なお、相変わらずの不定期投稿の模様。
温暖な気候と豊かな資源に恵まれた緑の惑星、エルピス。
この星には3つの大陸があり、それぞれで独自の文明が栄えていた。
3つの大陸にはいずれにも正式な名称があったのだが、別の呼び方の方が広まり、正式な名称を知る者は少なくなった。3つの大陸の俗称をそれぞれ「ガンダム大陸」「ライダー大陸」「ウルトラ大陸」という。
ガンダム大陸ではモビルスーツをはじめとするロボット工学が発達し、ライダー大陸では遺伝子工学やサイボーグ技術が発達し、ウルトラ大陸ではウルトラ族と呼ばれる特殊な超能力者が育っていた。
共通歴99年、頻発するテロへの対策としてエゥーゴ共和国、ライダー連邦、光の国の3国は共同で対テロ特別組織であるZEUSを設立した。
それと時をほぼ同じくして世界同時多発的にテロが発生し、各都市を結ぶ主要インフラは断絶され、多くの都市部が孤立する事態に陥る。
これに際し、ZEUSはすぐさま出動を決定し、エゥーゴ共和国の主要都市であるダカール市の解放を謳うテロリストの鎮圧に向かった。
こうして始まったテロとZEUSの長きにわたる闘いは、ガンダム大陸最大の軍事力を持つアクシズの軍事クーデター、それによって誕生したネオ・アクシズのアポロン総統との最後の決戦を経て一先ずの終焉を迎えた。
こうして世界は平和な日々を取り戻すことができたのだが、その平和はとても短いものとなってしまうとは、この時は誰もが思っていなかった。
アポロン総統がZEUSによって倒され、ネオ・アクシズが崩壊し、一連のテロとの戦いが終わった日からちょうど1年が経とうとしていたその日、世界各地では戦いの終焉を祝し、犠牲者の追悼を目的とした行事が行われていた。
ダカール市も例外ではなく、市主宰の追悼式典が市の東に位置する公園でしめやかに行われていた。
参列者の多くは先の世界同時多発テロの犠牲者遺族であり、この追悼式典自体も一般市民と退役軍人の呼び掛けで開かれたものである。
追悼式典は午前10時過ぎ、テロ発生と同時刻に始まった。式は滞りなく進行し、厳粛な空気が辺りには流れていた。
そして、テロによって父を亡くした少女が平和への願いを読み上げているとき、それは突然現れた。
時刻は午前11時15分、最初に気づいたのは会場の警備に駆り出されていた若い警察官である。
目の前に霞がかかったかのように揺れ、視界がボヤけるのを感じた彼は目頭を揉んで頭を振った。そうして再び前方を注視した彼の目に飛び込んできたのは、巨大な門であった。
警察官です呆気に取られ門を眺めていると、門の扉がゆっくりと開いていく。
その向こうから現れたモノに、警察官は今度こそ開いた口が塞がらなくなった。
それは軍隊である。だがそれは、観閲式などで見るようなエゥーゴ軍の近代的な軍隊ではなく、歴史ドラマで見るような槍と鎧で武装した中世の重装歩兵であった。よく見れば弓兵や馬に股がった騎兵もいる。
まるで映画の撮影みたいだ、と思う警察官の胸に強い衝撃が走る。警察官が下に視線を向けると、左胸に矢が刺さっており、制服のシャツがじんわりと血で染まっていく。
「なんだよ、これ…」
その言葉を最後に警察官は前のめりに倒れ、中世風の軍団から歓声にも似た雄叫びが上がる。それは、地獄の開演を知らせる合図であった。
軍団は式典会場を襲撃し、死体の山を築き上げた。
ある者は槍で胸を貫かれ、ある者は剣で首を断たれ、ある者は騎兵に踏み潰され、ある者は脳天に矢が突き刺さり、ある者はドラゴンに似た有翼爬虫類型生物に喰われ…
遺族も、警備の警察も、市の職員も、招待客も、マスコミも、議員も、男も、女も、子供も、老人も、区別なく皆等しく虐殺の対象となった。
後の調査で、この最初の襲撃により犠牲になった市民は1千人にのぼったとされる。
もはや、大規模テロといっても過言ではない状況に現場は混乱し、救助を求める電話で市の回線はパンク寸前であった。
この緊急事態に政府の対応は早かった。幾多ものテロの脅威を経験が生きたのだ。政府は知らせを受けてすぐに非常事態宣言を発令し近隣住民に避難を呼び掛けるともに、軍に鎮圧部隊と救助隊の編成を要請した。
それと平行し武装集団の情報を収集した結果、武装集団はそのほとんどが剣や槍といった前時代的な武器で武装しており、モビルスーツや重火器といったエルピスにおける主力兵器は所持していないことが判明する。
また、人間よりも遥かに巨大な体躯を持つ人型生物も確認されたが、全体から見ればその数は非常に少なく問題ないと判断された。
