まぁ、書いてたらどこで終わろうかどうか悩みそうだし、これぐらいがいいのかもしれない。
「暗殺者って、瞬間移動使えるんだな…」
4階のコンピュータールームにやって来るなりそう言ったアタシに、既に居た天海が「いきなりどうしたんすか?」と苦笑いを浮かべた。
「ほら…オレ様、春川を追ってすぐに食堂から出ただろ?曲がり角を曲がるまではちゃんと姿を捉えてたのにさ…角を曲がったら、誰もいなかったんだよ…」
ホント、どういう運動神経をしていたらそんな芸当ができるんだろうな?
もう暗殺者というより、忍者かもしれない。
いや…忍者もある意味では暗殺者か。
「んで、これが例のコンピューターか。でけぇな…」
みんなに調べて欲しいと頼まれたコンピューターを見て、アタシはその大きさに度肝を抜かれる。
だって、プログラムだけで場所を取っているようなものじゃん?
「確かに大きいっすよね。モノクマはこのコンピューターが新しい世界に繋がるって言ってたんすけど…」
「まっ、調べたら分かるだろ」
カタカタとキーボードを打ち、プログラムの内容を確認していく。
うわー…文字が殆ど英語とプログラム用の言語じゃん。
「んー…要するに、プログラムで作られた世界に行けて、それを実際に体験しているって脳が思うやつだな」
「VRシステムみたいなヤツっすか?」
「まぁ、そんな感じだと思っていいだろ」
どう説明したらいいか分からないし、このコンピューターについてのちゃんとした説明は後でもいいだろう。
コンピューターを見ながら何か考え込む天海に、「どうした?」と声をかける。
そしたら、誤魔化すように笑って「大した事じゃないんすよ」って言われたけれど、普通に気になるわ。
言えって催促すると、諦めたように「思い出しライトの事なんすけど…」と喋りだした。
「今回も外れだったみたいで…自分の才能と超高校級狩りについて何も思い出せなかったんすよ。それどころか、ここにいる俺らの葬式をしている風景なんかを思い出して…」
何も言わなくなったアタシが呆れているとでも思ったのか、「変な事言って、申し訳ないっす」と謝罪してきた。
うーん…謝られてもなぁ。
「えいっ」
なんとなく、ビシッと天海の頭に軽くチョップを落としてた。
何が起きたのかわからないとばかりに目を丸くする天海に、アタシはこっからどうしよう…と頭を悩ませる。
無意識の行動って、怖い。
「別に、焦って思い出す必要なんかねーだろ。オレ様なんて、さっき思い出しライトを使った時はいなかったから何も知らねーし、才能がわからなくても誰も仲間外れなんかしないんだ。気にするだけ無駄だろ」
「その通りかもしれないっすけど…俺の場合、あのモノパッドの事もあるんで、できるだけ早く思い出したいんすよ」
モノパッド…生存者特典の事か。
教えられるものなら、教えてあげたいけど…やっぱり、ダメだよなぁ。
ほら、あの人に目を付けられるかもしれないし。
「あー…だったら、オレ様が発明品で記憶を思い出せるようなものを作ってやる!すぐには作らねーけどなっ!」
「いや、そこはすぐに作るって言って欲しかったっす」
そう言いながらも、「まぁ、自分で思い出せなかった場合の保険として頼んでおいていいっすか?」と納得はしてくれたようだった。
「それまでは超高校級の兄貴(仮)とか、超高校級の助手(仮)って言っておけばいいだろ」
適当に候補を上げてやると、「その(仮)ってなんすか…」って苦笑いが返ってきた。
自分でも想ってたけど、聞かないでほしかったな。
「でもさー、超高校級の助手(仮)だと百田ちゃんの手下みたいじゃない?それならいっそオレの手下になってよ」
「何言ってんだよ。王馬なんかの手下になったら、どれだけ振り回されると……あ?」
「確かに大変そうっすね。で、王馬君はいつから聞いてたんすか?」
天海の問いに、いつの間にかコンピュータールームにいた王馬が「えーっと…入間ちゃんが『暗殺者って、瞬間移動使えるんだな…』って言った所からかな」って盗み聞きしていた事を隠す事もなく答えた。
ていうか、それ最初からじゃねーか。
「ほら、赤松ちゃんと最原ちゃんが2人でよくコソコソしているのと同じでさ、入間ちゃんも天海ちゃんとコソコソしてる時あるじゃん?ちょっと気になってたんだよねー」
「別にコソコソしてねーぞ?」
だって、普通の会話ぐらいしかしてないし。
変な会話なんてしてない…はず。
だよね?大丈夫だよな?
「知ってるよ?だって、さっきの嘘だし」
「………」
嘘かよ!?
変に考えていたアタシがバカみたいじゃないか!
「まぁ、ホントは入間ちゃんに頼みたい事があったんだよねー」
そう言うや、王馬はアタシの腕を掴んで歩き出した。
えっ、どこに行くの??
「じゃ、またねー天海ちゃん!」
「はいっす」
お互いにヒラヒラと手を振り合っている天海と王馬に「説明しろよぉ!」と言ってみるも、「うるさいなー」と逆に王馬に怒られた。
だから、説明しろって!
頼み事くらい、あの場でも言えたんじゃないの!?
王馬に連行されてやって来たのは、今となっては馴染み深いアタシに与えられた研究教室だった。
あー…頼み事って、発明品絡み?
「ってことで、ここに書いてるヤツ全部作ってよ」
バサッと王馬に手渡された紙は、軽く10枚超えていた。
これを全部…作るの?
1枚ずつ書かれているものを確認していくと、アタシの口から自然と「あー…」だとか「うーん…」と声が出た。
見覚えのある発明品の設計図だけで3枚はある。
虫取り掃除機とか、ハンマーとか、爆弾とか…。
残りは、悪戯グッズとか…役にたちそうなものとか。
「これ全部となると、すぐに作る事は無理だけどよぉ…。いつまでにやればいいんだよ?」
期限によっては、徹夜と寝不足が確定。
まぁ、それでもなんとか考慮ぐらいはしてくれると思うけれど…
「んー…明日?」
「お前は鬼か!?」
ガックガックと体を揺らして抗議するが、「えー…できないの?それとも、作れないの?」なんて挑発を受けてしまう。
そして愚かな事にアタシは…
「できるわ!できるに決まってんだろっ!!」
その挑発にまんまと、乗ってしまった。
今更、前言撤回とかできないし、アタシは王馬を掴むとそのまま研究教室の外へ放り出して「オレ様をバカにしたこと、後悔させてやるからな!」と叫ぶや、勢いよく扉を閉めた。
…むしろ、アタシが今後悔してる。
×××××
触手マスィーンを改造して作った『発明造るのお助けマジックハンド』というネーミングセンスの欠片もない発明品を背中に背負いながら、アタシは机に並べた数10個の発明品を品定めするかのように眺めていた。
「やってやったぜ…。これなら、流石に文句の一つも言えねーよなぁ!」
王馬の無茶ぶりに、アタシは勝った!
ざまーみやがれ!
エレクトハンマーとエレクトボムはまだ試作品段階だから、1個ずつしか造ってないけどな。
制作時間?
既に夜時間だし、もう少しで8時の放送なるよ。
睡眠?なにそれおいしいの?
さて…寝たら起きれなくなりそうだし、このままコンピュータールームで解析の続きでもやるか。