憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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ある朝起きたら廊下で寝てた……何があった!?

※寝ぼけてただけでした。


限りなく地獄に近い天国③

「私達の…記憶?」

 

「ほら、ちょっと前までオマエラも気にしてたでしょ?この学校に来た経緯を覚えてないのをさ…。その思い出しライトを使えば、それを思い出せるって寸法さ!」

 

モノクマの言った事が半信半疑なのか、最原が「このライトで?」と、どうするか考え込むかのように思い出しライトを眺める。

 

「やっぱ…さらわれた時の記憶がねーのは、テメーの仕業だったんだな?

 

「だけど、私達に何をしたの?どうやって記憶を奪ったの?」

 

百田と東条が詰め寄って問いかけるも、モノクマは「それも、思い出しライトを使えば、思い出せるかもねー」と質問には答えずに、体育館から出て行った。

残されたアタシ達は、アンジーの手にある思い出しライトを見つめる。

キーボが「それで…どうします?」とみんなの意見を聞いてみるもま迷っているのか誰も答えようとはしなかった。

そんな中で、星が「だったら…」と口を開いた。

 

「機械に詳しいヤツに聞いてみたらどうだ?そこに超高校級の発明家がいるじゃねーか」

 

そこで、みんなしてその手があったかとばかりにアタシを見た。

あっ、アタシに決定権委ねられてるんですね、はい。

 

「どうなんすか?入間さん」

 

みんなの視線を一気に浴びながら、アタシは頭の中で幾つか選択肢を考える。

 

①使ってみよう。

②怪しい、罠だ!

③それは、記憶植え付け機械だ!

 

…③は、たぶんダメだろうな。

見ただけでなんでわかるんだって言われそう。

となると、①か②だけど……うん、②の方がいいかもしれない。

 

「あのモノクマの事だからな…何か目的があってオレ様達にコイツを使わせようとしてるかもしれねーな。見ためだけじゃ性能なんかわからないし、解体してもいいってんなら…オレ様が詳しく調べてやる」

 

アタシが罠の可能性を出すと、余計にどうしようか…という空気が強くなる。

あと、一人だけ『余計な事を…』みたいなオーラ出すの止めて。

アタシが泣きそうだから。

 

みんながアタシの考えに乗ってくれるのをドキドキしながら待っていると、「おーし、決まりだ!いっちょ使ってみるか!」って百田が大声を出した。

 

オイコラ、なんでそっちに決まった。

今の!流れの!何で!そっちに決まった!?

 

「な…オレ様の話しを聞いてたのか!?」

 

「あぁ、ちゃんと聞いてたさ…。オメーらはビビり過ぎなんだよ。いいか!逃げてばっかじゃ勝てねーぞ。どんな時も、本気で勝ちてーなら、ちょっとくらいの無謀は覚悟しねーとな」

 

いや…その、勝つ為にアタシは解体して調べるって提案を出したんだけど。

つ、使わせてたまるかっ!

 

「でもよ…」

 

「勝つ為には、まず立ち向かわねーと話しにならねーだろ!」

 

コイツ、アタシに反論させない気か!?

反論する隙もくれないの!?

メチャクチャにも程がある…。

 

「まぁ、それでも逃げてーなら勝手に出てけ。オレは止めも責めもしねーからよ」

 

それ、結局使うって事じゃん!?

そんなの、絶対にダメに決まって…

 

「残るに決まってます!だって男死にあそこまで言われて逃げるなんて、ムカつくじゃないですか!」

 

「ボクも百田クンの意見に賛成です。立ち向かわない限りは100%勝てませんからね」

 

 

えっ……マジで?

本気なの?ねぇ?

 

 

アタシ以外が『使う』と言い出す。

これ、ここでアタシが使わないって言った所で、多数決的にも不利じゃない?

 

「入間も、それでいいよな?」

 

「うぅっ…」

 

もう、承諾する以外認めないみたいな空気じゃん…。

はい負けました。アタシの負けです。

でも、せめて…

 

「使い終わったら、ソレをオレ様によこせよ…」

 

「それぐらい構わねーさ!んじゃ、全員決まったな」

 

正直に言う。

メッチャ不安。

記憶を植え付けられると知っている分、なんとか区別はできるとは思うけれど……あっ、逃げたい。

 

「ではではー…ポッチーン!」

 

そんな軽いノリで、アンジーが思い出しライトのスイッチを押した。

 

 

 

 

その瞬間、世界が歪んだ…なんて事は起きなくて。

頭の中で早送りのように映像が次々と流れては、消える……ただ、それだけだった。

そう。それだけ。

それを過去にあった出来事なんて感覚にはならず、ただTVのワンシーンを脳内でリピートさせるような感覚だった。

……あれ?