唯一の懸念はドラゴンに似た、火を吹く有翼爬虫類型生物を操り空から攻撃を仕掛けてくる飛行戦力の存在だったが、これには空中戦に特化したMS特殊部隊が対処することとなった。
そして、最初の襲撃から3時間後、エゥーゴ軍による反攻作戦が開始された。
エゥーゴ軍の主力戦力はネオ・アクシズとの戦いを経験した歴戦の兵士達であり、いずれもがモビルスーツや重火器の近代兵器を装備しており、その威力は絶大であった。
エゥーゴ軍の火器は武装集団の鎧を容易に粉砕した。
つい先程まで虐殺者であった者達が、今度は屠殺場の豚よりも簡単に命を奪われていく。
武装集団も反撃を試みるも、彼らの多くは剣や槍を振り上げる前に蜂の巣にされるか、爆風によって四肢を引き裂かれた。
中には遠距離から弓矢で狙う者もいたが、モビルスーツの装甲の前にはかすり傷一つ付けるに至らない。
一部で懸念されていた人型巨体生物も、ビームライフルの集中砲火により討伐された。
こうして、エゥーゴ軍の反攻作戦は武装集団が死傷者と捕虜を合わせて6万人に対し、エゥーゴ軍側は死傷者無しという結果に終わった。
この反攻作戦によって、エゥーゴ軍は武装集団により一時的に占領されていた公園周辺を奪還し、武装集団を門の向こう側に撤退させることに成功した。
エゥーゴ共和国政府はすぐさま捕虜の尋問を開始するも、捕虜が喋る言語はエルピスに存在していない、全く未知の言語あった。
意思の疎通にエゥーゴ政府が頭を悩ませる中、手を差し出したのは光の国だった。
光の国はウルトラ族の中でもテレパシー能力に長ける人員をエゥーゴに派遣し、尋問に協力する事を申し出た。
光の国はダカール市民が受けた被害に心を痛め、当初から救護部隊である銀十字軍を派遣するなど協力的であったが、捕虜の証言は被害者救済に役立つと判断した上での申し出であった。
完全な善意による申し出をエゥーゴ政府は喜んで受けとると、捕虜の尋問は劇的に進んでいった。
それによって、武装集団は門の向こう側に存在する「帝国」と呼ばれる国の侵攻軍であり、門のこちら側にある国を侵略する目的で侵攻してきた事が判明する。
エゥーゴ政府は閣僚会議の結果、国交が結ばれていない以上、門の向こうの帝国を国家として認めるわけにはいかず、武装したテロリストと見る他無い。
国交を結ぶ場合でも、相手を交渉のテーブルに無理矢理にでも座らせ、ダカール市と市民が受けた被害を賠償させ、首謀者を処罰させなければ到底国民が納得しない。
よって、エゥーゴ共和国は門の向こうに軍を派遣し、現地を調査すると共に、帝国にエゥーゴ共和国の意思を示して交渉を以て要求を飲ませる必要がある、と声明を発し、エゥーゴ軍の門内部、通称「特地」への派遣を決定した。
この声明に主要国であるライダー連邦は賛成の意思を示しエゥーゴに対して物資支援を申し出、光の国も国の方針上消極的賛成にとどまるも人的支援は必要に応じ行うことをエゥーゴ政府に申し出た。
共通歴102年10月 エゥーゴ軍特地派遣隊第一陣がダカール市より出動。彼らは惑星エルピスの人間として歴史上初めて異世界に足跡を残す。
こうして世界は短い平和を経て、新たなる激動の時代を迎えようとしていた。
そして、この物語は二つの世界の邂逅により、人生の分岐点を迎えるに至った特地、そしてエルピスの人々が如何なる決断を下し、どう振る舞ったかを3人のヒーローを通して記したものである。
しからば、まずは3人のヒーローが初めて特地の土を踏み締めたところから描かなければなるまい。
・ヒーロー戦記
1992年にバンプレストより発売されたSFCソフト。
所謂『コンパチヒーローシリーズ』と言われる複数の特撮やアニメのクロスオーバー作品だが、後年の作品との大きな違いとして各作品のヒーローキャラや機体の擬人化ではなく、変身前の人間やパイロットを操作キャラとしており、そうした意味では『スーパーロボット大戦シリーズ』に近い形の作品である。
そしてこの作品の最大の特徴の一つに、『原作崩壊』と言ってよいレベルの大胆なキャラの性格改編が行われている点がある。
当時の製作スタッフ曰く、タイトな製作日程に伴い物語を作り易くするために行われた、という事情があるそうで現代では同様な事はとても出来ないらしい。
なお、近年のスーパーロボット大戦では定番化している『シャアやハマーンが味方になってアムロ達と共闘』という展開は本作が初出である。