YDな教師とYDな武偵   作:トナカイさん

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4限目 天使と悪魔?

「え……?

声優になるんじゃ……」

 

ヒーロー?

声優に関係あるのか?

 

「……本当は武偵を続けたいけど、私にはもうその資格はないから。だから声優になるんですよ」

 

資格がない?

 

「それはど「なーんちゃって」⁉︎」

 

「声優だったら女の私でもヒーローになれるでしょっ」

 

べーっ、と舌を突き出して笑う顔面パンチ。

彼女はそのまま、何も告げずに屋上の(ドア)を開けて校舎の中に入って行く。

俺はその背中を見ながら思わず呟やいてしまった。

 

「ヒーロー志願の……女子高生?」

 

あいつ(顔面パンチ)……おもしろいな……‼︎)

 

俺は彼女(顔面パンチ)に興味が湧き。彼女の情報を得る為に行動することにした。

 

情報科(インフォルマ)で調べてみるか。あいつ(顔面パンチ)のあの顔。

凄い気になる)

 

さっき顔面パンチがした表情。

それは。

悲しみや後悔。

 

(本当はあまり深く関わりたくないけど、メンドクセーし。

でも……)

 

ほっとけない。

何故だかほっとけない。

顔面を殴られても構いたくなる。

別にドMとかじゃないけど。

ほっとけない。

それに。

 

あいつ(顔面パンチ)はもっとおもしろくなる!)

 

なんとなくそう感じた。

今よりおもしろくなる顔面パンチ。

それを見たい!

 

あいつ(顔面パンチ)がおもしろくなる瞬間を見たい!

あいつ(顔面パンチ)をおもしろくさせたい。

 

それが今の俺(YD)の『やりたいこと』だ!

上手くいけば、それを(コソッリ)動画で撮って流せば。

ブログランキング1位になれるかもしれないしな!

よーし、神動画撮るぞー。

 

 

俺は浮かれていた。

だから、この時。

 

俺と顔面パンチの様子を盗み見している奴がいることも。

そんな奴(盗撮犯)を利用しようとしている奴らがいることも。

俺は気付かなかった。

だから顔面パンチの身に迫る危険を察することはできなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

サイド。純次。

 

「どこに行ったんだよ、兄さん」

 

兄を探して三千里……も歩いてないけど。

いい加減見つけないと、ヤバイ。

もう始鐘はなってるし、転校初日から悪目立ちはしたくない。

だけど、兄さんを放っておくと。トラブルを引き寄せる。

思えば昔は大変だった。

研究所から脱走するのを手伝ったらティムさんに追い回されたり、姉さんの目を誤魔化す為に声帯模写取得させられたり、秋葉の限定フィギュア買うのに徹夜で並んだり。

まあ、後半は俺の趣味もあったからいいけど。

兄さんはかなりのトラブルメイカーだからな。

今頃、また何かトラブルを起こしてるんじゃないか……ん?

とっくにチャイム鳴ってるのに、廊下をゆっくり歩いてる女生徒がいる。

普段ならたいして気にならなかった。

学校の生徒なら廊下ですれ違うなんて当たり前だから。

だけど……その女生徒の格好は普通ではなかった。

着ている服はいい。

武偵高の防弾セーラ服だから。

髪を大きなリボンでツインテールに束ねているのも解る。

手に木刀を持っていること。

武装する探偵、武偵を育成する教育機関だからそこもまだ理解できる。

銃や刀剣類を所持していないと校則違反になるトチ狂っている学校だから。

問題なのは。

左腕に付けている腕章。

そこに書かれている風紀委員兼生徒会副会長の文字。

それが問題だ。

こんなところに風紀委員や副会長がいるってことは。

また(・・)兄さんが何かしたんだろうか。

 

「あ、あのー」

 

気になったから声をかけてみるか。

そんな軽い感じで声をかけたが。

 

「ん? 授業はとっくに始まってるわよ。貴方名前とクラス、学科を言いなさい!」

 

「え? 鑑純次。一年A組。情報科(インフォルマ)です」

 

「……鑑? ああ、今日から来るっていう転入生と教師ね。

初日からサボるなんていい度胸してるわね」

 

「あ、その、スミマセン」

 

「謝罪はいいわ。

武偵憲章第5条。行動に疾くあれ。先手必勝を旨とすべし。

武偵は時間厳守が基本よ」

 

うわー。なんかガチガチな規則を守る人に見つかったみたいだな。

これ上手く逃げないと、下手したら教務課とかに連れて行かれそうだなー。

「す、スミマセン。道に迷って……「ああん?」ひぃ……」

 

「道に……迷った、ですって?」

 

こ、怖えー。

今磐石が見えたんだけど。

 

「武偵たるもの、校内の見取り図くらい頭に叩きこんどきなさい。

武偵失格です‼︎」

 

「す、スミマセン……」

 

うぅ、誰か助けて。

 

そんな俺の心の叫び声が聞こえたのか。

 

「どうしたの?」

 

俺の背後から声がかけられて。

振り返ると、そこには優しい笑みを浮かべた。

黒髪の大和撫子。

天使のような微笑みを浮かべた女生徒が立っていた。

 

「どうしたの、マキナちゃん?」

 

「ほ、星伽会長……」

 

「会長……この人が?」

 

驚きの声が副会長の少女から出た。

まさに対称的な二人。

悪魔のような副会長。

天使のような生徒会長。

 

二人の美少女との邂逅を得た俺はこの瞬間から、『この学校の生徒』になった。

 

 

 

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