 

みんなはどうなんだろう…。

そう思って、アタシは周りを見渡した。

 

「思い出した…僕は超高校級狩りから逃げる為に、自ら記憶を…」

 

「えっ?最原君も超高校級狩りに追われていたの?」

 

「貴方達だけじゃないわ。私も…いえ、他のみんなも同じじゃないかしら?」

 

東条の言葉を肯定するかのように、みんな顔を青くしていた。

すみません、アタシだけ他と感覚が違う。

なんで?不具合か何かなのか?

それとも、憑依スペックか?

……うん。わからん。

 

「あの…誰か教えてくれませんか?そもそも、超高校級狩りってなんでしたっけ?」

 

そろそろ…と茶柱が手を上げると、「んな大事な事を忘れんなよ…」と言いながら、百田が言葉を繋げようとして…止まった。

 

「あ?どういうことだ?どうして思い出せねーんだ?」

 

「ウチもじゃ…靄がかかったみたいに、何も思い出せん」

 

そもそもアタシは、思い出す以前の問題に陥ってるんだけど。

変に発言しない方がいいよね?

 

「天海君は何か知ってるんじゃないかナ?前に、超高校級狩りという言葉に心当たりがないか聞いてたヨネ?」

 

「や…それが、俺にもわかんねーんすよ。ただ、あの時はその言葉が急に浮かんだだけだったんで…」

 

そんな話し、いつしたの?

全然知らない……あ、研究教室に籠もってる時か。たぶん。

 

「うぷぷ…無事に記憶を取り戻せたみたいだね」

 

そんな声が聞こえたと思ったら、体育館から出て行ったはずのモノクマがステージに立ってアタシ達を見下ろしていた。

 

「そんなわけないじゃん!肝心の事はサッパリだよ!」

 

「いやぁ…オマエラの封印された記憶って頑固だから…1度の思い出しライトでは全ての記憶を蘇らせる事はできなかったみたいだよ」

 

残念残念と呟くモノクマに、王馬が「ホントはわざとのクセに」と笑ってみせる。

ていうか、そもそも思い出したわけじゃなくて…もういいや。

 

「で、あんたは超高校級狩りとどう関係してるの?」

 

「…それは教えられないなぁ。ま、ボクの正体がどうあれ、ボクの目的はオマエラにコロシアイをして貰う事!それが、たった1つのボクの目的なのだーッ!」

 

そしてモノクマは、ステージに突如開いた穴に吸い込まれるように姿を消した。

今の、落とし穴?

さっき、あの穴使って出てきてたわけか?

 

「なにがコロシアイですか!絶対に起こりませんよ!」

 

「うん。その為にもみんなで協力しないとね!」

 

茶柱に同意するように、赤松がそう言ってみんなに呼びかける。

すると王馬が「あのさ…」と手を後ろに組んで呟いた。

 

「協力とか頑張ろうとか前向きな事ばかり言ってると…手痛いしっぺ返しを食らう事になるよ?」

 

王馬の顔に歪な笑みが浮かぶ。

怖い…何がとは言えないが、アタシは今だけ王馬を怖いと思った。

なんせ、言っている事が的を得ている…。

でもこれが、王馬なりにみんなを思っての忠告なんだ。

 

「あー、もういいっ!とりあえず、オレがこいつをぶん殴る!」

 

しかし、百田の逆鱗に触れた。

バキバキと指を鳴らす百田を見るや、「うわっ、殴られる!逃げないと!」と言いながら王馬は体育館を飛び出した。

 

「チッ…逃げ足のはえー野郎だ」

 

呆れたように呟きながら、百田もゆっくりと後を追うように歩き出す。

それにつられるように、他のみんなも出口へと向かって行き、気づけばアタシだけが体育館に残されていた。

そのまま、アンジーが置いて行った思い出しライトに手を伸ばして掴もうとすると、アタシよりも先に思い出しライトをモノクマが掴んだ。

 

急に出てくんなよ!?

 

「それじゃ、これはボクが預かっておくねー」

 

「ま、待て!それはオレ様が…!」

 

呼び止めるも虚しく、モノクマはアタシの手を逃れて再び現れた落とし穴に姿を消した。

…思い出しライト持っていかれたぁ!

アタシが調べてないようにってか!?

 

「…やられた」

 

肩を落としながら、アタシは自分の研究教室へと向かって歩き出した。

……あっ、天海との話し合いの事忘れてた。

まぁ、向こうも忘れてるだろうし、どこでするとかも時間も決めてないし別にいいか。

…テキトーとか言うな。

 

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