瞬間純一郎は盛大に噴き出した。
妹がデフォルトされているキャラ弁はこう語っている。
『サボったら、素振りす・る・わ・よ?』―――と。
部屋に置かれているコレクションの危機である。
「ぎゃあああああ!!」
思わず大声で彼は叫んでしまった。
「先…生?」
怯えた声がしたので振り返るとそこには。
「おう顔面パンチ、お前もここで弁当か?」
純一郎を殴った顔面パンチこと叶 美奈子に純一郎は声をかける。
「がっ…変なあだ名つけないでください。
私はヨソで食べます」
そういい立ち去ろうとする美奈子。
純一郎はそんな彼女の背に向かってある《確認》をとる。
「あ、そうそう……」
横を向いて全く興味無さそうな態勢でおかずを摘む。
「お前何でいじめられてんだ?」
「はあ~。
まったく、兄さんはどこに消えたんだ?」
昼休み。
俺、鑑 純次は飯を食おうと教室で弁当箱を開けた。
「まあ、いいや。
探すとろくでもないToLoveるに巻き込まれそうだし放っておこう」
開けて、すぐ閉じた。
そこには《到底逆らえない人》からメッセージが描かれていた。
キャラ弁で。
右手に釘バット、左手に包丁。
こんな絵を料理で表現できるとかある意味凄い才能だな。
「死亡フラグ満載な学校の教室で死亡予告描かれてる弁当箱開けるとか、なにこの俺の青春時代!?」
《凡人》な俺にはこの生活は耐えられそうにない。
「はあ~不幸だ~」
だが探さないと確実に殺られる。
《我が家の最恐》に…。
屋上では純一郎が顔面パンチに質問していた。
「直接やってんのは、鬼頭ミホ達三人組。
でも他の連中もお前と関わらないように距離をとってるよな」
背後の純一郎に振り返らないまま沈黙を通す顔面パンチ。
「俺のこと殴ったのに何であいつらには反撃しないんだ?
変な奴だなお前」
星型のニンジンを口に入れて咀嚼する純一郎。
顔面パンチは純一郎の方にようやく振り向いた。
「……あなたに言われたくないです」
「皆言ってますよ。
先生は昔は凄かったのに、何で研究者とかになったり武偵活動しなかったんだろうって」
「何も変じゃねえよ。
俺はただ『面白いもん』が見たかっただけだからさ。
どこでもドアを作ったのも同じような理由だし」
「ど…どこでもドア!?」
あまりに突出している理由に驚愕する顔面パンチ。
「必要なのは特殊な装置(3次元空間を4次元に折りたたむ4次元フィールド装置に、空間歪曲ワープ連鎖ユニット)と10光年もの移動を持たせつつ、お手頃な値段設定(一台64万円)を実現せなきゃならん」
「な…何でそんなの作ろうと思ったんですか?」
顔面パンチがそう質問すると純一郎は。
「へ?
何でってそりゃあお前……」
純一郎は爆弾を投下した。
「俺が欲しいからに決まってんだろ」