憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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聞いて、僕は朝から変な行動を起こしてしまったんだ。

落書きと称して、モノクマの絵を描いたまではよかったんだ。
その後、親に朝ご飯ということであんパンを貰った。
それをもぐもぐ食べながら、無意識に手を動かしていたんだろう…
モノクマの頭上にアンパンチをやろうとしているアンパンマンを描いていたんだっ!

いやいやいや、何やってんだ僕!?
他作品のキャラを描くにしても、ドラえもんorまる子にすればいいだろう!
なんでアンパンマンなんだよぉ!!

……って叫びながら布団から飛び起きました。

まさかの夢オチだったんだよ。
それにしても、叫びながら起きるとか恥ずか死ぬ。




限りなく地獄に近い天国①

ベッド上で目を覚ましたアタシがまず最初にやったのは、自分の今の状況を整理する事だった。

 

「………動けない」

 

ガッチリと身体を何かにホールドされている。

それから逃げ出そうとして動くと、余計に締め付けられた。

苦しいぃぃ。

 

「むにゃ…夢野さ~ん……」

 

訂正。

アタシをホールドしているのは、何かではなく誰かで。

今の台詞で誰かなんて、嫌でも分かった。

 

「オレ様は夢野じゃないから離せ、茶柱…」

 

やっとの思いで、アタシは茶柱の方に身体をクルリと回って真っ正面から言ってみるも、茶柱は夢の中。

揺さぶったり、声をかけてみたが全く起きる気配がしない。

 

こうなったら、アレだ。

最終手段だ。

茶柱の枕元にあった時計から時間を確認してみると、明け方と言ってもいい時間。

ならばと思い、アタシは思いっきり息を吸い込むと…茶柱の耳元で力一杯叫んだ。

 

「茶柱らぁぁぁぁぁ!オレ様を離せええぇぇぇぇぇ!!」

 

でも、それはどうやら間違った選択だったようで…

 

「きぃえええぇぇぇぇ!!!!」

 

目が覚めたばかりの茶柱に、投げ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

「本当に、すみませんでしたっ!」

 

投げ飛ばされた際に痛めた腰をさすっていると、我に返った茶柱がオロオロしながら謝罪をしてきた。

落ち着かせるためにも「大丈夫だから…」と言ってみたけれど、めっちゃ痛い。

部屋に置いてある家具に当たらなかっただけマシなんだけれど、痛いのは痛い。

 

「すみません。入間さんを転子の部屋で休ませた事を忘れて…男死が勝手に部屋に入ったのかと思って」

 

……どんな勘違いなんだよ。

というか、なんでアタシは茶柱の部屋で寝てた?

茶柱の部屋に行った記憶なんてないんだけど?

 

「なぁ…茶柱。それよりも、なんでオレ様はここに?」

 

茶柱の部屋を見渡しながら、アタシはそう言って頭を抱えた。

そんなアタシに、茶柱は「覚えてないんですか?」と恐る恐る聞いてきた。

これっぽっちも覚えてません。

何かあった?

 

「ほら、入間さん…昨日、天海さんと一緒に転子達の皆殺しを止める為に交渉してたじゃないですか」

 

…うん。そこまでは覚えてる。

問題はその後なんだけど。

 

「その後、図書室で寝てしまったんですよ?で、その場にいた転子か赤松さんの部屋で寝かせてあげようって話しになりまして…」

 

「なるほどな…」

 

それ以降の記憶がない事もハッキリし、アタシはポンッと手を鳴らした。

徹夜とかで疲れてたとはいえ、なんたる失態。

人前でいきなり寝るなんて…

 

「はい。最原さんと赤松さんは『無理をさせた』と心配していまし、百田さんや天海さんも『今は寝かせてあげよう』との事でしたので…起こさないように気をつけながら、転子が部屋に運びました!」

 

ドヤァ…と効果音が付きそうな程のどや顔をする茶柱に、アタシは苦笑しながらも「ありがとな」とお礼を言った。

…ホールドされたり投げ飛ばされた事は、無理矢理記憶からなかった事にする。

 

「い、いえ…転子は当たり前の事をしただけで…」

 

照れたように顔を赤くする茶柱を可愛いなんて思いながら、アタシはもう一度お礼を言って寄宿舎から出て行った。

 

 

 

 

×××××

 

 

 

朝8時を知らせるアナウンスが鳴った後、アタシは一階の女子トイレから回収した発明品を持って食堂に来ていた。

もう何人か既に集まっており、簡単に朝の挨拶をしながらアタシは席についた。

 

「あれ?入間さんの持っているソレって何?地味に気になるなぁ…」

 

アタシの持っていた発明品に気づいた白銀が、興味津々とばかりに覗き込む。

「これはなぁ…」とアタシが口を開くと、隣からガタッと音がした。

 

「入間よ…これはもしや、お主が昨日言ってたやつか?」

 

アタシの隣の椅子に腰掛けていた夢野が、身を乗り出してくる。

覚えてくれていた事が嬉しくて、思わず「その通りだぜ!」なんてアタシは笑ってみせた。

 

「昨日テストとして女子トイレで起動させたコイツの性能を、朝確かめたんだよ。ちゃんと掃除・消臭ができてるかな…」

 

「で、どうだったんじゃ?」

 

「性能自体は成功だな。ただ…一度しか使えないってのと、1日中部屋に入れないってのを改善しねーとな」

 

アタシがそう言うと「そうか…」と夢野は身を引っ込めたが、今度は逆に話しを聞いていた白銀が身を乗り出してきた。

 

「えっ…もしかして、昨日トイレの中に入れなかったのって、入間さんの発明品のせいだったの?わたし、トイレ使おうとしてたのに開かなかったから、地味に困ってたんだけど…」

 

そりゃ、使えなくするのが目的だったんだから…なんて素直にい言う訳にもいかず、アタシは「えっ!?」と驚くフリをするしかなかった。

 

「だって、誰もあそこのトイレ使うの見たことなかったしよぉ…それに、発明品を試す条件に合う場所でもあったから…。だから、ごめん…怒らないでぇ…」

 

偶然が不運にも重なっただけだと思わせる為にも、アタシは半泣きになりながら白銀に謝った。

…自分の事ながら、よくこんな適当な事言えたなアタシ。

全部がデタラメって訳じゃないからこそ、信憑性のある言い訳になったと思う。

 

「怒ってないから、別にいいよ。もう過ぎた事なんだし…」

 

口ではそう言いながらも、明らかに怒ってる白銀からアタシが目を逸らすと、そのタイミングで「みんな、おはよう」と言いながら赤松が最原を連れて食堂に入ってきた。

…いや、違った。

最原の帽子を被った赤松と、「あ、赤松さん!返して!」と慌てる最原だった。

 

もう、お前ら一生やってろ。

 

心の中でそう思いながら、カメラ持ってくるんだったとアタシは後悔した。

 

 

 

 

 

 

「文字…ですか?」

 

朝食を食べ終えると、中庭で変な文字を見つけたと言い出したゴン太の言葉に、キーボが真っ先に首を傾げた。

 

「うん。ゴン太が今朝見つけたんだけど…中庭の草むらの中に隠れたコンクリートの地面に『いは うま』って文字が書いてあったんだ」

 

改めて文字について説明をしたゴン太に、みんなが何のことだろうと首を傾げる。

 

「んー…最原君、何かわかる?」

 

「いや…僕にも、ちょっとわからないよ」

 

「そっか…」

 

探偵の最原でもわからないということに、赤松は更に「うーん…」と唸る。

そんな中、「でもでもー」とアンジーが声を上げた。

 

「草むらに隠れた地面の落書きなんて、よく見つけられたなー?ゴン太、神っちゃってるー?」

 

にゃははーと笑うアンジーに、ゴン太は頭の後ろを掻きながら「小さな虫さんのお陰なんだ」と答えた。

 

「虫っすか?」

 

天海が確認するように聞き返すと、それに続くように東条が「この学園には、いないんじゃなかったの?」と疑問を口にした。

 

「ゴン太もそう思っていたんだけれど…中庭を散歩している時に、小さな虫さんを見た気がしたんだ。ただ…視力6,0のゴン太でもほとんど見えないくらいの小ささで…」

 

「で、その虫さんを追いかけてる最中に、そのメッセージを見つけたってわけだね。いやー、ゴン太は大活躍だね!さすがオレが最初から頼りにしていただけあるよ!」

 

嘘か本当か分からない王馬の言葉の数々に、ゴン太が「えっ、ホントに?」と聞き返す。

 

「…ホントだよ。だから、オレの手下になってよ」

 

「わかった!なるよ!」

 

すぐに返事したゴン太に、赤松が「なるの!?」なんて驚く。

いや…アタシもこれには吃驚だ。うん。

 

「ゴン太、気をつけろよ。そいつは平気で嘘をつきやがるぞ」

 

アタシが知らない間に王馬の嘘の被害を受けてたのか、百田がワナワナと体を震わせながらゴン太に言い聞かせる。

 

「えっ?そうなの?」

 

「あはは、そんな訳ないじゃん」

 

そう言って笑ってみせる王馬に、アタシは思わず「もう、言ってんじゃねーか…」と小さな声で言う。

それでも、ちゃんと聞こえてた王馬がアタシの方を見たけれど、気づかないフリをしてアタシは欠伸をして無視を決め込んだ。

 

 

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